BIGMAMA『RUSH BALL 2019』クイック
レポート ーー全8曲に込めた、ロック
バンドの確固たる姿

『RUSH BALL 2019』BIGMAMA
アントニン·ドヴォルザークの交響曲第9番。この言葉だけを聞いても、大半のロックファンはちんぷんかんぷんだろう。かくいう私もそうだ。でも、BIGMAMAの「荒狂曲“シンセカイ”」を聴けば、「あの曲だ!」となる人は多いだろうし、それとは逆に、街中でクラシック音楽が流れていたら「BIGMAMAの楽曲のフレーズに使われている曲だ」と気づく人もいるだろう。それくらい、BIGMAMAによるロックとクラシックの融合は何の違和感もなくなっている。
BIGMAMA
『RUSH BALL 2019』、イベント前半戦を締めるBIGMAMAの登場に会場は大きく沸いた。金井政人(Vo.Gt)が「喜びの歌を」と1曲目「No.9」へ。ベートーベンの交響曲第9番の名フレーズを取り入れた楽曲、歓喜の歌として作られたという合唱曲はもちろんバンドでも同じ意味を持ち、愛溢れるリリックにオーディエンスはみな大合唱で応える。「もっと自由に、それぞれのやり方で楽しんで」、金井の言葉はクラシックをロックに再構築したバンドだからこそ、なんだか大きな意味合いを含んでいるようにも感じる。
BIGMAMA
東出真緒(Vio.Key.Cho)が紡ぎ出す旋律の美しさは言うまでもなく、メンバーの誰よりもアグレッシブなプレイを見せる彼女にはついつい視線を奪われてしまう。もちろん、BIGMAMAの強みはロックバンドとしての屈強さだ。リアド偉武(Dr)の硬派なビートはバンドの骨組みをしっかりと支え、より壮大なサウンドを作り上げていくし、安井英人(Ba)の打ち出すリズムはロックバンドたる姿をしっかりと印象付けてくれる。
BIGAMAMAに惹きつけられる魅力はいくつもあるが、そのひとつは真っすぐで、時にユニークな詞世界だ。「SPECIALS」で《僕らはSPECIALS》なんて歌われて、同調しないわけがなく……。オーディエンスがみな高く高く手を掲げ、彼らの音に、詞世界にどっぷりと浸かる、その姿を観ているだけでなんともいえない多幸感がやってくる。
BIGMAMA
ステージ後半、「荒狂曲“シンセカイ”」では柿沼広也(Gt.Vo)と金井のツインボーカルが楽曲のテンションを高め、感情昂らせるギターフレーズを響く。そこへメンバー全員の音が次々に重なり、ぶつかりあい、より高みへと昇りきり、全8曲のステージはあっという間に幕を閉じた。
取材・文=黒田奈保子 撮影=森好弘
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