THE ORAL CIGARETTES アジアツアー最
終公演の公式レポ到着 「こんなに幸
せな空間が待ってるなんて思わなかっ
た」

THE ORAL CIGARETTESが5月30日、初の台湾単独公演『KK Tour 2019 in Taipei』を開催した。同公演は、オーラル初のアジアツアーの最終公演にあたるもの。5月11日の上海公演、12日の北京公演を経て、台北・THE WALL公演で以ってツアーは幕を閉じた。
THE ORAL CIGARETTES 撮影=Viola Kam (V’z Twinkle)
平日にもかかわらずチケットはソールドアウト。満員の観客は“4本打ち”に合わせてバッチリと手を叩き、SEが鳴るや否や、前のめり気味なテンポで手拍子をしている。そんな様子から彼らが如何にこの日を待ち望んでいたのかということが早くも伝わってきた。山中拓也(Vo/Gt)、鈴木重伸(Gt)、あきらかにあきら(Ba/Cho)、中西雅哉(Dr)がステージに登場し、「容姿端麗な嘘」から演奏がスタート。「さあ、全員上がってこうぜ!」と山中が投げかけると、早速オーディエンスのジャンプでフロアの床が大きく揺れた。序盤からアッパーチューンを続け、熱量溢れるプレイを見せる4人。最初のMCでは山中が中国語で挨拶。そして「まさやん、ヤバいビート、カモン!」(山中)と「ワガママで誤魔化さないで」へ。
THE ORAL CIGARETTES 撮影=Viola Kam (V’z Twinkle)
リバーブを効かせた鈴木のソロで始まる「トナリアウ」は人と人が支え合いながら共に生きていくことを描いた曲で、演奏中、山中が観客へ「初めて台湾に来た日から俺たちは今日まで何も変わってません!」と4度目となる台湾でのライブに懸ける想いを伝えていた。一転、「Shala La」では多種のビートでオーディエンスを踊らせ、「起死回生STORY」ではフロアの方にマイクを向け大合唱を巻き起こす。バラード曲「不透明な雪化粧」はゆったりと奏でられ、特にドラマティックなアウトロが圧巻だった。
THE ORAL CIGARETTES 撮影=Viola Kam (V’z Twinkle)
時に激しく、時に艶やかなバンドサウンドは曲ごとに違う表情をしていて、山中はボーカルだけでなく、身のこなしや顔つきまで変化させていた。国内ツアーとは異なり、ライブハウスを中心にまわるアジアツアーでは大規模な舞台演出はない。しかしアルバム『Kisses and Kills』で表現した“Kisses”(=愛情)と“Kills=憎しみ”の二面性はバンドの演奏そのものによってしっかりと表現されていたのだ。
THE ORAL CIGARETTES 撮影=Viola Kam (V’z Twinkle)
その一方、例えば、観客と一緒に歌詞を口ずさみながら演奏する鈴木やあきらが笑顔を抑えきれなくなっていたり、中西が怒涛のプレイを見せた直後に山中がにやりと得意げな表情をしていたり、4人でアイコンタクトを取りながら楽しそうに音を合わせていたり……と “表現”の枠組みをはみ出すような人間味溢れる場面も。そんな4人の演奏を受けて、フロアはますます盛り上がっていく。
THE ORAL CIGARETTES 撮影=Viola Kam (V’z Twinkle)
2度目のMCではメンバーが1人ずつ中国語で自己紹介。鈴木とあきらの練習してきたフレーズが被る、中西が言った最後の一文が観客に上手く伝わらず一瞬みんなの頭上に疑問符が浮かぶなど、初々しいハプニングに場内が和やかな空気になったのも束の間、「カンタンナコト」からラストスパートへ突入だ。「BLACK MEMORY」で鈴木がセンターのお立ち台に立ってソロを炸裂させるなど、バンドの演奏が白熱していくなか、オーディエンスもジャンプやシンガロング、ヘドバンで加勢。そうして「狂乱 Hey Kids!!」で本編を終えた。
THE ORAL CIGARETTES 撮影=Viola Kam (V’z Twinkle)
アンコールではまず中西が、国内ワンマンでも恒例となっている“まさやんショッピング”(物販紹介)を披露。メンバー全員が揃うと、山中は改めて満員のフロアを見渡し、ファンへの感謝を伝えた。その直後の「ONE'S AGAIN」では時折トントンと胸を叩いたりしながら歌っていた山中。歌詞に込めた想いを一つひとつ届けるようにして歌う姿は、オーディエンスとの再会を約束しているようだった。
THE ORAL CIGARETTES 撮影=Viola Kam (V’z Twinkle)
「こんなに幸せな空間が台湾に待ってたなんて正直思ってなかったです。レガシー(Legacy Taipei)にも行きたいし、アリーナにも行きたいし……絶対また来ようって思いました。ありがとうございました!」(山中)とこの日最後に演奏されたのは「ReI」。「最後は歌で。言葉なんて関係ない。音楽の力で!」という山中の言葉をきっかけに大合唱が起こっていく光景は感動的なものだった。国内ライブハウス編、アリーナ編、そしてアジア編と展開していった「Kisses and Kills Tour」。今回のツアーを通してオーラルは人間の感情の大切さ、尊さを伝えてきたが、だからこそ彼らは、人と人の感情が近い距離でぶつかり合うライブハウスという場所をファイナルの場に選んだのかもしれない。
THE ORAL CIGARETTES 撮影=Viola Kam (V’z Twinkle)
国内のツアーファイナル・横浜アリーナ公演で言っていた「オーラルにできること、日本人のバンドにできること、最近よく考えてます」という言葉、その片鱗を垣間見ることのできた夜だったように思う。「台湾でも日本でも音楽で繋がってるってことに違いはなくて。結局僕たちは人と人。それだけだと思うんです」と山中。約8ヶ月に及んだツアーの締めくくりにふさわしいライブだった。

取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=Viola Kam (V'z Twinkle Photography)
THE ORAL CIGARETTES 撮影=Viola Kam (V’z Twinkle)

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