(C)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

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【映画コラム】エルトン・ジョンの半
生をファンタジックに描いた『ロケッ
トマン』

 『ボヘミアン・ラプソディー』(18)で最終監督を務めたデクスター・フレッチャーが、エルトン・ジョンの半生を描いた『ロケットマン』が8月23日から公開される。
 エルトンの、ミュージシャンとしての天才的な才能、家族(特に父親)との確執、同性愛者としての苦悩、孤独、破天荒な私生活、仲間との友情とすれ違い、といった要素は『ボヘミアン・ラプソディー』のフレディ・マーキュリーの場合とよく似ているが、それとの違いは、エルトンの薬物更生施設での告白から過去にさかのぼっていく点と、エルトンの名曲をミュージカルシーンとして描いたところだ。
 フレッチャー監督は「今回は『ボヘミアン・ラプソディー』のような、時系列で客観的に描いたものではなく、エルトンの人生を、その浮き沈みも含めて、彼自身の視点で振り返るという構成。となると、ミュージカルの方が表現しやすいのではないかと思った。また、エルトンは、音楽の天才であり、型破りな創造性の持ち主であり、規格外の人。なので、単に出来事を追うのではなく、そんな彼の人となりや、内面、そしてソウル(魂)にフォーカスしたかった。そういう意味でもミュージカルという表現が最も適していると考えた」と語る。
 つまり、本作は実際のエルトンの人生を基にした一種のファンタジーなのだ。そして『ボヘミアン・ラプソディー』のフレディ役でアカデミー賞に輝いたラミ・マレック同様、エルトンを演じたタロン・エガートンが素晴らしい。歌も全て吹き替えなしだったというからあっぱれだ。
 ただ、本作には『ボヘミアン・ラプソディー』のライブエイドに匹敵するようなクライマックスがないので、無理に盛り上げようとして全体的に演出過多が目立つところがある。とは言え、ほとんどの曲をほぼリアルタイムで聴いた者としては、曲が作られた経緯や背景を改めて知らされて感慨深いものがあった。
 特に「ユア・ソング(僕の歌は君の歌)」が生み出されるシーンは、まるで素晴らしい魔法を見せられたような気分になる。作詞担当で相棒のバーニー・トーピンを演じた、『リトル・ダンサー』(00)のジェイミー・ベルもなかなかいい味を出していた。(田中雄二)

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