走裕介、地元・北海道コンサート「た
だいま!」外郎売やドラム演奏披露

2018年にデビュー10周年を迎えた走裕介が地元である北海道の道新ホールにて9月8日(日) <走裕介コンサート in 札幌2019!>を開催、現地のレポートが到着した。

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北都らしからぬ暑い日となった9月8日、30度超えの猛暑にもかかわらず、札幌・道新ホールに詰めかけた観客は今や遅しと主役の登場を待ちわびていた。そこへ、涼やかな声で案内のMCが流れる。聞き覚えのある声、何と本人自ら開演前のMCを行った。早くも沸き立つファンのざわめきを吸い寄せるように照明が落ち、本人のカウント・ダウンの声が響き渡る。拍手と歓声の中、緞帳が上がりライトの中に浮かび上がったのは、目にも眩しい、ゴールドのスーツをまとった走裕介。7月24日発売の新曲「知床挽歌」を皮切りにいよいよステージがスタート。

「ただいま!」の声に「おかえりー!」と応える満員のファンに、地味(?)な新しい衣装の話からテンポよくトークで観客を引き込んでゆく。前作「春待ち草」5thシングルの「北国フェリー」と二曲披露したところあたりから、客席もオープニングの興奮から解き放たれ、いつもの走節にライトを振りながら応える。そして「純愛」「街でひろったシャンソン」「男の駅」と歌う走を見ていると、歌の巧さや声の良さは言うまでもないが、それぞれタイプの違う作品が持つ色を、こんなにも鮮明に描き出せる歌い手だったのかと、あらためとその表現力の奥深さに驚かされる。昨年デビュー10周年ということで、同じ道新ホールで気合の入ったステージを見せてくれたが、今日は力みすぎず、柔らかな包容力のあるステージとでも言ったら良いだろうか、しかし一段と志高く、一生懸命ステージを務めあげていく。

「北のひとり星」を歌い終えると、今度は客席に降りてきて、「夢追い酒」「女のみち」「心凍らせて」などをメドレーで歌い継ぎながら全席を回り、予定の時間が過ぎても最後まで一人一人丁寧にファンと交歓していた。衣装替えの間に自作の動画を披露してくれたが、ジャガイモの冷たいスープを作る料理番組風に仕上がっていて、料理をしながら撮影も本人がするという苦心の跡がうかがえ、楽しませてくれた。
そして一転、デビュー時から可愛がってもらったSTVラジオの名パーソナリティー故・日高晤郎氏形見の着物を身にまとい、おなじみとなった「外郎売」の口上を鮮やかにやってのけると、一瞬、会場がピリッと引き締まり、すぐに割れんばかりの拍手に取って代わった。そのままギターを手に「街の灯り」「霧の摩周湖」客席からの合いの手も交えながらの「与作」を弾き語り、一気にステージと客席の新密度が増す。日高氏も愛した「昭和縄のれん」、イントロからファンのどよめきがもれる尾崎豊の「I LOVE YOU」と情感たっぷりに歌い上げると、深い感動が場内に満ちた。暗転の後、シックなボルドーのジャケットに着替えた走が、すらりとした立ち姿を表すと場内にまた興奮が戻って来る。この日が命日という高野公男作詞、恩師、船村徹作曲の「別れの一本杉」を披露すると、高野、船村の間に通う友情とも取れる「男の友情」を歌い、本編のラストは細川たかしの「望郷じょんがら」を熱唱した。
アンコールではジャケットを脱ぎ、ドラムセットの前に座る走の姿に場内に驚きが走る。デビュー前、アマチュアバンドを組んでいたときに叩いていたというドラムを初披露。日高晤郎氏の大好きだった言葉が散りばめられた、佐々木清次の「笑顔のために」と自身の「網走港三番地」を見事なスティックさばきで聞かせた。そして有線での人気も好調な「知床挽歌」を再度披露すると、年末への闘志ものぞかせ、最後は「風来流れ唄」で締めくくり、万雷の拍手の中幕を閉じた。
本人の弁によれば、企画構成からMCや動画、オケ作りまで一人で考え、実際やってのける。器用と言ってしまえばそれまでだが、歌い手としてだけではなく、作り手、送り手として、どこまでも真摯に届けようとするその誠実さが、彼の人となりそのものであり、歌にも表れるからこそ、多くの人の心をとらえて離さないのだろう。この先どんな大輪の花を咲かせるのか、これからもずっとその行く末を見守りたい歌い手である。

ニューシングル『知床挽歌』

CDCOCA-17643 / 1,204円+税
[ 収録楽曲 ]
1. 知床挽歌
 作詩 高田ひろお / 作曲・編曲 蔦将包
2. 網走港三番地
 作詩 片桐ひと葉 / 作曲 水川ひろと / 編曲 石倉重信
3. 知床挽歌 (オリジナル・カラオケ)
4. 網走港三番地 (オリジナル・カラオケ)
5. 知床挽歌 (半音下げオリジナル・カラオケ)
6. 網走港三番地 (半音下げオリジナル・カラオケ)
7. 知床挽歌 (2コーラスオリジナル・カラオケ)
8. 網走港三番地 (2コーラスオリジナル・カラオケ)

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