【GLIM SPANKY ライヴレポート】
『LOOKING FOR THE
MAGIC Tour 2019』
2019年6月8日 at 豊洲PIT
カラフルで美しく、時に妖しい香りを漂わせるマーブル模様がうねる映像も用いた、その奏でられる音楽はもちろん、視覚的にもトリップ感にあふれたアートロックショー。SEもこれまでのSteeleye Spanの「Gower Wassail」ではなく、オリジナルの「4 Dimensional Desert」に変更され、GLIM SPANKYが独創的な世界観をさらに深化させていることが幕開けから、もうシビれるくらいの刺激で伝わってくる。
どっしりとしたボトムの上、白も黒も含めたあらゆる色を着こなすように放たれていく、広がっていく、ミュージックスケープ。亀本寛貴の縦横無尽かつ色気のあるギタープレイに、いくつもの音色が折り重なっているかのような松尾レミの“声そのものが音楽”と言えるヴォーカルが絡み合って生まれる、創造と血肉化されたルーツの理想的な融合。ビートが、フレーズが、そしてメロディーが、夢とうつつを変幻自在に描いていくロックとポップの果てなき桃源郷に、オーディエンスはただひたすらに酔いしれる。GLIM SPANKYの音楽でしか体感することができない多幸感は、やはり別格だ。
1曲目を飾った「Love Is There」から『LOOKING FOR THE MAGIC』全曲をほぼ曲順通りに配置し、相乗効果によって全てが美しく映えるように旧作品を織り込んだ完全無欠なメニュー構成。特定の国の…というよりは地球の旅の風景という印象を受けた、スケール感あふれるロードムービーが映し出される中で披露された本編を締め括る「Looking For The Magic」は、その着地点に相応しく、音楽が成し得る最良の希望を鳴り響かせていた。
そう、それは本当のこと。でも、実はそこだけじゃない。GLIM SPANKYの存在そのものが“希望”なのだ。ロックの現在と未来にとっての、そして松尾のMCの言葉を借りれば“音楽仲間”であるあなたや私にとっての。より濃厚さと強靭さを増したアンコール最後の「アイスタンドアローン」で魅せた孤高であり続けるからこその風格は、まさにそれを象徴していた。
撮影:鳥居洋介/取材:竹内美保
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