【インタビュー】the cibo、激しさと
洗練感を融合させた音楽性と文学的な
歌詞で迫るニュー・アルバム『HOPES
-a Lost World-』

激しさと洗練感を巧みに融合させた音楽性や、等身大かつ文学的な色合いを帯びた歌詞、パワフル&エモーショナルなライブアクトなどが話題を呼んでいる、神戸発のスリーピース・バンドthe cibo。1月23日にリリースされた彼らのニュー・アルバム『HOPES -a Lost World-』は、あらゆる面にさらなる磨きがかかると同時に、彼らの新たな顔を味わえる意欲作に仕上がった。独自の魅力を放つthe ciboの個性を掘り下げるべく、彼らの全員インタビューを行った。

■the ciboの最高傑作を作るという使命を感じて制作しました
■エネルギーに溢れる一枚にしたいという思いがありましたね

――the ciboは、どんな風に結成されたのでしょう?

前川翔吾 Gt&Vo(以下、前川):the ciboは、僕がスリーピース・バンドの特有のソリッドさやスリリングさを活かしつつも幅広い表現ができるバンドを作りたいと思って2011年頃からメンバー集めを始めて、結成したのが2012年です。結成してから1年間くらい、僕はthe ciboと並行して弾き語りアーティストとして修行のような活動もしていました。そうやってバンドを始めたんですけど、就職などで最初のメンバーは辞めていったんです。それから、ずっとやっていく覚悟のある人間と一緒に音楽がやりたくて今のメンバーを誘って、2017年の11月から現体制になりました。

――メンバーの皆さんが影響を受けたアーティストや好きなジャンルなども教えていただけますか。

前川:自分の音楽史を振り返ると……思春期はBUMP OF CHIKINに侵食されて、高校生になった頃には黒スーツでライブをして、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの後継者になるんだというようなことを言っていたと思います。最近は、海外アーティストを聴くことが多いですね。ギターに関しては父親がギターをやっていて、僕がギターを弾くようになったらいろいろ教えてくれたんですよ。だから、ギター・プレイは、父親の影響が大きいです。

ミブ リュウヤ Ba(以下、ミブ):影響を受けたアーティストはKREVAさんとアンジェラ・アキさんです。ロックや洋楽も聴きますけど、ルーツになっているのはJ-POPです。

西川いづみ Dr(以下、西川):僕はBUMP OF CHICKENELLEGARDENと出会って音楽を始めました。ちょっとベタすぎて恥ずかしい気もしますけど(笑)。そういうところから入った後、紆余曲折を経て、今好きなジャンルはエモや、ポスト・ハードコア辺りです。
――メンバーそれぞれの音楽性を活かして、the ciboのオリジナリティーを生み出していることがわかります。では、1月23日にリリースされたニュー・アルバム『HOPES -a Lost World-』について話しましょう。アルバムを作るにあたって、テーマやコンセプトなどはありましたか?

前川:the ciboの最高傑作を作るという使命を感じて制作に入りました。聴いてくれた人の体温が上がるような、エネルギーに溢れる一枚にしたいという思いがありましたね。それが音になり、言葉になり、『HOPES -a Lost World-』というアルバムとして結実することができた。仕上がりには、とても満足しています。

ミブ:コンセプトというか、全曲リード曲になり得るものを揃えたフル・アルバムを作ろうという意識のもとに作り始めました。アルバムができあがって、当初の狙いどおり、一切B面なしの全曲A面フル・アルバムといえるものになったなと思っています。

西川:今回は初の全国流通盤なので、初めて聴いてくれる人達にも、より我々を知ってもらいたいという思いがあって。なので、新曲だけで構成せずに、ライブでよく演奏する昔からの曲も織り交ぜた1枚にしました。the ciboの名刺代わりの一作になったし、ミブ君が言った“全曲リード・トラック”ということも実現できたんじゃないかなと思います。
――その言葉どおり良質な楽曲が並んでいて楽しめます。それに、力強く疾走する「ESSENCE」や「今宵、駆け落ちる前に」「パラレルラインズ」などを核にしたうえで、幅広さを見せていることもポイントといえます。

前川:曲調の幅広さは、自然とそうなりましたね。冒頭に話したように、そういうバンドを目指しているので。『HOPES -a Lost World-』の中で特に印象の強い曲をあげるとしたら、「ESSENCE」かな。突き抜けた疾走感に自分達らしい感情の乗せ方をして、僕にしか歌えないものを歌って形になった時に、ひとつバンドが強くなった気がしたんです。あとは、「奇跡と軌跡」も思い入れが強い。この曲はレコーディング前日に、“これじゃない!”と思って歌詞を全部捨てたんです。“もっともっと大切なことを俺は歌うぞ!”という覚悟で歌詞を書き直しました。「奇跡と軌跡」に限らず、今回は全編を通して絶対に妥協しないという強い気持ちで取り組んだというのはありますね。

ミブ:個人的には「パラレルラインズ」が、特にオススメです。サビのパンチ力はもちろん、Cメロの破壊力もかなりのものだと思うんですよ。それに、メインのギター・リフに時々絡みにいくベース・ラインも“やってやった感”があります(笑)。

西川:僕の推し曲は、9曲目の「HELP YOU AND ME」です。こういうテイストの曲は、今まで作ったことがなかったんですよ。制作している時は爽やかすぎてバンドの色に合ってないんじゃないかと懐疑的だったんですけど、ちょうど良い所に着地できたと思います。サビの前半のリズムにマッチする伸びやかなメロディーが個人的に、とても好きです。

――皆さんがあげてくださった曲以外にも知的な雰囲気の「≒ flower」や、映像的な間奏を入れ込んだ抒情的なスロー・チューンの「アルムアの森」、煌びやかな「in the future」など、聴き逃せない曲が並んでいます。それに、人生を悟る前の年齢ならではの不安定さや真っすぐさなどを、等身大の言葉で綴った歌詞も魅力的です。

前川:「ESSENCE」で、“ありのままの姿が美しい”と歌っているように、僕は葛藤する心や不安定さ、脆さといったものの中に美しさがあると思っているんです。そういうものを等身大で描きながら、そこに幻想的な要素を含ませていくことによって、いろいろな読み解き方ができるようにしたいというのがあって。歌詞は、いつもそういう思いのもとに書いています。あと、今回はサビに入る言葉の数……たとえば「今宵」だったら“霹靂の”という5文字ですけど、できるだけ曲ごとに、そこの言葉数が違うようすることを意識して歌詞を書いてみました。
■『HOPES -a Lost World-』は自信が持てる手応えを感じている
■それを自分達で後押しするためにライブもしっかりやっていきたい

――続いて、プレイ面について話しましょう。まずボーカルは幅広い曲調に合わせて、繊細な歌声から熱いボーカルまで使い分ける表情の豊かさが光っています。

前川:ありがとうございます。歌の表情だったり、温度感、抑揚といったことは、それぞれの楽曲の世界に入って歌ったら、こうなりましたという感じです。あと、「奇跡と軌跡」では、the cibo史上初の試みとしてリーディングを採り入れました。そういうところでも新しさを感じてもらえると思うし、リーディングの言葉の中には、実はある2人の名前が入っているんですよ。そういう遊び心を活かせたのも良かったなと思います。ギターに関しては、トリオ感を活かしつつ必要なものは重ねるというスタンスでいきました。左右にコードをステレオで振って、サビでもう1本オクターブ・フレーズやカウンター・リフが入ってくる曲が多くなっています。

――ストレートかつ効果的なギターといえますね。ギターに関しては、ギター・ソロが多いことも特色になっています。ギター・ソロは、どういうものと捉えていますか?

前川:歌以外での感情の表現、声で奏でられないメロディーを表現できる場と捉えています。だから、意味のあるものにするということは、意識していますね。あとは、僕らはロックバンドなので、“ライブの時に俺を見てくれ!”という瞬間です(笑)。

ミブ:ベースは、前作までに比べてベース・ラインやリフなどを多く入れることを心がけました。ボーカルが最優先のバンドですけど、今作はその中でも自分のベーシストとしての“我を”多めに採り入れて、歌に絡みにいってやろうぐらいの気持ちがあったんです。
――ボトムを支える場所と動く場所のメリハリが光っています。「ワードレス」のうねりに溢れたリフや「奇跡と軌跡」の心地好い16ノリのグルーブ、「HELP YOU AND ME」のアウトロのベース・ソロっぽいアプローチなど、ベースの聴きどころも多いですね。特に、「パラレルラインズ」の凝ったベースは要チェックです。

ミブ:メチャメチャちゃんと聴いてくれていて、ありがとうございます(笑)。そうですね、「パラレルラインズ」のベースは、ちょっと耳を傾けてもらえると嬉しいです。

西川:ドラムは、いつもデモに入っているギターのフレーズや仮のメロディーを聴いて、直感的に一番正しいと思ったフレーズを当てはめていて、それは今回も変わらなかった。ドラムの面で特に印象が強いのは、「HELP YOU AND ME」ですね。この曲は2ビートを取り入れたんですけど、僕のドラムキャリア史上初の試みだったし、BPMがメッチャ速いのでかなり苦戦しました。

――「HELP YOU AND ME」の怒涛の疾走感は、最高に気持ちいいです。西川さんのドラムもただ単にビートを刻むだけではなくて「ワードレス」や「奇跡と軌跡」など、パターン系を活かして楽曲の場面作りに寄与していることが印象的です。

西川:「ワードレス」のAメロと「奇跡と軌跡」のBメロは、より雰囲気が出る気がしたのでフロア中心で刻むことにしました。トリオバンドは全員がやれることをやらないと、楽曲の世界観を深めることができないというのがあるんですよね。なので、必要なことはやるようにしています。
――楽曲の良さに加えて、プレイ面の聴きどころが多いことも『HOPES -a Lost World-』の魅力になっています。さて、『HOPES -a Lost World-』は充実した一作に仕上がりました。本作を携えて2月から4月にかけて行う全国ツアーも楽しみです。

前川:『HOPES -a Lost World-』は、広まるべき作品だと思っています。それくらい自信が持てるアルバムを作れたことに手応えを感じているし、それを自分達で後押しするためにライブもしっかりやっていきたい。今度のツアーはこれまでに行ったことないところまでガッツリまわるので、気持ちがあがっています。大変なツアーになっても、一生記憶に残る日々にしたいですね。このツアーでみんなに会えたらと思っているので、ぜひ会場に足を運んで欲しいです。

ミブ:『HOPES -a Lost World-』のレコーディングを経て、ひとまわり成長した自分達の姿を見せられることを楽しみにしています。あとは、前川君も言ったように、今回は今まで行ったことのないところにもいくんですよ。なので、“神戸に最高のバンドthe ciboがおる!”ということを広めれるようなツアー/ライブにしたい。いいライブを見せられる自信はあるので、期待していてください。

西川:2人が言ったことと被ってしまいますけど、僕の中でも今回のツアーは今まであまり行けなかった場所や、初めての場所を組み込んだことが大きいですね。この機会に、より多くの方達に我々のライブを見ていただけるといいなと思っています。ずっと応援してくれている方も、初めてthe ciboに触れる方も『HOPES -a Lost World-』に閉じ込めきれなかった熱量を、直にその身で体感して欲しいです。

取材・文●村上孝之
ライブ写真●オオツカユウコ
リリース情報

『HOPES -a Lost World-』
【発売日】2019.1.23
【価格】\2,300(+tax)
【品番】CYBM-1005
M1:ESSENCE
M2:今宵、駆け落ちる前に
M3:ワードレス
M4:パラレルラインズ
M5:奇跡と軌跡
M6:7th chord
M7:≒ flower
M8:アルムアの森
M9:HELP YOU AND ME
M10:in the future

ライブ・イベント情報

「存在証明」vol.2
3/16 豊橋club knot
アシガルユース
湯野川広美
thecibo
and more…

3/17 長野SoundHalla.c
Enjoy’s eternity music vol.80
10th anniversary
「狼戯灯心楽永音」
the cibo 1st Full Album
「HOPES-a Lost World-」Release tour 2019
KAKASHI 2nd Mini Album
「PASSPORT」Release tour 2019
“心の向かう方へツアー”
Freiheit(飯田)
或ナグラム(松本)
oldflame(群馬)
レイラ(横浜)
KAKASHI(群馬)
the cibo(神戸)

『nbir』
the cibo 1st full album「HOPES -a Lost World-」release tour
3/26 福岡天神EarlyBelievers
the cibo
the satellites
ひぇあふぉう
Cucul
ワガマンマ

『ジモトロックフェス2019@フクオカ』
3/27 INSA Fukuoka FUKUOKA UTERO 2会場同時開催
the cibo
postman
CRAZY VODKA TONIC
The Cheserasera
シロとクロ
ゆるふわリムーブ
ユレニワ
OKOJO
[O.A]SUGAO、HelloNewWorld

無料ワンマン公演
4/5 FANJ twice

京都MUSE29周年 -京都叙情- &the cibo 「HOPES-a Lost World-」 release tour 京都編
4/26 京都MUSE
the cibo
CIVILIAN
LOCAL CONNECT
イトカムトビコ(O.A)

Relation vol.23
the cibo “HOPES-a Lost World- TOUR”
5/17 東京府中Flight
the cibo
DETOX
The Jest
UN LUCK WIN
ココペリドット
Hollow Bug
Halujio

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