L→R Tetsu(Dr)、kyo(Vo)、SEELA(Ba)、CIPHER(Gu)

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【D'ERLANGER インタビュー】
ロックのダイナミズムを
感じられるアルバムになった

この4人でやらないと
D'ERLANGERの曲にならない

これは過去の作品もそうだったと言えばそうなんですけど、今回は特に4つのパートが全部横並びになっている印象が強かったです。普通のバンドだったらリズム隊はボトムを支えて、ヴォーカルを押し出すと思うんですけど。

それはね、もう暗黙のお互いの勘というか、そういったところでのアンサンブルの抜き差しができている気がするんですよ。だから、横並びになっても音楽として成り立っている。再結成して10年も経つし、未だに驚くことのほうが多いんだけども、なんとなくそれぞれの個性っていうものが自ずと身体の中にあるがゆえ、ちゃんとバランスが取れているんだと思います。寄り添い合いがあるというか、関係性があるんですよね。

普通、これだけドラムが叩いてたら歌いにくいと思うんですけど、それに歌が負けていないんですよね。こういうバランスで成立しているのはD'ERLANGERだけですよ、きっと(笑)。

それは僕も思います(笑)。たまにセッションとかでD'ERLANGERの曲を他の人の演奏で歌うことがあるんですけど、D'ERLANGERの曲であってD'ERLANGERの曲じゃないですからね。それがこのバンドの強さというか、この4人でやらないとD'ERLANGERの曲にならない。演奏する人が変わると、イヤモニの音量変えてないのにすっげー歌が聴こえるんですよ。“なんでこんなに歌が聴こえるんだ? 気持ち悪い”って(笑)。

だから、再結成して10年も続いているんでしょうね。同窓会的な再結成じゃなくて、パーマネントな活動をしているし。

今を生きるというか、D'ERLANGERでやりたいことがあるんですよ。やりたい曲がある。ビジネス的な再結成だったら、たまにやるくらいでいいのかもしれないけど、だったらああいう刺激的な音にはならないでしょうね。メンバーそれぞれの個性が際立った音のバンドなのでよく“ここで歌うのって大変でしょ?”って言われることがあるけど、“いや、これが俺の普通だし、これ以外だと物足りないんだよね”っていうものにはならないと思う。

その4人の関係性を象徴しているのが、インストゥルメンタルの「101 fwy」ですね。

これ、インスト用にドラムが録ってあって、“時間があったら何とかして”っていう感じで置いてあったんですよ。それを聴いてギター、またそれを聴いてベース、最後にシャウトを入れて出来上がっていったという。だから、初期衝動みたいなのがすごく入っているんだと思う。

単純にインスト曲だとヴォーカルは入らないじゃないですか。でも、4人の音が入ってるのがD'ERLANGERだなって。

そこでリクエストされるっていうのもね、4人の“塊”に対するこだわりを感じますよね。

インストだから楽器陣は容赦なく叩いて弾いてしてる中で、強烈なシャウトを決めるっていうのはさすがです(笑)。

ありがとうございます。フィーリングでやったので、ライヴでやるのにコピーしなきゃ。どこに何を入れたか覚えてない(笑)。俺が変なところに入れると構成が狂ったりするし…まぁ、そういう絶妙な感じが面白いんですけどね。

歌詩については何かCIPHERさんのほうからリクエストはあったりしました?

あんまりなかったです。“何かある?”って訊いても“ないで”って言うから。リズムを作る時の仮歌で歌詩を初披露するんだけど、そこで“もうちょっとエロいほうがええかな”みたいな抽象的なやりとりが多少あるくらいですね。あとは、短い期間で集中してやるがゆえの…これはあんまりいいことじゃないけど、言葉が偏ってたりすると、“ちょっと多くない?”って言ってくれたりとか。

今回の歌詩ですが、いつになくエロいと思ったんですよ。

“roneve”っていうアルバムタイトルがわりと最初の段階からあったので、言葉を乗せる時になんとなくイメージした部分があって、僕の思うロックの美学…例えばアンダーグラウンドであれ、スキャンダラスであれ、危ういものであれというか。それとイメージする悪魔…デビルマン的というか、永井 豪的というか(笑)、そういった雰囲気の言葉を呼んだのかもしれないですね。

このタイトルのアイデアは誰が?

CIPHERがどこかで見つけた言葉みたいで、一緒に呑んでた時にそういうアイデアがあるって言ってて、“どういう意味?”って。それで悪魔の黒い羽根だったり、しっぽと牙があって唇が赤い、みたいなイメージが沸いたので、僕の中で言葉を書く上での軸にはなったでしょうね。だから、そこが僕の一番最初の準備だったのかもしれない、このアルバムに対する。

なるほど。メロディーがメロウになった分、歌声に色気が出ているから、こういう歌詩になったのかなと思ってました。

あぁ、届き方なのかもしれないですよね。今のレコード会社に移ってからCIPHERがヴォーカルのディレクションをしてくれるんですけど、わりと声の質感だったりとか、響き方…明るく聴こえるとか暗く聴こえるというところまで細かくこだわって録っているところがあって。特に今回はそういうリクエストが大きかったですね。メロディーに乗せる時に、キー的な問題でメロディーに乗せると明るい響きになる曲もあるんだけど、“その明るいところを削って、年齢を5つ上げてみて”みたいな(笑)。そうやって録ったことで、そういう響きに聴こえているのかもしれないですね、メロディーと相まって。メロディーの良さを出すためには声の年齢が必要だったというか。

OKMusic編集部

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