【対談】Psycho le Cému × cali≠
gari、「僕らが知ってるヴィジュアル
系ではなかった」

結成20周年を迎えたPsycho le Cémuが『20th ANNIVERSARY PROJECT「TWENTY STORY」』と題した“全20章”におよぶアニバーサリー企画を展開中だ。音源リリースやライブなど、スケジュールはあまりにも過密で精力的。20周年への感謝と賭ける意気込みが伝わってくるようでもある。<Live Battle「ライバルズ」>と題した対バン企画は、そのうちの第6章〜第8章を成すものであり、8月から11月に掛けて全7公演の規模で行われる。
主催ツーマンの開催は自身初。これまでコンセプチュアルなワンマンを主戦場としていたPsycho le Cémuだが、同シリーズでは絆や因縁の深いアーティストとバトルを繰り広げる。先ごろ公開したLM.Cとの第一弾対談では20年来のつながりや秘話が赤裸々に語られ、対バンシリーズ中、最も世代の若いアルルカンとの第二弾対談ではそれぞれの悩みを暴露。第三弾となったメリーは同世代ならではの赤裸々なトークが展開された。そして、第四弾となるのがcali≠gariだ。

Psycho le Cémuにとっては先輩格にあたるバンドであり、対バンは初。しかし共に2000年代をひた走り、バンド活動を休止した過去も共通項のひとつ。Psycho le CémuからDAISHIとseek、cali≠gariから桜井青を迎えて行われた対談は、互いに自身の個性を貫いてきたバンドだからこその音楽カルチャー観をはじめ、毒舌トークや掲載不可能なマル秘トークまで、実に深く楽しいものとなった。9月13日(金)にTSUTAYA O-EASTで開催される<Live Battle「ライバルズ」>も波乱の予感しかない両バンドのトークセッションをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■インパクトがものすごかったから
■なんでこういうのが?邪魔だわって

──Psycho le Cémuとcali≠gariは今回が初の対バンではないか?ということなんですが、まずはお互いのバンドを認識されたタイミングと、その時の印象を聞かせてください。

桜井:あれは確か、音楽雑誌『SHOXX』で広告を見て、“めんどくせえ奴らが出てきたな”と。

──その“めんどくせえ”とは、どういう意味ですか?

桜井:cali≠gariというブランドを立ち上げるにあたって、当時Da’vidノ使徒:aL(1997年〜1999年活動のV系バンド)というめんどくせえバンドが出てきて、それがいつの間にかいなくなったと思った矢先に出てきたんです。姫路はやっぱり余計なことをする。僕は姫路が大っ嫌いなんですよ。
▲Psycho le Cému

──始まって1分も経たない間に多方面を斬りつけてますが(笑)。

桜井:しかも中途半端にいいバンドが多いんですよ、姫路は。

seek:中途半端に(笑)。

DAISHI:正統派が多かったイメージなんですけどね。

seek:TRANSTIC NERVEとか。

桜井:TRANSTIC NERVEもそうだし、今も普通に聴いちゃうバンドが多かったんですよ。その中でPsycho le Cémuは一番売れたバンドじゃないですか。緑塗りで、しょっぱなからインパクトがものすごかったから、“なんでこういうのが出てきたの? 邪魔だわ”って。

seek:それを青さんが『SHOXX』のコラムで書いてくれてたっていう。

桜井:次から次へとシーンを揺るがす奴らが出てきやがって、って。

──cali≠gariの地位を揺るがす存在だと思っていたと?

桜井:うちって、PIERROTとかDIR EN GREYとかの王道がいるメインストリームに対して、ちょっとずれた隙間産業みたいなところだったんですよ。デリヘルで言うなら、ブスなデリヘルのほうが確実に採算が取れるみたいなところがあるじゃないですか。そういうポジションでいようと思ったら、次から次へと上位互換みたいなバンドが出てくるわけですよ。

seek:たぶん時代的に、そういう時代だったのかなあと思いますけどね。ヴィジュアル系が王道のほうで一回飽和している時代というか。その中で僕らは、人がやってないことを、何か新しいことをっていう匂いがあったと思うんですよ。

桜井:Da’vidノ使徒:aLは確かに頭ひとつ飛び抜けてすごかったんですよ。アルバム全部持ってますから(笑)。だけどPsycho le Cémuはそれに輪をかけてきたなと。体張りすぎだろ、これは、って。
▲DAISHI [Vo / Psycho le Cému]

DAISHI:僕はどんな手を使ってでも売れたかったんですよ(笑)。僕はその前に3年ぐらい正統派をやってて売れなかったんで、やっぱりここはちょっともう、汚いことしてやろうと思って。

桜井:でも、汚れ役は両脇じゃないですか。

DAISHI:アハハハハハ。

seek:僕らはそれぞれの個性というよりは、戦隊ヒーローとしての各々の担当をやりきります、っていうスタイルだったから。

DAISHI:当時からビジネス感がすごかったからね。

桜井:それは感じた。cali≠gariだったら、なんとなく良さそうなもの、高そうなものを古着屋で買えばなんとかなっちゃうけど、Psycho le Cémuの場合はオートクチュールじゃない? 最初にムカついたのはそこで、“バックはどこ?”って思った(笑)。

DAISHI:面白いね(笑)。

seek:青さんの目線がね。

DAISHI:僕らからすると、cali≠gariさんは先にインディーズシーンでトップを取ってるバンドっていう感じだったんで。

桜井:でもヴォーカルが抜けて、一度何もかも失っちゃってるから。集客もガンと下がったし。一緒にイベントに出たのって、名古屋だっけ?

seek:いや、cali≠gariさんとはまともにやった記憶がないんですけどね。イベント<SHOCKWAVE>に出演したのもムックとかの世代になるから。cali≠gariさんはもう一つ上の世代だったんで。

DAISHI:先に行ってたなっていう感じですよ。

seek:ただ、デビューの年が一緒なんですよね。さっき言ったみたいに、時代の流れとして王道がひとしきり飽和状態になっていて、そこに何かやらかしたろかなっていうcali≠gariとPsycho le Cémuがデビューしたっていうのは、ヴィジュアル系シーンにおいて象徴的やったかなと。

桜井:確かに、ちょっと違うものが出てきたなって。2002年って、そういう年だったと思う。

DAISHI:だから直接対決はムックとした感じで、cali≠gariはいわゆるそのボス的な感じがしてたんで。
■自分らが恥ずかしくなるくらい
■オシャレが突き抜けてたんですけど

DAISHI:衝撃が走りましたよ、口に黒いシャドウが入る文化って、僕ら関西のほうにはなかったんで。

桜井:あれは関東の文化だから。茨城系だからね。

DAISHI:そうですよね。僕らは出汁の文化なんで、あんな文化はなかったですよ。「ムックの先輩にcali≠gariさんがいる」って聞いて、この人気は頷けるなと思ったんですよ。初めてムックとやったのは大阪だったんですけど、当時僕らもWaiveも、大阪ではそこそこ集客できてる時代にムックがポンときて、チラシ見た時に“何これ?”って。当時、白目のコンタクトも見たことがなかったし、眼帯とかしてるし。僕らが知ってるヴィジュアル系ではなかったんですよ。で、ライヴ観たら動員もノリもすごくて。その後から、僕らもcali≠gariさんを聴きまくったんです。

桜井:そうなの? その頃なんか、ムックはcali≠gariを踏み台にして売れてたけど(笑)。

DAISHI:いやいや、確実にcali≠gariさんのほうが売れてる頃ですよ。
▲cali≠gari

seek:ムックが『アンティーク』とか『痛絶』とかを出した頃からハード方面に行き始めたじゃないですか。で、『葬ラ謳』あたりでゴリゴリの方向に行きますよって時の、cali≠gariとのバランスがすごい好きで。

桜井:その頃、うちはもう“消えかけのレディオ”みたいな(笑)。疲れちゃって、もうダメだ、ヤメヤメ!って化粧も落としてたりしてたんじゃない?

DAISHI:その前に一回、僕らとcali≠gariさんで雑誌の両面表紙をやった記憶があって。その時、僕らはゴリゴリの和風コスプレをしてたんですけど、cali≠gariさんのほうを見たら、アメリカのファッション雑誌みたいな理解し難いオシャレが突き抜けてたんですよ。自分らが恥ずかしくなるくらい、オシャレが突き抜けてたんですけど。

桜井:そう言ってくれるのは同業者であって、お客さんからしたらそういうのは求めてなかったと思う。

seek:ヴィジュアル系っていうキーワードの“ヴィジュアル”を求められる、みたいなのはありましたね。

桜井:そう。だから、そういうものをうちが止めた後に、逹瑯とかガラくんとか大佑とかが昇華していってくれたから良かったなって。

seek:バンドとしての表現の仕方が、常にcali≠gariさんは変わっていくイメージがありますね。

桜井:飽きちゃうから。

seek:それはみんなが飽きるんですか?

桜井:気分かな。

DAISHI:僕らもそんなんしたいですよ。僕、和田アキ子さんと一緒ぐらい、ずっと同じ髪型ですからね。勇者の格好ができる髪型をずっとやってますから。色も変えられないし。バンドのヴォーカルって、色を変えたりメイクを変えたりできて楽しいはずでしょ? ずっとこの髪型ですよ。本来は僕らも根底には、いわゆるヴィジュアル系という言葉がないような時代の音楽に憧れてこのシーンに入ってますから。D'ERLANGERのCIPHERさんがいきなりリーゼントして革ジャン着た時、めちゃくちゃ衝撃が走りました! カッコいいって。

桜井:アハハハハハ。僕もCIPHERさんのマネは散々やったもん。
▲桜井青 [G&Vo / cali≠gari]

seek:僕らは、続けることによってロック度が増してるように見えてくるのかなと思ってて。お客さんに飽きがくるときがあるだろうし、変わったものを見たいって思う時もきっとあるんだろうけれど。

桜井:そういうルックスのこともあるかもしれないけど、Psycho le Cémuの場合はやっぱり曲のクオリティが高い。だからお客さんがついてきてるっていうところは絶対にあると思う。

seek:そう言ってもらえると嬉しいですね。長く続いているバンドさんって、そういうバンドさんが多いのかなっていうのがあるから。

DAISHI:だから、そこそこブサイクだけど曲を書いてるリーダーが、今一番人気があるんですよね(一同笑)。僕と彼は幼馴染で、「人気は俺に任せとけ。お前は曲だけ書いとけ」みたいな話をしたことがあるんですよ、高校時代に。それが、まさかこの歳になって人気も曲も全部任せることになるとは(笑)。

seek:それはわかんないですけど、頑張ってください。そこは自分の努力次第な感じがしますけどね(笑)。

桜井:アハハハハハ。

DAISHI:やっぱり世界を作ってる人って強いのかなあとは思うんですよ。若い時はヴォーカルでセンターにおったらキャーキャー言われてても、やっぱり曲書いてるとか歌詞書いてるとか世界観を作ってるとか、お客さんはそういうところを年を追うごとに見てくるので。

桜井:年取るとそれは余計にあるよね。あと、メンバーはやっぱり老化してるんだけど、お客さんって絶対にライヴ補正が掛かってるからシワとかが見えてない(笑)。たぶんライヴ会場全体が巨大なビューティープラスになってると思う。

DAISHI:面白い(笑)。確かにそうですね。

桜井:じゃないと、こんなおっさんのライヴに来るはずがない。

seek:20年近く経ちますから、それ相応ですよね。

DAISHI:僕自身、最近ライヴ前に自分より年上のイケてるおっさんバンドマンの映像を見てからステージに立ちますからね(笑)。名前は言わないですけど。

桜井:僕だってライヴの前日にBUCK-TICKとかD'ERLANGERとかZI:KILLのライヴ映像とか見るから。

DAISHI:あ、名前全部言っちゃった(笑)。見るとめっちゃスイッチ入るんですよ。

桜井:あれ、なんでだろうね。特に興奮するのは、BOØWYの『GIGS』とか。これはかなりアガる。

DAISHI:まさにこの前の中野サンプラザの前にそれを見て。氷室さん、片膝ついて半曲くらい歌うんですよ。そんなまね俺にはできないんですけど、春の中野サンプラザ公演でワンコーラスぐらいは片膝ついたままいきました(笑)。

桜井:1小節ワンアクションとかね(と、歌マネをする)。

──ただ、その当時の氷室さんは今の青さんより年下ですよね。

桜井:うるさいわね! いいんですよ!

seek:アハハハハハ。

桜井:概念的にあの人たちはずっと年上なんですよ。
■cali≠gariが止まったのって
■飽きが原因だったので

──青さんも当時のバンギャの気持ちに戻っていると。

桜井:そうそう。17歳のバンギャの気持ちになってるわけですよ。

DAISHI:青さんが一番好きなバンドってどこなんですか?

桜井:UP-BEATとBUCK-TICK。2大巨頭ですね。

DAISHI:なるほど。僕は高校生で初めて組んだコピーバンドが、D'ERLANGERとBUCK-TICKですから。seekなんて、ヴィジュアル系シーンでやるなんて思ってなかっただろう頃に誘ってますから。最初に会ったときはライヴハウスで働いてて、頭にタオルを巻いてて、見たこともない汚いTシャツに見たこともない汚いパンツを履いてて。

seek:たまたまそういう環境下におったからそういう格好してたわけで、別に望んで着てたわけじゃないから(笑)。

DAISHI:僕らの照明をやってくれてたんですよ。「THE BLUE HEARTSとかTHE BOOMが好き」って言ってて。パッと見て勝手にヴィジュアル系の子じゃないと思ってたけど、話をしたら「ヴィジュアル系も好き」って言うから。

桜井:1990年代の終わりの頃にそういう人ってちょっと珍しいよね。

seek:姉ちゃんがいるので、今言ってたTHE BLUE HEARTSとかTHE BOOMとかのバンドブーム系は姉ちゃんの影響からで、友達関係はヴィジュアル系みたいな世代やったんかなと思います。

桜井:なるほどね。
▲seek [B / Psycho le Cému]

──お話をかなり元に戻しますが、そうやってお互いに意識しながらも、ずっと接点のないままここまで来た、ということなんですよね?

DAISHI:そうです。超意識はしてましたけど。

seek:時代的にもcali≠gariさんはデビュータイミングが同じで、cali≠gariさんが活動休止された後に僕らも活動休止することになって。やっぱりそこも似てるのかなって。

DAISHI:あの頃も“一回、対バンせなあかん”って思ってたけどね。タイミングがなくて今になりましたけど。一緒にライヴやってないってすごい不思議ですよね。

seek:不思議。雑誌にも同じタイミングで載ってたはずやし、リリースも同じタイミングなのに、ここまで絡みがなかったのって。その当時のファンの人らも含めて、cali≠gariとPsycho le Cémuはどういうイメージで見られてたのかなって、結構気になってるんですけど。

DAISHI:当時、青さんとキリトさんはよくPsycho le Cémuをいじってくれてたというか、ディスってくれてましたよね(笑)。キリトさんは“うちの事務所はPsycho le Cémuが入ってから、Psycho le Cémuの衣装代で金がない”とかMCで言ってくれてたんで。

──キリトさんは同じ事務所だからとしても、青さんはなぜ?

桜井:敵だから。

DAISHI:戦ったこともないのに?っていうところでの面白さがありましたよね(笑)。僕らは全員その話を聞いて“おいしいよね”ってなってましたから。

seek:青さんはやっぱりヴィジュアル系の世界が好きなんやなと、当時思ってました。いろんなバンドのことを見てるし。

桜井:さっきも言いましたけど、曲がダメだったら興味はないんで。だからひどいこと言いますけど、名古屋系って全体的にあんまり好きじゃなかったんですよ。数十本は名古屋系のデモテープ聴いたけど、名古屋系パイオニア達とその直系以外は量産型過ぎて区別が付かなかったもん。
DAISHI:当時の名古屋シーンはすごかったですよ。姫路よりバンドも多かったし。

seek:初めて名古屋でやった時にコテンパンにされましたからね。パンパンに人が入ってるのに、お客さんは誰一人うちに興味ないみたいな空気感で。

DAISHI:なんであんなことするんやろ。ほんとにお客さん満席やのに、むす〜っとしてて。

seek:僕らは当時、振りの提示をしてたから、“それ、やりません”ってなるとね。心を閉ざしてるのがわかる。

桜井:だからね、今、“名古屋飛ばし”っていう言葉があるんじゃない? でも名古屋はたぶん、“TOO SHY SHY BOY”なの。

DAISHI:観月ありさ、出た(笑)!

桜井:以前、名古屋のライヴハウスのオーナーに同じような事質問したことあるのね。そしたら…(※掲載出来ない内容をトークしています)…だからなのかやっぱりシャイよね。新しい文化を受け入れるのに決意が必要みたいな? あと名古屋系を生み出したプライドもあると思うしね。外様の文化に興味は無い!名古屋系が一番だ!みたいな。実際リアタイで名古屋系通ってる人は名古屋系天下の時代は忘れられないでしょ。

DAISHI&seek:ふ〜ん。

──あの、姫路、名古屋と徐々に東に来てはいるんですが、そろそろ東京に戻ってきてもらってもいいでしょうか。過去の印象はそれぞれにありつつ、今のお互いのバンドについてはどんなふうに見ているのでしょうか?

seek:僕が初めてcali≠gariのCDを買ったのは『第4実験室』なんですけど、その時から見てまったく別のバンドやなと思ってるんです。やってることがいい意味でぶっ飛んでるなと常に思いますし、メンバー3人の個性が全然交わってない。なのにやっぱりcali≠gariという名前のもとにまとまってると思うんです。それぞれの活動もされてるけど、集まった時にcali≠gariとしてカッコいいなあっていう、その主軸は全然変わらない。ステージを見ててもいまだにゾクゾクするのは、そういうところなんだなと思います。

桜井:緊張感みたいなものがステージに出ちゃうんですよ、大してリハもやらないから。だから、バンドなんだけど毎回セッションみたいな感じで。僕も研次郎くんも同じフレーズを弾かないし、CDとは全然やってることが違うから。だから飽きもこない。以前、cali≠gariが止まったのって、飽きが原因だったので。そういうところがあるから、カッコいい言い方をすると、きっと緊張感みたいなものがにじみ出てるのかなと。

DAISHI:いや、ビンビンとがってますよ。ロックンロールやなと思うし。冷静に考えたら、cali≠gariをヴィジュアル系シーンで例えていいのかわからないですけど、あんなギターの音を出してる人ってまずいない。その時点でもうとがってますもん。例えばGLAYさんとかLUNA SEAさんとかL'Arc-en-Cielさんとかを聴いて育ったら、青さんのギターの音を聴いた時に違和感を感じると思う。

桜井:アハハハハハ。

DAISHI:だけど青さんはそんなの関係ねーですから(笑)。ファッションですら関係ねーですから。僕らにあの勇気はないですよ。

桜井:弾かないギタリスト同士、AYAくんには近いものを感じるけど(笑)。でもAYAくんの根本にはハードロックがあるんだろうなって垣間見えますよ。

seek:それをエンターテインメントと呼ぶのか、ロックと呼ぶのかはわからないですけど、さっき言ってた王道とは違う道をいってるのは確かで。時代も一緒のはずやのに、やり方が常に真逆なんですよね。そのスタイルの違いみたいなものは観ていただきたいなと。

桜井:真逆であり、近いものはありますよね。
■このタイミングでようやく
■約20年越しのカチコミが

桜井:作り込んでるでしょ? うちは適当なんです。

seek:いやいや、さっき言ってたヒリヒリ感じゃないですけど、それをたぶん見せつけられるだろうと思いますし、その在り方は面白いなと思います。

DAISHI:最近の若いバンドのことは詳しく知らないですけど、見てると、また保守的な時代がきてるのかなって感じますよね。僕らは王道が終わった後の時代の人たちだから、やっぱり個性を出したほうがいいっていうマインドがあったんですけど。cali≠gariさんは特にそれが湧き出てくる感じじゃないですか。たぶん、どの時代でも青さんはこの感じだったと思いますね。どこにも属してないですもん。

桜井:ヴィジュアル系は好きだけど、ヴィジュアル系をやってるっていう感覚が自分にないからかも。こうしないといけないっていうフォーマットが最低限ヴィジュアル系にはあるんですよ。でも、それは我々は無理だから、ってなるから。
DAISHI:僕らもフォーマットをやりたいんですけど、長年これをやりすぎて、フォーマットがヴィジュアル系じゃなくて、Psycho le Cémuのフォーマットになってしまってるんですよ。もう何が正解かわからない。

桜井:それでいいんじゃない? 逆に他のバンドがPsycho le Cémuみたいなバンドをやるって言っても、できないと思うから。

seek:難しいですけどね。20年経ったからこそ見えるPsycho le Cému像みたいなものを、最近感じることもあります。自分らはそれが当たり前になっちゃってるけど。

桜井:ヴィジュアル系の年史みたいなものがあったら、何々系に入るというより、Psycho le CémuはPsycho le Cémuだけのページで、cali≠gariはcali≠gariだけのページになっちゃいますよ、きっと。

DAISHI:確かにそうかもしれないですね。

──どこにも属さないが故に他のバンドとの接点も少なかったであろう両バンドが、こうして活動休止や再結成を経て、それぞれが対バンツアーを企画するようになったり、今回初対バンするというのは面白いですね。

DAISHI:贅沢な人生だなと思いますよ。若い時に一緒にやりたかったバンドさんと大人になって2マンをやらせていただけるとは、幸せだなって。若い時とは違う感覚で、もう認めてる方々に出演してもらう<ライバルズ>ですから。前回、アルルカンに出てもらった時に、ビッシビシにとがった感じできてくれたんです。それはそれで嬉しいんですけどね(笑)。
──<Live Battle「ライバルズ」>は、すでにLM.C、アルルカン、メリーと3本を終えられてますが、これまでどんな感触ですか?

seek:どのバンドさんもPsycho le Cémuというものに対して、歴史の中で見ていただいていることが大きくて。LM.Cやメリーとはお付き合いが長かったり、アルルカンはPsycho le Cémuを聴いて育ったっていうメンバーさんもいたり。だから具体的なことを言うと、当日のイベントで“セッションをやりましょう”みたいな話はこちらからはあんまり振らないようにしてたんですけど、結果的にどのバンドさんも「なんか出るところないんですか?」っていう話をしてくれたりね。みなさんもこのイベントを盛り上げようとしてくれてるんだなっていう感じはしています。

──根本に戻りますが、Psycho le Cémuにとって、cali≠gariはライバルですか?

seek:今回の<ライバルズ>っていう言葉は、実は一番cali≠gariに対して強く思っていて。おこがましいですけど、2000年代前半ぐらいのヴィジュアルシーンは少なからず僕らが作っていたと思うんですよ。そのバンドと対バンしてなかったということであれば、どこかでぶつかり合わないといけないのかなと。

桜井:このタイミングでようやく。約20年越しのカチコミが(笑)。

DAISHI:そう、<ライバルズ>って言葉はcali≠gariさんが一番近いかもしれないです。当時のインディーズシーンのナンバーワンやったんで、cali≠gariは。僕はナンバーワンになりたかったんですよ。まさにライバルやった。

桜井:これは当日、空気悪いですよ。

seek:ヒリついてますか?

桜井:挨拶とか絶対に行かない、みたいな。

DAISHI:いや、cali≠gariさんはもっとライトな感じで受けてくれたと思いますけどね(笑)。僕らが肩張ってるだけで。“たまたまスケジュール空いてたわよ”みたいな。酔拳みたいな感じだと思います(笑)。そういうひょうひょうとしている感じがまた、cali≠gariさんのイメージだと思いますし。
──青さんはいかがですか?

桜井:今、熱く語られてしまったので、20年前に戻って、当日は会場入りからヒリヒリしていたいと思います。

DAISHI:でも、2バンドとも違いすぎて、戦いたくても戦えない気がするんですよ(笑)。ヒリヒリしようがない、みたいな。

seek:違うスポーツで戦う感じはありますよね。

桜井:ウエイトリフティングvsアイススケートみたいな?

seek:これ、どこで点が入るの? みたいな試合になるかもしれない。

DAISHI:ウエイトリフティングで持ち上げてる人の横で、生クリーム泡立ててるみたいな。「(カシャカシャカシャ)急がないと!」みたいな(笑)。

桜井:こっちは「早く持ち上げて!」って。

DAISHI:「パンケーキどうなってんの?」と「早く持ち上げて!」って、全然違うスポーツやってるからね。

──「パンケーキどうなってんの?」は、もはやスポーツじゃないですからね。

DAISHI:アハハハハ。そんな中で、どうやってうちのseekがヒリヒリさせるのか、それが楽しみやな。

seek:じゃあ、それを楽しみにしていただいて。

DAISHI:するのかな? ヒリヒリ。

桜井:ダメなら、僕がヒリヒリさせますから。

取材・文◎大窪由香

■Psycho le Cému主催2MANイベント<Live Battle ライバルズ>

▼vs LM.C
2019年8月9日(金) TSUTAYA O-WEST
open18:00 / start18:30

▼vs アルルカン
2019年8月10日(土) TSUTAYA O-WEST
open17:00 / start17:30

▼vs メリー
2019年8月11日(日) TSUTAYA O-WEST
open17:00 / start17:30

▼vs cali≠gari
2019年9月13日(金) TSUTAYA O-EAST
open17:00 / start18:00

▼vs メトロノーム
2019年9月14日(土) TSUTAYA O-EAST
open16:00 / start17:00

▼vs MUCC
2019年11月27日(水) EX THEATER ROPPONGI
open17:30 / start18:30

▼vs 氣志團
2019年11月28日(木) EX THEATER ROPPONGI
open17:30 / start18:30

▼チケット
前売り¥5,000(税込) / 当日¥6,000(税込)
※オールスタンディング
(問)DISK GARAGE 050-5533-0888


■<cali≠gari 25th Caliversary"1993-2019" 終わらない夏の伝説達へ… ~Can't Stopが止まらない!~>

※終了分は割愛
【8/42 メリ≠ガリ“結成二十六周年記念GIG…そして伝説へ”】
2019年9月11日(水) 新宿LOFT
出演:cali≠gari/メリー
open18:30 / start19:00
▼チケット
スタンディング ¥6,500(税込)
※入場時Drink代別途必要
※3歳以上チケット必要
・eplus
・ぴあ(Pコード:154-545)
・ローソンチケット(Lコード:72420)
・楽天チケット
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888


■<cali≠gari「ただいま、ビクタ----。」-déraciné,either…or a sentimental contract->

2019年9月28日(土) TSUTAYA O-EAST
open17:00 / start17:45
▼チケット
スタンディング ¥6,000(税込)
※入場時Drink代別途必要
※3歳以上チケット必要
・eplus
・ぴあ(Pコード:157-068)
・ローソンチケット(Lコード:72962)
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888

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