【ライブレポート】THE MILLION IMA
GE ORCHESTRA、圧倒的スケールで展開
されたサウンドスケープ

レーベル“Grand Gallery”を主宰するプロデューサー/DJの井出靖を筆頭に、20人以上もの名うての精鋭たちが2月4日、代官山UNIT集結した。このバンド・プロジェクトの名前は、“THE MILLION IMAGE ORCHESTRA”。昨年9月、同じくUNITで井出が、以前から続けている<HOME PARTY>で初披露されて以来、今回が2度目のライブである。各々漏れなくキャリアを積んだ手練れたちの中心に、井出がいる。そんなイメージだ。会場内の隅々まで彼の技巧が凝らされており、そのDJもさることながら、まるで司祭のようである。実際、本公演の構成、選曲、衣装のすべてを井出がプロデュースしているというから驚きだ。本稿では、彼と数多のミュージシャンが作り出した圧倒的な音の世界の模様をレポートする。

■肩ひじ張らずに
■素晴らしい音楽と向き合うことが出来る
まずはTHE MILLION IMAGE ORCHESTRAに参加したミュージシャンの名前を挙げておく。井出靖、内田勘太郎高木完、延原達治(ThePrivates)、紫垣徹(THE SKAFLAMES)、塚本功奇妙礼太郎、石井マサユキ(TICA)、AKIHIRO藤本一馬、watusi(COLDFEET)、穴井仁吉(TH eROCKERS)、屋敷豪太、椎野恭一、外池満広、西岡ヒデロー、及川浩志、巽朗(Speak No Evil)、元晴(MORE THE MAN・Speak No Evil)、石川道久(THE SKAFLAMES)、icchie(YOSSY LITLLE NOISEWEAVER)、冷牟田竜之(MORE THE MAN)、今里(STRUGGLE FOR PRIDE)、SARO(Conguero Tres Hoofers)、荏開津広、DJ YAS、田中知之(FPM)……ダブにレゲエ、ジャズ、ロックやヒップホップのフィーリングを中心に繰り広げられる、壮大なサウンドスケープ。“MILLION IMAGE”とはよく言ったもので、ライブ中はまさしく無限のイメージが喚起された。
開演前にフラッとラウンジに寄ってみると、出演者たちが楽器を持ち寄りロックステディを演奏している場面に遭遇した。さらには、メインフロアに入ってすぐ右横のスペースにはフードエリアが出来ている。開演前の段階で緻密に計算された本公演の世界観が垣間見えた。それでいながら、コンセプチュアルなイベントによくある「窮屈さ」は感じない。開演後、ステージ上では凄まじいレベルの音楽が鳴らされているが、オーディエンスの自由度は高い。肩ひじ張らずに、素晴らしい音楽と向き合うことが出来たのが印象的だ。
たとえば、屋敷豪太プロデュースのThe Chang(石井マサユキ所属)の名曲「今日の前はいい雨だ」は、リラックスしながら聴くのがちょうど良い。繰り返すが、ステージ上のミュージシャンたちは揃いも揃って手練れである。もちろん、彼らが鳴らす音楽とストイックに向き合うのも正しい。しかしここで強調しておきたいのは、音楽との接し方に“選択肢があった”ということ。「今日の雨は〜」の次に演奏された「星に願おう」についてもそれは言える。総勢11人が舞台に上がるこの曲も、観客に自由が担保されているのだった。彼らが新人バンドらしからぬ理由はここにあるかもしれない。この余裕。物凄くハイレベルな演奏(何度も言うが)なのに、それを聴くことを強要しない。屋敷豪太のパワフルなドラミングに、西岡ヒデローのリズミカルなパーカッション、そしてwatusiのグルーヴィーなベース……リズム隊だけでも白飯何杯でもイケるのだが、彼らはそれを決して誇示することなく、雰囲気は極めて優しい。
かと思えば、「Track for Saro」や「STARLIGHT」のような曲では、田中知之がガッチガチに4つ打ちをかましてくる。対応するSAROのタップダンスも素晴らしく、ステージ上から目をそらすことが出来ない瞬間だ。この日のセットリスト全体を俯瞰したとき、井出が過去にリリースしている作品同様に、パフォーマンスの緩急も計算され尽くしていたように思う。ちなみに本イベントは前後半分かれた2部構成だったのだが、ここまででまだ1部である。約1時間、オーディエンスはユラユラ踊ったり、ご飯を食べたり、ステージに釘付けになるなど、忙しかった。出演者も多様であったが、負けず劣らずフロアの楽しみ方も色々であった。

■多角的な美しさを持った
■圧倒的なライブ
THE MILLION IMAGE ORCHESTRAの面々が奏でるダブもピックアップしておきたい。リバーブにはアングラの趣があり、けれどもどこか品がある。「ISLAND REGGAE DUB」はそのものズバリを言い当てたタイトルだが、この曲に顕著であった。ダブをバンドで生演奏する試みは、80年代に日本とUKで始まったものだけれど、その矜持がほとばしる内容であった。「ISLAND REGGAE DUB」に限らず、後半の頭にはレゲエやダブのエッセンスがたっぷりと詰まっていた。
無論、“MILLION IMAGE”は後半も続いており、緩急でいうところの“急”の部分も担保されている。ビッグバンド編成の大迫力で聴く「CARAVAN」(塚本功)は、筆舌に尽くしがたい。こればかりは、残念ながらこの日フロアに居た人にしか分からないかもしれない。屋敷豪太と椎野恭一によるツインドラムが火を噴き、ホーンセクションが力強く鳴り、ギターのカッティングが耳を引く。圧倒的。その次に演奏された奇妙礼太郎が歌う「スローバラード」(RCサクセションのカバー)の静謐な凄みと相まって、今でも脳裏に焼き付いている。
イベント全体では2時間構成の長丁場(ラウンジでの演奏も含めるとさらにボリューミー)であったが、あっという間に終わってしまった。目まぐるしく展開された圧倒的なライブは、多角的な美しさを持っていた。まさしく、彼らは無限のイメージでもって、我々を音のトリップへと連れ出してくれたのである。本人たちにしか分からない葛藤や苦悩はあるだろうけれど、キャリアを重ねてもなお、無垢な笑顔で演奏する彼らには少しばかり嫉妬してしまった。

撮影:Riho Kamimura
取材・文:Yuki Kawasaki

YASUSHI IDE PRESENTS THE MILLION IM
AGE ORCHESTRA<WELCOME TO THE MILLI
ON IMAGE SHOW>

2019年2月4日(月)
代官山UNIT

出演:内田勘太郎/高木完/延原達治(ThePrivates)/紫垣徹(THE SKAFLAMES)/塚本功/奇妙礼太郎/石井マサユキ(TICA)/AKIHIRO/藤本一馬/watusi(COLDFEET)/穴井仁吉(TH eROCKERS)/屋敷豪太/椎野恭一/外池満広/西岡ヒデロー/及川浩志/巽朗(Speak No Evil)/元晴(MORE THE MAN/Speak No Evil)/石川道久(THE SKAFLAMES)/icchie(YOSSY LITLLE NOISEWEAVER)/冷牟田竜之(MORE THE MAN)/今里(STRUGGLE FOR PRIDE)/SARO(Conguero Tres Hoofers)/荏開津広/DJ YAS/田中知之(FPM)/井出靖
映像:信藤三雄/中野裕之/高橋恭司/高木康行/VIDEOTAPEMUSIC

■第1部
TWILIGHT ROCK
IT TAKE TWO ~ FREEMAN DUB
今日の雨は良い雨だ
星に願おう
SPIRITUAL SERENADE
Track For Saro
STARLIGHT

〜INTERMISSION〜
■第2部
GOLDEN FIELD
BRIAN’s ORGAN
ISLAND REGGAE DUB
SHELLY
CARAVAN
スローバラード
AFTER THE RAIN
MILLIONS IMAGE
A PLACE IN THE SUN

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