【前Qの「いいアニメを見にいこう」
】第21回 新規のお客さんも行こうよ
「映画 このすば 紅伝説」

(c)暁なつめ・三嶋くろね/KADOKAWA/映画このすば製作委員会 エンタメだなあ。この言葉に尽きる。「映画 この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説」の感想。実は「この素晴らしい世界に祝福を!」はお気に入りのシリーズで、テレビでやっているとつい見ちゃう。Netflixを立ち上げると、つい再生しちゃう。それくらい好きなのだ。ひとこと「好きなアニメ」といっても、繰り返し再生したくなるような作品と、一回見たら次は数年後でいいかな~みたいな作品があるけれど、「このすば」の場合は圧倒的な前者というわけ。ちなみに超余談だけど、後者の代表は「伝説巨神イデオン 発動篇」とか「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」とか「DEVILMAN crybaby」とかね。伝わるじゃろ? どちゃくそおもしろいし、すごいんだけど、見終わった瞬間にグッタリしちゃうようなアレじゃよ。
 というわけで、夏の疲れが抜けきらないアナタも、「映画 このすば」を見に行けば一発で元気になるんでオススメよ、また次回~……なーんてな感じで終わったら、さすがに編集さんにも読者のみなさんにも怒られる。つか、それ以前の問題として、自分としてももう少し作品の魅力を語りたくはある。
 制作会社こそ変わったものの、メインスタッフは監督、脚本、キャラクターデザイン・総作画監督などなど、まるっと継続参加。剣と魔法の異世界に転生したニート青年のクズ……カス……ゲス……カズマと、そのパーティーメンバーである駄女神アクア、超強力だが使い勝手の悪い爆裂魔法の使い手めぐみん、圧倒的な耐久力で苦痛を受け止めることを至上の悦びとする女騎士ダクネスの4人を中心に、基本困ったちゃんばかりの愉快な面々が繰り広げる、すったもんだの大騒動を描く点も変わらない。つまり、テレビシリーズが好きだった人は、安心して劇場に足を運んでヨシ。
 では、そうじゃない人はどうだろう? まあ、テレビシリーズを全部予習するのが当然ベターではあるのだが、最低限、公式サイトに目を通して、キャラクターの立ち位置がザッと把握できていれば大丈夫じゃないかなあ。とにかくギャグや掛け合いのテンポがいいから、それだけで気持ちがアガるし。きちんと1本の、長尺作品としての物語の縦の筋が通してあるし。……はい、キタ。これ重要。試験に出る。
 劇場版のストーリーの軸となるのはめぐみんの里帰りエピソード。家族からあらぬ誤解を受け、カズマとめぐみんが一緒の部屋でうれし恥ずかしの寝泊まりをするラブコメ風の展開なんかも盛り込みはするものの、美少女キャラクターの愛らしさを見せつけるだけでは終わらない。放蕩娘の帰還というか、カルメン故郷に帰るというか、生まれ育った土地にはどことなく居場所がなかった少女が、外の世界で帰るべき場所を手に入れたことで、自分の過去と、しこりの残っていた以前の人間関係と、地元と和解する。そんな普遍的な物語が描かれる。シリーズ作品だからってキャラ人気の高さに頼らず、こういうところを外さないの、ホントに大事だと思うんだなあ。
 そんでもって、クライマックスの爆裂アクションは大スペクタクル。昨今、テレビシリーズの続きともなると、どうも画作りもテレビの延長で終わってしまう残念な劇場作品も多々ありますが、この作品はそこもしっかりしてる。エラい。絵も話もね、ツボを押さえてるって感じ。
 既存のファンにだけ独占させとくのは勿体ないぜよ……という結論で、今度こそ、そろそろ終わりましょ。また次回~。

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