舞台『WILD』ついに開幕! Hey! Say
! JUMP 中島裕翔、初主演舞台でNEWS
加藤シゲアキにおねだりしたアイテ
ムとは?

2016年にイギリス・ロンドンで上演された、英国気鋭の劇作家マイク・バートレットによる社会派舞台『WILD』が2019年4月28日(日)、東京グローブ座にて日本初演を迎える。初日前日、同劇場にて公開ゲネプロ(通し稽古)と囲み会見が行われ、主役を務める中島裕翔(Hey! Say! JUMP)と太田緑ロランス、斉藤直樹が囲み会見に出席した。
物語は、2013年にアメリカ合衆国政府の個人情報収集の手口を内部告発しロシアに亡命した、アメリカ国家安全保障局(NSA)の元局員エドワード・スノーデンの事件に着想を得て書かれた社会派のストレートプレイ。エドワード・スノーデンの事件が象徴する現代世界がさらされている倫理的・社会的脅威、テクノロジーがプライバシーの概念を侵食する社会に対して鋭い警鐘を鳴らしている。
本作の主人公アンドリュー役を務める中島は、これが舞台初主演かつストレートプレイへの初出演となる。今の心境を聴かれると「全部が新鮮ですね」と笑顔を見せる中島。「ジャニーズの舞台ではショウというものなら出演したことがあるんですが、こういったガチのストレートプレイは本当に初めて。どういう風になるのかな、と。普段は映像の仕事の方が多いんですが、(本作に出演する事で)役への向き合い方をさらに詰め、もっともっとアドバンスして、ベースが出来上がると自分がすごくフリーになれるという、すごく面白い感覚を得ています」と冷静に語った。
作品について「台本を読んだ瞬間は全然わからなかったんですが、演出の小川(絵梨子)さんも、分からないところは分からなくていい。一緒に考えていこう、とおっしゃってくれて。僕が本当は感じなければいけない疑問点を、この二人(太田、斉藤)に言っていただいたこともありました。毎日が発見で本当にいろんな人に助けられています」と語る中島。会話劇ということで膨大な台詞量を操るのも見どころ。「本読みの時点で、疑問を潰し、解釈、咀嚼をして行ったのでスムーズにできている気がします。でも僕より二人の方が僕を翻弄する役なので、すごい大変だと思います。特にロランスさんは大変じゃないかな? めっちゃマシンガントークで喋ってますから」
中島からそんな紹介をされた「ミス・プリズム」と名乗る女役の太田は「私がいちばん稽古場で苦労していましたよね(笑)。アンドリューを翻弄してどこに持っていけばいいのか、なかなか面白い道筋が辿れなくてご迷惑をおかけしたりもしました。小川さんが丁寧に導いてくださって、ようやくどんどん面白いと感じていく、そんな余裕が出てきたかな?」と笑顔を浮かべると、「うかうかしてられないな」と中島が苦笑い。
太田緑ロランス
太田から見た中島の印象を聴かれると「1か月、稽古をしていたんですが、今日、トップアイドルの方だったんだ、と正直思い出しました(笑)」と話す。その言葉の意味は「3人しかいない舞台なのでそれまでは役者仲間として付き合っていたんですが、今日(取材陣のカメラの)シャッター音の量で『ああ、この方はトップアイドルだったんだ』と新鮮に感じました」そう笑いながら太田が言うと、中島は恥ずかしそうに何度も手で自分の顔を隠し照れまくっていた。さらに太田は「中島さんは本当にタフなんですよ! 素直で柔軟で小川さんがおっしゃることを掴むのがすごく速い。理解したことを芝居に落とすのも速い。本当に尊敬しています。お忙しいのに疲れを見せない事や、瞬間瞬間を大事にしている事も。謙虚ですし舞台に対する変な先入観もないですしね」と大絶賛。
何かと照れまくる中島さん。こんなポーズが連発!
アンドリュ―を訪問する「男」役の斉藤も「(中島は)本当に最初の印象通りで良い好青年なんだろうなと思っていたらその通りで! しかもタフガイだなと思いましたね」とコメント。
二人から褒められまくりの中島は「環境あっての事だと思っています。皆さんがサポートしてくださるし、皆でアイディアをどんどん出していくのですごくポジティブになれる現場。すごく助かりました」と照れながらも謙虚に答えていた。
斉藤直樹
改めて6年ぶりの舞台について聴かれた中島。今回上演する東京グローブ座について「うち(Hey! Say! JUMP)のメンバーも立っていて、メンバーの舞台も見たことがあるんですが、実際に自分がステージに立ってみると、『ああ、こういう感じに見えるんだな』って。景色、匂い、温度、湿度といった感覚全部をひっくるめて感じています」と感慨深く述べていた。
現在、Hey! Say! JUMPのメンバーが次々と舞台に出演している話になると「そうなんですよ! 薮(宏太)は『ハル』で大阪に行っていますし、髙木雄也ももうすぐ『クイーン・エリザベス』が始まりますし。またグローブ座では関ジャニ∞の村上(信五)さんがプロデュースしていた『もしも塾』に八乙女(光)と有岡(大貴)が出ていまして。立て続けに舞台、舞台で」とメンバーの活躍をまるで広報担当のように誇らしげに語る中島。
だが髙木については一言いいたい事があるそうで、「あの人(髙木)は、『本番まであと何日』ってカウントダウンをしてくるんですよ! 『裕翔、あと3日じゃん!』とか。ただでさえ緊張してるのに(笑)。髙木だって『クイーン・エリザベス』の稽古があるのに。台詞がすごく大変そうなんですよ! エリザベス女王がいた昔の王朝の話なので。それなのに俺にプレッシャーかけてくるので、この後どういう方法でプレッシャーをかけ返してやろうかと思っています!」と笑わせていた。
初舞台といえば……という事で、楽屋暖簾を誰に作ってもらったかという質問に中島は「待っていました!」といわんばかりに「加藤シゲアキさん(NEWS)に作っていただきました!」と発表。「シゲくんとは、以前映画『ピンクとグレー』でご一緒したこともあるので、シゲくんにお願いしたいなと頼んだんです。すると『俺でいいの? もっと他にもいっぱいいろんな役者さんがいるじゃない!』って。でも『僕はシゲくんがいいです』と言ったら『じゃあ作らせていただきます』と。すごくいろいろなメッセージが込められているということなので、届いた暖簾を見るのが楽しみです」とこの日の夜に届くプレゼントを楽しみに待ちわびていた。なお、今回の舞台について、加藤、そして加藤と共通の知り合いである俳優・山内圭哉にもいろいろ相談していたそうだ。
なお、劇中では、上半身裸でいる場面がある。「きっとその部分を記事などに取り上げられるんだろうなあと思っています。(カメラの)シャッター音の多さで」と苦笑。さらに終盤の演出についてはネタバレ防止のため「いろいろ言えないんですけど」と前置きしつつ、中島は「あの場面はある意味、物理を無視したセットになっています。安全ベルトとか(の装着)も考えたんですが、自分の体幹だけでキープしています」と驚かせていた。その場面がどこなのか。本番を観る方は是非お楽しみに。
(左から)斉藤直樹、中島裕翔、太田緑ロランス
さて、ゲネプロについても触れておこう。
光ひとつない真っ暗闇の状態から始まった本作。ありふれたモスクワのホテルの一室に身をひそめるアンドリューに、「ミス・プリズム」と名乗る女が、アンドリューが「やった事」による各方面への影響を一つひとつ挙げながら言葉で責めたてる。時にアンドリューが反論や主張、あるいは今置かれている環境について確認しようとすると、女はそれを遮るようにまくしたて、あるいはまったく違う話へとすり替える。ミス・プリズム役の太田が表情豊かに、中島演じるアンドリューを膨大な言葉量で翻弄していく様は軽快で、どこかコミカル。責められるアンドリュー以外、つまり観客にとってはストレスを感じずに、どんどんのめり込んでいける流れを作っていた。
そして二番目にアンドリューを訪ねてきた「男」はミス・プリズムとは異なるスタイルでアンドリューに接していく。ミス・プリズムが「攻め」であるなら、この「男」はアンドリューを受け入れてあげようと手を差し伸べてくる姿勢。それでいて肝心なところは一切語らない点がまた胡散臭い。演じる斉藤は人の好さそうな笑顔と柔らかい声のトーンでアンドリューの心に入り込んでいこうとする……が、本当に信じていいのかと疑いを抱かせるような「闇の部分」を見せていた。
そして主人公アンドリュー役の中島だが、二人の来訪者に振り回されながらも自分が「やった事」に対してブレずに存在し続け、「今」を観察・分析しようとしている男の姿を丁寧に描いていた。後半に向けて彼の心がどのように展開していくのか? 是非楽しみにしていただきたい。
会見の最後に中島が「この作品のベースとなった実在の人物・エドワード・スノーデンという人物がどんな人かを知っておくと、話に入っていきやすいかも」と語っていた。本作が社会派の硬派な内容である事にやや身構えている方は、中島からのアドバイスを参考にしてみると良いかもしれない。ただ、まったく素の状態で観劇して、終演後にスノーデンを知るという流れであっても、また興味深い体感を抱けることだろう。
いずれにしても本作は、非常に静けさと集中力が、演じる側だけでなく観客にも求められる作品である事だけは間違いない。どうか作品を作り上げる大事な1ピースとして、開演前に携帯電話をはじめ、音の鳴る電子機器は主電源からオフにしていただきたい。劇場側で電波を抑止する仕組みがあったとしても、各自が設定しているアラーム音などは止められないのが現実だ。また時間などが気になるのか、上演中に液晶画面をチラ見する方も時々見かける。この時に漏れる光も作品には不要のものだ。中島が、太田が、斉藤が魂を込めて作る世界を最大限楽しめるよう、是非力を貸していただきたい。
取材・文・撮影=こむらさき

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着