瀬名あゆむ

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吉本興業さんのギャラ問題、AV女優視
点で語ります!:瀬名あゆむのアイドル
革命! 連載21

地域発アイドルプロデューサーの月イチ連載

瀬名あゆむのアイドル革命!
第21回 吉本興業さんのギャラ問題、AV女優視点で語ります! こんにちは! 仙台と千葉のローカルアイドル『2ねん8くみ』プロデューサーの瀬名あゆむです。今回、本来なら前回予告したとおり、「ジャニーズ事務所さんの凄さ/第2弾」を書く予定だったのですが、前のコラムからこの1か月、あまりにいろんな芸能関係のニュースが起きすぎてしまっていて、内容を変更させていただきます。
 まずね、ジャニーズさん絡みにしても、<公正取引委員会がジャニーズ事務所に対して、元所属のタレントをテレビ出演させないよう圧力をかけた疑いがあるとして調査、注意した>、それに対して、<ジャニーズ事務所は「行政処分や警告を受けたものではありません」とし、圧力を否定>――っていうニュースが、いきなり出てきました。
 なんか、ジャニー喜多川さんがお亡くなりになってすぐこの「干した/干さない」の件が出てくるって、ああ、なんか、もう……。よく、〝カリスマが死ぬとひとつの時代が終わり、混乱が始まる〟みたいに言われますけど、まさにそれなのかなぁって……。元ジャニーズファンとしても、さらには北海道でのアイドル時代、事務所の方針に傷ついて辞めてしまった身としても(詳しくは私の著書『元アイドルのAVギャル瀬名あゆむ、アイドルプロデューサーになる』を読んでください!)、とてもとても複雑な気持ちです。少女時代にタッキーの大ファンだった私は、ジャニー喜多川さんの跡を継がれた滝沢秀明さんに、ぜひぜひ新しい時代を築いていただきたいと願うばかりです。タッキーなら絶対絶対やってくれますよね!
ギャラの取り分、芸人とAV女優 そして私が今回語りたいことは、吉本興業さんの問題、それも「契約とギャランティの問題」です。本当にいろんな問題を含みすぎるほど含んでいるこの問題だと思うんですけど、なにより私が驚いたのは、吉本さんが所属の芸人さんたちと「契約書を交わしていない。口頭で話してるだけ」という事実でした。それまでもよく吉本の芸人さんが「うちの事務所、契約書ないねん。口約束だけやねん」ってテレビで言われてましたけど、てっきりある種のギャグだと思っていました。芸能界トップに君臨する巨大事務所が契約書なしなんてありえないよね~って。そしたらそれが本当のことで、本当にびっくりしましたよ!
 さらに私が一番強く関心を覚えたのは、吉本芸人さんのギャランティの配分/取り分の問題です。記者会見で岡本社長さんが「取り分が9対1とか言われてますけど、それはない。だいたい5対5か6対4」と発言されたことに対して、吉本芸人さんたちがツイッターなどで続々と反論の声をあげられました。「5:5や6:4のわけがない! 9:1どころか、それ以下もあるわ!」みたいな。
 私は自分自身のAV女優時代のことを思い出し、振り返り、考えました。
 まずAV事務所とはきちんと契約書を取り交わしました。AVの場合、契約が口約束だけだと本当に恐ろしいですからね。さらに契約書とは別に「撮影に関するプレイのNG項目」みたいな書類も交わします。(ただその手の書類が、女優側の権利を守るためのものなのか、撮影する側の都合なのかについては難しい点ではあって、今現在でも問題になったりしているようですが……)
 でね、私自身に関しては、これは本当に個人のとっても正直な意見なんですけど、AV女優時代、事務所さんとの契約等で嫌な思いをしたことはほぼ一切ありませんでした。綺麗ごとにしてるわけじゃなく、真実です。北海道でのローカルアイドル時代のほうがね、ぶっちゃけ、ずっとモヤモヤすることが多かったくらいでした。
 AV時代、出演ギャランティに関しては、作品ごとの出演料を事前に明示してもらっていました。単体AV女優として3本のデビュー契約をしたとき、1本あたりの出演ギャランティは手取り100万円でした。その後、企画単体女優になってからは、だいたい1本20万円くらいでした。ただ企画単体=キカタンになると、1か月に何本も出演可能になるので(単体だと基本1か月1本)、キカタンで売れると単体並みに稼げて、しかも女優寿命も長くなるのでそれはそれで案外おいしかったりしました。だからね、私、ギャラの面でも不満を感じたことはなかったんです。「稼がせてもらってるなぁ」っていうのが実感でした。
私自身は本当のギャラなんて知りたくなかった ただ、出演ギャラの金額ははっきりされていましたけど、実際にAV事務所にメーカーさんから支払われた出演料がいくらなのかについては一切教えてもらっていません。っていうか、それはやっぱり「極秘事項」だった気がします。AV業界の場合、やはり特殊な世界で、単体女優の場合、最初にスカウトしたスカウトマンが永久的にギャランティの10~20%を得る――みたいな契約もあるんです。それは単体女優クラスの女の子をスカウトするのがとても困難だってことから生じた契約方法らしいんですけど。
 そういうややこしいAV業界ですけど、それでもだいたいギャラの取り分の想像はつくわけで、私の場合、今思えば、ほぼほぼ5:5か6:4くらいだったのかなぁと思います。良心的だったんじゃないかな。ただ実際のギャラの取り分のパーセンテージは、やっぱり最後まで絶対教えてはくれませんでした。
 でもね、私がAV女優だったとき、私自身、「実際に事務所に支払われているお金がいくらなのか?」については知りたくなかったんです。それはなんなんだろう、もし、それを知ってしまうと、「え~、私、これだけしか取り分がないの!?」ってどうしても思ってしまって、AV女優をやりがいを持って続けれなかったかもしれないから。「こんなに頑張ってるのに、そんなに搾取されてんのかよ!」みたいな方に気持ちがいっちゃうのが怖かったから。
 こういう気持ちについてはね、賛否両論あると思うんです。「それ、やりがい搾取だよ!」「自己洗脳だよ!」っていう意見も当然あると思うし、ある面ではそれが正しいのかもしれません。
 でもあのときのAVやってた私は、「実際のギャラの内訳なんか知りたくない。教えてほしくない」って思っていたんです。
 企画モノAVの撮影現場とかだと、いろんな事務所の女の子が集まってくるから、なかには「みんな、ギャラ、いくらもらってんの?」みたいな話をする子もいました。そのとき私はやっぱり「聞きたくないよ、その話」って思ってたんです。「お金中心になるとAVやる気持ちが萎えちゃうから、やめて!」っていう感覚でした。「お金はそりゃ大事だけど、でもそれだけで私はAVやってるんじゃないから!」っていう……。
 吉本の芸人さん、吉本じゃない芸人さんたちにしても、そんな気持ちは一緒なんじゃないかなと思います。「お金のためにやってるんじゃない! 好きでやってるんだ!」っていうシンプルな気持ち。そして、やっぱりどこかにそんな気持ち、情熱がないと、芸人さんやアイドルはやって行けないかなとも思います。AV女優に関しては……複雑ですね。お金のためだけに割り切ってやっている人も多い世界でもあるから。ただ、そうじゃない人、そうでもあるけどそうでもない人、もいます。何度も言いますけど、私自身がそうだったからね。お金の前に、気持ち。お金があっても、お金貰えても、気持ちがないと、前には進めないって――気持ち。〝芸事〟ってそうなんじゃないのかなあっていう――気持ち。
 ただ絶対にいえることは、「お金だけでやってるんじゃない」からって、お金のことをいい加減にしては絶対ダメってことだと思います。お金だけじゃないからこそ、逆に、お金のことくらいはキッチリしなきゃダメなんです。このことは、今、アイドル運営をやっている立場からも強く強く考えていますし、これからもずっと取り組むべき問題と思っています。
<月1回月曜連載>※「南にこ」の月1回連載と交代で掲載
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【瀬名あゆむ:プロフィール】
仙台&千葉のローカルアイドル『2ねん8くみ』プロデューサー。10代の頃に北海道のローカルアイドルとして活動し、メジャーデビュー寸前で挫折。その後、地方局TVレギュラー出演等をへてAV女優となり累計800本以上に出演した。1985年生まれ・さそり座・A型。
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