【石崎ひゅーい・山人音楽祭 2019】
20年越しの想いを遂げ、初の山人でみ
せた全力の姿

山人音楽祭 2019【妙義ステージ】 石崎ひゅーい
ステージに登場するや、石崎ひゅーいは、このステージに立つ喜びを前のめりに語りはじめた。
「あのー、茂木大兄貴から電話で連絡がありまして。“山人に出てくれないか”って。めちゃくちゃ嬉しかったです。20年前、僕は茨城の水戸でライブをはじめたんですけど、G-FREAKはよく(ライブハウスに)来てくれてて。ずっと背中を追いかけてました。高校生のときにイベントで呼んだら、出てくれたんですよ。高校生のイベントに、ですよ? それから20年経って、G-FREAKが大切にしてる群馬の『山人音楽祭』に呼んでもらいました」。
石崎ひゅーい
溢れる想いを抑えきれない様子で、そこまで一気に伝えたひゅーいが、アコースティックギターの弾き語りで1曲目に歌ったのは、G-FREAK FACTORYのカバー「ダディ・ダーリン」だった。穏やかに刻む3拍子にのせて、平和を願う名曲。茂木がその歌詞に込めた想いを一語一句を汲み取り、噛み締めるように歌い上げた石崎は、「あとね、この『山人音楽祭』の企画・運営をやってるドスコイっていうやつとは、一緒にG-FREAKのライブを観に行ってました。そいつが、いまは企画・運営をやってる。すごいでしょ?」と、うれしそうに言葉を重ねた。
石崎ひゅーい
そして、ガシャガシャとギターを掻き鳴らしながら、菅田将暉に提供した歌謡テイストの「さよならエレジー」を荒々しいボーカルを届けると、野外のステージが似合う陽気なポップソング「1983バックパッカーズ」を軽やかに歌い切り、「天気よかったよね、よかった、よかった」と声を弾ませた。終盤、素晴らしかったのは、消えそうなほど小さな音でギター爪弾き、ときに囁くように、揺らぐテンポのなかで歌い上げたバラード曲「花瓶の花」だった。自分の想いを誰かに伝えるということ。簡単なようで難しいその作業のために、心を砕き、言葉を研ぎ澄ませるひゅーいの歌はとても人間臭い。
ラストは「夜間飛行」。サビでシンガロングを巻き起こし、超ロングトーンのコール&レスポンスでお客さんと遊ぶと、最後は、曲に合わせて「何度でも山人に帰ってきますから!」と絶叫。20年越しに叶えることができた想いを、さらに未来へつなげる、清々しいまでに全力のステージだった。

文=秦理絵 撮影=タマイシンゴ
石崎ひゅーい

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