L→R Tetsu(Dr)、kyo(Vo)、SEELA(Ba)、CIPHER(Gu)

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【D'ERLANGER インタビュー】
ロックのダイナミズムを
感じられるアルバムになった

普遍的なロックの強さと
D'ERLANGERの持つ新しい美しさ

今作の中でkyoさんにとって印象深い曲はどれになりますか?

一番最後の「You are Killing me」ですね。ありそうでなかった、ロック然とした太さのリフから始まって、きれいなメロディーが乗って、普遍的なロックの強さとD'ERLANGERの新しい美しさが相まっている印象が強くて。なかなか難しいんですけど、気持ち良く響くんですよ。サビのメロディーとかね。サビに行くまでのドラマも絶妙だし。

《乱れ淫ら乱され》というフレーズが印象的な歌詩なんですが、そういう世界観をイメージして?

これは珍しくタイトルから書いていった曲なんですよ。それがバチッとはまって、自由に書けました。なんかね、自分の中ですごくはまりが良かったんです。あまりよく出るメディアじゃないですけど、テレビに出た時にこういう曲をプレイしたいですね。自分の中のロックバンドの美学にすごく近いんだと思う。

アルバムの中で異色だったのが「au revoir」なのですが。メロディックで、数少ない不穏なムードがない曲というか。

ちょっと自分の中で中世ヨーロッパなイメージがあって…曲のタイプは全然違うんですけど、「Parfum de l'avidite'」(2008年4月発表のアルバム『the price of being a rose in loneliness』収録曲)だったりとか、「Rose of Thanatos」(2009年11月発表のアルバム『D'ERLANGER』収録曲)の世界観に自分の中では近くて。ただ、トーンが明るく感じるので、また別のものに感じるんだけど。アコーディオンだったり、おもちゃのピアノが似合うような曲というか。種明かしすると、アルバムの中に1曲くらいはフランス語のタイトルを必ず入れたいという想いがあって、この曲は最初にデモを聴いた時からそれを思ってたんですよ。メロディーもポップだし、明るいトーンだからこそ…タイトルの意味としては“さよなら”なんですけど、メロディーの世界観とは真逆なところを歌いながら、暗くは歌わないっていうのを意識しましたね。

あと、「SEX」はD'ERLANGERらしいなと。

こういった遊びの曲って、昔で言えば「INCARNATION OF EROTICISM」(1990年3月発表のアルバム『BASILISK』収録曲)もあるんですけど、あれは20代の血の気満々な感じの遊び方だから、そういう意味ではこの年齢になったからこその遊びなのかなという。音もすごく抜けたところで遊んでいるし。これは一番最後に歌詩を書いた曲なんです。なんとなく意味のないものにしたかったというか、それこそThe DoorsやDuran Duranの歌詩が出てくるのは遊びなんだけど。会話的…それもぶっきらぼうな会話で。そうしたらタイトルもシンプルで強いほうがいいなと。タイトルのプロセスが短い曲の中にある。

これがオープニングのSE「The Devil in Blood minor」のあとの実質的に1曲目になるんですけど、この曲をここに持ってくるのがD'ERLANGERだなと。頭からガツン!と行くんじゃなくて、ミディアムだけど熱量の高いものを置くところが。

年齢を重ねたからこそ、かな(笑)。

このザラつきとポップさは、今の年齢じゃないと出せないですよね。

そうだと思います。実際にテイクを録ってプレイバックで聴くじゃないですか。そうすると“これは20代じゃ出せないだろうな”って思ったりもして。いい感じに年齢と付き合ってこれていると思うし、それを胸を張って言える音が作れているのはすごい自信になりますね。

「Song 5.」もスリリングなイントロから始まって、そのままガツン!と来るのかなと思ったらテンポチェンジするのが印象的で。

この曲、歌っててすごく気持ち良いし、コーラスのパートも気持ち良いんですよ。アウトロとかも面白いですよね。そういう意味では、わりと新しいかたちのD'ERLANGERなのかな。

この曲だったり、「die fast and Quiet...」とかもそうですけど、やっぱりサビがメロディックなんですよね。

弾き語りでも成立するメロディーがあって、D'ERLANGERというバンドの個性的なサウンドがあって、さらに広がりが増している…だから、若い時だったら歌えなかったって思うし、そういった意味では全てが良い方向に転がっている感じはあるかな。きっと今はまだ気付いていないだけのものがたくさんあるだろうから、それが未来にどうつながっていくのかっていうことにわくわくしながら、これから演奏していきたいと思いますね。

となると、ツアーが楽しみですね。

そうですね。アルバムって音を録った時はメンバーだけのものでしかないけど、それが聴いてくれる人に渡った時、いろんな人のものになる。で、それぞれがアルバムで感じたものを持ってライヴ会場に集まって、演奏をした時にそれらがひとつになるのが面白くて。新譜ができた時にいつも思うことなんだけど、これをライヴでどうぶつけ合うかっていうのが楽しみなんですよ。2年振りの新譜のツアーだから、きっとお客さんも新曲を聴くのを楽しみにしているだろうし、“どういうのを聴かせてくるんだろう?”って思いながら来るでしょうからね。

取材:土内 昇

アルバム『roneve』2019年5月22日発売 WARNER MUSIC JAPAN
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • WPZL-31613〜4 ¥5,556(税抜)
    • 【通常盤】
    • WPCL-13050 ¥3,000(税抜)

『roneve TOUR 2019』

5/25(土) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
5/26(日) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
6/01(土) 福岡・DRUM Be-1
6/02(日) 福岡・DRUM Be-1
6/08(土) 石川・金沢EIGHT HALL
6/09(日) 石川・金沢EIGHT HALL
6/15(土) 愛知・名古屋ReNY limited.
6/16(日) 愛知・名古屋ReNY limited.
6/22(土) 北海道・札幌cube garden
6/23(日) 北海道・札幌cube garden
6/29(土) 岡山・YEBISU YA PRO
6/30(日) 岡山・YEBISU YA PRO
7/06(土) 宮城・仙台darwin
7/07(日) 宮城・仙台darwin
7/15(月) 東京・マイナビBLITZ赤坂

D'ERLANGER プロフィール

デランジェ:1983年の結成後、幾度かのメンバーチェンジを経て、88年にkyoが加入し、現在の4人がそろう。89年に発表した1stアルバム『LA VIE EN ROSE』がインディーズでありながらも3万枚のセールスを記録し、鳴り物入りで90年1月にシングル「DARLIN'」でメジャーデビューを果たすものの、同年12月24日解散。しかし、17年の時を経て、07年に復活! 08年5月には日本武道館公演を成功させ、結成10周年イヤーとなった17年にはオリジナルアルバム『J’aime La Vie』、そしてトリュビートアルバム『D’ERLANGER TRIBUTE ALBUM ~Stairway to Heaven~』を発表した。D'ERLANGER オフィシャルHP

OKMusic編集部

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