aiko

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【aiko リコメンド】
メロディーの源泉を
再確認できる作品集

昨年、デビュー20周年という節目の年を迎えたaikoが2011年以来となるベストアルバム『aikoの詩。』をドロップ。彼女がこれまで発表してきた全シングル表題曲+α=全54曲をCD4枚組に収録という、キャリアを重ねてきたからこそ実現できた貫禄のシングルコレクションだ。aikoの世界を堪能できる、間違いなくファン必携、マストバイのアイテムである。

時代も世代も貫くaikoの楽曲

 自身初のチャートベスト10入りを果たした3rdシングル「花火」(1999年)以降、昨年リリースした38枚目の作品「ストロー」(2018年)まで、発表してきたシングルは全てチャート上位にランクイン(およそトップ3入り!)。アルバムも、その「花火」を収録した2nd『桜の木の下』(2000年)から、昨年発表した13th『湿った夏の始まり』(2018年)まで、ほとんどが1位を獲得している。aikoがこの20年間、シーンのトップアーティストであり続けていることは疑いようがない事実である。十年一昔というから、aikoが活動してきた20年間は二昔ということになる。その二昔がどの程度古いのかと言うと、20年前、1999年の流行語大賞は“ブッチホン”“リベンジ”“雑草魂”で、受賞者はそれぞれ、平成の元号を発表した小渕恵三氏(当時は首相)、西武時代の松坂大輔投手、そして先頃引退を発表した上原浩治投手である。二昔とはそのくらいのスパンだ。そう考えると、彼女が音楽シーンのトップであり続けているのは驚異的な感じすらある。無論、政治やスポーツとエンタメとではその人気や活躍のピークを単純に比較できないことは重々に承知しているけれども、20年経ったというのにaikoの活動のペースが落ちたような印象はないし、人気が衰えた気配もない。ずっと高値で安定し続けている印象がある。これは相当にすごいことだ。

 結論を急ぐようではあるが、aikoが高値安定であり続けているのは、彼女の楽曲が時代も世代も貫く力を湛えているからだと思う。その点で言えば、今回の『aikoの詩。』のCMが興味深い。ご覧になった方もいらっしゃるだろうが、このCMには芦田愛菜が出演している。彼女は2011年にリリースされたaikoのベストアルバム『まとめI』『まとめII』発売時のCMにも出演しており、今回その6歳の時の彼女が再び画面に登場し、時を超えてふたりの芦田愛菜が共演。(おそらく彼女の実年齢と同じ)14歳へと成長したの女の子が、“aikoの曲聴いて恋の勉強しなきゃ”とおしゃまなことを言っていた6歳だった自分に勇気をもらうといった内容である。未だご覧になってない方がいるなら、YouTubeに上がっているのでぜひとも目にしてほしい。そのCMで使われている楽曲が18th「キラキラ」(2005年)であり、同曲が発表されたのは芦田愛菜が1歳になったばかりの頃である。そんな楽曲が6歳の天才子役の画と、そこから8年経って14歳となった彼女の画に違和感なくマッチしている。下手したら5年も経たないうちに古びた印象を帯びてしまうこともなくはない流行歌の世界にあって、今回のような事例は珍しいことのように思える。aiko以外でこうした例があるのか…と考えると、他のアーティストの名前はそう簡単には浮かんでこないのではなかろうか。
■『aikoの詩。』特設ページ(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/b?node=6938589051&tag=okmusic-22
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アルバム『aikoの詩。』

OKMusic編集部

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