名フレーズ「愛はどこからやってくるのでしょう」に、今、どう答える?

名フレーズ「愛はどこからやってくるのでしょう」に、今、どう答える?

名フレーズ「愛はどこからやってくる
のでしょう」に、今、どう答える?

2000年に発売された『LOVE2000』は、同年、シドニーオリンピックの女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子氏が、練習中や試合前にテンションを上げるために同曲を愛聴していたというエピソードもあり、国民的な大ヒット曲となった。
また、当時、約半年に渡りチャートインするロングセールスを記録したことは、メロのキャッチ―さはもちろん、hitomi自身が手掛けた歌詞が、世代を超えて支持されたからに他ならない。
あれから20年。『LOVE2020』に込められた“愛”を探る。

求められる曲を作ろう
──『LOVE2020』を作ろうと思った理由は?
hitomi:今、音楽番組とかを観ていたり、私自身が出させてもらったりする時に、新曲よりも「あの時のヒット曲を……」ってことが多くなってきてるなと思ってて。スタッフといろいろ話していく中で、だったら求められている曲を作ろう、と。それで『LOVE2000』のリメイク版を作ったらどうか、その方がたくさんの人に、聴いてもらえるんじゃないかと思ったんですよね。

──『LOVE2000』と『LOVE2020』では、歌詞が違いますね。ある意味、新曲と解釈できるくらい大きく変わっている。完成した歌詞がある中で、新たに書くのは大変だったのでは?
hitomi:最初は「どうかな、書けるかな」と思いながらも(笑)って感じでしたね。でも、日常の中で思いつく言葉や、フレーズを書き留めていって、組み立てていったんです。

──日常の中でということは、最近のhitomiさんの実体験が具体的に入っていたりも?
hitomi:例えば「テレビのコメンテーター 心とのギャップひた隠してる」とか、まさに自分のことです(笑)。コメンテーターとしてのお仕事をした時、「本当はこう言いたいけど言えない……」みたいな気持ちでいたんですよね。あとは「食べてみたらマズかった事でも 私の強さに変わってた」って部分。これまでの失敗とかを例えているんですね。
失敗から学ぶこと、得るものってすごく大きいなと思ってて。いろんな経験があるから、それがその人の身になっていくんですよね。痛い経験が無かったら、痛いと感じることも無い。でも、その「痛い」と感じることが、大切だと思うんです。「うっわー、本当、今もう死んじゃいたい」みたいな嫌なことがあっても、何年か後に「あぁいう死にたいくらい嫌なことがあったから、今すごく強いんだな」って思えたりする。私もそうだったから。
人生には、嬉しいことや楽しいことも大切だけど、それよりも大変だったことの方が、後々、自分にとって大きくて、しっかりした自分になっていくと思うんですよね。
『LOVE2000』は人生の中心になった1曲
──歌い出しの「愛はどこからやってくるのでしょう」という歌詞は、そのまま残されてますね。『LOVE2000』リリ―ス当時、めちゃくちゃマジョリティーのあるフレーズだな、聴き手思わず言いたくなるようなワンフレーズだと思っていました。
hitomi:じつは、デモテープの段階で、『LOVE2000』を作った方の仮歌が入っていて。「春はどこからやってくるのでしょう」って歌ってたんですね。
「どこからやってくるのでしょう」って部分のメロディーと言葉のハマりがすごく良くて、そこはそのまま使おうと思ったんです。で「自分だったら、春とか季節じゃ無くてなんだろう」って考えた時「愛」だったんです。それで「愛はどこからやってくるのでしょう」というのが最初に出て来て、そこから歌詞を書いていったんですよね。

──「愛」は自分の中で大きなテーマ?
hitomi:ずっとそうだと思います。歌を歌っていくことについても、もっと言えば人生においてもそう。人を愛するとか何かを愛していくこと。
きっと、皆さんの中にもあるテーマだと思うんですけど、自分の人生のテーマとして「愛」があって、歌い続けて今につながっているっていうか。だから『LOVE2000』は、自分の人生においての中心になった1曲でもあるんです。

『LOVE2020』でもテーマは「愛」
──20年経って、自分へ「愛」をもう1度問いかけているのが『LOVE2020』?
hitomi:そうですね。今回『LOVE2000』のリメイクということで『LOVE2020』を出すにあたっても、そこは外せないと思ったんですね。だから『LOVE2020』は、「愛はどこからやってくるのでしょう・2020年版」って感覚なんです(笑)。今の私は(「愛」について)こう思う、っていう。

──その問いかけに、答えは出ました?もしくは、hitomiさん自身、答えを求めているんですか?
hitomi:答えが出てない部分が多いですね。答えを求めているのかって言ったら……ひとつひとつ、自分の中で小さな答えは出てるのかもしれないけど、ずっと答えを探していくものなんじゃないかと思っていて。時代時代によって、感じることも違うから、自ずと答えも変わってくると思うんですね。
あと、答えはひとつじゃないというか。例えば、世代によって感覚も違うし、人それぞれ1人ひとり違うだろうし、私の中にもいろいろあると思うんです。自分が年齢を重ねて、人生を終えようとした瞬間に、「これで良かった」と思うのか、それとも「これで良かったのか?」って思うのかわからないから。

──なるほど。
hitomi:だからずっと「愛はどこからやってくるのかな」って考えて来たし、これからもずっと考えていくんだと思うんです。そうやって追及したから「いい生き方が出来ていたのかな」とか「ぶれずに生きられているんだな」って思うことが出来れば、それでいいと思うんですよね。

──人生のテーマは変わっていないということですね。では、変わった部分はありますか?
hitomi:ちょっと変わって来たなと思うのは、昔は、本物だけが美しいみたいに思い込んでいたところがあったんですけど、今はちょっと違ってきましたね。

──『LOVE2020』の歌詞の中で、そこが具体的に当てはまるフレーズはありますか?
hitomi:最後の「ニセモノだって愛せたなら ホンモノより輝き出す」ってところですよね。ここは、今の時代を表現したい部分でもあるんです。

──というと?
hitomi:例えば、昔はブランド物とかが、カッコいい、美しいとされていたと思うんですね。でも今は、ファストファッションもカッコいいって価値観がある。大量生産されていて他人と同じアイテムでも、自分らしく自分のものにしていれば、それがカッコいいとされているよねっていう。
歌詞では、『LOVE2000』の時の言葉を生かして「ニセモノ」って言葉を使っていますけど、決してファストファッションがニセモノってことではなくて。こう……ブランド品じゃないもの、本物とされているものじゃないものでも……っていう意味なんですね。この感覚は、昔……2000年当時と、今と、大きく違うところだと思って。歌詞に書いたんですよね。
LOVE 2020 歌詞 「hitomi」
https://utaten.com/lyric/sa19062801
脱・色眼鏡で得たフラットさ
──そういう変化をプライベートでも感じる瞬間がある?
hitomi:ありますね。本当……こだわり過ぎなくなったなぁっていうのはあるかなぁ。若い頃は色眼鏡で人を見がちなんですよね。私自身、色眼鏡で見られがちだったっていうか(一同笑)。

──ははははは(笑)。すごいな、過去の自分をありのまま受け止められている。
hitomi:(笑)。それが年齢を重ねて「あの時はあぁだった」ってわかって、無くなってきたんですね。どんな人でもいいところがあるんじゃないかって思うようになった。ちょっと言い方があれかもしれないですけど、歳をとると、こう……身体的にもいろいろ衰えてくるから、聴覚や視力がちょっと鈍くなっていく。それが、いい意味で都合いいっていうか。
見えすぎない、聴こえ過ぎないっていうか(笑)。だから「これはこうだろう」って決めつけも無くなって来ているんだと思うんですよね。ちゃんと接して感じて「どうかな」って考える。ひとつの情報だけでなく、自身でちゃんと確かめて感じようっていう。「自分はこうじゃなきゃいけない」みたいなのは、本当になくなって来ているように思います。
Text 伊藤亜希
Photo 愛香

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