お葬式ミュージカル『REizeNT〜霊前
って…〜』再演! ジャンル「junkie
」をぜひ観てほしい

実力派ダンサー集団junkiesista x junkiebros.が、2014年に上演して大好評だった『REizeNT~霊前って…~』が2019年5月24日(金)から6月2日(日)に東京・キンケロ・シアターで、6月8日(土)から9日(日)にかけて、大阪・一心寺シアター倶楽にて再演される。「お葬式ミュージカル」として話題となったこの作品、今年結成12年目を迎えるjunkiesista x junkiebros.が、再びどんな舞台を魅せてくれるのだろうか。
今回junkiesista x junkiebros.を主宰する林希、唯一の junkiebros.メンバーである大村俊介(SHUN)、以前からjunkiesista x junkiebros.と深い関わりがありながらも、今回公演に初参加となるシルビア・グラブに話を伺うことができた。気が置けない間柄である3人の笑いが絶えない鼎談の模様をお伝えする。
ーー今回再演が決定した『REizeNT~霊前って…~』は、お葬式ミュージカルとのことですが、具体的にどんな作品ですか?
林:正真正銘のコメディーで、不謹慎ミュージカルとも言われています(笑)。出演者同士も互いにいろいろな「技」を出してくるので、笑いをこらえるのに必死なのですが、みんな楽しんでいるし、笑いの中にメッセージ性があるせりふも意外にたくさんあります。
チラシを見ていただくと分かると思いますが、あの有名なミュージカル『R○○T』を意識しているところがあります(笑)。このミュージカルを知っている人や好きな人にとってはたまらなく面白い作品なのではないでしょうか。
(左から)シルビア・グラブ 大村俊介(SHUN)林希
ーーそれぞれの役どころについてお聞かせください。

林:私は大企業の女社長役で、この話は私が殺されるところから始まります。
SHUN:僕は女社長の通夜でお経を読むお坊さんの役です。普通のお坊さんではなく、人気のカリスマ坊主で、チャラいです。
シルビア:私は今の時点では、葬儀の弔問客の一人ということにしておきます。
SHUN:でも弔問客の一人という役だけで、シルビア・グラブが出てくるわけないよね。絶対に何かあるだろうけど、そこはお楽しみにという感じですね。
ーー役に対してどのように向き合っていますか? 今の心境をチャラいカリスマ坊主役のSHUNさんからお聞かせください。
SHUN:プレッシャー!(笑)。僕の役は前半あまり出てこなくて、出てきたと思ったらほぼ一人でしゃべっているんです。3ページぐらいにわたるせりふがあるんだけれど、飛ばなければいいなと。チャラ坊主だからサラッと言わなければいけないけど、意外に大事なことを言っているし、長いせりふに対してのプレッシャーもあるし……。結構な役ですよね。
林:この役はSHUNくんしかできないよ。突然登場してMAXハイテンションでやってくれるから。
シルビア:その場面に出ているキャストはみんな笑いをこらえているんですよ。お客さんはどれだけ笑ってもいいけれど、舞台上の私たちは笑ってはいけないから。
SHUN:一応お葬式のシーンだからね。でもひとつ間違えると、寒い役になるかもしれない。
林:SHUNくんは持っているから大丈夫だよ。
SHUN:持っているかどうかは分からないけれど、プレッシャーはありますが頑張ります!
ーー今回初参加のシルビアさんはいかがですか?
シルビア:初演を観ているので、このポジションに入るのは、それこそプレッシャーだなと思いましたね。初演で原田薫さんが演じていた役をやりますから。もともとjunkieのメンバーは濃いですし(笑)。
林:プレッシャープレッシャーって言うから「いやいや、あんたは自分が思っている以上に濃いで」って言うてます。全然薫さんに負けてへんでって。何を思ってそんなことを言うのかなと(笑)。
SHUN:ミュージカル女優が何を言うとんねんという話だよね(笑)。
シルビア:(笑)。私は少し遅れて稽古に入っているので、どうにかみんなのレベルまでもっていこうと、今必死になっています。
林:みんなも必死やから大丈夫!
ーー林さんは演出も担当されますが、初演と変えようと思っているところはありますか?
林:junkieのメンバーはこの作品が好きで、いつか再演をやりたいねと言っていたんですよ。ですので、基本は変わっていないです。でも役者が変わることによって、同じ台本だけれどちょっと違うように見えるところが楽しいですね。ただ今回から参加してくれる橘二葉ちゃん(東京パフォーマンスドール)の役は初演にはありませんでした。
あとは、出演者全員合わせてjunkieのメンバーのほうが少ないということは初めてです。今回キャスト11人のうちjunkieメンバーは5人なんですよ。ただSHUNくんはシルビアのことをjunkieの名誉メンバーと言っているから6人になるのかな。ずっとjunkieの歌唱指導をしてくれていますし。
ーーシルビアさんが歌唱指導を担当されるというのも興味深いですが、どんなふうになさるのですか?
シルビア:私は教えるのはあまり好きではないので、仕事として歌唱指導は一切しないんです。でもこの人(と林のほうを向いて)におどされてやることが多くて(笑)。林希が演出や振付をしている現場に、なぜか連れ出されることが多いですね。
SHUN:おどされていたんだ!
林:ははは! だってシルビアの歌唱指導は良いから、みんなにちゃんと味わってもらいたいんだよね。シルビアはプレーヤーだから、プレーヤーの気持ちをすごく組み取っているし、教えるのが上手だと思います。
シルビア:でも演者としての気持ちや音が取れてないとか、大まかなことしか言わないです。出演者のみんなが事前にきちんとやってきてくれるので、それをどうまとめるか、もうちょっとこういう表現のほうがいいかな、ぐらいのことしか言わないです。
林:シルビアはもちろんそうですけれど、今回、かちゃやHONEY(HS)という、歌が上手な人が一気に増えたので、たぶん初演よりも歌の厚みが、より厚くなっていると思います。それに新曲4曲が増えていますから。あれ? さっき「基本初演と変わらないです」と言っておきながら、大事なこと言うの、忘れてたわ。今しゃべりながら思い出した(笑)。
ーー作品の見どころはどんなところですか?
SHUN:junkieの見どころって何? と聞かれたら「全部だよ」となるのですが、お話自体は分かりやすいし、難しく考えないで気楽に観てほしいです。頭を使って推理をするようなものでもないし、「歌ってるな」「そうなのか」「ああ面白かった」となるのが一番いい。気楽さが見どころです!
林:junkieには、エンターテインメント性があると思います。出演者の一人ひとりが飛び出す絵本みたいなキャラクターになっているので登場するたびにワクワクするし、歌を歌えば急に世界観が変わってショーになります。
私はミュージカルをやらせてもらっていた人間ですけれど、実はミュージカルが苦手なところがあったんです。急に歌い出したりすることに対して「は?」って思うタイプだったので。でもこの作品はすごく観やすいしミュージカルを好きになってくれると思います。目にもいい、耳にもいい!(笑)。
シルビア:今回この作品に出演して、ミュージカルというよりもお芝居にちょっと歌が入っているかなというふうに思いました。
林:台本分厚い! せりふの量が半端ないって言ってたよね。
シルビア:びっくりしたもん。でも分かりやすくて、いい意味でひねりがない。
SHUN:もともとjunkieはダンサーが芝居をやりたくて集まっているから、芝居が多いんだよね。
林:そうそう。ミュージカルのユニットを作ったわけではなく、芝居のユニットに近いかもしれない。
シルビア:とにかく面白いですね。もともとダンサーとして名が通っていて、普段かっこいい姿しか見ていない人たちが、これだけ一生懸命お芝居をやって、おちゃらけたところやチャーミングなところを見ることができるからすごく楽しいんですよ。最後はいつものかっこいい姿がバーンと出てきたりするから、得した気分にもなります。初演をお客さんとして観た時に、めちゃくちゃ楽しかったよってことを今度は伝えたいですね。
リクエストに応えて、いろいろなポーズをとってくださる楽しい3人!
ーー初日までに、どんな作品に仕上げていきたいですか?

林:まずは、稽古で全員そろいたいですね(笑)。稽古に出演者全員そろわないのがjunkie独特なんですよ。いないメンバーはそこに立っているだろうなと妄想して、見つめながらせりふをしゃべっています。今日はSHUNくんの振付の日だったんですが、妄想でやるからすごく大変だったよね。
SHUN:いない人がどこにいるか把握出来てれば大丈夫かな。こういう状況でも稽古が出来るのは、お互いに信頼と尊敬があるからだと思う。どういう感じで作ってくるか分かるから! 知らない人とだったらなかなか出来ないけど。
シルビア:私は稽古に参加してまだ4日目なんですよ。今はどこから手をつけていいか分からない状況で、4日ですべてを詰め込まれていますから。でもこれから私は稽古参加率が高いので、どんどん追い上げていこうかなと思っています。
ーー今回は初の大阪公演も控えています。和歌山県ご出身の林さんとしては、楽しみですね。
林:高校時代は、大阪に住みながら高校に通っていましたから、地元という感覚があります。初の大阪、初の地元での公演ということで、これを成功させないと2回目がないなと集客にプレッシャーを感じています(笑)。
ーー今後のjunkieはどうなっていきたいですか?
SHUN:とりあえずbros.のメンバーが増えてほしいなあ。男子は一人だけなので。
林:確かにそうだよね。今までは、junkieのメンバーが全員そろわないと公演をやらないと決めていたので、2年あいてしまったり定期的にできなかったりしました。でも今回のようなパターンが確立できたら、メンバーが全員そろわなくても定期的にやっていけると思います。私たちにしかできない「ジャンルjunkie」を広めるには、回数をこなしていろいろな人に観てもらわないといけないと思うので、2年から3年に1回ではなく、続けていきたいですね。
シルビア:私も続けていってほしいと思いますね。今回は奇跡的にスケジュールが合ったんですよ。一瞬「おっと! 今年唯一の隙間が……」と思ったのですが(笑)、もともと出演したかったですからね。初演を観ているので、みんなの芝居が上手になっていたり、大きい舞台のミュージカル俳優になっていたり、あまり歌うことが好きじゃなくて、声を出したくないと言っていた人がどんどんソロを歌っていたりするのを見ていると楽しいです。
ーーそれでは最後に作品のアピールをお願いいたします!
SHUN:「来ないと損します!」と言うのはダサいなって思うけど、本当に観たほうがいいと思うんだなあ……。
シルビア:今、このチケット代金で観ることができるミュージカルは少ないと思うんですよ。すごくとっつきやすい作品だと思うし、ちょっとでも興味があるならいいと思いますね。
林:先ほども言いましたが、junkieはジャンル化するとミュージカルでもダンスでもお芝居でもなく、「junkie」だと思うんですよ。これは芝居好きな人、ミュージカル好きな人、とにかく舞台が好きな人は1回観てもらったら、「ジャンルjunkie」というものが分かると思います。ぜひ足を運んでください!
取材・文・撮影:秋乃 麻桔

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