宮野真守

宮野真守

【宮野真守 インタビュー】
オーディエンスへの感謝を
物語に乗せた壮大なる祝福の賛歌

実に2年半振りとなるシングル「アンコール」は、自身が声優としても出演し、主題歌を歌い続けてきた『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE』シリーズの最新作主題歌でもあり、劇中のアイドルたちにアーティストとしての自身がリンク。オーディエンスへの感謝を歌い上げた熱く、荘厳な一曲に仕上がっている。

ファンをイメージして書いた曲なので、
自然と語りかける歌い方になりました

2年半振りのニューシングルは“アンコール”というタイトル通り、アンコールでオーディエンスに示す“感謝”が集約された楽曲になっていますね。

今回は『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEキングダム』の主題歌ということで、作品の中での曲の使われ方も併せて考えた時に“それしかない!”と思ったんです。劇場版までくることができたという『うた☆プリ』の軌跡と、そこへのリスペクト&感謝を表したかったですし、ありがたいことに『うた☆プリ』という作品はアイドルたちが登場する作品でライヴシーンも多いので、彼らの想いに自分の想いを自然とリンクさせることができたんですね。なので、楽曲の方向性も激しい曲ではなく、穏やかな壮大な想いを抱いた曲にしたいと作曲の上松範康さんとも打ち合わせをして、ステージに立っている時や舞台裏でアンコールの声が聴こえている瞬間、どういうことを感じているかというものをリアルに注ぎ込みました。

演者からの感謝というのはライヴの場でも言葉で表されたりもしますが、こうして歌やMV等の映像で表現されると、言葉より想いが伝わる気がします。

あぁ、嬉しいです。昨今のアンコールってライヴのステージング上、最初から組み込まれている印象も強いじゃないですか。だからこそできることももちろんあって、そこに必然性も感じながら自分のライヴでも行なっているのですが、そのライヴのことを思い返しながら曲を作った時に、やっぱりアンコールというのは、ファンのみんなに感謝を伝えられる場所なんだって改めて感じたんです。いくら予定調和でも、みんなの声がないとステージには立てないので、本当に心から“ありがとう”と感じています。“感謝を伝えに行けるんだ!”という喜びが、アンコールの意味として自分の中ですごく腑に落ちたので、その想いをちゃんと伝えられる場所に、この曲自体がなれればいいなとは思いました。

確かに、アンコールって呼んでもらわなければ出られないですし、アンコールでどんな感謝を伝えるのかも、本編でどんなやり取りをオーディエンスと交わせたかによって絶対に変わってきますよね。

変わってくるし、だからこそ演出の仕方もアーティストさんによってさまざまなんですよね。

まさに“感謝を伝える場所”であるということ自体が、宮野さんにとってのアンコールの意味なのでは?

そうですね。“アンコール=感謝”なんだなというのは感じました。その想いを素直に書いていったんですけど、最初の段階で上松さんが“この空の最果てに”という言葉を使ってデモを作ってくれて、“これ、素敵だな!”と思ったんです。この言葉、最初に『うたの☆プリンスさまっ♪』がゲームで始まった時の第1作目の主題歌「蒼ノ翼」のサビの歌い出しなんです。

なるほど!

じゃあ、自分が携わってきた全主題歌を組み込もうと、その「蒼ノ翼」から6作目の「テンペスト」までのサビの言葉を抜き出して、リリース順に歌詞の中に鉤括弧(かぎかっこ)付きで組み込んだんです。それこそ僕ができることだし、僕が歩んできた軌跡だし、『うた☆プリ』への感謝やリスペクトも込められるんじゃないかなって。

結果、無理なく歌詞が出来上がって、しかも、ちゃんと作品に合ったメッセージを含んでいるのがすごいです。

そうなんですよ。やっぱり『うた☆プリ』の持っている世界観というものはつながっていたんだなと、自分でも驚きました。“歌”とか“声”とか“夢”とか、この作品がずっと抱いてきたワードを自然と散りばめることができたと思います。

ご自身の作詞も多いですからね。サウンド面でも最初の一音は凄まじい低音なのに、そこから空へと抜けるようなドラマチックな展開に驚かされました。

オーケストラの雰囲気とか、ミュージカルのような世界観を表現したかったんです。僕の中では荘厳なイメージがあったので、コーラス隊やストリングスにも入ってもらって広がりのある展開にしました。MVでは、バックステージをコンセプトにフラッシュモブのような形になったんです。こういうテーマなんでオーディエンスを入れてもいいけれど、前回の「EXCITING!」(2018年6月発売ベストアルバム『MAMORU MIYANO presents M&M THE BEST』収録)もそういうスタイルだったので、違うかたちでステージに立つ人間の想いを描けないかと思った時に、監督が“じゃあ、バックステージとかどう?”って言ってくれたんですよ。そこで、いろんな人たちがステージの外でどんなふうに作品を作るために動いているのか、どういう想いを抱いているのかを描けたらなと。

おかげで老若男女いろんな方々が登場しますから、非常に間口の広い作品になっている気がします。そして、最後は宮野さんご自身がアンコールの声を受けて再びステージに出てゆく…という解釈でいいんでしょうか?

そこは想像にお任せするところではあるんですけど、次のステージに向かうという意味合いもありますね。戦う場所に出陣!みたいな(笑)。

そこまでアーティストとしてのご自身とシンクロさせやすい楽曲だと、レコーディングでも自然に歌えたんじゃありません?

そうですね。実際にファンのみんなをイメージして書いた曲なので、伝えるとか語り掛けるみたいな歌い方には自然となっていきました。ただ、そこで表れた深い歌声だったり大きな想いというのは、大きなミュージカルを経験したりと、自分自身もスキルアップできていたからこそ表現できたものなのかなと。

クラップの入るクライマックスに向け、ソウルフルな展開を引っ張る熱い歌声、その力強さに、改めて聴き入ってしまいました。

ありがとうございます。今までの流れとは楽曲の方向性も全然違うので、リスナーもびっくりしたでしょうけれど、『うた☆プリ』が劇場版までくることができたという、そのかけがえのなさみたいなものは、すでにこの楽曲からみなさん感じ取ってくれていて。“もう泣いています!”という、そんな報告も届いてます(笑)。

分かります。しかし、このタイトルだとライヴでもアンコールが定位置に?

どうなんでしょう? でも、いろんな歌を歌ってきて楽曲の可能性はひとつじゃないというのは感じているので、1曲目に歌えば“こういう楽しい時間を過ごそうね”っていうメッセージにもなるだろうし。ゆくゆくはアコースティックアレンジにしたり、いろいろできるんじゃないかな。

《LIVE is beautiful》という歌詞もありますし、そういったライヴでの進化をぜひとも味わいたいです。

そもそも人生も“LIVE”ですからね。そういう意味も込められればなとは思っていたんですよ。“生きるって素晴らしい!”みたいな(笑)。カップリングも5月から始まるライヴツアーのことを考えて、「FIRE」という曲を追加したんですよ。
宮野真守
シングル「アンコール」

OKMusic編集部

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