ウソツキのマンスリー企画1本目 全
曲ラブソングで挑んだ“初ワンマンの
地”下北沢MOSAiC

USOTSUKA NIGHT STORIES 2019.6.22 下北沢MOSAiC
ウソツキが6月~8月に3ヶ月連続で行う東京マンスリーワンマンライブ『USOTSUKA NIGHT STORIES』の初回公演が、下北沢MOSAiCにて開催された。このマンスリーライブは3回とも違うコンセプトが掲げられており、6月は「#1 love」、7月は「#2 cosmo」、8月は「#3 party」。いわゆるリリースツアーとは一味違ったセットリストになるであろうと期待に胸が高鳴る。さらに下北沢MOSAiCと言えば、2014年4月1日にウソツキが初めてワンマンライブを開催した会場であることから、当然メンバーにとって思い入れも格別なはず。開催発表時点からファンの間で大きな話題となっていた。
ウソツキ 撮影=山野浩司
開演時間を少し過ぎた頃、客電が消えSEが流れると、メンバーが一人ずつステージに登場。SEに重なるように鳴らされたギターフレーズは、デビューミニアルバムの1曲目である「金星人に恋をした」だ。やはりこの会場で聴く「金星人に恋をした」には、特別な想いを感じた方も多いのではないだろうか。
ウソツキ 撮影=山野浩司
立て続けに「ボーイミーツガール」「夏の亡霊」を演奏した後、竹田昌和(Vo/Gt)が、「ようこそ!『USOTSUKA NIGHT STORIES #1 love編』が始まりました! 今日は全曲ラブソングをやろうと思っています!」とこの日のコンセプトを伝える。そして早くも“ラブソングのウソツキ”を決定付けた「一生分のラブレター」を披露して、会場の熱を一気に上げた。爽やかで切ない「春風と風鈴」、そして新たなイントロのアレンジが施された「心入居」と、藤井浩太(Ba)と林山拓斗(Dr)のリズム隊によるシンプルながらもファンキーなグルーヴで聴かせるミディアムチューンが心地良い。また「心入居」の後半では、サポートギター・小林広樹のエモーショナルなギターソロが炸裂。それにノせられるようにバンド全体がどんどん高まっていく様は鳥肌モノであった。
ウソツキ 撮影=山野浩司
「我々今年でデビュー5周年なんですよ。」と、初ワンマンライブをこの会場で行ったこと、持ち曲が12曲しかなかったことなど、懐かしい話で和やかなムードのMCを経て、久々に演奏されたのは「綿飴とりんご飴」。数曲後に演奏された「1、2、3、」(ウソツキで最初に出来た曲!)や「アオの木苺」など初期に発表され、ライブで披露されることが多くないレア曲が沢山組み込まれているのは嬉しいサプライズだ。
ウソツキ 撮影=山野浩司
ウソツキ 撮影=山野浩司
「コンプレクスにキスをして」では、竹田がハンドマイクで歌い、ステップを踏み、曲の後半では華麗な(?)ターンまで披露するエンターテイナーっぷりを観せる。そして次はワンマンお馴染みのコーナーになりつつある、「藤井浩太さんのベースの時間」。スリーフィンガー、タッピングなどを駆使して藤井がリスペクトするビリー・シーンばりに弾きじゃくるベースソロ。そのままアッパーかつ重厚な「水の中からソラ見てる」へ。途中で「アンダー・ザ・シー(リトル・マーメイド)」を挟み、再び「水の中からソラ見てる」へ戻るというニクいアレンジに満員の観客が熱狂した。「恋はハードモード」では竹田がギターソロを背面弾きで盛り上げ、「偽善者」では4つ打ちのキックに合わせて、ステージ上も観客も全員でジャンプして一体感は最高潮に。
ウソツキ 撮影=山野浩司
「これからもどうかウソツキを聴いていてください。本当にいつもありがとうございます。そんな自分の……何て言っていっていいのかわからないので曲にしました。」
竹田が感謝を述べて「名もなき感情」へ。歌詞とメロディと演奏が渾然一体となって感情をスパークさせる名演だった。
ウソツキ 撮影=山野浩司
本編のラストは「新木場発、銀河鉄道」。途中に出てくる<新木場発、〇〇へ>という歌詞を、そのライブが行われている地名に変えることが多いが、今日はもちろんオリジナル通り<新木場発、下北沢へ>。好きな人に会いに行く道中をロマンチックに歌った最高のラブソングだが、<また今日もお別れだね 銀河鉄道に乗って帰る さようならまた 逢いましょう 気をつけてどうか気をつけて>の箇所を聴くと、ライブが終わる切ない気持ちと、次はどんなライブが観れるかなという楽しみな気持ちになった。
ウソツキ 撮影=山野浩司
アンコールでは、現在レコーディング真っ最中で、秋を目指してリリース予定があることが発表され、その中から新曲である「0時2分」を披露。とても切実で、聴き手の心を震わせるような歌だった。そして竹田は「ラブソングを散々歌ってきましたけど、最後はウソツキなのでこの曲で終わります!」と「ラブソングは無力だ」を歌う。会場にいる全員が笑顔になる大団円であった。
ウソツキ 撮影=山野浩司
この5年間で生まれた“ラブソング”から厳選された全19曲を、いつもよりふた回りぐらい小さな会場で観る濃密な2時間。“ラブソング”と言えど、どれもがウソツキならではのユーモアと真理と切り口で、一筋縄ではない楽曲ばかりだと改めて感心した。やっぱり普通のバンドにはない面白さがある。次は7月20日、青山月見ル君想フで「#2 cosmo」が開催される。チケットはソールドアウトしているが、また今回とは全く違ったウソツキの魅力を感じさせてくれるに違いない。

撮影=山野浩司
ウソツキ 撮影=山野浩司

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