Fuki

Fuki

【Fuki インタビュー】
全てが自分の思い描く
通りのものになった

舞台を初めて経験したことで
声による表現に深みが出た

曲にも触れていきたいのですが、1曲目の「Bloody Rain」は様式美メタルですね。

Maoくんがメタルを書くとこうなりますね。キーボードソロだったり、各楽器が目立つパートもあったりしてMao節が光ってます。非常にカッコ良くて、お気に入りです。バイオリンのソロもカッコ良いし。こういう曲は熱く滾るものがありますね、メタラーとしては(笑)。

この曲は『DOLL$ FESTA』(2018年7月29日 at 川崎 CLUB CITTA')で披露されていましたよね。

そうです。この曲自体は1年くらい前から存在してて、私が大好きなTVアニメ『怪盗ジョーカー』に登場するシャドウ・ジョーカーという人をテーマに歌詞を書いたんですね。なので、今回のアルバムに収録するということで、原作者の方に許可を取って、公式イメージソングとして承認してもらいました。

えっ、無許可でイメージソングを作ったということ?

はい! “このカッコ良い曲には、あのキャラクターが合う”と思って勝手に歌詞を書きました。で、1年後に原作者さんに“実は…”って(笑)。

(笑)。この曲のヴォーカルはどうでしたか? ハイトーンではなく、中音域での歌声で力強さ、意志の強さを出した感じがありますが。

あぁ、なるほど。この曲をもらった時、曲の性別が男だと思ったんですよ。なので、男性が主人公の歌詞になったんですけど、確かにハイトーンの域で攻める曲ではないから、そういう部分で力強さが出たと思いますね。

「君の居ない世界」はアレンジがDual Alter Worldということで、シンセが音像を作っているというか、デジタル×バンドという、Fukiさんが今までにやってきたものとは違うメタルサウンドになってますね。

BLOOD STAIN CHILDのRYUさんが編曲をやってくれるというところで期待していたのが、まさにそこだったんですよ。

「Habitable Planet」もそうなんですけど、Dual Alter Worldのメンバーでもある声優の小岩井ことりさんがコーラスで参加しているのも興味深かったです。特に「Habitable Planet」ではことりさんのパートもあるし。

もちろん私が全部歌ってもいいんですけど、ことりさんのふわっとした歌い方で味付けをしてもらいました。そうやってことりさんに歌ってもらうから、ことりさんのパートは私じゃない登場人物の歌詞を用意することもできたので、それは面白かったですね。“Habitable Planet”って“居住可能な星”という意味なんですけど、「君の居ない世界」で地球を飛び出した宇宙船が居住可能な星を探しているんです。なので、「君の居ない世界」の何十年後、何百年後というのが「Habitable Planet」なんですよ。宇宙船の中で死んで生きてを繰り返している人類が、次なる星を探しながら、まだ見ぬ自然に憧れを抱きつつ、宇宙を漂っているっていう。

決して諦めないというか、希望を描いてますもんね。

そうなんですよ。“僕が生きているうちには辿り着けないかもしれない”というネガティブな感情もありつつなんですけど。Maoくんの曲の特徴でもあるんです。明るいんだけど、どこか切なさがあったり、どこかダークな部分があるんで、希望だけではないというか。そういうところも歌詞に落とし込みたいと思ってました。

絵恋ちゃんが作詞した「Rのない月の恋はよくない」は、ライヴでの起爆剤になるようなハードでポップなナンバーですね。

先に書いてもらった「Zinger♡Ringer♡Gang♡Love」の歌詞がとても良かったので、この曲もお願いしたんです。どちらも私には書けない、絵恋ちゃんだからこその歌詞ですね。私だったら「Rのない月の恋はよくない」はR&Rの言い回しをすると思うんですけど、絵恋ちゃんが恋愛の歌詞を書いてくれたから、それに引っ張られて歌声も女の子っぽい、かわいい雰囲気のものになりました。「Rのない月の恋はよくない」と「Zinger♡Ringer♡Gang♡Love」は歌っていて、すごく楽しかったです。

「Zinger♡Ringer♡Gang♡Love」はファンキーなナンバーなのですが、Maoくんにそういうものをリクエストして?

“かわいい声で歌う曲が欲しい”とオーダーして作ったもらったので、“かわいい声で歌う”ことが前提だったんですけど…いわゆる“電波ソング”ですね。声優さんが歌うアニメの主題歌みたいに、とにかく早口で、かわいい声で意味のないことを歌ってて、曲調的には楽しいっていう。台詞の部分もMaoくんが“ここに台詞を入れたい”って言って、絵恋ちゃんに書いてもらいました。

息継ぎが大変そうな曲ですけど、メタルナンバーとは違うハードさがあったのでは?

そこはMaoくんの上手いところで、ちゃんと息継ぎができるように作られているんですよ。こういう曲は歌うよりも作詞が超大変で。意味のない歌詞でいいと言われた途端に難しくなるというか。早口系で深いことを言う必要のない歌詞って、言葉遣いが面白くないとつまらないし、ボキャブラリーがないと書けないから、そこは絵恋ちゃんがベストマッチでしたね。歌詞を書いてくるのもめちゃくちゃ早かったんですよ。まだワンコーラスしかない時点で、3番まで書いてきましたからね。しかも、2日くらいで書いてきたから、もう“天才だな”って思いました。特に恋愛の曲にしてほしいとかのオーダーもしなかったし…あっ、“自分の曲だと思って歌詞を書いて”とは言いました。それで出てきた歌詞になります。

そんな「Rのない月の恋はよくない」と「Zinger♡Ringer♡Gang♡Love」は“かわいい声で歌う曲が欲しい”とオーダーもあったとのことですが、過去にも「魔法」や「青い季節」とかわいい声で歌った曲がありましたけど、もっと振り切ってますよね。

4月の頭に『SPECTACLE STAGE「W’z《ウィズ》」』という舞台を初めて経験したんですけど、お稽古を繰り返したり、周りの俳優さんの演技を見る中で、お芝居というものに対する理解が深まった部分があって。「Rのない月の恋はよくない」と「Zinger♡Ringer♡Gang♡Love」は、その舞台のあとにレコーディングをしたから、声による表現という部分で深みが出たんだと思います。ただ単にやさしく歌おう、かわいく歌おうっていうだけじゃなく、気持ちも声に乗ったという。

この2曲は自分で歌詞を書いていない分、“演じる”という感覚だったとか?

あっ、確かに! 歌詞を書く過程がなかったので、台本を渡されてお芝居をするのと近い感覚があったのかもしれないです。

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

新着