シェリル・クロウの音楽人生を代表す
る1作、『スレッズ』

ミック・ジャガーにキース・リチャーズ、ボブ・ディランにエリック・クラプトン、ウィリー・ネルソンにジョニー・キャッシュ、さらにプリンスまでもが可愛がり、実演や作品で共演してきた女性シンガー・ソングライターはシェリル・クロウくらいだろう。

グラミー賞に32回ノミネートされて9回受賞、アルバム総売り上げ3500万枚以上を誇るそんな彼女が、約2年ぶりに10枚目のスタジオアルバムを完成させた。『スレッズ』…そう題されたこのアルバムは、数多くのレジェンダリーなミュージシャンといま勢いのある若手が参加してシェリルと共に演奏したりデュエットしたりしたもの。シェリルだからこそ実現した夢のアルバムであると同時に、彼女の音楽人生の集大成的な意味も感じさせる傑作である。
そんなふうにこのアルバムは、何よりシェリルが生き生きと歌っているのがとても印象的だ。初期や中期の作品群にあったヴォーカルの生命力が無理なく自然に甦っている。と同時に、重厚な曲では歌に深みと説得力がこれまでよりも滲み出ている。そしてそれこそが、自身の尊敬する大先輩たち及び後輩たちを招き、楽しく、ときにスリルも感じながらやり合ったことの、まさしく成果であろう。だからゲストの豪華さよりも、その中身の充実度と濃さが素晴らしいのだと、そう自分は言いたいのだ。さらにこうも言いたい。これは傑作『ディトアーズ』から11年ぶりで遂にものにした、シェリルの音楽人生を代表する1作でもあるだろうと。

文:内本順一

シェリル・クロウ 『スレッズ』

2019年8月30日世界同時発売
POCS-24014 2,808円(税込)
1.プルーヴ・ユー・ロング feat.スティーヴィー・ニックス、マレン・モリス
2.ライヴ・ワイヤー feat.ボニー・レイット、メイヴィス・ステイプルス
3.テル・ミー・ホエン・イッツ・オーヴァー feat.クリス・ステイプルトン
4.ストーリー・オブ・エヴリシング feat.チャックD、アンドラ・デイ、ゲイリー・クラーク・Jr
5.ビウェア・オブ・ダークネス feat.エリック・クラプトン、スティング、ブランディ・カーライル
6.リデンプション・デイ feat.ジョニー・キャッシュ
7.クロス・クリーク・ロード feat.ルーカス・ネルソン、ニール・ヤング
8.エヴリシング・イズ・ブロークン feat.ジェイソン・イズベル
9.ザ・ワースト feat.キース・リチャーズ
10.ロンリー・アローン feat.ウィリー・ネルソン
11.ボーダー・ロード feat.クリス・クリストファーソン
12.スティル・ザ・グッド・オールド・デイズ feat.ジョー・ウォルシュ
13.ウドゥント・ウォント・トゥ・ビー・ライク・ユー feat.セイント・ヴィンセント
14.ドント feat.ルシアス
15.ノーバディーズ・パーフェクト feat.エミルー・ハリス
16.フライング・ブラインド feat.ジェイムス・テイラー
17.フォー・ザ・セイク・オブ・ラヴ feat.ヴィンス・ギル

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