英国ロンドン発のクラシック音楽の祭
典、BBCプロムスが、今秋ついに日本

毎年7月中旬から9月にかけて、英国ロンドンで行われる世界最大級のクラシック音楽イベントBBC Proms(BBC プロムス)。ブリティッシュ・カウンシルと駐日英国大使館が進める日英交流年UK in Japan 2019-20の一環として、その熱狂がついに初来日する。〈大和証券グループ presents BBC Proms JAPAN 2019〉では、2019年10月30日(水)から11月4日(月・振休)までの間に数多くの公演が東京と大阪で予定されている。
BBC Proms 2018の様子(Last Night of the Promsより) (c)BBC/Chris Christodoulou
BBC Promsの歴史は1895年にまで遡ることができる。約120年の長い歴史の間、世界各国から集まった一流アーティストたちが、クラシック音楽、そして、ジャズやワールドミュージックといった多彩な音楽を幅広い観客に届けてきた。なかでも名物となっているのが、最終夜を飾る「Last Night of the Proms(ラストナイト・オブ・ザ・プロムス)」。会場となるロイヤル・アルバート・ホールから響き渡る、出演者と聴衆によるエルガー「威風堂々」の大合唱は、正にBBC Promsの醍醐味を体現したものであろう。最近では、オーストラリア(2016年)やドバイ(2017、2019年)と海外での公演も成功させており、今回の日本公演はアジア初の開催となる。
左より、東出隆幸、ポール・マデン、竹内由紀子、葉加瀬太郎、ジャスパー・パロット、アラン・デイヴィー
駐日英国大使館で行われた記者発表には、ポール・マデン駐日英国大使、BBCラジオ3 / BBC Proms / BBCパフォーミング・グループス最高責任者のアラン・デイヴィー、BBC Proms JAPAN 2019 PRアンバサダーを務める葉加瀬太郎らが登壇し、具体的なプログラム内容と意気込みが語られた。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、スポーツのみならず文化芸術の分野でも足早な準備が進む東京。マデン大使は、こうした世界的な注目を背景に、駐日英国大使館がブリティッシュ・カウンシルと共に進めてきた文化交流年に言及し、その一環としてBBC Promsの初来日公演が叶ったことを踏まえて、「BBC Promsは、記念になる年に日本で初めて開催されます。ですから、多くの皆さんに足を運んで頂き、素晴らしい音楽を楽しんで頂きたい」と期待を寄せた。
ポール・マデン駐日英国大使
また、BBC Promsの最高責任者を務めるアラン・デイヴィーは、「BBC Promsの物語に、素晴らしい、新たな章が加わります!私達は、Promsを特別なものにしてきました。日本には、その全てを持ってきます」と、日本版Promsへの自信を覗かせた。そして、「聴衆の皆様には、まず、私達、Promsの心を届けたい。今年は創立者ヘンリー・ウッドの生誕150周年ですが、彼の考えは、最良のクラシック音楽をできるだけ幅広い聴衆に届けるというところにありました。」と述べ、敷居の低さとすそ野の広さを踏襲したいとした。本場のBBC Promsには「プロミング・チケット」というディスカウントチケット制度や、無料の屋外コンサートイベントがある。今回のBBC Proms JAPAN 2019でも、大和証券グループによる特別協賛により「Daiwa シート」の発売が叶った。また、渋谷箇所での無料コンサートや、プレトーク・イベント「How to enjoy BBC Proms?(BBCプロムスの楽しみ方)」、学生向け公開リハーサルといったイベントも企画されている。Promsの理念と哲学が、日本版にも生かされている。
アラン・デイヴィー BBCラジオ3/BBCプロムス/BBCパフォーミング・グループス最高責任者
BBC Proms JAPAN 2019のPRアンバサダーを務めるのが、ロンドン在住の葉加瀬太郎。彼は、地元ロンドンで感じるBBC Promsの印象を、「色々な人たちが、歌いながらコンサートを楽しむ。皆さん、とても楽しみにしている大人気のイベント」と語った。そして、老若男女から愛されるPromsの現状を踏まえて、「Proms Japanも回を重ねることで定着して欲しい」と続けた。
葉加瀬 太郎 BBC Proms Japan 2019 PRアンバサダー
BBC Proms JAPAN 2019には、話題のアーティストや初来日となるアーティストも登場する。中でも、BBC傘下のオーケストラで、エディンバラ国際フェスティバルの常連となっているBBCスコティッシュ交響楽団に注目したい。独創的で意欲的なプログラミングで定評の高い首席指揮者のトーマス・ダウスゴーによる名演が待たれる。ソリストには、2010年のショパン国際ピアノ・コンクールで、アルゲリッチ以来となる45年振りの女性優勝者なったピアニストのユリアンナ・アヴデーエワと、エリザベート王妃国際コンクールでの優勝を始め、世界的に活躍しているロシアのヴァイオリニスト、ワディム・レーピンという話題のアーティストを招いた。また、ハノーファー国際ヴァイオリン・コンクールで最年少優勝し、大河ドラマ『真田丸』のテーマ曲でもお馴染みのヴァイオリニスト三浦文彰や、日本人初となるロストロポーヴィチ国際チェロ・コンクールの覇者、宮田 大も出演する。
トーマス・ダウスゴーとBBCスコティッシュ交響楽団 (c)BBC/John Wood
ユリアンナ・アヴデーエワ  (c)Christine Schneider_0382
ワディム・レーピン  (c)Gela Megrelidze
三浦文彰  (c)Yuji Hori.jpg
宮田大  (c)Kamemura
本場でも人気の高いジャズを取り上げるProm3(プロム3)は、ジャズの最先端を感じられる舞台になりそう。「JAZZ from America」と題された今回は、ギタリストとして名高いリー・リトナーと、ジャズ・フュージョンのサウンドを牽引してきたピアニストのデイヴ・グルーシンという 2人のグラミー受賞者が登場する。彼らを含めた世界屈指のスター・プレイヤーたちで結成されたドリームバンドの演奏は、ジャズファンならずとも一度は聞きたい名演になるだろう。また、世界的な評価を受けているジャズ作編曲家の挾間美帆の「m_unit」にも注目したい。
リー・リトナー
デイヴ・グルーシン
挾間美帆 (c)  (c)Hiroyuki Seo
記者会見で登壇した葉加瀬太郎は、最終夜の11月4日、ラスト・ナイト・オブ・ザ・プロムスで自らの楽曲を演奏する。記者会見では、「みんなで歌えたらいいですね、ビートルズのヘイ・ジュードを歌ってもいいんじゃないかな。とにかくびっくりするような演出をしたいですね。」と述べた葉加瀬。また、ワディム・レーピンや日本が誇るオペラ歌手の森 麻季、ロンドンのBBC Promsのラストナイトで、圧倒的なパフォーマンスを魅せたサックス奏者のジェス・ギラムといった名手も登場する。果たして、日本版ラストナイトはどうなるのか?否応なく期待が高まる。
森 麻季  (c)Yuji Hori
ジェス・ギラム (c)  (c)Kaupo Kikkas
本場ロンドンのBBC Promsは、若者やファミリー層からも愛され、人気のあるコンサートともなれば、そのチケットはゴールデンチケットとなる。今回の日本公演は、本場の臨場感が楽しめる又とない機会である。気軽に、音楽を楽しむ新しいスタイルと音楽がもつ楽しさを、是非、体験したい。
(左)ポール・マデン (中央)葉加瀬 太郎 (右)アラン・デイヴィー
取材・文・撮影=大野 はな恵

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