世界遺産・二条城にアート作品が溶け
込む3日間、国際的アートフェア『ar
tKYOTO』がスタート

令和元年9月6日(金)、世界遺産・元離宮二条城で『artKYOTO』のプレスビューが行われた。『artKYOTO』は、世界のアートシーンを牽引すべく、二条城を舞台に古美術から現代美術まで、国内外から厳選された出展ギャラリーがそれぞれの審美眼に基づいたアート作品を展示・販売するインターナショナルアートフェア。
来場者数1万人、売上目標5億円を掲げる本展。令和3年に文化庁が京都に全面移転すること、日本初開催のICOM(国際博物館会議)と日程を同じくしたため、4000人を超える博物館の専門家が京都に来日する中での開催ということもあり、かつてない盛り上がりと期待を見せている。
何よりも注目すべきは、会場が世界遺産の二条城であること。今回展示会場になるのは、東南隅櫓、二の丸御殿台所・御清所、香雲亭、外庭の4箇所。総合プロデューサーを務める一般社団法人アート 東京 代表理事の來住尚彦氏が自ら声をかけ、京都のギャラリー11軒を含む、国内外31軒のギャラリーが出展。歴史的な建物空間で、いにしえから現代までの様々なアートを鑑賞できる貴重なチャンス。
初日は開催を祝して、Instagramで245万人のフォロワーを有するグラフィティ・アーティストのMrDoodleによるライブペインティングや、安倍昭恵 内閣総理大臣夫人、デザイナーのコシノジュンコ氏ら、各界の識者が招かれてオープニングセレモニーが行われた。いよいよ『artKYOTO』がスタート。その模様をレポートしよう。
東南隅櫓には5軒の美術商が出展
東大手門をくぐると、左手に東南隅櫓がある。二条城内の堀に面して立つ東南隅櫓は、寛永期に建てられた見張り台。1602年(慶長7年)から1603年(慶長8年)に造られ、1625年(寛永2年)から1626年(寛永3年)に改修された。1788年(天明8年)に起きた大火から焼失を免れ、国の重要文化財に指定されている。
東南隅櫓の展示作品
普段は一般公開されていないが、今回は特別に中に入ることが許され、しかもアート作品を鑑賞・購入することができる。ここに出展するのは古美術を中心とした5軒の美術商。京都の「古美術 柳」、小牧の「古美術もりみや」、芦屋の「ギャラリー HATA Bros.」、大阪の「Galleria Col」、名古屋の「SHUMOKU GALLERY」だ。
東南隅櫓の展示作品
天井の高い空間を活かし、それぞれが選んだ作品が重々しく並ぶ。ジャンルは縄文土器や土偶、仏像、茶器、浮世絵、立体、絵画と幅広いが、建築物の持つ歴史が作品の存在感と価値を高める相乗効果を呼んでいると感じた。
外庭ではMrDoodleによるライブペインティングも
東大手門から左、東南隅櫓に向かう敷地内の外庭には、東京のアンザイギャラリーが出展。『アートフェア東京』でも披露されたMrDoodleのライブペインティングが行われた。六曲の金屏風にサラサラと淀みなくイラストを描いていく様子は実に見事。ものの5分で1扇を描き終えていた。たまたま通りかかったラッキーな一般客も、思わず足を止める。
MrDoodleのライブペインティング
MrDoodleのライブペインティング
MrDoodleは「二条城でライブペイントできることを大変嬉しく思います」と笑顔を見せた。町屋しまだいギャラリーにてMrDoodleのソロエキシビションが同時開催中なので、こちらもチェックしたい。
台所・御清所には国内外24軒の美術商が出展
今回のメイン会場とも言える二の丸御殿台所・御清所は、江戸時代に御料理間と呼ばれた重要文化財。土間と板間が一体となった広大で重厚な空間に、様々なジャンルの国内外24軒の美術商が軒を連ねる。
台所・御清所の展示作品
地元京都からは、時代にとらわれず優れた日本美術を扱う「思文閣」や、古美術と道具を扱う「宇野商店」、若手作家から物故作家まで国内外の現代美術を紹介する「ART OFFICE OZASA」らが出展。東京からは、海外のフェアにも数多く出展した実績のある「タカ・イシイギャラリー」、「シュウゴアーツ」、「ミヅマアートギャラリー」らが、海外からはニューヨークの「CHRISTINE PARK GALLERY」などが出展する。
台所・御清所の展示作品

台所・御清所の展示作品
6月に行われた記者発表で來住氏は「生活に根ざしたものがアートに昇華する京都。だからこそやる意味がある」と述べていたが、かつて江戸時代、実際に調理をする生活の場として使われてきた建物で、世界中からあらゆる時の流れを超えてやってきた作品の数々を目の前にする感動はとても大きいと感じた。
台所・御清所の展示作品
台所・御清所の展示作品
御清所で行われた主催者挨拶で、門川大作市長は「こんな二条城見たことがない。感動した!」と心底嬉しそうに語り、來住氏と何度も熱い握手を交わしていた。また來住氏は「京都の皆様が喜んでいただいて、世界の皆様が喜んでいただけるフェアに是が非でもしたいと思います」と力強く語った。
握手を交わす総合プロデューサーの來住尚彦氏と、京都市長門川大作氏
香雲亭はTERRADA Premium Loungeとして開放
オープニングセレモニー
17時30分、東大手門正面で行われたオープニングセレモニーでは、門川市長のほか、安倍昭恵氏(内閣総理大臣夫人)、立石義雄氏(京都商工会議所会頭)、佐々木丞平氏(京都国立博物館館長)、近藤誠一氏(公益財団法人京都市芸術文化協会理事長/元文化庁長官)、渡邉隆夫氏(京都府中小企業団体中央会会長/西陣織工業組合理事長)、田村明比古氏(成田国際空港株式会社 代表取締役社長/前観光庁長官)、中野善壽氏(東方文化支援財団 代表理事)、大西洋氏(株式会社羽田未来綜合研究所 代表取締役社長/日本空港ビルデング株式会社 取締役副社長)、コシノジュンコ氏(デザイナー)、そして來住尚彦氏が登壇。
トランペットとフルートを演奏しながら演者が登場すると、閉まっていた東大手門が城内側に開き、主催・来賓陣が門より入場。大きな拍手で迎えられた。
オープニングセレモニーの様子
門川市長は「本当に來住さんにお会いできて良かった。京都、日本が誇る文化芸術の力で地域と経済を活性化し、世界の平和に貢献していこうという思い。ただ、様々な課題もある。素晴らしいアーティストがたくさんいるが、作品を購入していただかないと匠の生活が豊かにならない、後継者が育たない。だから『artKYOTO』をICOMのレガシーにしていこう」と日本のアート市場における現状とイベントへの期待を述べ、「1つお願いは、この『artKYOTO』を毎年続けていただきたい。日本の様々な芸術家や伝統産業が国内外の市場に出て、文化と経済の良き循環が生まれていくことを念願しています」と笑顔で言葉を締めた。
京都市長 門川大作氏
続いて、来賓代表として安倍昭恵夫人が挨拶を行った。毎年『アートフェア東京』に足を運んでいたという安倍夫人は、「世界遺産となった二条城の素晴らしい建物の中で本物のアートを拝見することができて、東京のアートフェアとは違った感動を覚えた。アートは自己表現のひとつだと思う。何を選ぶか、どんなものが好きなのか、何が欲しいのか。買えるか買えないかは別として、アート作品を見て、いつもそういうものを感じています」と、“アートは遠いものではなく身近なもの”だと語り、「私は絵を描いたり音楽をするのは苦手だけれど、人生のアーティストになりたいと思う。何か勇気を持って新しいことにチャレンジすることもアートの1つなのではないか。アートを通して愛が広がり、そして平和な世の中がくればよいと思っています」と結んだ。
安倍昭恵 内閣総理大臣夫人
その後、コシノジュンコ氏によるかけ声で鏡開きが行われ、オープニングセレモニーは幕を閉じた。
デザイナー コシノジュンコ氏
オーニングセレモニーの様子

オープニングセレモニーの様子
『artKYOTO 2019』の一般公開は9月7日(土)〜9月9日(月)まで、京都・元離宮二条城にて。来場者には公式パンフレット「art KYOTO GUIDE MAP」が配布される。開催概要や出展ギャラリーの紹介だけでなく、京都のアートスポットを記載したアートMAPが掲載されており、アートの街としての京都を楽しめる。
また、本展と連携し、京都各所で同時期に開催されるイベントや展覧会も。すでに終了しているものもあるが、『京都国際映画祭 2019』が10月17日〜10月20日に京都市内各所の映画館や劇場で行われる。映画に加えてアーティストも表彰され、『artKYOTO』とともに次世代クリエイターを支援する狙い。『artKYOTO』とともに、是非この機会に足を運んではいかがだろうか。
取材・文=ERI KUBOTA 撮影=田浦ボン

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