【インタビュー】倉木麻衣、アルバム
制作中の倉木麻衣を直撃 20周年プロ
ジェクトに賭ける思いをたっぷり

ついに始まった、倉木麻衣の20周年プロジェクト。まずは3月20日にダブルA面シングル「きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない/薔薇色の人生」をリリース、続いて4月末から5月にかけて、ビルボードクラシックスとタッグを組んだ新しいシンフォニー・コンサートを東京と兵庫で開催。さらに7月末の海外公演を経て、8月14日には待望のニュー・アルバムをリリース、そして全国15本に及ぶライブ・ツアー。ノンストップで駆け抜ける怒涛のスケジュールの真っただ中、BARKSはアルバム制作中の倉木麻衣を直撃し、20周年プロジェクトに賭ける思いをたっぷりと語ってもらった。

■歌い方が少し変わってきましたが原点というものは忘れない
■「Love,Day After Tomorrow」のイントロが流れてくると16歳の気持ちに

――20周年の第一弾リリースは、お馴染み『名探偵コナン』とのコラボレーションでしたね。1月に放送されたスペシャルTV番組の、オープニング・テーマと主題歌の2曲。

倉木麻衣(以下、倉木):一つが「きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない」という、今までで一番長いタイトルの曲です(笑)。全部書くのが大変で、ファンの方には「きみ恋 いつ夢」で覚えていただいているようです。今回の『名探偵コナン 紅の修学旅行(鮮紅編・恋紅編)』は京都の清水寺が舞台になっていて、新一くんと蘭ちゃんの恋愛模様の進展がテーマになっています。お互いが告白して、愛を育てて、二人だけの世界がずっと続いていけばいいなという、ロマンチックなストーリーなんです。その世界を表現するのに“月”をテーマにしようと思っていて、夜に誰かを思う切ない気持ちや、二人だけのロマンチックな世界観を表現したくて、歌詞に“Eternal Moon”という言葉が出てくるんですけど、最初はそれをタイトルにしようと思ったんですね。でも一番伝えたいメッセージはサビの部分なので、そこを丸ごと取って、長いタイトルにさせていただきました(笑)。

――逆にキャッチーですよ。インパクトがすごい。

倉木:楽曲的には、また新しい感じの和と洋とが溶け合ったすごくメロディアスな曲調で、ボーカリストとしては難しい旋律です。三連音符が何度も出てくるので、歌のコントロールが大変なんですが、20周年を機に新しい楽曲をお伝えして、『名探偵コナン』の世界観もどんどん進化していることもお伝えできたらと思い作りました。ジャケットもすごくこだわって、月の世界を表現するために月の中に横たわっているようなシチュエーションをテーマにしています(*初回限定盤A)。実は大量のスモークで、“ゲホゲホ”言いながら撮ったんですけど(笑)。
▲「きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない/薔薇色の人生」【初回限定盤A (CD+DVD)】V
▲「きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない/薔薇色の人生」【初回限定盤B (CD+DVD)】
▲「きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない/薔薇色の人生」【名探偵コナン盤 (CD+DVD)】
▲「きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない/薔薇色の人生」【通常盤 (CD)】

――あはは。それは言わない方がいいかも。

倉木:合成に見えるんですけど、実は体を張って撮影しています(笑)。楽曲が出来上がって、詞を乗せてトータルで聴いた時に、スタッフさんから「ウェディングソングとしてもぴったりなんじゃないか」というお話をいただいて、衣装もウェディングをイメージするようなものにしました。イベント(1月20日/ゲートシティ大崎アトリウム)でも、そういう衣装で歌わせていただきましたね。一人ウェディングという、自虐的なシチュエーションでしたけれども(笑)。

――そんなことないです(笑)。あの時はコナンくんがエスコートしてくれました。

倉木:もう1曲の「薔薇色の人生」という曲は、2018年はいろんなスタイルで自分の音楽を届けさせていただいて、みなさんと笑顔を繋いでこられたので、2019年も素晴らしい1年になりますようにという願いを込めて「薔薇色の人生」というすごく明るいタイトルをつけさせていただきました。“薔薇色の人生”という言葉からイメージすると、とても豪華で華やかな感じがしますけど、その後ろには葛藤や悩みや、いろんな環境で戦っている姿があって、いろんなシチュエーションで夢をつかむために頑張っている方に、力強いメッセージを届けたいというイメージで書かせていただきました。アップテンポの楽曲なので、みんなと一緒に口ずさんでライブでも一緒に共有して、前向きな気持ちでそれぞれの人生が明るく薔薇色な幸せなものになりますように、ということですね。

――20周年にふさわしい2曲だと思います。

倉木:リリース・イベントで披露させていただいた時も、みなさん予習してくださって、ライブ会場のように乗って歌ってくださって。これからツアーで歌うのがすごく楽しみな楽曲ですね。

――『名探偵コナン』と言えば。1月のスペシャル番組で、声優をやられましたよね。

倉木:そうなんです! お話をいただいた時に、「え、声優ですか? できるかな」って思ったんですけども。『名探偵コナン』は最初から漫画を買って読んでいたくらい大好きな作品なので、「いつか」とは思っていました。このタイミングで貴重な機会をいただけて、演劇部だった頃を思い出して、「あえいうえおあお」とか発声から始めて(笑)。いっぱい練習して、当日スタジオに行ったんですけど、歌う時とは違って目の前にモニターがあるんですね。まだラフな段階のアニメーションを流して、それに合わせて録っていくんですけど、タイミングを合わせるのがすごく大変なんです。しかもセリフの速さや声のトーンによって全く違って聞こえたり、普段の声よりも180%ぐらいでやらないとちゃんと聞こえないんです。声優さんってすごいなと思いましたね。

――ああー。同じ録音でも全然違う。

倉木:セリフもけっこうたくさんあって、普段言わないような言葉もあったのでけっこう大変でした。“キュンキュンしちゃうよ”ってセリフがあったんですけど、普段言わないなーと思いつつ(笑)。キャスパー(*以前に飼っていた愛犬)を散歩させた時の、かわいらしい表情を思い出したりしながら、録っていきました。宝物のような経験になったと思います。いろんなイベントで直接感想をいただくこともあったのですが、テレビの前で正座して見てくださって、ちゃんとしゃべれるのかって心配してくださったりとか(笑)。倉木麻衣の役というそのままのシチュエーションだったんですけど、アニメの中の倉木麻衣というのはまた少し違って難しかったんですけど、ナチュラルで良かったという声もたくさんいただいて嬉しかったです。また機会があれば、ぜひチャレンジしたいです。

――これを読んでいるアニメ業界の方はぜひ倉木麻衣に連絡を。

倉木:よろしくお願いします(笑)。

――そして、20年といえば成人式ですね。いわば倉木麻衣のアーティスト成人式。

倉木:振り返ると、あっという間でした。1年1年、全力で取り組んできたからだと思います。

――歌手として、大人になったなという実感は?

倉木:それは、あんまり感じたことはないですね。実感がないです。いろんな楽曲にトライさせていただいているので、それが大きいかもしれないですね。もっとうまく歌えるだろうとか、常に考えてしまうので。

――たとえばデビュー曲の「Love,Day After Tomorrow」は20年歌い続けて、歌う時の気持ちが変わるとかは?

倉木:やっぱり10代、20代、30代と、いろんな経験をさせていただいて、いろんなライブで出会うファンの方の思いが入ってくるので、歌い方が少し変わっていると思います。これからまた、変わっていくかもしれないですね。でもやっぱり、原点というものは忘れない気持ちはあります。「Love,Day After Tomorrow」のイントロが流れてくると、16歳の気持ちになりますね。音楽って不思議ですね。その時の思い出を蘇えらせてくれたりとか、その時の匂いを覚えていたりとか、しませんか?

――ありますね。その曲を聴いた時の思い出として。
倉木:五感と一緒に覚えていたりするので。ライブをしていて、そういうものが脳裏に浮かぶことはありますね。
■答えがない中で答えを求めてきた感じ
■やり続けないと見えてこないのかなと思ったりします

――そして20周年記念アルバムが、8月14日のリリースを目指して現在制作中ということで。

倉木:タイトルが決まって、『Let’s GOAL!~薔薇色の人生~』になりました。

――とてもポジティブな、前向きなタイトル。

倉木:アルバムを聴いた時に、全体を通して、みなさんがそれぞれ夢を持って、その最終目標(ゴール)を目指していくという気持ちに寄り添えるようなアルバムにしたいという思いと、全国LIVEは15か所なので、最後までみんなで完走していこうねという思いも込めて。社会貢献活動も、SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)という、2030年までに達成する国連が決めた目標があって、そのことをお伝えしたいと思っています。また、いろんな環境の中でなかなかゴールにたどり着けない環境にいらっしゃる方もいると思うので、そういう方たちには小さいことでもいいから何かしらの目標を持って、それを叶えていけたらいいよね、というテーマもあります。

――今のところ、アップテンポが多いとか、バラードが多いとか、何か傾向はありそう?

倉木:いろんなスタイルをお届けしたいということをテーマにしているので、幅広くバラードも、ミディアムも、アップテンポも、というアルバムを目指して作っていますけれども、もしかしたら変わるかもしれないのでまだわからないです(笑)。

――20年間のいいとこ取りアルバム、期待してます。でも倉木さんの歌は本当にそうで、さかのぼって聴くと、この20年間は音楽の幅を広げる時間だったという感じがしますね。時代の変化もありましたし。

倉木:答えがないんですよね。その中で答えを求めてきた感じです。走り続けてきて、やってみて、振り返って、なんとなくこうかな?というものはわかるんですけども。それが果たして答えなのかどうかは、やり続けないと見えてこないのかな?と思ったりします。アルバム制作も、1曲1曲にこれだ!というゴールを目指して作っていこうと思うんですけど、そのジャッジというものは、やっぱりその時の自分のフィーリングだったりするので。ずっと模索していますね、常に。

――デビューの頃はバラードとミディアムのイメージだったのが「Stand Up」ぐらいからアップテンポになったりとか。

倉木:そうですね。R&Bからロックに変わって、そこからまたポップ・チューンに変わって、どんどん進化して。

――近年では「Wake me up」で、EDMにトライしたりとか。

倉木:音楽っていろんなジャンルで自由じゃないですか。倉木麻衣の楽曲も自由でありたいなという気持ちで、制限のないものを求めていきたいと思っています。ボーカルの制限は、あると思うんですよ。歌唱の仕方とか、自分はこれしか歌えないとか壁にぶち当たる時もあるんですけど、それをブレイクするためにやってみることで新たな自分を発見して、みなさんの気持ちにフィックスしていただければ何かの起爆剤になるのかな?と思うので。「きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない」も新しい作曲家の方にお願いをしていて。アルバムもいろんな作曲家さんに参加していただいていますし、やり切ったぞ!と言えるように全力でアルバムを作っていきたいと思うので、楽しみに待っていただけたら嬉しいです。

――4月には新しい形でのシンフォニック・コンサート。そして8月からツアーですか。

倉木:その前に、7月から8月にかけて、中国と台湾に行きます。今回の新曲のリリース・イベントにも、中国から来てくださった方がいて、ぜひ来てくださいという思いを感じたので、その思いを叶えてあげられたらと思って、スケジュールを決めさせていただきました。中国と台湾は毎回すごく盛り上がるので、中国語で歌う楽曲も含めて、出来る限りたくさんの楽曲をお届けしたいと思います。日本からも来てくださる方がいるんですよ。そして中国の方と友達になって、日本に遊びに来るとか交流が生まれているのがすごく嬉しいです。

――そして8月からはいよいよ20周年、15本の全国LIVE PROJECT。これだけ大規模なツアーは久しぶりじゃないですか。

倉木:15周年の時以来ですね。どうなるかわからないですけど、みんなそれぞれ年齢が上がっているので(笑)。

――倉木さんが全力で来るなら、こちらも全力で行きますよ(笑)。

倉木:年齢のせいにしちゃいけないですね(笑)。でも一公演一公演、終わったら立ち上がれないぐらい頑張っていきたいと思っていますので。そのぐらい、前向きな気持ちで伝えたいと思います。みなさんも全力で応援してくださるので、気を抜けないんですよね。

――セットリストは、新旧織り交ぜて?

倉木:振り返ることもちゃんとやりながら、新しい曲を発信していく、いろんなものをミックスした充実したライブを目指して今考えているところです。アルバムの楽曲プラス、今までたくさんリリースしてきた楽曲をお届けするライブを考えていて、今までとはまた変わった形で楽器とのコラボレーションだったり、いろんな幅広い感じでお見せしていこうと思っています。お楽しみに、という感じです。

――倉木麻衣のライブと言えば、歌う、踊るだけじゃなく、セットや衣装も大きな見どころなんで。

倉木:衣装の早着替えも、いろいろ考案しましたね。すぐ着替えられるように、ジッパーを工夫したりとか。ハプニングもありましたけど、そういうことも落ち着いて楽しめるようになってきたのはあります。昔は焦って手が震えていましたけど、今はスタッフさんと連携して、「今日も余裕だったね」みたいな話をしたり。とは言いつつ、大丈夫かな?っていつも思います。でもそういうことも、楽しんでいただきたいですね。バンド・メンバーさんもハプニングを楽しむタイプなので、そういうところもライブの楽しさだと思います。

――ずっと見ていると、ファン層もかなり広がりましたし。

倉木:そうなんです。赤ちゃんだった子が小学生になったり、高校生だった子が母親になったり。そう考えると、20年ってすごいなと思います。

――みなさんと共に歩む倉木麻衣。

倉木:20周年で、また新たなことにチャレンジする倉木麻衣を、ぜひ見てほしいですね。

取材・文●宮本英夫

リリース情報

アルバム『Let’s GOAL!~薔薇色の人生~』

2019年8月14日(水)リリース【初回盤:Blue(CD2枚組+Bonus Disc)VNCM-9045 ¥3,200+税
【初回盤:Yellow(CD2枚組+Bonus Disc)VNCM-9046 ¥3,200+税
【初回盤:Black(CD2枚組+Bonus Disc)VNCM-9047 ¥3,200+税
【初回盤:Green(CD2枚組+Bonus Disc)VNCM-9048 ¥3,200+税
【初回盤:Red(CD2枚組+Bonus Disc)VNCM-9049 ¥3,200+税
【通常盤(CD1枚組+Bonus Disc)VNCM-9050 ¥3,000+税

両A面シングル「きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない/薔薇色の人生」
2019年3月20日(水)リリース

【初回限定盤A (CD+DVD)】VNCM-6043 ¥1,300+税
1. きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない
2. 薔薇色の人生
3. きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない (Instrumental)
4. 薔薇色の人生 (Instrumental)
DVD収録内容
「きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない」MV
【初回限定盤B (CD+DVD)】VNCM-6044 ¥1,300+税
1. 薔薇色の人生
2. きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない
3. 薔薇色の人生 (Instrumental)
4. きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない (Instrumental)
DVD収録内容
「薔薇色の人生」MV
【名探偵コナン盤 (CD+DVD)】VNCM-6045 ¥1,300+税
1. きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない
2. 薔薇色の人生
3. きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない (Instrumental)
4. 薔薇色の人生 (Instrumental)
DVD収録内容
「名探偵コナン」特典映像
【通常盤 (CD)】VNCM-6046 ¥1,000+税
1. きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない
2. 薔薇色の人生
3. きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない (Instrumental)
4. 薔薇色の人生 (Instrumental)
5. Bonus Track

ライブ・イベント情報

<20TH ANNIVERSARY 倉木麻衣 LIVE PROJECT 2019 in Asia>
7月19日(金) 北京 北京展覧館劇場
7月27日(土) シンセン シンセン福田体育公園体育館
8月3日(土) 台湾 ATT Show Box 大直

<20th Anniversary Mai Kuraki Live Project 2019“Let’s GOAL!~薔薇色の人生~”>
08月17日(土) 神奈川・ハーモニーホール座間 大ホール
08月24日(土) 兵庫・神戸国際会館 こくさいホール
08月25日(日) 京都・ロームシアター京都 メインホール
08月31日(土) 埼玉・羽生市産業文化ホール 大ホール
09月07日(土) 岡山・岡山市民会館
09月08日(日) 広島・三原市芸術文化センター ポポロ
09月14日(土) 島根・安来市総合文化ホール アルテピア
09月16日(祝月) 香川・サンポートホール高松 大ホール
09月28日(土) 熊本・熊本県立劇場 演劇ホール
09月29日(日) 宮崎・都城市総合文化ホール
10月06日(日) 北海道・札幌市教育文化会館 大ホール
10月12日(土) 宮城・トークネットホール仙台(仙台市民会館)大ホール
10月20日(日) 愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
10月22日(祝火) 大阪・大阪国際会議場(グランキューブ大阪)メインホール
10月26日(土) 東京・東京国際フォーラム ホールA

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BARKSは2001年から15年以上にわたり旬の音楽情報を届けてきた日本最大級の音楽情報サイトです。

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