石川界人×瀬戸麻沙美×水瀬いのりの
三角関係 TVアニメ「青ブタ」から「
ゆめみる少女」への軌跡

 6月15日劇場公開の「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」は、昨年放送された「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」でミステリアスな登場をしていた牧之原翔子(CV:水瀬いのり)にスポットを当てたエピソード。主人公・梓川咲太(石川界人)と、その恋人・桜島麻衣(瀬戸麻沙美)の甘い日々は翔子によって一変し、不思議な三角関係は数奇な運命をたどっていく。石川、瀬戸、水瀬の3人に、テレビシリーズから「ゆめみる少女」にかけてのキャラクター像の変化を語ってもらった。(取材・構成:五所光太郎/アニメハック編集部)
――平熱感のある咲太の語り口は、テレビシリーズのときから印象に残っていました。序盤のアフレコでは、もっと抑えるようディレクションを受けていたと他のインタビューで話されていましたが、石川さんは咲太のテンションについて、どのように感じていますか。
石川:テレビシリーズの時期には、ちょうど他の作品で熱血キャラや声を張る役をやることが多くて、とにかく「うおーっ」と言うことが多かったんですよ。そのときの熱がけっこう残っていたようで(笑)、声を出し気味になっていたのを「抑えて」と言われたんだと思います。
――そうだったのですね。テレビシリーズと本作「ゆめみる少女の夢を見ない」で、演じるテンションが違ってくるところはあったのでしょうか。
(c)2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project石川:テレビシリーズの咲太は、彼自身も被害をこうむってはいるものの「ゆめみる少女」ほどは葛藤していなかったと思います。本作では咲太自身の感情が大きく動くので、「今までのディレクションは忘れてしまっていいんじゃない?」と言われました。憤ったり悲しんだり叫んだり……テレビシリーズよりも感情を出していこうという気持ちで演じています。
――傍観者的によりそう立場だったのが当事者になったため、より感情が表にでているわけですね。
石川:今までの思春期症候群は、問題を抱えているのも解決するのもヒロイン自身でしたが、本作では咲太自身が解決しなければいけないことがでてきます。そこがテレビシリーズと大きく違うところだと思います。
――テレビシリーズで咲太と恋人の仲になった麻衣を演じる瀬戸さんは、咲太のどんなところが魅力だと思われますか。
瀬戸:相手にちゃんと向きあいつつ、かといって踏みこんでほしくないところまでは入ってこないところですかね。かけてくれる言葉が的確なんですよ。しかも口だけじゃなくて、実際に行動してくれる。そんなところに麻衣は惹かれているんじゃないかと思います。
――咲太は空気を読んでいないように見えて、実はそれもふくめて空気を読んでいるのかなと感じることがあります。
瀬戸:そうですよね。(空気を)読めるから、あえて読まない選択ができるのかなあ、なんて思います。
石川:(ドヤ顔をしながら)そういうことです、任しとけ。
瀬戸:なぜ、そこで得意げな顔をするんでしょう(笑)。
水瀬:咲太の話だもんね(笑)。
(c)2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project――水瀬さんは、咲太の魅力についてどうお考えですか。
水瀬:私が演じる翔子の役柄的には、同列な対象というより、自分の命に代えてでも守りたい存在なんだと思います。胸に温かいものをもった少年であるというところが大きくて、その温かさに彼自身は気がつかないまま、小さい頃に翔子がかけた言葉を真摯に胸に残しながら高校生になっていて。普段は目が死にがちですが(笑)、心の中には熱いものがあるはずで、ちゃんと生きている子なんだなって思います。
――テレビシリーズでは謎の多かった翔子に、いよいよスポットがあてられます。
水瀬:この作品に関わるときから、劇場で「翔子編」をやることは聞いていましたが、どのタイミングでやるのかは知らなかったんです。スケジュールに本作の収録が入ったときには「いよいよ来た」と思いました。翔子のドラマが映像化されることがうれしくもありましたが、正直な気持ちをいうとすごくプレッシャーも感じていて……。いただいた台本をめくったら、「わ! 翔子がすごくしゃべっている」と分かって、「ふう」と言いながら一回台本を閉じるみたいな(笑)。
――そうだったのですか。
水瀬:「やった、しゃべれる!」というより、「どうしよう……頑張らないと」という気持ちのほうが大きかったです。原作での描かれ方を見ても、翔子というキャラクターはとても大切な存在であることが分かりましたし、テレビシリーズを見た皆さんの期待もひしひしと感じていました。テレビCM用の音声を録っていくなかで、翔子によって“謎が解き明かされる”ことも大々的にアナウンスされていき、私としては翔子が活躍すればするほど「どうしよう」と思うばかりでした。
石川:テレビシリーズの翔子は出番が少なめで、ちょこちょこ出ては強い印象を残していくキャラクターでしたよね。本作では、原作では描かれていたけれどテレビではカットされていたシーンが入っていて、その繋がりがとても巧みなんです。映像として非常に上手い表現の仕方で、「たしかに、それで繋がるよね」と思える自然な入れ方なんです。原作好きとして、とても感動しました。
(c)2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project瀬戸:台本の厚みからして、「きたな!」というワクワク感がありましたよね。キャラクター同士の会話が多くて、「これは会話を繰り広げることで相手に理解してもらう内容になっているな」と感じました。今回の麻衣は、翔子と関わっている咲太の心が大きく動いたときに寄りそっている姿が印象的です。
石川:テレビシリーズ以上にセリフの量が多かったです。大変でした(笑)。もともと咲太はモノローグや周りとのかけあいが多いのですが、今回くわしくは言えませんが「自分と会話する」シーンがあったんです。本番前のテストでは、それを同時にやろうとしたんですけど、上手く気持ちを切り替えられなくて、結局別録りになったのが個人的に悔しかったです。
瀬戸:テレビシリーズでつちかってきたものがあったので、咲太とのやりとりにはそれほど悩まなかったのですが、今回の物語では人の生き死にが関わってきて、それに咲太が関わってくるんですよね。
 麻衣は普段冷静で周りが見えている人なので、どのくらい興奮して必死にやっていいのか悩みながらテストに臨みました。最初に自分が考えてきたプランでやってみたら、ディレクターさんに「もう少し、今までにないぐらい必死にやってみてください」と言われて、「あ、もっとやっていいんだ」と思いながらやったのを覚えています。本作では、テレビシリーズでは見たことがないぐらい必死な麻衣が見られると思います。
(c)2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project石川:あまりいい言葉ではないかもしれませんが、僕は物語のなかで描かれる“自己犠牲の精神”が好きなんです。咲太が他人に優しくあろうと思うがゆえに自分をも犠牲にしようとする姿勢には憧れに似た気持ちをもっています。「ああなりたいな」と思うけれど、「ああはなれないな」といいますか。自己犠牲って、すごく強い精神がないとなかなかできないことだと思うんです。相手を極限まで信じきれないとできないことだとも思いますし、そこが彼の素晴らしさなんだろうなと。
 咲太には憧れのほうが強すぎて、自分にひきつけて考えられないところがあるんです。「共感する」というよりも「理想の優しさを見せられる」存在なので、なんとかそういう部分がでないかと思いながら演じていて。そんな咲太が、本作では自己犠牲の精神だけでは解決のつかないことになって、激しく葛藤するんです。そこでは、麻衣と同じようにこれまで見たことのない部分を見ることができます。本作を演じることで「咲太もやっぱり人だったんだな」と思えて、少し共感することができました。

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