【インタビュー】ヴォルビートが語る
、スリップノットとのツアーの現状と
ビデオの秘密

8月28日に日本でも発売を迎えたヴォルビートの新作アルバム、『リワインド・リプレイ・リバウンド』が好評だ。これまでデンマーク出身のこのバンドの音楽スタイルは、メタルとロカビリーの合体、メタリカmeetsエルヴィス・プレスリーなどとも評されてきた。そうした形容からは、やや奇をてらったもののような印象を受けるかもしれないが、実のところ彼らのアルバムはフックに富んだポジティヴなロック・アンセムの宝庫というべきもので、今作でもその切れ味に磨きがかかっている。
彼らは現在、スリップノットの主宰による全米パッケージ・ツアー<ノットフェスト・ロードショー>に参加中で、スリップノットはもちろんのこと、ゴジラやベヒーモスと連夜ステージを共にしている。去る8月上旬、ちょうどこのツアーが始まったばかりのある日、電話インタビューに応えてくれたこのバンドのフロントマン、マイケル・ポールセンは次のように日々の手応えを語っている。

「反響は上々だよ。一緒にツアーしている4バンドすべてがそれぞれ違う国の出身だから、各国代表みたいな感じでひとつのパッケージに収まっていて(笑)、オーディエンスもフェス全体を楽しんでくれているようだ。確かに観衆のなかにはスリップノットのファン、ゴジラやベヒーモスのファンもいる。だけど俺たちは、自分たちの演奏で人々を納得させるというチャレンジが好きなんだ。自分の曲を聴いたことのない人たちの心を勝ち取るというのは、通常のライヴより挑戦の度合いが高いことだけど、それを楽しんでいるんだ。実際、そうした人たちも俺たちが4~5曲演奏したあたりから好反応を示し始めるのが常だし、そこで新しいファンを獲得することができたことを実感できる。そういうところがツアーというものの醍醐味でもあるよね」

今作には何人かのゲストが参加しているが、エクソダス、スレイヤーのギタリスト、ゲイリー・ホルトもそのひとり。「チープサイド・スロッガーズ」という楽曲でのコラボレーションが実現している。その経緯について、マイケルは次のように説明している。

「あの曲は、実はアルバムの全曲が出揃った後に追加で書いた3曲のうちのひとつだったんだけど、その時点で作業が一度終わっていたから、ロブ・カッジアーノ(G)はすでにアメリカに戻っていてね。そこで、彼にあまり手を煩わせるのも申し訳ないなと思い、誰かこの曲にゲスト参加して、いつもとは違う新鮮な何かをもたらしてくれるギタリストはいないかな、と考えたんだ。そこでゲイリーに持ち掛けてみようと思い付いたのは、彼ととても仲がいいだけじゃなく、あのパートがとてもヘヴィで、彼のギターと相性がいいだろうと思えたからなんだ。彼は本当にナイスな人だし、ヴォルビートの音楽が大好きだと言ってくれている。だからソロを弾いて欲しいとオファーしたらすごく喜んでくれたし、いつもの俺たちの音とは違う素晴らしい仕上がりにしてくれた。アルバムに特別なものをもたらしてくれたと思う」
また、この楽曲のビデオ・クリップでは、ミニ・ヴォルビートとでも呼びたくなるような子供たちがバンドを演じており、終盤にはゲイリー・ホルト役の少年まで登場する。そして当のメンバーたちは一切そのなかに登場しない。かつてクイーンも「ザ・ミラクル」のビデオで子役を起用したことがあったが(クイーンの場合は本人たちも出演している)、そんな話をぶつけてみると、マイケルは次のように答えていた。

「要するに、俺たちがビデオを作るのが大嫌いだからああいう作り方にしたってわけ(笑)。ビデオ撮影が好きじゃないというバンドは多いと思うよ。やっぱりそれなりに演技もしないといけないし、そんな時間があるんだったら俺はステージに立って本業をやりたい。だからあの時も、『メンバーが登場しないビデオを作ろうぜ』と提案したんだ。『俺たちに似たキッズを探してきたら、楽しいものができるんじゃないか?』とね(笑)。結果、キッズはみんな素晴らしい仕事をしてくれたよ」

あくまでステージに立つことが本業だと言い切るポール。ライヴ・バンドとして絶大な支持を誇る彼らの再来日実現が待ち遠しいところだが、まずは彼らの自己ベスト更新作というべき今作『リワインド・リプレイ・リバウンド』をじっくりと楽しみたいところだ。ちなみに前二作を共に全米アルバム・チャートのトップ10に送り込んでいる彼らの人気は完全にワールドワイドなものだが、母国での支持も当然ながら根強く、今作もデンマークのナショナル・チャートで2位を記録している。日本での認知は世界的にみれば遅れていると言わざるを得ないが、このアルバムを入口としながら多くの音楽ファンにヴォルビートの魅力を知って欲しいものだ。

取材・文◎増田勇一
■アルバム『リワインド・リプレイ・リバウンド』

2019年8月28日発売
SICX-132 ¥2,400+税
01. ラスト・デイ・アンダー・ザ・サン
02. ペルヴィス・オン・ファイアー
03. リワインド・ジ・エグジット
04. ダイ・トゥ・リヴ (feat. ニール・ファロン)
05. ホエン・ウィー・ワー・キッズ
06. ソーリー・サック・オブ・ボーンズ
07. クラウド9
08. チープサイド・スロッガーズ
09. メイビー・アイ・ビリーヴ
10. パラサイト
11. リヴァイアサン
12. ジ・アウェイクニング・オブ・ボニー・パーカー
13. ジ・エヴァーラスティング
14. 7:24
15. アンダー・ジ・インフルエンス
16. イモータル・バット・デストラクティブル
17. アンダー・ジ・インフルエンス(デモ)
※M15〜17は日本盤ボーナス・トラック

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