文学座アトリエの会が戌井昭人の新作
戯曲『いずれおとらぬトトントトン
』を上演

文学座は5月アトリエの会で『いずれおとらぬトトントトン 』(作:戌井昭人、演出:所 奏)を、2019年5月9日(木)~21日(火) 、信濃町・文学座アトリエで上演する。
文学座は、劇団のアトリエで公演をおこなう「文学座アトリエの会」が2020年に70周年を迎えるにあたり、文学座創設者の一人の岸田國士が唱えた文壇と劇壇を結ぶ“文学立体化運動”をより発展的に考え、【演劇立体化運動‐これからの演劇と岸田國士‐】というテーマのもと、意欲的で実験的な3作品を上演する。その先陣を切るのが、2017年『青べか物語』で好評を博した戌井昭人✕所 奏コンビの第二弾『いずれおとらぬトトントトン』である。
本作はアメリカンニューシネマの代表的作品として有名な『カッコーの巣の上で』に着想を得て、舞台を日本に置き換えたオリジナルストーリー。今回、文学座へ書き下ろすのは戌井昭人。戌井は2016年に『のろい男 俳優・亀岡拓次』で野間文芸新人賞を受賞し、同年に映画化もされる他、俳優としても活動を広げている。ちなみに彼の祖父は、文学座創立メンバーで、文学座代表も務めていた演出家の戌井市郎である。そして演出を務めるのは、文学座演出部所属の所 奏。アトリエの会では初演出作品となった『青べか物語』で山本周五郎作品を哲学的に展開させ、今までにない異色さで好評を博した。
令和へと改元されて間もない2019年5月―。ユーモアあふれる独特な世界観を描く戌井ワールドの中で巻き起こる、可笑しくも騒々しい人間賛歌に期待大だ。
【動画】文学座5月アトリエの会『いずれおとらぬトトントトン』コメントムービー

あらすじ
山奥にある精神病院。日本のチベットと呼ばれるその場所で、何かしらと交信している患者、音楽家デビューしたい患者、 スリッパ拳法を操る患者、家に帰りたい患者、毛布にくるまる患者、道行きの患者などがいる。 患者たちは、医者・看護師とのミーティング治療によって、主張することを管理・禁止されながら過ごしていた。 そんな中、ある男が病院にやってくる。
作・戌井昭人コメント
世の中の常識ってなんだろう? 社会の常識、人間関係の常識もそうだが、そこから外れてしまうと、なんだかわからないレッテルを貼られてしまいます。しかし誰もが、そんな世の中を窮屈に感じているはず、逸脱する喜びを知っているはず。もちろん、その外れ方は、昨今の自己顕示欲の塊みたいなモノとは違います。でも個人的には、もっと常識から逸脱してしまっても良いではないかと思うのです。とにかく、このような窮屈な世間を突破しているような人間を描ければと思っています。
【戌井昭人(いぬい・あきと)プロフィール】
1971年、東京生まれ。劇作家、小説家。祖父は文学座の劇団代表を務めた演出家・戌井市郎。文学座附属演劇研究所を退所後、表現活動集団《鉄割アルバトロスケット》を旗揚げし、現在も活動を続けている。2008年に「鮒のためいき」で小説家デビュー。翌年発表した「まずいスープ」で第141回芥川賞に候補にノミネート。2013年「すっぽん心中」で第40回川端康成文学賞を受賞。2016年野間文芸新人賞受賞作「のろい男 俳優・亀岡拓次」は横浜聡子監督により映画化された。2017年NHKみんなのうたで放送された『うんだらか うだすぽん』の作詞をハナレグミの永積崇と共同で担当するなど、活動の幅を広げている。
演出・所 奏コメント
「ルール」は人と人が気持ちよく暮らすために必要不可欠なものである。
人が他人のことを考えず、自分勝手にふるまえば世界は無法地帯に陥ってしまう。そうなれば「自分勝手」もできなくなる。人がルールに従うのは自由になるためと言っても良いかもしれない。
しかし、過度なルール設定は自由を奪う。犯罪捜査のために監視、盗聴を許してしまえばまともな生活など送れない。
必要なのは適度なルール設定。その中で人は自由でいられる。自由を脅かすルールを人は許したりしない、はずである。
残念なことに現実の世界はそうでもない。時に人間は自分の自由を放棄してしまう。実に不可解。自由を投げ出す人なんていないって? 沢山いるじゃないですか、今の日本には。思い当たるふしがないとは言わせない。この物語は今の日本人を描いた物語である。
ようこそ、非日常へ。
【所 奏(ところ・かなで)プロフィール】
1977年、東京生まれ。玉川大学文学部芸術学科芸術表現コース卒。2003年文学座附属演劇研究所入所(43期)。2008年座員昇格。文学座公演に演出部として参加する他、文学座では西川信廣、鵜山仁、坂口芳貞の演出助手を務めた。2017年の5月アトリエの会『青べか物語』で演出家デビューを飾った。近年の演出作品は、キッズシアター~ボクとキミの秘密基地~『怪人二十面相』(17年)、ドイツ同時代演劇リーディング・シリーズ『観客たち』(17年)、文学座附属演劇研究所本科卒業発表会『生きてるものはいないのか』(18年)、キッズシアター~ボクとキミの秘密基地~『妖怪博士』(18年)。

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