【レポート】A.B.C-Z五関晃一、初単
独主演舞台『奇子』は「穴ぐらに一緒
に入ったつもりでドキドキして」

A.B.C-Zの五関晃一による初単独主演舞台『奇子』のゲネプロおよび囲み取材が、本日7月19日に東京・紀伊國屋ホールにて行なわれた。
手塚治虫生誕90周年記念事業の一環として、今回が初舞台化となった『奇子』の原作は、『ビッグコミック』(小学館)で1972年から1973年にかけて連載されたもの。敗戦直後の東北の農村地帯で、大地主一族の遺産相続をめぐる骨肉の争いと恐ろしい欲望の果てにこの世に産み落とされた少女・奇子が、一族の体面のために土蔵の地下室に幽閉される物語で、少女監禁や近親相姦などセンセーショナルな描写も巧みに取り入れ、人間の心の闇や犯罪、グロテスクで過激な表現などを描いた、手塚治虫の“黒い”作品群のなかでも代表作ともいえる作品だ。

上演台本・演出を務めるのは中屋敷法仁。血族という逃れることのできない、鎖のような“絆”で縛られた一族を、より鮮烈で演劇的に表現している。
ゲネプロ後に行なわれた囲み取材には天外仁朗役の五関晃一、天外市朗役の梶原善、上演台本・演出を務めた中屋敷法仁が登壇。初の単独主演について、五関は「初めて聞いたときに、すごく単純に喜んだんですよ。話を聞いていくと、どんどんいろんなものが乗っかってきて(笑)。手塚さんの90周年とか。この作品の原作を初めて読ませてもらって、“こういうストーリーなんだ”って、だんだんプレッシャーを感じてきたんですよ。でも稽古場で中屋敷さんもそうですし、スタッフさんもそうですし、皆さんに助けられましたね」と振り返る。

大変だったことを尋ねられると、五関は「時代背景とかもそうですし、それぞれ(の登場人物)が持ってる欲もファンタジーに感じてしまうくらい、(現実と)かけ離れてる出来事だなと思っちゃったので、それをよりリアルに突き詰めていくのは大変でしたね」と答え、今回演じた天外仁朗と自身の共通点について「感情を吐露しないのと、人に相談しないところ」と語った。『奇子』の稽古期間中に、A.B.C-Zのメンバーに相談をしたかと質問されると、「しないですね」と即答。「そういう前情報なく、素直に(作品を)楽しんでほしいなっていうのが一番大きかったですね。ほかのメンバーもソロで舞台やドラマをやってるときは相談してこないです」と明かした。

五関演じる天外仁朗は右目に眼帯をつけている役のため、初めて眼帯を着けて稽古をした際には平衡感覚を失い、酔ったそうだ。両目で見ているのと変わらない見え方をする、透けた素材の眼帯も用意されていたそうだが、眼帯を着けた右側を見るときに首を向ける角度が変わってくるため、「ステージ上で嘘が出るんじゃないか」という理由で透けない素材の眼帯を選んだという、ストイックな一面が感じられるエピソードも披露された。
初単独主演舞台ということで、先日亡くなったジャニーズ事務所社長・ジャニー喜多川氏も喜んでくれるのでは、と問いかけられると、五関は「僕がひとりで舞台で立っているのを見るのは初めてなので、喜んでくれてると思います。ただ、ダメ出しをされないように気をつけなきゃなと。“言いたいのに言えないじゃないか”とイライラされちゃうので、そこはがんばります」と意気込んだ。

最後に五関は、主演は天外仁朗であるものの、「そのシーンごとに主演の人が変わるので、その分、それぞれの役とか、目を疑いたくなるような行為がどんどん押し寄せてくるので、みなさんも僕たちと一緒に穴ぐらに入ったつもりで、ドキドキゾワゾワゾクゾクしてください」と呼びかけ、囲み取材が終了した。

舞台『奇子』東京公演は7月19日〜28日まで紀伊國屋ホールにて、大阪公演は8月3日〜4日にサンケイホールブリーゼにて上演。
※手塚治虫の「塚」、手塚プロダクションの「塚」:正式表記は旧字体

公演情報

手塚治虫生誕90周年記念事業 PARCO プロデュース 2019
舞台『奇子』

■東京公演
2019年7月19日(金)〜2019年7月28日(日)
東京・紀伊國屋ホール

■大阪公演
2019年8月3日(土)、4日(日)
大阪・サンケイホールブリーゼ

原作:手塚治虫
上演台本・演出:中屋敷法仁

登場人物:
天外仁朗(次男)・・・五関晃一(A.B.C-Z)
天外伺朗(三男)・・・三津谷亮
下田波奈夫(刑事)・・・味方良介
奇子・・・駒井蓮
天外すえ(長男の妻)・・・深谷由梨香
天外志子(長女)・・・松本妃代
りょう・・・相原雪月花
山崎(親戚の医師)・・・中村まこと
天外市朗(長男)・・・梶原善

企画協力:手塚プロダクション
製作:パルコ
企画制作:パルコ/ゴーチ・ブラザーズ/にベル

特設ページ
http://www.parco-play.com/web/play/ayako/

[あらすじ]
青森県で500年の歴史を誇る大地主・天外一族。村では絶大な富と権力を誇っていたが、終戦後の農地改正法により、その勢いは静かに衰えつつあった。
太平洋戦争から復員した仁朗が帰ると、家には奇子という妹が生まれていた。それは父・作右衛門と兄嫁・すえの間に生まれた子だった。兄の市朗が、遺産ほしさに妻であるすえを差し出したというのだ。

「うちは異常な家だ!狂ってるんだ!」

そんな仁朗も、しかし、GHQのスパイとして仲間を売って生き延びて来た。
組織の命令により、さらなる陰謀に加担して行く仁朗。
仁朗の犯した罪、一族の犯した罪=奇子が複雑に絡み合い、やがて奇子は土蔵の地下に閉じ込められ、死んだことにされる。
それから十一年後、末弟・伺朗は強く反発している。

「うちの家系はまるで汚物溜だ。犬か猫みてぇに混ざり合って、そのつど、金と権力でもみ消したんだ…」

さらに十一年後、地下で育てられ続けてきた奇子は、伺朗により地上へと出される。隠蔽した罪や過去が、次々に暴かれ、やがて一族を滅ぼすことになる。地方旧家の愛欲、戦後歴史の闇を描く因果の物語。

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