RADWIMPS、全国ツアー完遂!『ANTI
ANTI GENERATION TOUR 2019』 ファイ
ナル横浜アリーナ公演公式レポートが
到着

RADWIMPSが8月27、28、29日に横浜アリーナにて全国ツアー「ANTI ANTI GENERATION TOUR 2019」の追加公演にして最終公演を開催した。ここでは6月にスタートした長いツアーのフィナーレを飾った本公演の2日目の模様をレポートする。
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao
開演時間を少し回ったところで場内の照明が暗転し、最新オリジナルアルバム『ANTI ANTI GENERATION』のオープニングを告げるインスト曲「Anti Anti overture」がSEとして流れると、満員のオーディエンスから熱狂的な歓声が上がる。一転、厳粛としたムードの中で1曲目「tazuna」の演奏が始まる。降りしきる雨が映し出される演出の向こう側にはサポートの刄田綴色と森瑞希のツインドラムを擁する5人のメンバーがおり、ピアノの前に座る野田洋次郎(Vocal/Guitar/Piano)、ギターを持つ桑原彰(Guitar)、コントラバスを奏でる武田祐介(Base)の姿が確認できる。
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao
2曲目の「NEVER EVER ENDER」の始まりとともに、EDMの系譜に連なる躍動するビートとシンセフレーズがステージから放たれる。巨大なLEDビジョンには色鮮やかなモーショングラフィックが映し出されている。
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao
「会いたかったよ!」と野田が咆哮すると、そのままツインドラムのタイトかつダイナミックなリズムセクションがバンドサウンドを牽引する「ギミギミック」へ。そこからタブゾンビ率いる“タイタン・ゾンビーズ”と命名された4人のホーンセクションが登場した「カタルシスト」とつなげ、序盤の流れで早くもRADWIMPSの自由度の高い音楽性を提示してみせた。
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao

「フィナーレの3日間、2日目にきてしまったんで、名残惜しさがいっぱいなんだけど、ありあまるエネルギーが満ち満ちています。受け取る覚悟はできてますか!? 最高の1日にしましょう、よろしくお願いします!」
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao
そんな野田の挨拶のあとに鳴らされた「万歳千唱」で高らかに響き渡った野田とオーディエンスの〈なぁどうすんだよ!?〉〈おいどうすんだよ!?〉のコール&レスポンスは、いきなりライブのクライマックスを迎えるような様相を呈していた。いや、この日のライブは1曲ごとに山場を迎えるような瞬間の連続だった。たとえばホーン隊とともに繰り広げたジャズセッションからシームレスにつないだ「アイアンバイブル」にも顕著だったが、ツアーで熟成されたバンドのパフォーマンスはどの曲でも極まっていたし、各曲の連なりで大きな物語を描くようなセットリストの流れと映像やライティングの演出も見事だった。
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao
アリーナ中央に設置されたセンターステージにてミニマムなアンサンブルで披露された「I I U」と「そっけない」を経て、ものすごい緊張感が会場を支配し誰もが固唾を飲んだ「洗脳」と「PAPARAZZI」。特に「PAPARAZZI」における、カメラに追われながらトラップのビートをバックに徹底的に冷たく厳格なラップを独白する野田のパフォーマンスは鬼気迫るものがあった。そう、こういった強烈な毒味もまたRADWIMPSを形成する重要な要素である。
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao
野田が指揮者となって各メンバーの高い演奏力を際立たせる「おしゃかしゃま」を皮切りにライブは再びギアを上げていく。タイタン・ゾンビーズとMIYACHIを迎えた「TIE TONGUE」以降も熱量を上げながら本編後半に突入すると思いきや、2012年以降、毎年3月11日に発表している楽曲の一つである「夜の淵」で祈るようにして歌と演奏を紡いだのも印象的だった。
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao
「IKIJIBIKI」からアッパーに駆け抜けていった本編後半は、映画『天気の子』の主題歌の一つである「愛にできることはまだあるかい」によって閉じられた。『君の名は。』に続きRADWIMPSが再び劇伴制作を担当した新海誠監督の最新作『天気の子』はこのツアー中に公開され、今もなお観客動員数を伸ばし続けている。ミクロとマクロを同時に見つめるような、ささやかなのにスケールの大きなラブソングである「愛にできることはまだあるかい」におけるバンドの丁寧なアンサンブルを聴きながら思ったのは、映画同様にRADWIMPSの音楽像でありバンド像もまた社会現象を巻き起こした『君の名は。』のフェイズを更新してみせた、ということだ。
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao
アンコール。スペシャルゲストとしてステージに招かれたのは同じく『天気の子』の主題歌である「グランドエスケープ」のボーカリストを務めた女優・三浦透子。彼女の登場にオーディエンスは驚きと歓喜の声をあげたのは言うまでもない。
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao
「グランドスケープ」を奏でる前に、野田はこう言った。
「今年の初めくらいに一緒にやることが決まって、それからものすごく聴き込んでくれて、自分の歌にしてくれて。僕らもすごく幸せに思ってます。今日は誰一人聴いたことがない、フルバージョンでこの曲をお送りします」
光量の高いエレクトリックサウンドと重厚で力強い生音が融合したオケに乗る三浦の歌唱は、揺るぎなく澄み切った意思を感じさせる、じつに凛としたものだった。まさに記念碑的なコラボレーションがここに実現した。
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao
アンコール2曲目。
「『正解』という曲がありまして、みんなで歌いたいんです。全国どこに行っても1回として同じ声になることはなくて、この場だけの合唱になったらいいなって」という野田の呼びかけを経て、「正解」へ。「よーい、はじめ」というラストフレーズの大合唱が会場にこだました瞬間、今のRADWIMPSを語るうえで“合唱”が大きなキーワードになっていることも痛感した。
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao
そう、RADWIMPSというバンドの音楽はどこまでも生々しい人間味を帯びながらどんどん自由に、大きくなっている。そのことをまざまざと証明した素晴らしいツアーファイナル直前だった。そして、このツアーの手応えがどのように新たに生まれる楽曲にフィードバックされていくのか。おおいに期待したい。
RADWIMPS Photo by Takeshi Yao

文=三宅正一 撮影=Takeshi Yao

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