ウェスタ川越『クラシック名曲の旅』
~どこかで聴いた名曲シリーズ~、第
3回はベートーヴェンの「運命」と「
田園」を演奏

2019年3月30日(土)ウェスタ川越 大ホールにて、ウェスタ川越『クラシック名曲の旅』~どこかで聴いた名曲シリーズ~オーケストラとめぐる旅 第3回 ドイツ、ザ・シンフォニー「ベートーヴェンの傑作選」が行われる。
本公演は、日本を代表する3つのオーケストラでクラシックの名曲を聴きくらべする公演シリーズだ。2018年10月7日(日)に、指揮・鈴木優人、ギター・村治佳織、演奏・読売日本交響楽団で第1回 スペインからロシアへ「アランフェス」&「展覧会の絵」が行われ、2019年1月14日(月・祝)に指揮・田中祐子、ピアノ・北村朋幹、演奏・新日本フィルハーモニー交響楽団第2回 アラビアン・ナイト ~新春音楽絵巻~ シェエラザードが上演された。全3回である、本シリーズの最後を飾るのは、指揮・高関健、演奏・東京交響楽団で行われるドイツ、ザ・シンフォニー「ベートーヴェンの傑作選」だ。
写真提供:ミューザ川崎シンフォニーホール (c)青柳 聡
ベートーヴェンの交響曲の中だけではなく、多くの交響曲の中でもトップクラスの人気曲、交響曲5番「運命」と第6番「田園」。何度も演奏会で聴かれた人も多いはず。しかし、実は「運命」が6番で「田園」が5番だったかもしれないということを思いながら聴かれた人はどれぐらいいるだろうか。
1808年12月22日、ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場でベートーヴェン自身の指揮で行われた初演では、現在6番とされている「田園」が先に5番として演奏され、現在5番とされている「運命」が後に6番として演奏されたのだ。翌年出版されたパート譜では現在と同じく「運命」が5番。「田園」が6番となっている。作曲されたのは5番、6番の順なのでそれを採用した順番と思われる。
そして、3月30日にウェスタ川越で行われる東京交響楽団の演奏会にあたって、その初演の順番を重視したのが指揮の高関健だ。彼によるとこの2曲の交響曲を演奏する順番は「これしか考えられない」とのこと。
高関は今回の演奏会に向けてのインタビューで5番と6番の魅力についてこう語る。
「ほぼ同時に作曲が進められたこの2曲は、1808年12月に同じ演奏会で初演、「双子の交響曲」と言って良いでしょう。主題も第5番はたった2小節の「運命の動機‒タタタ・ターン」、「田園」も4小節の短い動機(そこで一度音楽が停まります)だけ。2 曲にはたっぷりと長く歌えるような主題がありません。ベートーヴェンはこの切り詰められた条件を自らに課して、音楽をどこまで発展させられるか、苦心惨憺して2 つの交響曲を作り上げました。
しかも…今回のように続けて聴いていただくと良く分かりますが……第5番では動機を縦に積み上げ、「田園」では横に並べる方法で、まったく異なる音楽を構成することに成功しています。第5番では人としていかに精神を鍛えるべきか、「田園」では文字通り「田舎についたところの愉快な気分」。人間であれば誰でもが持っている、精神の二面性を見事に表現した2つの交響曲を、比べながらお楽しみいただきたいと考えています」
写真提供:ミューザ川崎シンフォニーホール (c)青柳 聡
現在、六本木で『新・北斎展 HOKUSAI UPDATED』という近年発見された作品や初公開作品を通して、真の北斎に迫る展覧会が開かれており、好評を得ている。実は葛飾北斎(1760-1849)とベートーヴェン(1770-1827)は同時代の巨匠。オーケストラのメンバーに「高関さんの時は、いつも演奏している曲でも新たな発見を教えていただく」とよく言われるほど曲に対するアプローチには定評がある。そんな高関健の指揮で、ベートーヴェンの「田園」と「運命」をUPDATEしてみてはいかがだろうか。

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