吉岡里帆に聞いた『バスキア展 メイ
ド・イン・ジャパン』音声ガイドへの
意気込みと、美術展の楽しみ方

吉岡里帆が、美術展のオーディオガイド(以下、音声ガイド)に初挑戦する。音声ガイドとは、展覧会場で専用の機器を使い、作品や作家についての解説ナレーションを聞くサービスだ。音声ガイドでは耳から情報を得られ、目を絵だけに集中させることができる。移動しながら作品ごとの説明を聞いていると、ガイドと一緒に会場を歩いているような感覚になる点も魅力だ。
一般的には有料で利用するものだが、2019年9月21日(土)〜11月17日(日)に、森アーツセンターギャラリー (六本木ヒルズ森タワー52階)で開催される『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』では、吉岡里帆による音声ガイドが無料で貸し出されるという。吉岡里帆に、音声ガイドへの意気込みから、バスキアの魅力、美術展の楽しみ方を聞いた。
バスキアの内面的な魅力とエネルギーを伝えたい
吉岡里帆
——音声ガイドへの意気込みをお聞かせください。
私自身、美術館で音声ガイドを使う時は、ガイドで初めて気がつく作品の魅力や発見に、とてもワクワクします。今回はバスキアという素晴らしいアーティストの展覧会で、初めて音声ガイドを務めさせていただくことになり、光栄に思っています。バスキアの内面的な魅力や、作品に対するエネルギッシュさが情報として伝わるよう、丁寧に声を入れていければと思います。
——バスキアのことは、以前よりご存じだったそうですね。
まだ本物を観たことはないのですが、『バスキアのすべて』というドキュメンタリー映画や画集を観るなどして、作品にも作家本人にも興味を持っていました。
——バスキア作品の、どのような点に興味をそそられましたか?
作品について言えば、色彩感覚。たとえば黄色の使い方です。鮮烈な黄色、まったりした黄色、ものすごく濃い黄色。それらに対して、真っ黒に見えるくらい暗い灰色や赤茶を組み合わせて鮮烈なコントラストを作ったり。色のバランスがすごく素敵だと思います。
——バスキアという人物には、どんなイメージをお持ちでしょうか。
私が考えるバスキアの個性は、少年性です。それは「自分らしく、自分の描きたいものを描く」というイメージからくるものかもしれません。27歳で亡くなってしまい、活動期間が10年と短いのですが、その間、どの作品においてもバスキアらしい魅力を更新し続け、新しい世界観を見せてくれます。
そしてエネルギッシュなところにも、興味を惹かれます。バスキアは貧しかった時代、キャンバスではなく街の壁や廃棄されたドア、部屋の冷蔵庫のドアにまで描いていました。自分で自分の表現を限定することなく、息をするように絵を描いている。描きたくて仕方がなくて、溢れてしまうように描いている。その感覚も魅力的ですよね。
作家その人を知ることで、見えてくるものがある
——アートを好きになったきっかけは?
両親はともに、絵が好きでした。私自身が書道をやっていたこともあり、展覧会で博物館や美術館へ足を運ぶようにもなりました。はじめて「絵って素敵だな」と思ったのは、自宅の玄関に飾られていたピカソのポスターがきっかけです。花冠をかぶった男の子が描かれた《パイプを持つ少年》という絵でした。香水やお花と一緒に飾られて、幼心に「我が家の素敵な空間」の象徴でした。絵にはこんなパワーがあるんだ、と感じた最初の経験です。
——先日の会見では、最近、現代美術もお好きだと伺いました。
はい。DIC川村記念美術館のマーク・ロスコの壁画(※)をきっかけに好きになりました。《シーグラム壁画》というシリーズが展示された、真っ赤な部屋があるんです。初めて行った時に、本当に感動してしまって。あの展示室は、ロスコを楽しむためだけに考え尽くして設計され、計画的に作品の配置を考えられたと聞きました。
※編集部注:ロスコは同作を、絵画ではなく壁画と定義しています。
——バスキアとロスコと、ともにパッと見では何を描いているかわからないことが多いと感じます。吉岡さんは、現代アートの作品を「難しい」「よくわからない」と感じることはありますか? その場合、どうされていますか?
どういうメッセージを受け取ればいいのだろうと、メッセージ性を考えはじめて、わからなくなることがあります。そういう時、私は作者自身を調べるようにしているんです。帰ってからでもいいので、気になった作品の作家を調べてみると、作家の歴史や、作品ができるまでの経緯を知ることができる。結果として展示されている作品だけでなく、「その人らしさ」を感じられるようになれば、感じ方も変わってくると思うんです。
バスキアは、まさにその体験をしていただくのにピッタリの作家。自由さや、創作に対するエネルギーなど、バスキアには人としてとても魅力があり、バスキアを知ればきっとバスキア自身を好きになります。バスキアを好きになった瞬間から、バスキアの作品すべてが魅力的に目に映るはずです。
——作品を通し、バスキアその人と出会う経験になりそうですね。最後に読者の方に、メッセージをお願いします。
バスキアの活動期間は10年弱ととても短いんです。しかし、3,000点以上の作品を残す驚異的なエネルギー、生命力で創作活動を続けました。どの作品にもバスキアの個性を感じ取ることができます。絵には、バスキアらしい自由さと、鮮烈な生き方が残っている気がするんです。ぜひ自由な心で、現代アートを楽しみにバスキア展へお越しください。

吉岡里帆が音声ガイドをつとめる『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』は、2019年9月21日(土)から11月17日(日)まで、六本木・森アーツセンターギャラリー (六本木ヒルズ森タワー52階)にて開催。世界から集まる約130点のバスキア作品を見逃さないでほしい。

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