【速レポ】<SATANIC CARNIVAL>ROT
TENGRAFFTY「2021、お達者で。to be
continued、ありがとう」

いよいよ、<SATANIC CARNIVAL '19>もフィナーレのときを迎えた。その大トリを任されたのは、“古都のドブネズミ”ことROTTENGRAFFTYだ。2019年は結成20年というメモリアルイヤーかつ<SATANIC CARNIVAL>に対して「帰ってきた家みたいや」とメンバーがステージ上で叫んできたほど、思い入れもある彼ら。どう考えてもやる気と気合いしかみなぎっていない。
「9回裏、泣いても笑ってもこれが最後。ぶっとんでくれ!」とN∀OKI(Vo)が咆哮し、「PLAYBACK」で会場を隙間なく、轟音で埋め尽くす。<SATANIC CARNIVAL>には5回目の出演となり、各地のフェスでも大きなステージを任される彼ら。しかし、順風満帆だったとは言えない時期もあり、N∀OKIの言葉を借りれば「いろんなモノを背中に乗せて、奈落の底から這い上がってきた」バンドである。そこで積み重ねてきたことがあるからこその重みが凄い。待ち構えていたオーディエンスもすぐさま反応し、ステージから特別な投げかけがなくとも、強烈なうねりが起こっていく。
洗練されたヘヴィネスさ、鋭く伸びるNOBUYA(Vo)がたまらない「世界の終わり」、しなやかなメロディーでひきつける「STAY REAL」からオーディエンスが左右に両手を振り上げる「夏休み」へ。そのサウンドイメージから、彼らは襲いかかるようなライヴをすると思われがちだが、それだけではない。観るものすべてと共にてっぺんへたどり着くことを求め、上昇していこうとするのだ。

彼らの存在を知らしめた曲のひとつ「THIS WORLD」は驚異的な盛り上がりを見せるが、そんなもんじゃ物足りない、まだまだもっといけるだろと、NOBUYAとN∀OKIに続いて、KAZUOMI(G、Prog)もギターを置いてフロアへ突っ込んでいく。より大きな歓声が湧くことになるのだが、瞬時に反応できるそのあたりの感度の高さも現場で磨かれたところだろう。
NOBUYAが「ありがとう」と声にしたこともあり、ここで態勢を整えるかと思いきや、予想を超えたもうひと押しをするのも彼ららしい。けたたましくサイレンが鳴り響き、「ついにこれを言えるときがきた。オレらの音と言葉でぶち殺す」と叫んで投下されるは「零戦SOUNDSYSTEM」だ。攻撃力は凄まじく、ステージから放たれるすべてが腹の底まで突き刺さってくる。
温かく、激しく、優しいニュアンスに包まれるROTTENGRAFFTY流バラード「アイオイ」では、曲中にNOBUYAが「最後まで残ってくれて、みんなホンマにありがとう」と改めて感謝を口にする場面もあった。普段のように、特別多くは語らなかった彼らだが、大トリに対してプレッシャーが生まれて当然。共に響き会えるオーディエンスを前にしての素直なメッセージが心に響く。

そんな流れの中、ここで軽快な祭り囃子をまとった無邪気に遊べる「響く都」を投入する緩急のつけ方が絶妙すぎた。どれだけ揉まれてきたら、こんな力が身につくのだろうか。盛大なコール&レスポンスの後にはきらびやかな赤テープも舞い、いよいよライヴはクライマックスへ。
「いこうぜ」というNOBUYAの合図から面食らうほどの突進力で広大なSATAN STAGEをさらっていく「銀色スターリー」、会場を埋め尽くす全員が一緒におもいっきりジャンプを決めたダンス・チューン「D.A.N.C.E.」から、ここぞというタイミングで放たれるのはただただ輝き狂う「金色グラフティー」。ダイバーも永久機関のように生まれ、騒動レベルにヒートアップしていく。

本編ラストは、ライヴバンドとしての矜持を持って謝辞を述べて「70cm四方の窓辺」で締めくくり。「振り返っても消えない、死に物狂いのライヴでここまできた」とN∀OKIが語っていたが、そうだからこそまとえるオーラが美しかった。
オーディエンスに呼び戻されたアンコールでは、攻めに攻め、皆のタガが外れる「Error...」をプレイ。様々なアプローチがあっただろうが、この強烈な締め方が強者とライヴハウスでしのぎを削ってきたROTTENGRAFFTYたる所以だろう。芯はそのままに、バンドがスケールアップしてることも突きつけられた気がした。

N∀OKIが「2021、お達者で。to be continued、ありがとう」と叫んでステージを後にしたように、オリンピック関連の余波もあり、2020年は<SATANIC CARNIVAL>が開催されないと発表されている。また来年、と伝えられないことも寂しさもあるが、<SATANIC CARNIVAL>の出演者は各地のライヴハウスで熱演を繰り広げている猛者ばかり。それぞれが現場へ足を運び、宝物を見つけ、2021年、またこの場所で会えることを今から願っている。
取材・文◎ヤコウリュウジ
撮影◎岸田哲平、瀧本 JON…行秀

【ROTTENGRAFFTYセットリスト】

1.PLAYBACK
2.世界の終わり
3.STAY REAL
4.夏休み
5.THIS WORLD
6.零戦SOUNDSYSTEM
7.アイオイ
8.響く都
9.銀色スターリー
10.D.A.N.C.E.
11.金色グラフティー
12.「70cm四方の窓辺」
en1.Error...


■<SATANIC CARNIVAL'19>

6月15日(土) 幕張メッセ国際展示場9-11ホール
6月16日(日) 幕張メッセ国際展示場9-11ホール
・物販開始 BOOTH AREA 開場 9:00
・LIVE AREA 開場 10:30 / 開演 12:00

関連サイト

BARKS

BARKSは2001年から15年以上にわたり旬の音楽情報を届けてきた日本最大級の音楽情報サイトです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着