EXILE SHOKICHI 渾身のソロアルバム
『1114』を語るーー己を研ぎ澄ました
1114日の歳月

EXILEEXILE THE SECONDのボーカル、パフォーマー、ソングライター、レーベルKOMA DOGGのオーナーなど様々な顔を持つマルチなアーティスト・EXILE SHOKICHI。多忙を極めながらも常に自身の音楽性を磨き続けており、その探究心の強さはEXILEのメンバーたちからも絶大な信頼を得ている。ファーストソロアルバム『THE FUTURE』から1114日の歳月を経て、満を持して世に放ったセカンドソロアルバム『1114』では全曲の作詞作曲を行い、国内外の多岐に渡るクリエイターとの盤石のタッグにより、ジャンルを広く行き来する隙のない1枚を完成させた。このソロワークを軸に、EXILE SHOKICHIは今後どのような展開をみせるのだろうか。

—— EXILE SHOKICHIさんといえば、ご自身のソロ作品はもちろん所属されるグループのEXILEやEXILE THE SECOND、さらに今月デビューしたBALLISTIK BOYZの楽曲を制作されるなど、ソングライターとしても活躍されています。SHOKICHIさんが音楽を作り始めるきっかけは何だったのでしょうか。

中学生の頃にバンドでボーカルを担当していたんですが、その頃の自分は曲はバンドのギタリストが作るものだというイメージを持っていたんですよ。ところが僕らのギタリストはなかなか曲を作って来ないので、僕が作ろうと思い立ったのがキッカケです。初めてオリジナルの曲を作ったのは中学校3年生ぐらいで、当時はギターで知ってるコードを並べながら作っていました。MTR(マルチトラックレコーダー)という録音機材をバンドメンバーみんなで買って、夜な夜な集まって作業していましたね。今、曲を作るときは主にピアノを使っていて、このアルバムの最後に入っている「君に会うために僕は生まれてきたんだ」も、ピアノだけで組み立てた曲です。
EXILE SHOKICHI
—— この度リリースされたソロとして2作目のアルバム 『1114』を出すにあたり、そのタイトルにはさまざまなアイデアがあったことと思いますが、『1114』に落ち着いたのはなぜですか?
この数字は前作 『THE FUTURE』をリリースしてから今作が出るまでの日数なんですが、グループとしての活動を含むとこの期間にアルバムを3枚出して、ライブツアーを3回行ったんですよ。音楽としっかり向き合うことができた大切な期間だったので、1114日間にレベルアップしたSHOKICHIの今を残したいという思いでこのタイトルに決めました。
EXILE SHOKICHI
—— この期間を経て、楽曲制作の過程や手法において具体的に変わった点はありますか?
前作はまだ手探りな部分もあって、ただサイコロを投げて出た目で動くようなところもありましたが、今は「こういう楽曲にするためにこの人たちと組もう」というふうに意図的に動いていて、楽曲を具現化する力が格段に上がったと思います。突発的なアドリブやその日の気分で変化していく音楽も楽しめるようになったのも、今作での大きな変化ですね。
—— 日本語詞をしっとり聴かせるバラードはもちろん、ヒップホップ、R&B、ロックなど収録曲のジャンルが多岐に渡りますね。
ライブツアーを見据えながら作ったので、幅広いジャンルのアルバムになりました。メンバーが入れ替わり立ち替わりするグループのライブに慣れているファンを、ソロライブでも飽きさせないためには、バラード、ヒップホップ、R&B、ロック、歌、ダンス、楽器……と、SHOKICHIの多面性を見せるのが面白いかなと。このアルバムはライブを観てもらって「なるほど、だからこういう曲を入れたんだ」と分かってもらって初めて完成するようなイメージです。
EXILE SHOKICHI
—— 最初から聴いてみて、まず2曲目に収録されている自叙伝的な「マボロシ」が印象に残りました。SHOKICHIさんはバラードであってもラップができてしまうんだなと感じました。
今作はラップの比率が多いかもしれないですね。 「プラトニック・ラブ」を作ったときに、1番に近代的なフロウの歌があって、サビは逆に伝統的なメロディーで、2番はラップという、色んな時代とアプローチが混在しているバラードが自分の真骨頂かもしれないと気づいて。だから「マボロシ」も2番はラップにしてみました。
—— もちろんダンサブルな楽曲も豊富で、「サイケデリックロマンス feat. SALU」はアルバムに先駆けてリリースされました。SALUさんとのタッグは過去にもありましたが、SHOKICHIさんが思うSALUさんの魅力は何ですか?
今、僕はKOMA DOGGというレーベルを立ち上げてプロデューサーとしても頑張ろうとしているタイミングで、昨年、SALUくんが入ってくれたんですけど、彼はプロデュースが必要がないですね。今回は2番を丸ごと空けた状態でオファーしたんですけど、僕が「こういう感じで来るかな?」と思っていたのとまったく違うフロウを乗せてきて。僕もある程度ラップをたくさん聴いていますが、SALUくんはまだまだ僕の知らない宇宙を持っているし、これからもどんどん自由に表現してほしいなと思います。
——私が個人的に好きなのはその次に収録された「Ooo!」なんですが、とことん削ぎ落として空間を活かしたシンプルなトラックに衝撃を受けました。
この曲は音楽好きの方からの評判がいいんです。僕がプロデュースしたEXILEのシングル「STEP UP」を作るときに、Bruno Marsのアルバム『24K Magic』でグラミー賞を獲ったThe Stereotypesというプロデュースチームを日本に招いてスタジオでセッションしたんですが、そのとき1時間くらい余って「もう1曲できるんじゃない?」という話になって、15分で完成させた曲です。彼らのストックの中からこのトラックを聴いて僕がその場でメロディーを歌ってみたら、それがそのまま採用されました。完成型では間奏にギターソロが入っているんですけど、それも「間奏はこういう感じのギターソロがほしい」というメモがてら僕がギターソロっぽく歌ってみたら、The Stereotypesがその声をギター風に加工してくれて。実はあれは僕の声なんですよ。自分でも「何ていうジャンルの曲なのかな?」と思うようなオリジナリティ溢れる曲ができました。
—— 面白い裏話ですね!! 6曲目「プラトニック・ラブ」以降は、ストレートなR&Bが3曲続きます。中でも8曲目の「Midnight Traffic」は、レトロなイントロから現行のサウンドに昇華していく展開が素敵でした。
僕がある日の夜、仕事帰りの車で渋滞にはまってしまった時に思いついた歌詞で、ミステリアスな相手となかなか進まない恋を真夜中の渋滞になぞらえています。交通関係の言葉を使って比喩表現ができたところも気に入っています。トラックは3年前に作ったストックを引っ張ってきたんですけど、近年、Ella Maiあたりの流れのソウルミュージックが人気なので、今このトラックを使うことによってオントレンドな楽曲にできたと思います。
EXILE SHOKICHI
—— 対照的な4つ打ちのパーティーチューン「Bad Speed Play」は、聴いていてEXILE THE SECONDのライブを想起しました。
EXILE THE SECONDのライブではこういう曲が盛り上がるので、ソロライブを想定してこういう曲も入れようかなと。ビートは、今EDMが移行しつつある「テックハウス」というジャンルで、これをJ-POPでやりたいなという好奇心があったので、挑戦してみました。他の曲もそうなのですが情報過多にはしたくないので、なるべくシンプルな展開にして、何度でも聴きたくなる曲になるよう心がけました。
—— アルバムを締めくくるのは、お話のは初めにありましたピアノ基調のバラード 「君に会うために僕は生まれてきたんだ」です。聴き進めると相手のお誕生日を祝う歌詞なのですね。
前作に収録したバラード「The One」と同じくSUNNY BOYと作った曲なんですが、「The One」がウェディングソングだったので、セレブレイトソングをもう1曲作りたいなと思ってバースデーソングにしました。歌詞の比喩も韻も使わず、自分史上一番ストレートなラブバラードです。簡単な言葉で書いた曲をシングルにするのは、「誰でも書ける曲」と捉えられるリスクが高いと思ったんですが、色んな曲をやってきた今の自分ならしっかり説得力を持たせて届けられるかなという思いでリリースに至りました。
—— アルバムに先駆けて発表されていた曲ですが、アルバムの最後に入ることによって楽曲の魅力が増したように感じました。このアルバムを引っさげ、ソロとして初のアリーナツアーを開催されます。すべてご自身が手がけるライブは、どんなものになるでしょうか?
ツアータイトルの『UNDERDOGG』には「成り上がり」という意味があるんですが、コンセプチュアルというよりは、自分の生き様や軌跡を見せられるライブにしたいと思っています。今年、僕はデビュー10周年なんですが、これまで積み上げてきた自分のミュージカリティを集約して表現したいです。ソロでツアーを回るのは自分の活動の中で一番といっても良いほど大きな目標だったので、特別なライブになると思います。
—— 楽しみです。最後に、ボーカル、パフォーマー、ソングライター、レーベルオーナーなど様々な顔を持つSHOKICHIさんの、今後の展望を聞かせてださい。
KOMA DOGGをさらに盛り上げていきたいですね。これからも新しい仲間を増やして、コンピレーションアルバムやライブイベントを作れたら面白いなと思いますし、レーベルを成長させていきたいです。僕のソロワークがその起爆剤になれば嬉しいですね。

EXILE SHOKICHI

取材・文=Natsumi.K 撮影=森好弘

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