伊礼彼方、昆夏美、小林沙羅らが本番
さながらに熱唱!スタクラフェス『ク
ラシック紅白歌合戦』リハーサル現場
潜入レポート

2019年9月28日(土)、29日(日)の2日間、神奈川・横浜赤レンガ倉庫特設会場にて開催される国内最大の全野外型クラシック音楽祭『STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2019(通称:スタクラフェス)』まで、あと数日!そんなある日、スタクラフェス1日目、28日(土)にHARBOR STAGEにて行われる『クラシック紅白歌合戦 オペラからミュージカルへ』のリハーサルが都内スタジオにて行われた。この模様をレポートしよう。

この日集まったのは、北川辰彦(バスバリトン)、小林沙羅(ソプラノ)、西村悟(テノール)の日本を代表する実力派オペラ歌手と、伊礼彼方昆夏美、エリアンナ、そしてLE VELVETS(宮原浩暢、佐賀龍彦、日野真一郎、佐藤隆紀)という、様々なミュージカルの大作で歌声を聴かせる俳優たち。彼らと、指揮を務める松沼俊彦、そしてSTAND UP! ORCHESTRAメンバーが一同に会する本番さながらのリハーサルだ。
開始前には笑顔で言葉を交わす場面も
まずはALL CASTによるミュージカル『レ・ミゼラブル』メドレー。すでにオーケストラメンバーだけでもぎゅうぎゅう状態のスタジオだが、歌手が加わると一気に華やかさが増す。松沼が全体、そして各パートに細かく指示を出したあと、楽器が重厚かつ壮大になり出した。
まずはエリアンナがファンティーヌの代表曲「夢やぶれて」を豊かな声量で伸びやかに歌い上げる。エリアンナはダイナミックでソウルフルな歌声の持ち主だが、この楽曲ではしっかりとチャンネルをファンティーヌに合わせ、それでいてエリアンナらしさを忘れない歌を聴かせていた。
エリアンナ
エリアンナが歌い終わると、次のナンバー「星よ」の前奏が鳴り出す。すっと席を立ち豊かな声で歌い出したのは伊礼。先日まで『レ・ミゼラブル』で自身初となるジャベール役を務めあげた事が自信に繋がったようなその歌声はドラマティック。今まさに上演中かと思うくらいだった。
伊礼彼方
続いて『レ・ミゼラブル』で主演ジャン・バルジャン役を務めた佐藤が「彼を帰して」を非常に静かに、厳かに歌い出す。その歌声は徐々にボリュームを高め、大勢のオーケストラの音量をしのぐほど、太くたくましく、そして鮮やかに歌い上げる。先の伊礼共々、ここが帝国劇場ではないかと錯覚するくらい、舞台の名場面が脳裏によみがえるようだった。
佐藤隆紀
そして『レ・ミゼラブル』で2013年からエポニーヌ役を務めている昆が、「オン・マイ・オウン」をマリウスへの愛とその想いが伝わらない切なさを垣間見せながら、深く歌い上げると、そこからあの「ワン・デイ・モア」のイントロへ。
昆夏美
バルジャン佐藤が歌い出した後、日野がマリウスのパートを、そして小林がコゼットのパートを重ねる。アンジョルラスのパートは佐賀がリードを取り、宮原が追いかける。
日野真一郎(LE VELVETS)

小林沙羅(ソプラノ)
何度か佐藤の声が響く度に伊礼がシブく、そしてテナルディエ夫妻のパートを北川とエリアンナがユーモアいっぱいに繰り広げ、最後に西村が加わり大合唱となった。一度最後まで通した後、スタジオに詰めていたスタッフやオケのメンバーから思わず拍手が沸き起こっていた。
左から エリアンナ、北川辰彦(バスバリトン)
西村悟(テノール)
ALL CASTの練習が一段落すると、昆のソロコーナーで披露するミュージカル『モーツァルト!』の名ナンバー「僕こそ音楽」の練習が。井上芳雄ほか男性キャストによる歌声とは異なり、透明感溢れる少年のような歌声を響かせる昆。これはこれで新鮮!聴きごたえのある歌唱だった。
左から 昆夏美、伊礼彼方
役者が代わり、今度は伊礼と小林のコンビでミュージカル『オペラ座の怪人』の中からファントムとクリスティーヌのデュエット曲「Point of No Return」が歌われた。「ねちっこくやりますから!」と伊礼が宣言した通り(笑)、先のジャベール以上にドラマティックなファントムになりきって情熱的に歌い上げる伊礼。「僕がねちっこくやることで沙羅さんが爽やかに聴こえるから」と茶目っ気たっぷり。その言葉に小林は笑いつつも伊礼の期待に応えるように凛とした爽やかさをたたえながらクリスティーヌパートを歌った。この二人のコンビで『オペラ座の怪人』そして『ファントム』を観てみたいと思わせるパワーに溢れていた。
伊礼彼方、小林沙羅
小林沙羅(ソプラノ)
なお、演奏中、オケの方ではちょっとしたハプニングが。めったな事では倒れないビオラの駒(弦を支える板)が演奏中に突然バチンと倒れてしまったのだ。「このスタジオにファントムがいるね~」「ファントムがやったかもな~」と伊礼らが口々に呟いていたのは言うまでもない。
伊礼彼方
LE VELVETSによる稽古も聞き逃せない。歌劇『トゥーランドット』から「誰も寝てはならぬ」、イタリアのカンツォーネ(民謡)の代表作「オー・ソーレ・ミーオ」、そしてミュージカル『RENT』から「シーズン・オブ・ラブ」。2曲目の「オー・ソーレ・ミーオ」の歌唱前に、「ウチの佐藤が2サビでちょっと仕掛けますから」と他3人が松沼に向かってニヤリと予告。「じゃあこっち(オケ)はその動きに合わせればいいんだよね」と松沼が了承して演奏スタート。佐藤がやった仕掛けとはいったい……!?少なくとも佐藤の仕掛けに一同驚き、笑い、感動の拍手喝采となった事をここに記したい。是非当日会場で体感してほしい。
指揮の松沼と打ち合わせる日野と佐賀。”仕掛け”とは…?!

日野真一郎、宮原浩暢(LE VELVETS)

また、「シーズン・オブ・ラブ」では男4人で男女混成の楽曲をどのように?とワクワクしていたが、佐賀と日野のテノールコンビがハイトーンで女性パートを難なくこなしており、こちらも驚きと共に大きな拍手を浴びていた。
LE VELVETS

LE VELVETS
この日最後は伊礼のソロコーナー。先の『レ・ミゼラブル』の「星よ」の気になる点を確認した後、『ジキルとハイド』から「ディス・イズ・ザ・モーメント」を熱唱。これもまた、いつか『ジキルとハイド』の舞台上で聴きたくなる事間違いなし!いや、近い将来聴けるのでは?と思わせるくらい堂に入った歌いっぷりだった。
『クラシック紅白歌合戦』では、このほか『トスカ』『愛の妙薬』『蝶々夫人』『ライオンキング』なども披露される。さらに翌29日(日)には『This is ミュージカル』と題して、朝夏まなと、相葉裕樹、宮本笑里(ヴァイオリン)らも加わり、近年話題のミュージカルナンバーが目白押しだ。詳しくは公式サイトをチェック!
取材・文・撮影=こむらさき

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