本場イギリスから、往時のシェイクス
ピアが別所温泉・別所神社にやってく
る~パッション・イン・プラクティス
:シェイクスピア・アンサンブルが「
daichi no kioku」で『マクベス』上
演
2011年の東日本大震災をきっかけに、アーティストなどの市民有志が集まり「音楽やアートを通じて人と大地のつながりをもう一度見つめなおす機会をつくる」ことを目的に、長野県上田市・別所神社神楽殿で開催されている「daichi no kioku」。9回目を迎える今年は、ロンドンから劇団パッション・イン・プラクティス:シェイクスピア・アンサンブルがやってきます。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーとか、ナショナル・シアターとかなら演劇ファンでも知っているけれど……。
「私たちは、演者と観客に大きな概念、フレームの相違がないように、かつできるだけシンプルに、どのようにシェイクスピア劇を演じるのが最善なのかを常に追い求めます。そして、どの作品に対しても誠実に、情熱を込めて向き合い探求する姿勢を心がけています。ここでは作家が劇の主導権を握ります。われわれの演技はそのテキストの上に成り立っているわけです。シェイクスピアも古い英語だからさまざまな学者が編纂し、現代語訳も種々出ています。その中からもっともシェイクスピアに近いと思われる訳本を使い、そこにある詩を丁寧に読み解き、そして自己鍛錬を重ねる。こうして私たちはシェイクスピアの言葉の中にある意味と奥深さを追い求めていくのです。台本を読み解く作業、シェイクスピアがその台本に込めた無言の演出を学ぶこと、それぞれの役者の中にあるものから生まれるもの、研鑽を積んだものから生まれてくる境地、当時の舞台稽古の手がかりを探ること、その言葉に秘められた感情を的確に表現すること。こうして、私たちは、かつてのシェイクスピアの劇団員の技法や演劇への原動力を理解することにより、少しでもそれらに近づきたいと努めています」(ベン・クリスタルさんの公式サイトより)
「daichi no kioku」主催者のお一人、直井恵さんは「そもそもエリザベス朝時代にあったシェイクスピアの劇場「グローブ座」を彷彿とさせるものが別所神社の神楽殿にあったのかもしれません」と推測されています。
「この日本古来の神楽殿という舞台と、イギリスの戯曲がどう融合していくのか?という点です。昭和14年の別所時報に『室町時代から神楽が奉納されていたらしいが、、、』と、その当時の人が『確かではないけれど、そういうことがあったらしい』と振り返って書いてある記載を犀の角(ゲストハウス&劇場)の荒井好文さんが発見しました。今の神楽殿の形ではないのかもしれませんが、いずれにせよ、その当時からこの土地で、何らかの演目が上演されていたことが推測されます。シェイクスピアがお芝居を書いたころが、1600年代。あまりに壮大な時間の流れですが、そんな時代を経ても、私たちはあの土地に惹かれて、寄っていってしまうのです。ベンさんもきっと同じような魅力を感じたのだと思っています。もうそこにはきっと、宗教や民族という概念をも飛び越えて、人が集まり、思いを馳せるという場としての魅力があるのではないかと。演劇にしろ音楽にしろ人だけでなく、目に見えないあらゆるものに向けて演じている感覚があるのではないかな、とそんなことを感じさせてくれる何かがあるような気がしています」
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