デュアン・オールマンの名演が
収録されたボズ・スキャッグスの
2ndソロ『ボズ・スキャッグス
&デュアン・オールマン』

フェイム・スタジオとマッスル・
ショールズ・サウンド・スタジオ

古くからあるフェイム・スタジオののれん分けのようなかたちで設立されたマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオはアラバマ州シェフィールドで1969年にスタートする。俗に“マッスル・ショールズ録音”と呼ばれるのは、フェイム・スタジオの頃からで、レコーディングのメンバーにデビッド・フッド(ベース)、ロジャー・ホーキンス(ドラム)、バリー・ベケット(キーボード)、ジミー・ジョンソン(ギター)らが参加していれば「あっ、これはマッスル・ショールズ録音か」と僕たちは理解していた。彼らはザ・スワンパーズとかマッスル・ショールズ・リズム・セクションと呼ばれており、これまでに数多くのレコーディングを残している。実際にはクインヴィ・スタジオなど他のスタジオもいくつかあり、ミュージシャンもスワンパーズの面々だけでなくいくつかのグループが存在するのだが、ここでは本題ではないので触れない。

のちにオールマン・ブラザーズバンドを結成するデュアン・オールマンも10代の頃からフェイム・スタジオに入り浸り、非凡なギターの腕を買われて、スワンパーズの面々とともに多くのセッションに参加している。彼の死後(71年、24歳で急逝)にまとめられた『アンソロジー』(‘72)と『アンソロジー Vol.2』(’74)には、フェイム・スタジオとマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオでのセッションが数多く収録されている。

当時トラフィックを率いていたスティーブ・ウインウッドは、大金をはたいてスワンパーズのメンバー数人を後期トラフィックのメンバーとして迎え入れているほどである。また、レーナード・スキナードの代表曲(というか、アメリカンロックの代表曲)の「スイート・ホーム・アラバマ」では、マッスル・ショールズにはザ・スワンパーズっていうグループがいると歌われている。

マッスル・ショールズの魅力は、2014年に日本でも公開されたドキュメンタリー映画『黄金のメロディ マッスル・ショールズ』(‘13)で多くのアーティストのインタビューを交えて詳しく紹介されているので、興味のある人は廃盤にならないうちにDVDを入手してもらいたい。

ボズ・スキャッグスの歩み

1944生まれのボズは、小さい頃から黒人音楽に親しみ、大学生の頃には単身ヨーロッパへ乗り込んでいる。立ち寄ったスウェーデンで歌っているところをスカウトされ、初のソロアルバム『ボズ』(’65)をリリース。このアルバムはほぼ弾き語りで、ブルースやR&Bを初々しく歌っている。スウェーデン盤ということもあって希少盤として知られており、恐ろしいほどの高値で取引されていたのだが、数年前に韓国でCD化(世界初)され、今では日本でも簡単に入手できるようになった。

その後、アメリカに戻ってから旧友のスティーブ・ミラーがフロントを務めるスティーブ・ミラー・バンドのギタリストでヴォーカルも担当、『未来の子供達(原題:Children of the Future)』(‘68)と『セイラー』(’68)の2枚に参加する。その後は独立し、ボズ・スキャッグスの名でバンドを率いて活動する。ライヴパフォーマンスに注目が集まり、地元サンフランシスコでは多くのフェスに参加するなど、彼の名前はよく知られるようになる。そして、アトランティック・レコードに声をかけられ69年に『ボズ・スキャッグス』(日本盤は『ボズ・スキャッグス&デュアン・オールマン』というあざといタイトルが付けられている)をリリースする。

OKMusic編集部

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