【インタビュー】Waiveの田澤と杉本
が語る“解散中”という新たな概念「
バンドにとって死を意味すると思うん
です、解散って」

平成最後の日となった4月30日、Zepp Tokyoで開催された<Waive GIG「サヨナラ?」愛しい平成よ>。令和初日の5月1日にLIQUIDROOM追加公演を控えていたにも関わらず、歌や演奏には出し惜しみ感が一切なく、曲を彩る印象的な演出や赤裸々なMCを含め、3度目の再演のフィナーレを飾るにふさわしいステージだと思えた。その様子は8月29日にリリースされるLIVE Blu-ray / DVDに丸ごと収められる模様なので、ご自身の目と耳で確かめていただきたい。
本来はZepp Tokyo公演のライブレポートをもってBARKSのWaive特集は終了する予定だったが、公演後、メンバーと会話した中で、やはり今回の再演を終えてみての感想や今後の展望を改めて尋ねてみたい、という想いが芽生えた。そのリクエストに快く応じ、以前ソロインタビューでそれぞれに語った田澤孝介(Vo)と杉本善徳(G / Vo)の2人がここに改めて、揃って登場してくれた。取材は公演後約3週間を経た暑い昼下がり。あのライブを感動的な美談に終わらせることなく、「負け」という強い言葉すら用いて悔しさを語っていたことには少し驚いたが、それだけにまだ見ぬ“次”のWaiveが楽しみになる、そんなエピローグ的インタビューになった。

   ◆   ◆   ◆

■ほんまに最後になるかもしれない
■みたいな気持ちで歌ってました

──2018年秋、田澤さん杉本さんそれぞれにインタビューさせていただいたときは、まだツアー<Waive TOUR「Wave to Waive」>も始まる前でしたので、一連の活動を終えた今、Waiveの今後についての温度感も変化してきているのでは?と思いまして。

田澤:なるほど。

杉本:言うても結構経ちましたね。早いですね。

──もう3週間が経ちました。まずはライブの振り返りから伺いたいと思います。

田澤:かなり前のことみたいに感じますね。

杉本:田澤くん、だってもう別バンドのツアーやってるんでしょ?

田澤:そう(笑)。体感で言うと、“まだ1ヵ月経ってないんや?”という感じですかね。
──
は、5月1日の追加公演を残しながらもかなりファイナル感があるというか、熱かったし、完成度も高かったと思うのですが。

田澤:今回、これはツアーの全公演常になんですけど、Zeppは特にそうやったかな……、終わりが近付くにつれて、勝手に“次があってもいい”と思ってるから“続きがある”イメージを持ってたけど、“これが最後の可能性だってあるじゃないか”とふいに思って。“なんでその可能性を俺は見失ってたんやろう?”って。だから、目が覚めたというかなんというか“これがほんまに最後になるかもしれない”みたいな気持ちで歌ってました。それはなぜか、5月1日より、Zepp Tokyoのほうが特に。

──気持ちが違うことによって実際、パフォーマンスも変わったという感覚はありますか?

田澤:ありますよ。頭から終わりまで“きちんとしたクオリティーで届けられるようペース配分を”とあれほど思っていたのに、“どうでもいいか、そんなん”って思いましたもんね。“今日が最後でも後悔せんように”って。“叫びたいなぁ。でも、今、叫んだことでこの後がダメになるんやったらやめておこうか?”とか、一瞬よぎることもあったんですけど、ダメになったらダメになったでもういいや、みたいな気持ちでした。そもそもWaiveはそういうテンションでやったほうがいいというか、勝手にそうなるからあまり我慢をしないんですけど、今回の再演は特にそうだったかもしれない。

──それは観ていても伝わってくるものがありました。

田澤:ほんまですか?それは嬉しいです。Zeppは映像収録が入っていたりで、いろいろと意識しなきゃならんことが多かったんですけど、そんな中で“とにかく悔いのないように”をテーマにライブしてましたんで。

──杉本さんはいかがでしたか?

杉本:……僕、もしかしたら記憶喪失かもしれんな、と思ってて。

田澤:あはは!

杉本:この2〜3週間は、Zepp TokyoのBlu-rayの編集作業を始めているので、他のメンバーよりはライブの音なり映像なりに触れてるんですけど。それがなかったら、本当にもうなにも覚えてないかもしれない(笑)。忘れた、とは少し違ってて。もしかしたら根本、フワフワしてたのかも。Zeppのライブは、本編が終わって楽屋に戻るなり、なぜか僕はその日のダメ出しを既にしていて。誰に対してというわけじゃなくて、総じて「これはダメだね。ここまでやってきたツアーの意味はなんだったんだ?」という話をしていたんです。この日に限らずライブのいい悪いというのは案外分からないものだと思うんですけど、手応えというか、ツアーでやってきたものをそのままステージで披露できているか?という意味で言うと、“なんか、まったく関係ないのないことをやっている気がするなぁ”という2時間だったので。“あれ? この間までやってたツアーはなんやったっけ?”みたいな感覚がすごくあったから。そういう意味で、ステージにいるうちから既に疑問を抱いてしまっていて。それによって地に足がついてないというか、フワーッとしちゃってたのかも。
──なるほど。

杉本:そういう、言葉にしにくい、形にも当然ならない感情があって、ライブが終わって後日、音に触れて改めて聴くと、“あれ? 思ってたよりもこうなんだなぁ”みたいな気付きが、またあったりもして。もっと下手クソなライブをしてる気がしてたけど、“案外聴けるなぁ”とかね(笑)。例えば田澤くんの言う“頭からブレーキ踏まないぜ!”みたいな感じを各々が持って……持ってたのかな? それさえも分からない。でも、出来上がりというか、まとまった状態で聴いたら、“あ、俺は自分の演奏にはこう思って、田澤くんは自分の歌をきっとこう思ってる、各々たぶん自分の音に対して思ってることはあるけど、観てる側は全部まとまった状態で観てるわけだから、そのときは“あ、やっぱりツアーの延長上にあるものになるんだな”と思えた。“やっぱりバンドは面白いな”と思うところはそこにあって。

──はい。

杉本:僕は特に、Waive以外はソロプロジェクトしかやっていないから、というのもあるかもしれないけど、どうしても“自分自分”みたいなところに入っちゃってたところがあって。でも、
(※MUCCPsycho le Cémuら同期との3マンイベント。2018年10月開催)のときにスタッフが撮ってたビデオを観て感じた、“え? なんか、バンドとしてちゃんと上手いな。おかしいな”という驚きが、今回もあって。若い頃によくあったけど、「今日のライブ最高やったよなー!」って楽屋に戻って言ったら、観てた人らは「ええ?」っていう。ファンのアンケートで評判のいいライブは、こっちにしてみれば不完全燃焼のことが多かったし。とにかく、観てる側とステージに立ってる側にはズレがあって、今回もそれがいつも通りあったんだろうなと。でも、やっぱり時が流れて年を取ったからなのか、経験を重ねたからなのか分からないけど、そのズレを“いやいや、お前ら分かってないなぁ!”と昔なら思っていたエゴが、“あ、そうなのかもしれないなぁ”と腑に落ちるというか。特にZepp TokyoとLIQUIDROOMとは全然違うコンセプトでやって、こっちとしては“LIQUIDROOMのほうが良かったんちゃう?”みたいな感覚でいたけど、観に来てた人らは“いや、今日のはこういうコンセプトだからこれでいいけど、やっぱりショーとしてはZeppのほうが良かったね”という意見が圧倒的多数だったから。発信者側だからエゴは必要だけど、俺らがやってることってショーだから、どこかエゴだけじゃない部分って大切にしないとなぁって。それが顕著に出たのかも。ただ、やってるときは、分かってなかった。

──今のお話を聞いて、田澤さんも思うところはありますか?

田澤:“分かる分かる! あるある!”と思いながら聞いてました。僕らはきっと、体感と結果が一致してほしいんですよ。でも、それはみなさんが観て、聴いて感じたものが答えですから。集まった人の数だけそれがあって。だから例えば、なにも考えずにクールにやってたのが、“ものすごくエモかった!”と言われることもあれば、その逆もある。難しいんですよね。明確にひとつの正解があることをやってるわけではないからね。
■Waiveというバンドが命を持った
■という感じはすごくしたな

──1本1本積み重ねてきたツアーの時間がとてもいいものだったんだな、というのは4月30日Zepp TokyoのMCを聞いていても感じることで、杉本さんからはWaiveに「救われた」という言葉がありました。ツアーで過ごした時間は、今振り返るとどういうものだったんでしょうか? ツアーが始まる前と比べて気持ちはどう変化しましたか?

杉本:Waiveは2005年に解散して、2010年、2016年と、なんだかんだ言って細かく活動していて、その都度「復活だ」とか「再演だ」とかいう言葉に対して疑問を抱きつつも(笑)、とはいえ、違う言葉は特にないし、みたいな中でやってきていて。今回はたしかに、Waiveというバンドが命を持ったのかな?という感じはすごくしたな。こんなに公演ごとの間も開いたツアーだから、“ツアー感出ないでしょ?”と最初は思ってたけど、めちゃくちゃツアーをやってる実感があったし。

田澤:うん。

杉本:言葉悪いけど、とても3ヵ月ダラダラと(笑)やったとは思えないぐらい、密度濃くメンバーとも過ごせたような気がするなぁ。

田澤:そうやなぁ。

杉本:久々に“Waiveがバンドをした”のかなって気はした、うん。
──どういうところが、これまでの再演と違ったんですか?

杉本:まぁ、当然本数が違ったというのはある(笑)。でも、なんなんやろう? 別にスタンスもそんなに変わらんしね。

田澤:うん、別になにも変わってないのにな。

──
で杉本さんは、「メンバー各自のWaive以外の音楽活動にはあまり触れないスタンス」だとお話しされていましたよね? そういう距離感をあえて保っている、とのことだったのに、2月にはRayflower (※田澤がヴォーカルを務める5ピースバンド)が出演した対バンライブを観に来られていて、すごく驚いたんです。ツアーの中でのやり取りが生んだ心境の変化なのかな?と思ったんですけど。

田澤:どうなんやろね?

杉本:いや、結局は些細なことの積み重ねみたいなところがあって。大きなきっかけとして“これだ”というのはないんですけど。

田澤:うんうん。

杉本:めちゃくちゃ細かいことを言うと、Rayflowerはその日、感覚ピエロと対バンをしていて、僕は前から感覚ピエロに“観に行く観に行く詐偽”をし続けてたんです(笑)。まずそれが一番外側にある理由。ただ、それは大義名分に一番しやすい、逆に言うとね。

田澤:まぁそうやな。ワンマンよりは来やすいやろうしな(笑)。

杉本:うん、楽屋に行かんでも自然やし(笑)。<MUD FRIENDS>ときの話に戻るんですけど、僕はとにかく自分のライブって後でビデオを観るようなことはないんですよ。作品として販売するものは観ますけど、それ以外の映像はもう10年とかのレベルで観てなかった。だから<MUD FRIENDS>のときに映像を観たのは、自分的にはかなり奇跡的な出来事で。で、それを観て“へ~!”という感覚がすごくあった。例えば、貮方(孝司 / G)は今もう楽器も弾いてなくて(※音楽活動から身を引いているため)明らかにプレイは下手なのに、“お、こいつ一丁前にバンドの一部になっとるわ!”とか(笑)。我々もなんだかんだ言ってスキルが増しているから、“じゃあ、この人の良さを活かしながら、我々が立ち位置をちょっと変えて、違うバンドとしてWaiveを成り立たせよう”みたいなことをちょこざいにみんながやるわけですよ。それを観て、“あぁ、なんか素晴らしいことができているなぁ”と感じたんですね。
──はい。

杉本:“田澤くんはこういうヴォーカリスト” “(高井)淳はこういうベーシスト”みたいな凝り固まった考え方を僕はみんなに対して持ってたから、“いつの概念で観てんねん、俺?”とふと感じちゃったんです。自分に対してもね。“俺ってこういうプレイをしてる人”と思ってたけど、過ぎていく時の中で自然と変わってきていて、“え? いつの間にか全然違うプレイヤーになってた”と気付いたし。それで、“田澤くんは、よそではどういう風に歌うんだろう? どうリードするのかな? 観てみたいなぁ”とも単純に思ったんですよね。生意気な言葉かもしれないけど、いいところも悪いところも俯瞰で観られるチャンスなのかな?と。自分らのバンドの場合はそうやって映像でしか観られないですから。他のメンバーがなにをやってるのか、生で観てみてもいいんかもなぁというのが、そのタイミングであって。Waiveのツアーリハーサルのときにそういう会話がチラッと出たんですよね。

田澤:うん、そうだった。

杉本:「Waive × wyseの横浜公演の次の日が、Rayflowerのライブや」って言うから、「じゃあ行きやすいし、行こうかなぁ」となって。

──そうだったんですね。カジュアルに、そんな話の流れになること自体、心境や関係性の変化を感じて胸が熱くなります。

杉本:正直に言うとね、10月の<MUD FRIENDS>を経て、2月からWaiveのツアーが始まって、そのためのリハーサルとかを重ね、映像とリハーサルの音を聴くことを繰り返している中で、“あ、Waiveって結構ええバンドやわ”って改めて思っちゃったんですよ。もちろん音楽の好みは人によって違うから良し悪しとは違う意味でですけど、自分は自分のやっていることを愛しているわけで……。それでも、“自分だけでやっているソロと比較してハッキリと感じる別の良さを我ながらも感じる”と思った。明確にそれを感じるぐらい、“あぁ、なるほどな”とかなり腑に落ちたところがあったので、だからこそ“観たほうがいいんかもなぁ”って。

──なるほど。

杉本:例えば、僕が田澤くんに対して、Waive以外での活動を観もせずに“こうなんちゃうの?”と話すんじゃなくて、観た上で“俺はこう感じたよ”と伝えて、そのことで10個言って1個でも“たしかに”と田澤くんが思うところがあって変わったりしたら、そっちの活動も良くなるだろうし、個人も良くなって、それが結局Waiveに還って来て、ツアーの残りのライブを良くしていくのかなぁ?と思ったから。単純に、“Waiveはいいものをやれてる”という感覚があると同時に、どこかで全員が、さっき言ってた“決めてるライン”を越さないようなところがあるから、“壊せる位置にいるのが自分なんじゃないのかな?”とも感じたんですよね。他のメンバーはお互いに、Waiveが活動をしていなかった期間も、人間同士のコミュニケーションだけじゃなくて、お互いの音楽活動の中でのコミュニケーションをしてきていて。唯一僕だけが“寄せつけないし、近寄らない”をやっていたと思うから、それをバリン!と割れば、バンドっぽくなるんちゃうかな?と感じたんですよね。
■解散が終わりだとは限らない
■という結論に辿り着くような

──「Waiveというバンドが命を持った」とおっしゃいましたが、まさに生きているバンドになったからこその行動だったと?

杉本:そう……だと思う。10月はしっかりとバンドができた気がしていたのに、ツアーが始まって、初日はとにかく“バンドをしなかった”ので。それは最初に話したみたいに自分の感覚だけかもしれなくて、“めっちゃバンドだぜ、イエイ!”と他のメンバーは思ってたかもしれないけど(笑)。僕自身は“うーん……”と思ってしまったところがあったんです。自分の状態も良くなかったし。でも1本目の柏公演が終わって“なんか違うんじゃないか?”となったからこそ、2本目のさいたまでガラッと違うものにできた感じはあった。これを1本1本手探りでやっていても、運みたいになっちゃうと良くないから。コンスタントに、確実に良くしていくために必要なものってなんだろう?と考えたときに、言ってしまえば僕的には強硬手段みたいなものが要るかもなぁ……とは感じたんですよね。

──そういう杉本さんからの一歩踏み込んだ働き掛けに対して、田澤さんはどう感じましたか?

田澤:ライブを観に来てくれた、とかについてですか? そうやなぁ……単純にうれしかったですしね、「観に行くわ」と言ってもらえたのは。だって僕のライブを俯瞰で観るのなんか、それこそ……。

杉本:20年ぐらいぶりやもんな(笑)。
田澤:そうそう、20年ぶり(笑)。地元のライブハウスで対バンしてた頃ぶりじゃない?っていう話で。仕事の都合でちょっとしか観てもらえなかったけど、その短い時間の中でもらった感想が、善徳くんはさっき「10個言ったうちの1個」とか言ってましたけど、全部当たってました。10個とも“確かに”と思えた。それを受けて、さっき善徳くんが言ってた“還元”じゃないですけど、Waiveでできることはフルでやり切ろうって改めて思いましたし。まぁ、今の出来事は要因のひとつに過ぎなくて。そういうちょっとした出来事が気持ちの中に染み渡る、と言いますか、なんと言いますか……。

──些細なことの積み重ねで、Waiveに対する気持ちが変わっていった、という感じですか?

田澤:変わっていったというよりは解放されてった感じですかね。正直、今回僕はWaiveに居心地の良さを感じてしまっていて。でも、そういう気持ちを押し殺すんじゃなく、もう認めてしまっていいんだと。関係値というかなんというか、古くからの付き合いというのはやっぱりデカいなと。それはバンドについてのやり取りもそうだし、そうじゃない何気ない部分でもそうだし。音を出してて“やっぱこれやな!”という感覚は、昔も今もあまり変わらないわけですよね。あったとしても“ここ上手くなったね”とか“上手くなったから良くなくなったね”とか、そのぐらいのもので。やっぱり、なんてことない瞬間に昔を思い出したり、言葉にせんでもわかることがたくさんあったり。音楽を鳴らしているときじゃなくてね。むしろそっちのほうでWaiveやってることを実感したというか。今までもそういうことはあったけど、今回はその状態が過去の再演に比べて一番ナチュラルだったと思うんですよ。それがなんでなのかは分からないですけどね。時間が経ったからなのか、みんなの心境なのか。

──そうなると、もっともっとこの状態のWaiveを観たくなりますが……。

田澤:っていう話になりますよね。でも、やりゃあいいってもんでもないみたいな。難しいですけど。

──“解散中”という状態を保ちながら、今後「またやろうよ!」となったら、「解散中だけど……」という枕詞をつけながら、というスタンスで行くんですか?

杉本:そういう感じがいいんじゃないですか、ね?

田澤:うん。

杉本:
に、MCの中で田澤くんが「ところで、解散中ってなんなん?」という話をしてきて(笑)。

田澤:「どう解釈するのが正解なん?」みたいな(笑)。
杉本:「なんとなくの感覚でみんな共有してるけど」という話が出て。僕ももちろん答えを持ってるわけじゃないけど、「ひとつの考えとしてこう思ってる」ということをそこで話したんです。解散ってバンドにとって……バンドに限らず組織にとって、ひとつの死を意味すると思うんです。“死人が生き返りました、良かったね!”みたいな話だと、“そいつ、たぶんまた死ぬで”みたいなのがあるし、“結局は形あるものだからいつかなくなる”というところは揺るがないですよね。Waiveっていうバンド名の意味合い(※権利を放棄する、の意)と一緒で、ちょっと変なバンドだから、世の中で“こういうふうにやっていけ”と言われてることとは常にズレた選択をしていくべきなんじゃないのかな?と僕は思っているので。スタンダードなバンドだと思われがちだけど、だったらなおさら、“いざ中に踏み込んでみたらこんなにも変なのか!”というバンドでありたいから。解散中という字面自体も変だけど、やっぱり“要するに、解散中ってことはまたやるってこと?”みたいなのも含めて。Waiveの解散に触れた人だとか、あるいはWaiveの解散中という文字に触れた人たちが、“解散が終わりだとは限らない”という結論に辿り着くような、なにか勇気のもらえるような活動をしているバンドになればいいな、と思うんですよね。

田澤:うん。

杉本:もちろん、活動を再開してそのまま「俺たちは二度と解散しないぜ!」と言っているバンドもあるし、それはそれでひとつの勇気なのかもしれないな、と思うんです。でも僕はやっぱり、“それって「解散しない」だけでしょ?”という気がどうしてもするんです。自然消滅していくような感じで、“もうそろそろ年やから、でけへんなぁ” “そろそろ人(観客動員)が入らんから、でけへんなぁ”とか、なんかの形でできなくなったことを、“でも俺たち解散しないって言っちゃったし”っていう理由で止めてるだけでしかないから。それって一見ポジティヴに見せているだけで、僕にはすごく商業的に見えちゃうところがあるので。

田澤:うん、そうやね。

杉本:そのへんを認めた上で、“僕らは解散してますからね。だから、活動があるほうがおかしいんですよ? ただ、またできたらいいね”というスタンスを貫くことが……特にWaiveは解散が結構重めだったバンドなので、言葉は非常に好きじゃないけど、罪滅ぼしにもなるんじゃないかな? あとはやっぱり、新しくファンとして入って来た人たちにとっても、“いやぁ、解散してくれてて良かった!”みたいな謎の言葉が生まれるのも面白いし(笑)。

田澤:そういう可能性もあるよね。いやぁ、解散中っていう概念はね、真似する人らが出てくると思う。

──新しい形を提示していますよね。

杉本:うん、そう思う。それぐらい希望のあることをできているんじゃないかな?という気はするんですよね。

──解散中と謳いつつも、“自由意志で、またやりたきゃやるでしょ”とメンバーそれぞれが思えている。その形が成立しているのは、バンドとして生きているから、という気がします。

杉本:正解は分からないですけどね。ただ、やっぱり僕らは発信する側だから、“なんとなくみんな復活してるし、復活しときますか”というわけにもいかんのとちゃうかな?って。そんな気がどうしてもするんですよね。
■来年が結成20周年という大義名分
■やるかやらないかは知らないけど

──田澤さんは“解散中”という言葉について、今、どう捉えていますか?

田澤:僕としては、京都公演のMCで本当に何の気なしに問い掛けたんですけど、もうめちゃめちゃ腑に落ちてます。僕らにとってもそれがひとつの望みなんじゃないですか? “本当にこれで終わりだ”ということではない、集まりたければ集まってもいい、という望み。なんか魔法が掛かれば。シンデレラみたいなものですかね? “12時まではOK!”みたいな(笑)。別にそれは1回じゃなくたっていいじゃん?っていう。そんな気がしてます。みんなでそういう話をしたわけじゃないんですけど、“またあったとして、それはそれでOKよね?”みたいな空気感があるんですよ。僕がそう感じてるだけかもしれないけど。それを受けていたからこそ、今回はツアー感が強かったのも……このままずっと続いていくようなバンドだとどこかで錯覚してしまうぐらいの……そんな感覚だったんですね。僕はこれをMCでも言ってたけど、「終わると思えない」というか。だから冒頭に言った、Zepp Tokyoを前に終わりが近づくにつれてちょっと正気に戻っていった、じゃないですけど、“あ、そういえば終わるんだったわ”みたいな。“また集まれると思ってるだけで、これがもしかしたら最後かもしれないんだ”と改めて考え直さないとダメなぐらいナチュラルに、Waiveのことをみんなバンドとして考えている状態だった、と。

──はい。

田澤:そうなったのはやっぱり、解散中という概念があの時点でハッキリしたからなんじゃないかな? 僕だけじゃなくて。貮方くんにとっても、淳にとってもそうだったんじゃないですかね? 解散中という概念が生まれるまでは、再演しては解散し直してる、みたいなところがあったんですよ。始まったら終わるから。期間限定であれ、再演して、二度目の解散、三度目の解散、みたいな感覚だったんです。だから、そういう意味では解散中という概念が生まれた、というのはデカい。
──繰り返しになりますが、では、これから先も解散中という名のもとに、みんなの気持ちがまた高まれば、いろいろ整えばやりたい、という感じですかね?

田澤:うん。

杉本:そうですね~。分かんないもんな、みんななに考えてるのか、正直。きっと“やりたくねえな”みたいな人は誰もいないんだと思ってるんですけど。

田澤:うん、そうそう。

──その度合いは分からないですもんね。

田澤:温度感はね。

杉本:そう、要は温度感ですね。大袈裟な言い方をすると、条件が各々にはあるっていうか。じゃあ「300本年間やろうぜ!」と言ったとき、「おう、いいよ!」と言えるやつと、「いやいや、さすがに困る」みたいなやつがいるとか(笑)。極論ですけどね。

田澤:「またやりましょう」という話が出たとして、それはOKなんです、きっと。「で……」みたいなところで、今の善徳くんの話になってきますよね。

杉本:でももうねぇ……やれることがないんですよ(笑)。

田澤:あぁ、それはそう(笑)。
杉本:これも大阪公演のMCで話したことで、今回のツアーは名古屋公演でいったん終わりだったんですけど、そこまでの全公演で唯一大阪(※Waiveの地元)だけが売り切れなかったんですよ。2005年以降、大阪公演が売り切れなかったのは初めてで。「解散しまーす! 再演しまーす!」という特需がついに切れた、という話を僕はしていて(笑)。

田澤:あはは!

杉本:別にそのこと自体はいいんです、適正値にいっているんだから。ビジネスのことを除くと、なにも間違ってなくて、いいんです。けど、やっぱりそうなるとひとつ弊害があるというか。「じゃあ、やろうよ!」と気軽に言えない要素が生まれたのは事実としてあって。解散中という言葉があるからまたやれる、というのもあるけど、無暗にライブをして“なんかよう分からんけど、もうでけへんな”という状況になってしまっても……。それって結局、解散中という言葉があるだけで、“復活してるバンドと一緒なんちゃう?”っていう。それもどうかね?と思っているので。そう考えると、その特需が望めないならば(笑)、全員をひとつにする、これはバンドだけじゃなくてスタッフもファンも含めて、大義名分として打ち立てられるのは、来年が結成20周年だというのがひとつ。やるかやらないかは知らないけど、勝手に訪れるであろう大義名分ですよね。この半年ぐらいで世界が滅びたりしない限りは(笑)。

田澤:うん。

杉本:それ以外は、もう自分らで作らないとダメになっちゃったから。もともと今回の再演プロジェクトが持ち上がったときに言っていた、謎のメジャーデビューに改めて挑戦してみる(笑)、とか。当初は漠然としていて、“解散してるバンドなんですよ。あっはっは!”で交渉決裂が続いたので、“解散中”という概念の説明を懇々としてみて、“なるほど! そういう新しいスタンスならアリですね!”と言ってくれる人に仮に巡り合えて、“じゃあやりましょう”となれたら、それがひとつのトピックになって我々を動かす可能性はある、とかね。あとはもう、億万長者になってるファンの人が現れて、“おぉ、君たちのプロジェクトに5億円ぐらい遣ってもらえないかな?”みたいなことを言ってきたら、“しゃあないっすね!”と(笑)。

田澤:ははは(笑)。

杉本:そういうことが起こってもおかしくないのでね。もうファンのみなさんもそれなりにお年を召されてるんで(笑)。

──事業に成功している方もいらっしゃるでしょう。

杉本:はい、いてもおかしくないので(笑)。例えばそういうことがあれば、“仕方なしに!”活動してもいいかな(笑)?

──いずれにせよ、なにかしら意味や意義を見出せるような活動をしていく、と。

杉本:そうじゃないとやっぱり、解散中という言葉におんぶに抱っこになっちゃうのは良くないですよね。例えば“5憶出そう”というパトロンが現れて、それにただ乗っかるだけじゃなくて、僕らが“8憶にして返しました!”みたいな。それならそれでいいし。とにかくそういうことができれば、やっていく意味があるのかな? ただ、なにを生んでいるわけでもなく、すべてが下降していく中で、“いや、でも僕たち解散中だからなんだってOK”みたいなのはさすがに……。ものを発信している側の人間として恥ずかしいとは思うから、そこをちゃんとしたいなぁ。
■サウンドになにもWaiveがないやん?
■みたいなものにしてしまおう、と

──生む、ということで言うと、今回の活動の中で「BRiNG ME TO LiFE」という新たな名曲が生まれて、ツアーで育っていきました。この曲にはどんな想いを込めたのでしょうか?

田澤:この曲に関しては、レコーディングのときのやり取りというのがあって。歌詞に対して感情を乗せるとか、そういうこととは違う方向の必須条件として、「どんな状態であれ、サビ前のあのパートは、ファルセットに逃げてはいけない。ああいうふうに鳴らさないといけない」というのがあったので。こうやって話すと、すごく技術的な話になるけれども、曲を届かせるという意味ではそこが必須なわけで。想いの話はその後、というか、想いが乗るとか乗らんは言うまでもなく、乗るわけですから。内容も歌詞を見れば分かるし。感情はもう、乗っかっていく分だけでいいんです、それで充分。大事なのはちゃんとそう聴かせることができるか。そう聴こえないと意味がない。逆に言うと、それが決まればちゃんと届くから。とにかくそこを守ることを僕は決めていました。

──ツアーが始まる前の段階では、Waiveとして活動していくにあたって、新曲は必要なのかどうなのか?という迷いも田澤さんはお話されていましたが。

田澤:うん、“要らん”と思ってた派でした、僕は。
──そんな中で、新しく生まれてきた曲を届けていくということに対して、例えば“あぁ、やっぱり新曲があるといいな”と感じたとか、気持ちの変化はありましたか?

田澤:“新曲があるといいな”という感覚とは違うかもしれないけど、でもこの曲に関しては、あって良かったとすごく思う。「Days.」(2016年の再演時に生まれた曲)がそうじゃなかったということではなくて、これは今じゃないとできない曲だから。全員がそうだったんじゃない? グルーヴとか、あとは……なんて言ったらいいんやろうな? ちょっとWaiveっぽくない、と言ったら失礼かな? 曲を生んでる人が一緒やからこう言ったらあれかもしれないけど。とにかく今。今やな!っていう感じがしたの。

──身に着けて来たものがある今だからこそ成り立つ曲、というニュアンスですか?

田澤:うん、そういうことなのかな?

──今だからこそできる曲だし、今届ける必然性もある曲だと感じる、という?

田澤:いや、そういう精神的なところではなくて、楽曲を演奏するというところにおいて。

──スキル的な面も含めてでしょうか?

田澤:でも演奏力ということだけじゃないんです。言い方が難しいけど、とにかく今じゃないと無理でしたね。前回の再演時にこの曲が新曲として出てきてたとしても、絶対今みたいにできてないって思う。

──作者である杉本さんはどうですか?

杉本:作曲とかそういう部分はちょっと置いておいて……僕、今回、案外誰にも話してないと思うんですけど、自分の中で“こういうふうにやろう”と決めていたことがあって。自分のギタリストとしての存在意義とか、存在するポジションとかを……それは物理的なことというか立ち位置とかではなくて、ちょっと変えようというのをすごく意識していたんです。演奏を含めて。2年前の再演のときに、比較的、解散後のWaiveで僕がやってきたことの完成形に至ってしまった感が自分の中であったので。自分のギタリストとしてのそのスタンスに対しては“もうええかな”と。

田澤:ほぉ~。

杉本:そう思っていたので。なので今回は、分かりやすいところでいうと、なるべく自分のいるポジション……ここでは物理的な意味で、そこから動かない、ジタバタしない。僕はバンドの中で、プレイも含め、一番破天荒なステージをやっていた人間だったんです。比較的オーソドックスなドラムとベース、そして超オーソドックスなバッキングギターの上で、訳の分からないフレーズを弾き、訳の分からない音色を鳴らし、時にはギターを弾かないし、頻繁にステージから客席に飛んで消えちゃうし……みたいなのが僕のスタイルになってしまっていたので。まぁ大人にもなったし、あとはさっきの話じゃないけど、貮方くんが今の生活のサイクルで考えると、どうやってもプレイそのものが上手くなるわけがないんだし。じゃあ、僕が少し彼を補わないと。さすがにアホみたいなギターを弾いてばかりいたら、“なんや、このバンド?”になるんちゃうかな?というのもあったし(笑)。レコーディングをしていてもそれは感じたことだったから、想像の段階からそうなっていくのは見えていたことで、“じゃあ、こういう曲にしよう”と思ったのは、あまり演奏に主張がないもの。もちろんメロディや歌詞には僕らしさは出てしまうのかもしれないけど、聴いた人が“え? サウンドになにもWaiveがないやん?”みたいなものにしてしまおう、というがあったんです。

田澤:あぁ~、やっぱりそうやったんや。合ってるやん、俺。
杉本:だってまず根本的に、ピアノで始まって。“ピアノ弾くメンバー、Waiveにはおらんやん”みたいな曲、これまでないから。とにかく自分がギタリストとしてなにも主張しないというところにいこうと思っていたので。それをやる上で、全員がどうやっても同じ立ち位置にいるような曲にしたい、と。それは“バラードだからいよう”みたいな気持ちでなるんじゃなくて、どう考えても演奏的にも動けないじゃん!みたいな曲にするために。これもWaiveはあまりやってないことだけど、“じゃあ全員でコーラスしようよ”とかも含めてやってみて。ドッシリとしたものをやれるバンドになってほしいな、という想いがあったので、それはすごく意識しましたね。2016年に再演をして、その映像を編集している中で観て思ったことだけど、田澤くんが比較的動きのあるヴォーカリストだし、下手側の2人もかなり動くんですよね。写真のチェックをしてても、とにかく下手の2人がステージの縁にいる率が高い(笑)。

田澤:今回、よく前に出てたね(笑)。

──積極的に煽るとか、アグレッシヴなパフォーマンスをされますよね。

杉本:にのっち(貮方)も、本人が“プレイで劣る”と思ってるからだと思うんですけど、その分パフォーマンスを頑張ろうとするから、動く。じゃあ僕は当時とは真逆になるべきなのかな?という気がすごくしたんですよね。Waiveじゃない活動の中で各々が、“自分はこうであるべきだ”というのを探してきてるんだろうし、僕は真ん中でギターを持ちながら歌う、ほぼ動かないスタイルを貫いてきたんだから、派手なパフォーマンスにアイデンティティーを求めなくても、そこにいるだけで存在をアピールできるギタリストになっているべきかな?と。めちゃくちゃ簡単なコードをジャーン!と弾いただけでも“おお~! あの人の音だ。あの人がその音でなんか言ってる!”みたいなところに……いけるかどうかは別として、そこを目指すべきなんじゃないかな?とすごく思ったんですよね。

──長く経験を重ねてこられたからこその境地だし、スタンスの移行ですね。

杉本:“上手い”は突き詰めると“もっと上手い”やつがおるなとなっちゃうんですよね。もう、きりがない。僕は“上手い”じゃないタイプだから、“上手い”を今から目指しても……と思うから、じゃあなんなんだろう?と。グチャグチャやっててもいいんか?というと、もうそこでもないよなぁ……と考えたときに、思い至ったのが“声”に限りなく近い楽器になれるというところだったんです。歌に近いじゃないですよ? 声に近いを目指すべきだ、と思ったので。今までは“歌うギター” “歌うベース”と人が言うのに洗脳されている部分があって、メロディックなフレーズを弾いていたり、和音を避けて弾いてたりすれば“歌ってる”と言われがちだし、自分も“歌ってる”と勘違いしながらやれると思っていたけど、いざ自分がヴォーカルとして歌ってみると、“それ関係なさ過ぎるやろ。むしろ鬱陶しいねんけど?”みたいなギターフレーズも多いから(笑)。

田澤:そんなことないけどなー。

杉本:じゃあやっぱり、“歌いやすいのに、この人もちゃんと主張してるね”というところにいきたい。でも、スタジオミュージシャン的なものには、経験値もそうだし、まず根本のスキルとして僕はいけないと思っているから。だとしたらやっぱり、バンドマンとしてとか、マルチなパートを経験した人間として、“ギターってこういう主張の仕方があるよね”という、引き算していっても自分が残るようなやり方を探したときに、こういう曲にいったんじゃないかな?と思ってるんですよね。
■落ちないようにしないと意味がない
■やるからには勝ちたいんですよ

──なるほど……。歌詞の内容に引っ張られてなのか、これはこれでWaiveらしいドラマを感じる曲だなと思って聴いていましたが、成り立ちはそうではなかったんですね。

杉本:うん、作ったときにそんなつもりはなかったですね。

田澤:結果そうなっていく、という可能性はあるからね。

杉本:そこはもう本当に受け手がすべてだという気がするから、そう感じていただいてるなら、そうなのかも。

──今回の活動の象徴として、先々振り返ったときに、“そういえば、あの曲が生まれたよね”と思い出させてくれるような曲になったのでは?と個人的には感じました。

杉本:Waiveは常にひとつ遅れてくる感じがありますからね。今回のツアーでこの新曲が生まれ、おっしゃっていただいているような形にいくのは、ツアーが終わる頃で(笑)。僕らとしては今回のツアーの頭のほうからこの曲もやってるはずなのに、“なんか「Days.」が意味持ってきたな”という感じがしていて(笑)。

田澤:今回、俺はそれが一番デカい。「Days.」がやっと育ったね!みたいな感覚はあるなぁ。

杉本:不思議なものですよね。
──時間が経ってようやく意味が分かることがある、と。

田澤:自分らが今なにやってるのか?って、理解できながらやってる人ってそんなにおるのかな? やっぱり人数がいっぱいいれば、まず書いた人の意図があって、それを違うパートのメンバーが演奏してひとつのことをやるわけだから、想いとか思惑がそれぞれにあるわけでしょ? だから、いろいろ経て、さっき僕は「曲が育った」と言ったけど違うな、逆やな。俺らが曲に追いついた。そんな気がするな。でも、それもやっぱり単純に回数を重ねたことで見える部分もあるやろうし、状況がそれを感じさせるときもあるやろうし。一回でそれを感じられるときもきっとあるやろうから。「BRiNG ME TO LiFE」についても、僕も今やっと、善徳くんの話を聞いて“あぁ、だからか”という答え合わせができた。だから次は……みたいな話になるけど、でももう活動は終わっているからね、みたいな(笑)。

──ライブはずっと前のことのように感じつつも、今回の再演プロジェクト全体を客観視する段階では、まだないんですかね? まだ渦中にいる、というか。

田澤:どうだろう? まだ終わってない気がするんですよ。一応スケジュールは終わったけど。ライブはだいぶ前に終わった感じはする、でも……。これがまた解散中という概念の賜物じゃないですか? “ほんまにもう二度とない!”みたいなことではないから。うっすらでも“次やるとしたら、じゃあ……”とか考えたりしてね。“次にツアーを回ったりライブするときは、この曲はああできるかな?”とか。まだなにも見えてないですけど、ゼロではない。まだない次のことを自然と想定している自分がいたりするので。

──解散中という概念のおかげで、緩やかなアイドリング状態が続いている、と?

田澤:うん、そんな感覚ではいますね。これが曲がって伝わると、さっき言ってたようなことが起こるわけですよ。解散中という概念にかまけて、その結果、同じようなことをしてしまう、ということが出てくるから。難しいことやと思うんですけど。

──次があるかもしれない、という温度感はよく分かりましたので、インタビューさせてもらえて良かったです。

田澤:次があるかもしれないし、やっぱりこれが最後だったかもしれない。でも個人的には、これが最後だったら嫌だなぁと思ってる。「(※声を張って)次も絶対やろうぜ、ウォーイ!!」とかではないけど(笑)、“これが最後やったら嫌だなぁ”と思いながら僕はやってたかな。

杉本:“ライブが成功に終わった”という表現をよく耳や目にするけど、一体成功ってなんのことなんだろう?とは思うんです。集客なのか内容なのか、なんなのか。我々もその答えは分からないし、成功とか失敗とかとは違うけど、勝ち負けだとしたら、なんとなく僕はZepp Tokyoは負けた気がすごくしていて。まぁ、数字が大きいだろうなぁ……。だから、せっかく気持ち良くツアーやってきたのに、「またやろうぜ!」といまいち意気揚々とは言えてない感じはある。“やりたくない”ではないんだけど、なんか悶々としてるところはあって。勝ち戦のままツアー全部を終えて、“俺たち、今めっちゃキてない?”とはなれてないんです。最後の最後で落とし穴みたいなのにスポーン!と落ちてる感覚がどうしてもあって。逆に、“だからこそもう一回やりたいな”はある、正直。そういう意味では、やることはある。ただ、むやみやたらにそれをやっても、その穴にもう一回“わーい!”って言いながら落ちて(笑)。

田澤:あはは!
杉本:“アホなの!?”ってなるから(笑)。次は落ちないようにしないと意味ないんだよね、というところかな。やるからには勝ちたいんですよ。もちろんライブは勝負じゃないけど、自分たちの中で戦ってる部分はどうしてもあるから。で、“あぁ、これはもう俺ら限界なんやな。勝たれへんねんなぁ……”というふうには感じていない。自分らの感覚としては、“え? 今回なんで負けたんやろう? これだけできたのに……”と思ってる部分が正直あるから。勝てる試合を負けてしまった感がどうしてもあるんですよね。自分としては、Waiveが本来持っているであろうポテンシャルをちゃんと全員が余すところなく発揮していれば、仮にZepp Tokyoに数字としては理想ほどは入ってなかったとしても、でも、一番後ろで壁にもたれて観てるやつにもちゃんと音がビシバシ届いてるぜ!と思えて、“数字はあかんかったけど満足やな”と思えてるのかもしれない。あの日の内容だと、例えばZepp Tokyoが売り切れてしまっていても、結果は同じことを思ったかもしれないし。僕は、会場に入ってる人のパーセンテージじゃなくて、“集まってる人に対して自分たちのやってることが刺さってる!と感じてる度”のパーセンテージが足りなかったんちゃうかな?と思うけど、どうなんやろう?

田澤:どうやろうな……。当然、「Waiveを初めて観たよ」という方も多く集まってくれてたでしょうからね。これまでやったことのない一番大きいキャパに、あれだけの人が集まってくれて。

杉本:観てる側とは全然違う感想かもしれないけど、“あれ? これまでのほうがシェア100%に限りなく近いことやってきたんちゃうかな?”みたいな感じがしちゃったんですよね。

──ステージ内容としてはすごく良かったと思ったんですけど。

杉本:みなさんそう言ってくださって助かったなって思ってます(笑)。あっ……(※ここで、杉本がお茶を服に盛大にこぼす)。

田澤:なにしてるのん(笑)?

杉本:距離が分からんから、頻繁にコレやんねんけど(笑)。

田澤:あぁ、飲み物と自分との?

杉本:うん、距離が分からんから……後ろまで届かないわけですよ!

田澤:上手い! これだけ聞いてたらちゃんと話が繋がってる(笑)。

──はははは(笑)。今回、悔しさを感じたところは次に取っておく、というのもアリですかね。

田澤:そうですね。

杉本:そういう意味ではね。ただ、悔しさだけで戦いに勝てるんだったら、みんな勝ちますからね。

田澤:だから、すごく難しいですよ? また綿密に道筋をつくらないと。

杉本:しかもエンタメは困ったことに、努力で勝てないですからね。格闘技とかだったら、相手より努力して、相手より強くなれば勝つんですけどね。

──それもまた真実ですね。でも、みなさんの人間力がさらに高まった状態でのWaiveを観られると信じています。Waiveの<2018~2019>の再演に人間ドラマを感じましたので、ぜひ次のステージも観たいです。

田澤:頑張りましょう、お見せできるように!

取材・文◎大前多恵
撮影◎Viola Kam (V’z Twinkle)
■LIVE Blu-ray『Waive GIG「サヨナラ?」愛しい平成よ』

期間限定通信販売 / 完全受注生産 ¥8,800(税込)
受付期間:2019年4月30日22:00-7月31日23:59
発送:8月29日リリース予定
購入 http://waive.shop/
▼本編映像
<Waive GIG「サヨナラ?」愛しい平成よ>2019.4.30 @Zepp Tokyo
Days.
FAKE
バニラ
PEACE?
君と微笑おう
わがままロミオ
One
ASIAN「noir」GENERATION.
Just Like Me
Dear
銀河鉄道
世界がすべて沈む-Pain-
spanner
あの花が咲く頃に
Lost in MUSIC.
assorted lovephobia
Sad.
ネガポジ (Negative&Positive)
ガーリッシュマインド
いつか
BRiNG ME TO LiFE
HEART.
▼特典映像
オマケ-1
・<Waive GIG 「まだ見ぬ”令和”へと駆け抜けてく」>2019.5.1@恵比寿LIQUIDROOMドキュメント
オマケ-2
・<全国ツアー「TOUR Wave to Waive」>ドキュメント

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