【インタビュー】Apes From Nine、怒
りが原動力の4ヵ月連続リリース第一
弾「現代のスピード感はバンド側にも
魅力的」

Apes From Nineが9月より12月まで、4ヶ月連続でシングル3作品、アルバム1作品をリリースする。その第1弾から第3弾は「HEAVEN」「EARTH」「HELL」と題された3枚のシングル作品であり、“「HEAVEN」=朝”、「EARTH」=昼”、“「HELL」=夜”からなる1日をテーマとしたもの。サウンドは全編、経験と技量の高さを駆使したApes流メタルチューンでありながら、シングル3部作には異なるテイストが封じ込められるという。
4ヵ月連続リリースと併行して4ヶ月連続ツアー<【HEAVEN】【EARTH】【HELL】3style TOUR>も実施されることが約束された今回のプロジェクトは、量、質、そしてスピード感を重視したApes From Nineの現代シーンに対する意識の高さの表れでもある。そして9月4日にリリースされた第一弾シングル「HEAVEN」収録曲にはヘッドバンギングがマストな濃厚な朝が描かれた。

BARKSでは全3回にわたってApes From Nineのマンスリーインタビューを掲載していく。その第一弾は、4ヵ月連続リリース&ツアーの真意、各作品のテーマ、そして第一弾シングル「HEAVEN」のサウンド&ヴィジョンだ。バンドの舵取りを担うドラマーの岡本と全曲の作詞作曲を担当する耕史朗に訊いたロングインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■絶望感が怒りに変わった
■ヘヴィメタルの原点は怒り

──9月から4ヶ月連続の音源リリースと、精力的なライブ活動がアナウンスされました。まずは、この怒濤のリリース&ライブ展開の経緯などを話していただけますか。

岡本:実は僕ら、<Wacken Open Air 2019>出場権をかけたオーディション『Metal Battle Japan』に応募したんですよ。決勝までいったんですけど、結果、破れまして。その時に、これまで味わったことのない感情が生まれたんです。もちろんオーディションに落ちた経験はあるけど、その時とは全く違って。絶望に近いというか、これまで自分達が生きてきた時間を全否定されたような感覚に陥ったんです。その翌日にマネージャーのところに行って、その足で渋谷のライブハウスを9月から12月まで押さえたという。

──転んでもただでは終わらない、という意欲を感じます。

岡本:絶望感が怒りに変わった、というか。意味は後付けですけど、ヘヴィメタルの原点って怒りだと思うんですよ。僕は今まで、 “いいものをつくりたい” “自分が思い描いた存在になりたい”という思いで音楽をつくってきた。つまり、怒りに任せたことがなかったので、ある意味ではすごく感情的だったかもしれないですね。結果、4ヶ月連続ツアーを実行して、それに合わせて音源リリースもしようと決めたんです。
▲耕史朗 (Vo&G)

耕史朗:4ヶ月連続リリースの話をレーベル側からいただいたときは、純粋に嬉しかったですよ。俺は曲を作るのが好きだし、ライブをするのも好きだから、バンド漬けの日々になることは嬉しいんですよ。だから、レコーディングを含めたスケジュールを聞いて、“時間があまりない中でやらないといけないことが多いな”とは思ったけど、それをツラいとは感じなかった。逆に気合いが入るというか、モチベーションが上がりました。

──精力的な動きはファンのみなさんも嬉しいと思います。4ヵ月連続リリースの第一弾から第三弾は「HEAVEN」「EARTH」「HELL」と題された3枚のシングル作品であり、“「HEAVEN」=朝”、「EARTH」=昼”、“「HELL」=夜”からなる1日をテーマとしたものになることが明かされています。

岡本:朝に合う楽曲とか、夜に合う楽曲を収録するということではなくて、観念的なテーマなんですよ。それぞれのシングルタイトルは和訳すると“天国”、“地球”、“地獄”じゃないですか。“EARTH”には“現世”という意味を込めているので、楽しいこと、ツラいこと、なんでもない日常といった、人生の森羅万象を表現しているんです。一方で“朝”、“昼”、“夜”は時間の経過。ジャケットのアートワークも「HEAVEN」は明るくて、「EARTH」はもっと明るくて、「HELL」は暗いという流れにしようと思っています。

耕史朗:音楽的なことを言うと、第一弾の「HEAVEN」にはApes From Nineというバンドの音楽的なセールスポイントをうまく出せたかなと思う。
▲第一弾シングル「HEAVEN」

──では、その第一弾シングル「HEAVEN」について訊かせてください。連続リリースということで、テーマに則した制作だったんでしょうか?

耕史朗:まず最初に思ったのは、“俺がたくさん曲を作って、その中から収録曲を選びたい”ということで。だから、内容や方向性といったことよりも先に、曲を揃えようと。短期間に24曲くらい作ったんですよ、なにも考えず。

岡本:しかも耕史朗は、フル尺のデモを作ってきたんですよ、曲の欠片ではなく。“すげえな”と改めて思いましたね。

耕史朗:いや、そのほうが早いんですよね。たとえばサビとかリフだけを作って、全員でスタジオに入ってセッションとなると、時間がかかるんです。特に今回は制作時間がなかったし、1人でデモを作り込んだほうがスムーズだろうと。そうやって24曲くらい作ったものをみんなに聴いてもらって、マネージャーも交えた全員で選曲投票をしたんですよ。結果、全員が一致して投票したのが「I am GOD」で、第一弾シングルのリード曲に決定したという流れです。

岡本:「I am GOD」は古いものと新しいものがしっかり融合されているんですよね。知っている人が聴くと“ジューダス・プリーストっぽい”と感じるリフかもしれないけど、歌はジューダス・プリーストとは全く違うもので、ビートアレンジも新しい。モノマネで終わらないところまで昇華していたし、なによりパンチがあったので、僕は1票を投じました。

──「I am GOD」はラウドなメタルチューンで、決してメロディアスではないのにキャッチーという独自テイストが光っています。歌詞についても話していただけますか。

耕史朗:歌詞はタイトルどおりというか、“神は自分自身だ”ということを歌っています。要するに“良い人生になるのも悪い人生になるのも自分次第”だと。誰かを頼って生きるより、自分仕切りの人生のほうが充実感も責任感も生まれて、楽しいんじゃないかということを歌詞に詰め込みました。

──“I am GOD OF METAL”みたいなメタル賛歌かな?と思いきや、実は人生哲学だというのがいいですね。

耕史朗:内容はかなりリアルです。日本語にするとフォークとまでは言わないけど、そういうノリはあるかもしれない。英語詞だけど決して難解ではないので、読んでもらえると嬉しいです。
■音楽をスピーカーで鳴らして聴く時代じゃない
■であれば、イヤフォンで聴くヘヴィメタルを

──「I am GOD」のレコーディングはいかがでしたか?

岡本:デモのコンセプトがしっかりしていたのでドラムレコーディングは特にハマることもなくスムーズに。意識したのは、速いセクションに続くキックのつなぎをキッチリすることくらいです。

──ビートチェンジがありますし、遅い2バスや高速2ビートなども出てきて、ドラムの難易度は高いと思います。

岡本:Apes From Nineの楽曲のプレイが難しいのは、いつものことなので(笑)。

耕史朗:そういうジャンルだから(笑)。

岡本:そうそう(笑)。たしかに難易度は高いけど苦労したという印象はない。現代のメタルはよりフィジカルに特化しているんですよ。渋谷系メタルとかはヤバいヤツが本当に多いので、そこから目を逸らさずに戦っていきたい。年齢的に、昔取った杵柄的な貯金がそろそろなくなる時期でもあるので(笑)、もう一回、鍛え直さないといけないことを感じていて。そこへの挑戦も視野に入れました。リスナーにプレイヤーの年齢を感じさせてしまったら、もうメタルじゃないと思っているんですよ。丸くなるのはもうちょっと後でいいかな。
▲蝶名 (G)

──今はトリガーやサンプリングなどを使えば、軽く叩いても迫力のある音を出せる時代ですよね。でも、今作のドラムはフルパワーで叩かないと生まれない圧や空気感がカッコいいです。

耕史朗:それは俺のミックスのおかげもあるかな(笑)? 毎回、ドラムの音や質感にはかなりこだわってミックスしているんですよ。メタルサウンドはドラムが果たす役割が本当にデカいから。

──なるほど。ギターに関してはいかがですか?

耕史朗:俺は常にリズムを意識しているんです。音楽ではリズムが一番大事な要素のひとつ、ピッチもそうですね。Apes From Nineはチューニングが低いから、それをクリアに聴かせないといけないんです。テンポが速くなればなるほど、チューニングが低くなればなるほど、ピッチが見えにくくなるじゃないですか。その辺の戦いはいつもあって、「I am GOD」もリズムとピッチを意識して弾きました。

岡本:ハードロック/ヘヴィメタルは、リズムに対するギターのリフやバッキングのガッチリ感が重要というのがあって。ロックはドラムとベースが大事だと言われがちだけど、メタルはドラムとギターだと思っているんです。耕史朗のギターは、いつも縦のリズムをしっかり出してくれるんですよ。

──耕史朗さんのリズムやキレのよさは本当に心地いいです。さらに、この曲では長尺のギターソロも弾かれていますね。

耕史朗:ギターソロだけ切り取っても1曲として成立するように、起承転結を意識して作ることが多いんです。要所要所に歌いたくなるフレーズを入れ込んだり。「I am GOD」は、まさにそういうアプローチで構築したソロですね。一時期、なにも考えずにペンタトニックをベースにしたアドリブばかり弾いていたんですけど、ある時、“つまんねぇな。だったらギターソロはいらない”と。だからといって、ギターソロをなくしてしまうと、当時、“ギターソロはダサい”みたいな空気があったので、そのムードに迎合しているみたいで嫌だったし。弾くのであれば意味のあるものを、と思ってフレーズを構築するようになりました。
──「I am GOD」のソロはストーリー性のある展開とテクニカルでエモーショナルなプレイが相まって本当に魅力的です。それと、耳に対する“ギターの近さ”も注目といえます。

耕史朗:それもいつも意識しているところで、作品ごとにパワーアップできているかなと思う。近くてクリアじゃないと、今のリスナーは満足しないんですよ。

岡本:音楽をスピーカーで鳴らして聴く時代じゃなくりましたよね。であれば僕らは、イヤフォンで聴くヘヴィメタルを作らないといけない。たとえば、音の定位の話でいえば、昔は一番下にキックの音があって、その上にベースがいて、その上にギターがいるという風に、各楽器の帯域を踏まえて作る必要があったけど、今はそうじゃない。全部の楽器がフルレンジで鳴って、それ以外は左右の振り分けだけ、みたいな感じだと思うんです。

耕史朗:音楽を聴く環境が今と昔では全然違っているから、それを踏まえてミックスしていますね。

──ラウドでクリアなサウンドもApes From Nineの大きな魅力になっています。「I am GOD」のボーカルレコーディングはいかがでしたか?

耕史朗:俺は自分の声や歌唱力に、ずっとコンプレックスを持っているんですよ。昔は上手く歌おうと思っていたけど、最近は歌を音として打ち込むというか、楽曲に対してどういう音を入れるかという意識。そこに対して必要なボーカル的な技術が出てきたら、それを勉強するという感じです。

──なるほど。では続いて、2曲目の「USA」にいきましょう。

耕史朗:俺は作家としても仕事をしているので、いろんなタイプの楽曲を制作するんですね。そういう中で、ダンスミュージックとかユーロビートもシンプルにいいな、楽しいなと思っていて。メタル畑の人は敬遠しがちなジャンルかもしれないけど、敢えてそういう方面にも手を出して、Apes From Nineの色にする挑戦をしていきたい。「USA」はまさにそのスタンスのもとに作った曲です。

──柔軟な姿勢が功を奏しましたね。「USA」はダンステイストを活かした曲でいながら、イントロやサビでシタールっぽい音色が鳴っていることもオリジナリティを増幅しています。

耕史朗:あの音はギターなんですけど、おっしゃるとおり、頭の中でシタールの音色が鳴って、“こういう音が入るとより世界観が深まるな”と。でも、そのままシタールを使っても面白くないので、ピッチシフターとかのエフェクターをギターにかけて作った音です。

岡本:“どれだけ時代を席捲しているバンドでも、レコーディングで本物のシタールの音を入れると解散する”というジンクスが昔あったじゃないですか。だから「USA」のデモを聴いた時には、えっ!と思ったんですけど、ギターの音だと気づいて安心しました(笑)。
■出るところと引くところを棲み分けたのが
■「HEAVEN」という第一弾シングル

──「USA」の歌詞はダイレクトで、“アメリカを楽しむぜ!”というものですよね?

耕史朗:そのままです。メッセージを投げかけて考えてもらったりするよりも、体感して楽しむ曲にしたかった。だから、敢えて深いことは考えずに、メロディーに対するハマりや響きの良さを重視して言葉をチョイスしました。“Good luck in Japan!!”くらいですね、メッセージとしては。“がんばれ日本!”みたいな(笑)。

岡本:ドラムはちょっとバカっぽくいったほうがいいなと思ったんですよ。なので、自己主張よりも全体の大きな流れを重視して叩きました。要するに3曲収録シングルの中で、出るところと引くところの棲み分けを考えたという。全部がオラオラだと聴いている側はしんどいじゃないですか。シングル全体としていいバランスになったと思います。
▲糀谷拓也 (B)

──「USA」もどっしりとしたビートと重厚なスネアの音色のマッチングがすごくカッコいいです。

岡本:4つ打ちって前乗りになりやすいんですよね。でも、メタルやハードロックの4つ打ちは絶対にスネアが後ろじゃないとダメなんです。前にいくとガチのユーロビートになってしまうから。もともと僕はドラムが後ノリの音楽をずっと聴いてきているので、そのビートが身体に染みついているんですよ。それでも4つ打ちでは前にいきがちなので、前にいかないように意識しました。スネアの音色はアンサンブルとして考えているので、耕史朗に任せました。

耕史朗:ニッケルバックを参考にしたスネアの音ですね。それに、この曲で岡本が結構シンバルを入れているじゃないですか。重たいスネアの音とバシャバシャ鳴っているシンバルが相まって、いい感じになっているんじゃないかな。

岡本:最近のドラマーはシンバル類の選び方も昔とは変わってきていて。今、販売されているシンバルもすごく多種多様なんですけど、その中でロックとかメタル界隈ではスタックシンバル(重ねシンバル)を使う人が多いんですよ。“ドッチー ドッチー”という4つ打ちをハイハットでやってしまうと普通のパーティーロックになりがちだけど、敢えてうるさめのスタックシンバルで裏を入れると圧が出る。最近は僕もスタックシンバルを使うことが多くなっています。

耕史朗:ギターはどの曲も同じようなテーマになってしまうけど、やっぱりリズムですよね。特にこの曲は、16分リフのズクズクというところでピックを弦に当てる角度とか強さを精査したんです。しかも、ダブルで入れているんですけど、その2本のニュアンスがちょっとでもズレると気持ち悪くなってしまうので、左右のギターが合うように弾きました。

──現代メタルならではの精度の高さが心地いいです。それに、ギターソロのバックでクリーントーンのカッティングが鳴っているのも絶妙です。

耕史朗:意図的に“どっちを聴いたらいいんだろう?”という感じにしました。俺は一般的な感覚の人が“これはやめたほうがいいんじゃない?”と思うようなことをしたがるところがあって、この曲もそのひとつ(笑)。それとボーカルは、単調なので逆に難しかったですね、この曲が一番。サビは主旋律がすごく低いんですよ。元々はそれをメインにするつもりだったけど、レコーディングしてみたら少し地味だなと思ったので、エフェクターを使ってオクターヴ上の機械的な声が同時に鳴るようにしました。

──メカニカルな声やシタールのような音がアメリカの闇を表現しているような気がします。

岡本:僕もそう思います。

耕史朗:俺自身はそこまで深く考えていなかったけど、そういうふうにも感じてもらえるとしたら嬉しい。いい空間を創ろうというイメージだったんですよ。

──単にアッパーだけの曲ではないというのがいいんですよね。3曲目の「Masturbation with you」は激しさと爽快感に溢れたメタルチューン。

耕史朗:正直言うと、この曲が投票で選ばれた時は意外だったんですよ、24曲作った中で“どうかな?”って、俺自身、思っていた曲なので。

岡本:“耕史朗がまたひとつ突き抜けたな”と思ったんですよ、デモを聴いて僕は。彼はそういう僕らの反応が意外だったみたいだけど。

耕史朗:いい意味で肩の力が抜けている曲というか。みんなにとってそこが新鮮だったんじゃないかな。本来の自分のノリはもっとギチギチという感じだから。出来上がった今ではすごく気に入っていますよ。

──「Masturbation with you」はセクシーな歌詞を連想させるタイトルですが、“俺は世界を知っている 知らないのはお前の心の中だけ”ということを歌っていて、意表を突かれました。

耕史朗:まさに、“このタイトルでこの内容?”と思わせたかったので。歌詞の内容自体に深い意味を持たせているというよりも、それぞれの解釈で聴いてもらえれば。
■現代は楽曲の賞味期限が短くなっている
■それに対抗するにはスピード感と量が必要

──では、「Masturbation with you」のレコーディングはいかがでしたか?

岡本:ドラムは実際に叩くと、キックのパターンとかもバチバチのハードロックになりがちだけど、軽快に聴かせたいというのがあって。レコーディング現場で耕史朗にどっちがいいか聞いたら、彼も「軽いほうだね」と。このフレーズで軽快さを出すのは難しいんですけど、なるべく力を入れ過ぎないようにということと、リフに合わせてハネることも意識しています。

耕史朗:この曲もギターはリズムが大事で。それに歌が入ったとき、ジャージャッとコードを弾くことがApes From Nineの他の曲にはあまりないんですよ。シンプルなパターンなのに、それを弾きながら“I know I know…”と繰り返すのがすごく難しい(笑)。

岡本:聴くと簡単だけど演奏すると難しいのが、この曲で。歌とリフとリズムの絡みが絶妙だと思います。

耕史朗:サビ裏のカウンターパートもこれまでにないテイストで、どこを歌ったらいいのか見失いそうになったくらい、この曲はいろんな要素があります(笑)。スムーズにいったのはギターソロくらいで、アドリブなんですよ。デモを作る時にとりあえずアドリブで弾いたソロがあって、本番で録り直したけどソロの構成自体はデモのままです。
▲岡本唯史 (Dr)

──アドリブで緩急を効かせたソロを弾く辺りはさすがです。さて、今回の「HEAVEN」はテイストの異なるメタルチューン3曲が収録されていて、オリジナリティも随所に詰め込まれているという充実したシングルに仕上がりました。

耕史朗:前アルバム『METAL LULLABY』(2018年11月発表)もそうだったけど、Apes From Nineというバンドの音楽性がさらに凝縮できた気がしています。

岡本:「HEAVEN」は3部作シングルの第一弾なので、ここで完結ではないんです。結果、第二弾が聴きたくなるものにはなったかなと思いますし。

耕史朗:第二弾の「EARTH」はリズムがノリやすくてキャッチーな楽曲が並んだシングル。“はい、サビがきましたよ!”みたいなメロディーが活かされているし、3曲ともエモいよね?

岡本:エモい。で、第三弾が激ムズなんですよ(笑)。

耕史朗:エモとメタルコアの難しさを融合させた感じというか。ジェントまではいかないけど近いものはある。「HEAVEN」とはまた違うスタイルを提示できると思うので期待していてください。

──その上で12月にはフルアルバムのリリースを控えているという?

岡本:フルアルバムには、それぞれのシングルからリード曲しか入れない予定なので、ボリュームがヤバい(笑)。いい曲をたくさん作って、すぐにレコーディングして、ライブも併行して行うので、年内は1日たりとも休みがないと思います(笑)。そういう意味では曲作りもレコーディングもスピード感も重視する必要がある。現代の音楽は、そういうリアルタイムなところを含めて成り立っていると思うんですよね。

耕史朗:作った楽曲をすぐにリリースできるという現代のスピード感は、バンド側にとっても魅力的なんですよ。そういう意味でも今回の4ヵ月連続リリースという動きはいい。

岡本:現代は楽曲の賞味期限が短くなっているのかなと思っているんです。それに対抗するにはスピード感と量が必要で。そういう音楽シーンの流れを歓迎しているかというと、個人的には残念なことではあると思っているんですけど。

──なるほど。

岡本:それにいいものを作っても、それをただリリースするだけではダメで。こういうインタビューやライブを重ねて、僕らから届けにいかないと手に取ってもらえない。9月から12月にかけての今回の動きはApes From Nineというバンドを強化するいい機会なので、スピード感を保ちながら突き進もうと思っています。

耕史朗:現状のApes From Nineは、ライブ動員も音源セールスも満足できるところまでいっていない。まだ基盤が弱いというか居城ができてないというか。わかりやすくいえば僕らは“バンドで売れる”ということにポジティヴなんです。そのためにミュージシャンは曲を作って、ライブをすることが基本。だから、今回の4ヶ月連続リリースはそれに忠実にというか、やるべきことを当たり前にやるという意識で取り組んでいるんです。

取材・文◎村上孝之

■4ヶ月連続作品リリース

■第一弾シングル「HEAVEN」
2019年9月4日(水)発売
LZLN-0010 / ¥1,500(tax out)
1. Iam GOD
2. USA
3. Masturbation with you

■第二弾シングル「EARTH」
2019年10月2日(水)発売
LZLN-0011 / ¥1,500(tax out)
※収録曲:未定

■第三弾シングル「HELL」
2019年11月6日(水)発売
LZLN-0012 / ¥1,500(tax out)
※収録曲:未定

■第四弾アルバム『INORGANIC』
※詳細は後日発表

■<【HEAVEN】【EARTH】【HELL】3style TOUR!>

▼HEAVEN
09月19日(木) 大阪・心斎橋CLAPPER
09月20日(金) 名古屋・今池3STAR
09月29日(日) 東京・渋谷CYCLONE
▼EARTH
10月18日(金) 大阪・心斎橋CLAPPER
10月19日(土) 名古屋・会場未定
10月25日(金) 東京・渋谷CYCLONE
▼HELL
11月09日(土) 厚木・Thundersnake Atsugi
11月10日(日) 仙台・FLYNG SON
11月12日(火) 横浜・濱書房
11月13日(水) 名古屋・今池3STAR
11月14日(木) 大阪・心斎橋CLAPPER
11月15日(金) 長崎・ホンダ楽器アストロスペース ※ワンマン
11月22日(金) 東京・渋谷CYCLONE
▼INORGANIC RELEASE ONEMAN TOUR!!!
12月12日(木) 名古屋・3STAR ※ワンマン
12月13日(金) 大阪・心斎橋CLAPPER ※ワンマン
12月15日(土) 東京・渋谷CYCLONE ※ワンマン

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