【インタビュー】Skip the Chips、新
ジャンル“コミカル・ポップ”を掲げ
満を持してリリースする初デジタルE
P『Picnic』

モデルも務めるアイドル・フェイスFumiyaと、リーダーなのに1番自由なYuSuKeと、露骨にぼーっとした一人っ子SEIKI。何とも気になる個性派3人組、二人のボーカルとDJが作る無限のエンタメ・ワールド、その名はSkip the Chips。地元・福岡を飛び出して早や2年、共同生活をしながら結束力と音楽性、ライブのスキルを着々と磨き、特技のサッカーを生かした人脈やYouTuberとの交流など、友達の輪も広げて知名度はぐいぐいアップ中。新ジャンル“コミカル・ポップ”を掲げ、満を持してリリースされる初のデジタルEP『Picnic』に込めた、面白くて楽しいけれど実は熱くて深い思いとは? BARKS初登場インタビューをどうぞ。

■親しみやすくて楽しめるようなものが僕らの楽曲の軸
■それは今回表現できたんじゃないかなと思っています

――プロフィールによると、けっこう年齢差あるんですね。

YuSuKe:あります。僕とFumiyaは8歳離れてるんですよ。

Fumiya:僕が22です。

YuSuKe:もうプレッシャーでしかないですね。一人おっさんいる、みたいな感じになってるんで(笑)。

Fumiya:逆に僕、一番年下なんで。わかんないことだらけです。

YuSuKe:ただでさえ、もっと下に見られるもんね。

Fumiya:どこに行っても、僕だけ年齢確認されるんですよ。みんなでクラブに遊びに行っても、僕だけ止められる(笑)。

――そんな3人がどこで出会ったのかというと。

YuSuKe:元々福岡で僕とSEIKIが違うユニットで活動してたんですけど、それが解散することになったのが2017年の3月で、その半月後に上京したんです。そのタイミングでソロで活動していたFumiyaと仲良くなってて、Fumiyaは熊本から福岡に来ていて、1年間だけ福岡で活動してたんですね。僕が直感でFumiyaに声をかけて、よくわからないまま一緒に上京して、6月に正式にグループを結成して、ちょうど2年になります。

Fumiya:二人が入ってたグループがめちゃめちゃ大好きで、普通にライブを見に行ってたんですよ。僕がソロで歌っていた曲はバラードが中心だったんですけど、そのグループはすごくハッピーでコミカル要素もあり、自分にないものがあって、いいなあと思っていました。元々僕はポジティブで楽観的な人間なので、そういう面を出したいけど出せないという気持ちがあって。

YuSuKe:その時は、Fumiyaに曲を提供してくれる人がいたんですけど、それがミドルテンポやスローなものが多かった。それはそれですごく良かったんですけど、今は“ウォー、踊れー!”とか言っているので、元々のFumiyaのファンがびっくりしている。

Fumiya:急にどうしたん!?みたいな(笑)。

YuSuKe:その時のFumiyaが好きな人からすると、僕らが変えてしまったみたいな。
――あはは。恨まれてたりして。

Fumiya:でも実際は、それが本当の僕なんです。誘ってもらって、新しい自分に出会える気がして、めちゃめちゃワクワクして、やってみたい!と思ったんですよ。僕も直感的に。

――いきなり上京することを前提に入ったんでしょう。すごい決断。

YuSuKe:3人暮らしが条件だったので。ただ僕は同棲もしたことないですし、SEIKIもないし、初めてでしたね。ましてや僕は30歳なんで、周りからは“絶対無理”って言われたんですけど、楽しく一緒に暮らせています。料理はSEIKIが作ってくれるし。

――そもそもどんな夢というか、何を求めて上京を決めたんだろう。

YuSuKe:自分たちのグループが解散という形になって、どう活動していこう?という部分が不透明だったので、目標を掲げるというよりは、ここで止まらずに活動するにはどうしたらいいか?を考えるのが大前提でした。そこでパッとFumiyaを入れることを思いついて、この3人でありそうでないものを作りたいと思ったんですね。それが最初のスタートでした。

――なるほど。そのためには福岡じゃなくて東京がいいと。

YuSuKe:そうです。ずっと福岡で活動してきて、自分たちなりに限界を感じてはいたんですね。どうせゼロからリスタートするんだったら、いっそのこと敵が多いところに行った方が自分たちが何者でもないということをより知れるだろうと思ったので。その思いは3人共通でした。そこで思いついたのが“コミカル・ポップ”ということで、正直言ったもん勝ちみたいなところがあって、僕らよりコミカル・ポップを体現していると思う人もいるんですけど、それを確立させたいという思いがすごくあって。今年はそれをライブと楽曲を通して表現できる年にしたいなと思って、その一発目のリリースが『Picnic』なんですね。初めて聴く人、初めて見る人も親しみやすくて楽しめるようなものが僕らの楽曲の軸なので、それは今回表現できたんじゃないかなと思っています。
▲YuSuKe

――アルバムの話に入る前に、ちょっと昔話をすると。前のグループの時と今とでは音楽性が違う?

YuSuKe:前のユニットの時は、僕とSEIKIのほかに二人ボーカルがいて、僕はメインで曲作りをやっていなくて、二人が作って来るものに対して“こうした方がいいと思う”という意見を言わせてもらう立場だったんですよね。その二人の軸となっていたのがブラック・ミュージックで、そのユニットはR&B色が濃かったんです。僕もブラック・ミュージックは好きなんですけど、自分で作る時には反映されないタイプで、僕が作っていたのは陽気なものが多かった。今この『Picnic』ができて振り返ってみると、よりポップに、より一般の音楽好きや音楽をそんなに聴かない人にも聴きやすいものになってるなと思うので、前のユニットと比べると、差は出たんじゃないかなと思います。

――なるほど。

YuSuKe:何を持ってポップと言うのか?という話なんですけど、それって一回聴いてトラックやメロディやフレーズや、何かが頭の中でぐるぐる回るということがポップということに通ずるんじゃないか?と思っているので、そこをすごく大事にしています。Fumiyaは一番ポップス畑で育っていて、お父さんお母さんがMr.ChildrenSMAPをずっと聴かせて育てたという人間なので、僕らが作ったものがキャッチーかどうかを判断できる、キャッチー・センサーみたいなところがあるんです。
▲Fumiya

Fumiya:素直に反応しちゃうんですよ。

YuSuKe:素直なんですよ、良くも悪くも。より自分たちのやりたいことを今は表現できていると思います。とにかく、僕らの歌を聴かせたいという感覚じゃないんですよね。楽しませたいという感覚の方が強くて、やっぱり音楽って楽しむものじゃないですか。それを最初のコンセプトとして作っているので、ライブでも参加型をめちゃめちゃ意識しています。

Fumiya:一緒に楽しむ。

YuSuKe:振りも初めてのお客さんがすぐにやれるようなものを考えたり、音だけではなくパフォーマンスを含めて“コミカル・ポップ”というものを体現しようとしているので。同じポップスというジャンルをやっていても、歌うのはもちろんだけど、本当に盛り上げてガチガチに巻き込んで行くタイプってそんなにいないと思うんですよ。僕らとベリーグッドマンとか、C&Kさんとかはいますけど。僕がすごくこだわってるのは、ノリが良いのに聴きやすいということで。料理でも一緒だと思うんですけど、味が濃いものって最初はおいしく食べられても途中で飽きちゃうというか、そういう曲にはしたくないなとすごく思っているんです。だから3人で何回も聴きながら“この音、抜いた方がいいね”とか、常にやっていますし、何回も聴けることを心がけています。
▲SEIKI

――味のたとえ、わかりやすいなあ。SEIKIくん、どうですか。Skip the Chipsを料理にたとえると?

Fumiya:おっ。

YuSuKe:ここ、時間かけたらダメだよ。

SEIKI:うーん…カレー。

――おお。その心は?

SEIKI:カレーって、何を入れてもカレーになるんで。Skip the Chipsのベースがちゃんとあれば、どんな色のジャンルを入れても、自分たちの味になるんじゃないかな?と。

YuSuKe:なるほど。いろんな具材が入ってもね。

――みんな好きだしね。カレーは国民食。

YuSuKe:そうなんですよ。Fumiyaは特に好きなんですよ。病院に連れて行こうかと思うくらい(笑)。昼も夜もカレーとか。

Fumiya:いや、イチローさんは毎日食っていますから。
■東京だったら武道館でライブやりたいです
■福岡だったらマリンメッセでやりたい

――STCの曲のテーマは、ラブソングと応援歌の二本立てというか、そんな感じがするけれど。

YuSuKe:今そういう風に言っていただいて思ったんですけど、どっちかというと非現実というよりは、現実のことですね。みんなの朝起きて寝るまでの生活の中の一部として入れれば、というのがあるので。強烈に直接刺す応援歌というのも、それはそれでいいと思うんですけど、自分たちとしてはそれじゃないなと思っています。イメージとしては、キャッチボールをする時に上から投げるんじゃなくて、下から投げるというか、置きに行くというか…何て言ったらいいのかな、自由に受け取ってほしいんですよ。もしかしたら、メッセージ性が薄いと感じる人もいるかもしれないですけど、自由に受け取れる曲であるといいなと思っていて。

――なるほど。

YuSuKe:メッセージと言っても、そもそも、みんながもう頑張っていると思うので。それって人によって違うじゃないですか。周りには頑張っていないように見えても、その人なりに毎日頑張っていると思うんで、“頑張れ”って言いたくないなというのは全楽曲に対して気を付けているというか、そういう言葉は入ってないと思うんですね。

――うんうん。

YuSuKe:そこで『Picnic』というフレーズがいいなと思ったのは、僕らの“Soul Picnic”というイベントがあって、SEIKIが考えた名前なんですけど、それがすごくいいなと思っていて。その時自分が浮かんだメロディとそのフレーズがリンクして、二人に提案したら“いいね”をもらったので。人生を楽しむための考え方というか、楽しもうとする上で何かヒントになるものがこのミニ・アルバムの中に散らばっていればいいなと思って、それを1曲目から6曲目まで、僕らなりのドラマを考えて『Picnic』というタイトルにしました。僕たちとしても初めてのEPですし、ここがスタート。ピクニックに行く時って幼少期だから、それも掛けて、始まりのイメージで。だから1日の始まりにすごく向いていると思うし、昼と夜なら明らかに昼だと思うし、無意識なんですけどどれも夏っぽさがあるんですよ。そんなに狙ってなかったんですけど、“夏っぽくて、これからの時期にいいね”ってよく言われます。

SEIKI:確かに。
――爽やかだから。エレピとか、ギターのカッティングとか。

SEIKI:特にギターですね。

YuSuKe:6曲中5曲、同じレーベルの、Blue VintageのTaigaくんに弾いてもらっています。彼のギターのグルーブが僕らにすごくツボで、それがよりそうさせているのかもしれない。

SEIKI:トラックで言う主のメロディがギターなんで。どの曲も。歌のメロディとは別に。

――音がソウルっぽいというか、グルーヴィーで、しなやか。懐かしい感じの音色というか。

SEIKI:そうかもしれない。新しいシンセのサウンドじゃなくて。

YuSuKe:たとえばフューチャー・ベースというジャンルの中でも、僕らからすると新しすぎるかな?って感じる楽曲が、EDMが流行って以降、その印象が強くなってるなと思っていて。それも好きなんですけど、さっきの料理の話じゃないですけど、それが強すぎると最初の印象は面白くても、何回も聴きたい曲にはならない気がしていて。聴き心地は凄く大切にしています。

――リアルなフレーズだなあ(笑)。

SEIKI:日常の音とか、「Holiday」で言うと“カシャッ”ていう音や海の音、「Shy Girl」だと“パチン”っていうスナップの音など、自然音みたいなものを曲中に取り入れることは、意識的にしていますね。

――確かに。クラブのミラーボールじゃなくて、太陽の下みたいな。

YuSuKe:そうなんですよね。かといって、シティポップにしたいわけではなかったので。あの時代の曲もすごく好きなんですけど、“ありそうでないもの”という、自分たちなりのオリジナリティをどうしたら出せるか?ということを考えて、新しくも古くも感じられる曲がいいんじゃないか?って。

SEIKI:そして、セツナハッピー、みたいな。曲だけ聴くとすごいせつない感じに聴こえたり。

YuSuKe:コード進行がね。

SEIKI:「不完全Vibes」も、コードはめちゃめちゃせつない感じに聴こえるんですけど、メロディと歌詞が乗ることで全然違うように聴こえる。

――歌詞は、確かに、一個一個ストーリーがある。二本立てとか、適当なこと言っちゃった。もっといろいろありますね。

YuSuKe:ありがとうございます。コミカル・ポップとか言って、ライブではわちゃわちゃするのに、曲はふざけてるのと真面目なのがどちらもあるんですよ。

――4曲目「ハクナマタタ」とか、友情ソングでしょう。

YuSuKe:そうです。それは仲間に向けた曲です。

――これって絶対何かある気がする。背景にリアルな出来事が。

YuSuKe:超嬉しいです。これはあまり言ってはいないんですけど、元々のユニットが解散すると決まったあとに、僕とSEIKIが初めて作った曲なんですよ。だから、元々の相方に向けて作った曲なんです。それを、声を大にして言うことはないかなと思うので言ってなかったんですけど、今そういうふうに気づいてくれたので。このブリッジのDメロの、“きっと誰もが分かってる、人は一人では生きてけないこと”のところとか、まさにそうですね。それが不思議なことに、Skip the Chipsの初めてのEPの先行配信で、5月1日に令和の始まりと同時にこの曲が選ばれてリリースされるという。

SEIKI:知っている人からしたら、粋やな、みたいな。

YuSuKe:僕たちが個人的にそうしたいというよりは、自然な流れでそうなったので、すごく良かったと思います。この間、福岡で“Soul Picnic”を開催した時に元相方も観に来てくれて、ギャン泣きしてくれて。

Fumiya:号泣してたね。
――でも、その背景を知らなくても、卒業シーズンとかにすごくハマる曲だと思う。

Fumiya:いいかもしれない。バラードじゃなくて、ハッピー感がある卒業ソング。僕、「Days」も好きなんですよ。みんなこの曲を聴くと、“ハッピーセット”という言葉が印象に残るみたいで、「Days」という曲名よりも“あのハッピーセットっていう曲”って言う(笑)。

YuSuKe:めったにマクドナルドは行かないんですけど、たまたま3人でマックに入って入り口の外のテーブルに座っていたら、子供連れの親子が来て、“ママ、ハッピーセット食べたい”“うん、ハッピーセット買おうね”って言って入って行ったんですよ。それを聞いて勝手に、すごくいいフレーズだなあって思ったんですよね。みんなが聴きなじみのあるものを歌詞に入れたいという狙いはあって、それは僕が発信するというよりも、そのワードが持つ印象ってあるじゃないですか。それを実際目の当たりにして、本当にハッピーだなと思ったので。

――わかる。でもこれ、別れの歌なんだよね。

YuSuKe:設定としては、そうですね。でも、ただただ悲しいわけではなくて、そこに前向きなものがあって、一緒に共有したものは後悔とかじゃなくて、本当に良かったねというものを表現したかったので。

――みなさん1曲ごとのストーリーを楽しんでください。これがSkip the Chipsの第一歩。

Fumiya:やっとですね。友達に“どんな曲やってんの?”って聞かれて、前までは聴かせることができなかったんですけど、“こんな感じ”ってドヤ顔で聴かせることができるので。ここからどんどん広まって行ってほしいです。

――最後に、でかい夢を一つ、語っときましょうよ。

Fumiya:クールなSEIKIが語ります。

SEIKI:今は東京と福岡の2拠点でライブをやっているんですけど。東京だったら武道館でやりたいです。福岡だったらマリンメッセ。絶対やりたいです。

Fumiya:僕らには夏のイメージがあると思うので、夏フェスに出たいです。フェス、総なめしたいです。

YuSuKe:フェスに強いアーティストでありたいというのは、全員が思ってることなので。曲を作る段階でお客さんが参加できる部分を必ず入れるようにしてるので、“あいつらフェスに強いね”って言われたいです。連絡ください。すぐ出ます。

Fumiya:あいてます!

取材・文●宮本英夫
リリース情報

Skip the Chips 配信限定EP「Picnic」
[収録曲]
1. Picnic
2. Shy Girl
3. 不完全Vibes
4. ハクナマタタ
5. Days
6. Holiday

ライブ・イベント情報

<MNUNETAKA Special 2019>
日時/2019年8月24日(土曜日)
会場/TSUTAYA O-WEST/duo MUSIC EXCHANGE
  TSUTAYA O-nest/TSUTAYA O-Crest /7th floor
●出演/Absoulute area/OverTone/GOOD BYE APRIL
Skip the Chips/TaNaBaTa/とけた電球/ハシグチカナデリヤ
HAND DRIP/ましのみ/村屋光二(ex.redballoon)
メロウ・イエロー・バナナムーン/Mellow Youth
弓木トイ/Real/Ryu Matsuyama Duo and more!
●イベントHP/https://www.diskgarage.com/feature/munetaka/special/artist.html
●イベントTwitter/https://twitter.com/munetaka_dg

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