【速レポ】<MUSISION FEST>浅草ジ
ンタ、共に歌い共に踊る音楽の祝祭

<MUSISION FEST>という祭りに盛大な花火を打ち上げたのは、ここ上野と目と鼻の先の浅草からやってきた、浅草ジンタ
「どうぞ盛り上がっていきましょう」というオショウ(Woodbass / Vo)の声とともに、ミディアムなインスト「魔改造」から、「ウカレロ」で「行きますよ、元気はよろしいか」(オショウ)とぐーっとアクセルを踏み込んでビートを加速! どこか懐かしい哀愁を帯びたロシア民謡的なメロディとビートとの五月雨に、観客は思わず立ち上がって、ステージの前に詰めかけた。さらに、ホーンや弦楽器のメンバーがステージからせり出すようにボルテージの高い演奏で魅せると、歓声のボリュームも上がっていく。
浅草ジンタとしては、昨年メンバーチェンジを行ない、この春から新たなドラマーのエイジとサックスのシンゴ、サポートメンバーとして紅一点バイオリンのレンを迎えた6人体制でライブ活動をリスタートした。現体制でのライブはまだ数少ないようだが、これまで国内外をツアーしてきた百戦錬磨ぶりでステージでのキレは抜群だ。そして「自・燦々」で会場中をあっという間にハンドクラップで満たしてしまう。バンドの熱量も上がっているからか、防音設備のあるマンションを手がけるMUSISIONのイベントながら、スタッフによりドラムやベースの音量を少し下げられるという苦笑いな場面もあったが、そんなことはおかまいなしに「浅草ジンタのドント節」のハレの音頭で、観客を踊らせていく。
「楽しんでますか!」というやっさん(Euphonium / Tuba)の掛け声からスタートした「流星之行進曲」は緩急のあるジェットコースター的な曲で、さまざまなビートやBPM、それぞれの見せ場がプログレッシヴに展開する。シンヤによるギターやレンが奏でるバイオリンの哀切のメロディも効いていて、この6人体制なればこその聴かせどころがふんだんであり、真骨頂とも言えるアグレッシヴさが光る。打って変わって「この曲は正しくは柴又ですけど、下町代表でやってきました」(オショウ)と、下町と昭和の香り漂う「男はつらいよ」を賑やかに鳴らし、会場の子どもから大人まで笑顔にすると、「フーテンswing」でダンスさせる。ステージ前は、いつの間にか多くの人が集まって、思い思いのダンスで音と戯れている。
日本の祭りの音頭や、ポルカやスカなど世界の民謡など人々の間で生まれたフォークロアなビートをそのグルーヴに宿し、ステージと客席との垣根なしに共に歌い、共に踊る。そんな彼らの音楽の精神は、こうしたたくさんのバンドやアーティストが集うイベントでもいかんなく発揮される。ラスト「運命」では、興奮のバンド・アンサンブルで沸かせるのはもちろん、やっさんが客席へと飛び出して盛り上げ、レンはバイオリンをプレイしながらオショウのウッドベースに乗るパフォーマンスでも魅せたりと、ステージは賑々しい。初めて見る人も気づけば音と一体となって体を動かして、歓喜の声をあげる、そんな祝祭的なライブとなった。

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【終演直後の楽屋裏ミニインタビュー】

──まずは、ステージを終えての感想からお願いします。

オショウ:天気が良くて最高でした。お客さんもゆっくりした感じで良い雰囲気だったし。

──浅草ジンタとしては、昨年メンバー・チェンジがありましたが、再びライブ活動をスタートしたのは今年の春頃からなんですね。

オショウ:去年は大量の制作があって、そこからやっと抜け出した感があって。ライブ活動の再始動は正式なメンバーが揃ってからとも思ってたんですけど、もう“始めようか”と。

エイジ:楽しかったですね。途中で「(音量規制のために)ボリュームを抑えてくれ」ってスタッフから言われたんですけど、逆にそれがちょうどよかったんじゃないかなって。ひとりひとりのお客さんの顔がしっかりと見える環境も良かったですね。

シンゴ:10数年くらい前だったかな、この場所は浅草ジンタに加入する前のバンドで2回くらいライブをやってるんですけど。結構、このステージは好きで。その頃からだいぶ記憶が薄れかけていたんですけど、今日やってみて、やっぱり良い場所だなって。またここで演れたらいいなと思います。

シンヤ:ライブのときは、“個人的に楽しむ”みたいな部分を作っているんですよ。今日は、あらかじめ音量を制限されてたので、サウンドチェックのときにはその音量を出さないで、本番ではある曲のソロで制限を超える音量を出しました(一同爆笑)。自分的にはそこが、“ごめんなさい”と思いながら、楽しませてもらいました。ひとり遊びです(笑)。

──やっさんは、客席エリアにまで降りて盛り上げてくれました。

やっさん:浅草とかここ周辺は、5月中ずっとお祭り期間なんですよ。今日はすぐそこの湯島天神もお祭りだったので、ここをお祭りみたいに盛り上げるのが僕らの任務かなって、客席に降りてみたり(笑)。みんなと楽しく遊べたかなって感じることができました。ま、もう少し遠くまで行ってもよかったけどね。

オショウ:会場出て、不忍池に浸かってきてもよかったね。鯉を捕まえてくるくらいの(笑)。

──それ、別途中継用の撮影隊が必要となります(笑)。レンさんはいかがでしたか?

レン:めっちゃ楽しかったです。お客さんもすごくフレンドリーに盛り上げていただいて、ありがたい限りでした。

──ラストでは、ベースのフレームに乗っかってましたね。

レン:オショウからの“乗っかれ!”の圧が凄くて(笑)。途中は全然絡んでくれなかったんですけど、最後は“来いよ!来いよ!”みたいな。今日はスニーカーを履いてたので、登ろうと。まだ数えるくらいしか、ご一緒してないんですけどね。

──レンさんは現在サポートでの参加ということですが、浅草ジンタは今後もこの体制でいこうという気持ちですか?

オショウ:もちろん、僕はこの体制でライブしたいですけどね。

レン:はははは!圧が凄い圧が! 今日はお客さんからの圧もあって、ありがたい限りです(笑)。

──今年は、この後もライブの予定が入っていますか?

オショウ:明日、お祭りがありますね。その後も数本のライブが決定しているんですけど。今、浅草のほうでやろうとしている企てがあるんですよ。それが実現した際には、また取材に来てください。

取材・文◎吉羽さおり

セットリスト
1. 魔改造
2. ウカレロ
3. 自・燦々
4. 浅草ジンタのドント節
5. 流星之行進曲
6. 男はつらいよ
7. フーテンswing
8. 運命
<MUSISION FEST 2019>
2019年5月25日(土)
@上野恩賜公園(うえのおんしこうえん)
自由席 4,000円(税込)・当日4,500円(税別)
開場/開演:12:00/13:00
出演(順不同):The Cheserasera音速ライン、浅草ジンタ、浜端ヨウヘイ、関取花、kitri、フラチナリズム、MAISON“SEEK”

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