フジファブリックが
若者の光と影を描いた
『TEENAGER』は
ゼロ年代邦楽の大傑作
10代のパワーと集中力
そのグーグル先生の見立ては、2019年8月後半の時点だけの限定的なものであることも否定できないけれども、普通に考えれば、こちらが普遍的な“10代”のとらえ方であるとは思う。甲子園で決勝近くまで進むようなスポーツエリートなどの(この言い方は好みではないけれども)、いわゆるヒエラルキー上位のごく一部の人たちを除いては、普通の“10代”の多くは《自分の存在が何なのかさえ 解らず震えている》といったところではなかろうか(《》は尾崎豊「15の夜」より引用)。自我の未成熟さゆえに、時に無軌道であったり無鉄砲であったりしながら事を進めたり、その逆に答えの出ない自問自答について悩んだり、他者との距離の取り方に苦しんだりもする。すでに“10代”を通過した人であれば、これにはある程度、同意してもらえるのではないかと思う。たまに“もし10代の頃に戻れるとしたら…”といった問答を見聞きすることがあるけれども、個人的には、後先考えずに突き進める向こう見ずなところはちょっと欲しいかもと思ったり、人生の経験値は現在のままで身体だけが若返るようならそれも悪くないかもと思ったりする一方で、もう一度あの時期を丸っと過ごすのは正直しんどいかなと思ったりと、ちょっと複雑だ(あくまでも個人的には…です)。読者のみなさんはそれぞれの“10代”をどんな風に振り返るだろうか。
アルバム『TEENAGER』リリース後のインタビューで、志村正彦(Vo&Gu)はそのタイトルについて以下のように語っている。
“中学生~高校生のはちきれんばかりのパワーってあるじゃないですか。あの集中力に負けてはいけないと思ったんです。いろんなことを経験して、あの時とまったく同じことはできないけれど、これからも追い続けていくっていうことを象徴した曲が「TEENAGER」。アルバムもそうしたいと思ったんです。ロックをやる限り、永遠にロック少年でいたいという決意がありますから。26~27歳で少年というのもどうかと思いますけど(笑)、潔く言っちゃう。ジャケット写真は女の子がぶら下っていて、顔も引きつってる。それがロック。ロックの定義は重力に逆らうことなんです。丸くならないで尖っていたい、逆らい続けることがロックですから!”
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