SANABAGUN.の自由でキケンな、ヒップ
ホップを味わえ。

「平成生まれのヒップホップチーム」S
ANABAGUN.

世界的なヒップホップブームの波が、ここ日本の音楽シーンにも押し寄せている昨今。様々なスタイルのラッパーやヒップホップアーティストが注目を集めるようになりました。そんな中「レペゼンゆとり教育」、「平成生まれのヒップホップチーム」を標榜し、結成以来変わらぬスタンスで活動し続けているのがSANABAGUN.です。彼らは、幾多のライブで鍛えた演奏力とフリーキーでジャンルレスな楽曲、そしてどのアーティストとも異なる独自のスタンスで根強い人気を誇ります。そんなSANABAGUN.のこれまでの歩みを、生み出してきた名曲と共に紹介します。

9人のグルーヴから生まれたジャズ・ヒ
ップホップ。SANABAGUN.結成秘話

SANABAGUN.の始まりは2012年11月。ボーカルの高岩遼は尚美学園大学のジャズ科に所属しており、倍音の効いた深みのある声を生かし在学中からビックバンドのシンガーとして活躍。ジャズシンガー・椎名純平のライブのオープニングアクトに抜擢されるまでになります。そのステージのセットリストを考えた際にヒップホップをジャズアレンジで演奏することを思いつき、ステージで披露したところ、大きな手応えを掴みます。
高岩はこの時のライブがきっかけで、バンドの結成を決意。ライブのバックバンドを務めたトランペットの髙橋紘一 、サックスの谷本大河、そしてドラムの澤村一平と共にメンバーを集め始めます。ほどなくしてラッパーの岩間俊樹とギターの隈垣元佐が加入。そしてのちにSuchmosのメンバーとして活躍する、ベースの小杉隼太と櫻打泰平が加わり、2013年の夏よりSANABAGUN.としての活動を開始します。8人とも高いスキルと音楽的素養を持っていた彼らは、全員でセッションすることで、独自のグルーヴ感を反映させた曲を生み出していきます。さらにライブハウスではほとんど活動せず、渋谷の路上のみでライブをする独自の活動で人気を拡大。その結果、結成からわずか2年で、メジャーデビューを果たしたのです。

音楽によってピンチをチャンスに。新メ
ンバーが加入し、生まれ変わったSANAB
AGUN.。

一見順風満帆な歩みのように見えますが、デビュー後には様々な葛藤が生まれたそう。2枚目のアルバム『デンジャー』制作後に、高岩は当時の悩みを語っています。

サナバは才能豊かでヤンチャなやつらが集まってるもんですから、たまに「サナバ高校」に来なくなるときがあって、ちょうどそういう時期だったんですよね。意外とネガティブなやつも多いんで、思ってることが伝染したりもして、「売れねえじゃん」「どうすんだよ、これ」「ヤバイヤバイ」って、ちょうどみんなテンションが下がってたんです。 (CINRA.NET インタビューより 引用)

しかしそのメンバーの空気感に対する不安を、ラッパーの岩間が収録曲「メジャーは危ない」のリリックに赤裸々に描くことで、音楽に昇華させます。

まだだ まだまだ足りない 稼ぎ足りない 暴れ足りない 遊び足りてもないし 夢見させたい 俺らができなきゃ誰もできない

苦悩をストレートに表現したこの楽曲が一つの契機になりSANABAGUN.は新たな道を進み始めたように思えます。
『デンジャー』をリリースした翌年の2017年には、年内のリリースをしないことを宣言。ライブのみに専念することで、バンドの結束とグルーヴをより強化していきます。その間にベースの小杉が脱退してしまいますが、新ベーシストとして大林亮三が加入。2年ぶりのアルバム『OCTAVE』では、より骨太で多彩になったサウンドをアルバム全体で表現しています。彼らはまさに、音楽を作り出すことによってピンチをチャンスに変えてきたバンドなのです。
今年の2月には、昨年脱退した櫻打に代わってキーボーディストの大樋祐大が加入。わずか22歳の彼は、SANABAGUN.に新しい風を吹き込み、すでになくてはならない存在になっています。新たなメンバーを迎え、8人体制になった彼らは、歩みを止めることなく音楽を作り続けているのです。

キケンな香りの中に潜むユーモア。SAN
ABUGUN.の名曲5選。

「実家帰りなよ」

メジャーデビュー前に路上販売をしていたアルバム『緑盤』に収録され、MVも公開されている楽曲。普段歌うのはボーカルの高岩と、ラッパーの岩間のみですが、この曲ではメンバー8人全員でマイクリレーをしています。その内容は、メジャーアーティストたちを次々にディスるもの。すべてがパンチラインとも言いたくなるような、どぎついフレーズが並びます。しかし、このMVを発表後にSANABAGUN.はメジャーデビューを発表。のちのインタビューでは、彼らなりのユーモアであったと明かしています。しかし、この曲に綴られた「You know 流行?興味ないぜ dirty 悪いがならねぇ 商売の奴隷に」というラインは、今も変わらない彼らのスタンスを感じ取ることができます。

「人間」

SANABAGUN.初のフルアルバム『メジャー』に収録された楽曲。イントロの管楽器のフレーズとベースラインからは、ジャジーで洗練された印象を感じますが、歌詞でひたすら歌われるのは「眠る」こと。そう、休日に眠る喜びを歌った曲なのです。冒頭から繰り返される「トイレットペーパーで お尻を さぁ 拭いて 重い腰を上げて さぁ 布団へ帰ろうぜ」というパンチラインだけ見ると、コミカルな楽曲のように聴こえますが、彼らのアレンジメントと「人間」というタイトルで、人類普遍の感情を歌ったエモーショナルな楽曲として響きます。

「Mammy Mammy」

不穏なベースラインと乾いた打ち込みのリズムを基調としたこの楽曲は「ヒップホップチーム」であるSANABAGUN.のトラックメイキングのセンスも感じさせるもの。MVでも海外のヒップホップアーティストよろしく、薄暗い部屋で女性たちと踊り金をばら撒き、パーティーを繰り広げる様子が繰り広げられていますが、歌詞の内容はボーカル高岩が母に宛てたもの。母親との思い出と感謝がリリシズムたっぷりに描かれているのです。あまりのミスマッチ感に「流石にこの年じゃ恥ずかしい」というフレーズの通り、照れ隠しとしてこのダークなサウンドを作り上げたのではないか、と思うほど。彼らの真摯さの中にさりげないユーモアを込めるセンスを感じ取れる楽曲です。

「FLASH」

2年ぶりのサードアルバム『OCTAVE』のリードトラック。この作品のリリース前年にライブに注力していたことで進化したグルーヴを、「FLASH」では存分に発揮しています。また、往年のディスコミュージックを彷彿させるサウンドは、多くの人に開かれたキャッチーなもの。「FLASH!が点灯いたします。(まる)」という句点まで歌ったサビからも、そんな自由で開放的な雰囲気を漂わせています。ちなみに、このフレーズは高岩がリハーサルで思いついた歌詞をそのまま採用したそう。ユーモラスさもそのままに、彼らがさらに大きなステージへと登り詰めることを予感させます。

「Sweet Dream feat.藤原さくら」

4枚目のフルアルバムからの先行シングルで、藤原さくらをゲストボーカルに迎えた作品。意外にもSANABAGUN.の楽曲に他のアーティストがフィーチャーされるのはこれが初めてです。高岩の渋みの効いた声と岩間の乾いたラップに割って入る藤原のスモーキーなボーカルは、スウィートかつスリリング。さらに、音の隙間を生かしたアレンジとやわらかなアコースティックギターからは、SANABAGUN.と藤原さくらのサウンドがしっかり融合しているような印象を受けます。お互いがお互いの魅力を引き出し、新たな音楽へと昇華させた、コラボレーションのお手本のような楽曲です。

この秋には新作とツアー。変わらぬ自由
さと、進化していくグルーヴを味わおう

今年、SANABAGUN.はフジロックフェスティバル2019に出演。2番目に大きいホワイトステージの最終日トップバッターを務め、堂々たるライブを披露しました。新たなメンバーを迎え、より一段と進化した彼らは、10月23日にアルバム『BALLADS』をリリース。さらには11月より全国8ヶ所でリリースツアーも決定しています。
結成以来、SANABAGUN.の目標は「オリジナルなままスターになること」。変わらぬ姿勢で音楽を作り出している彼らを見ていると、その夢へと一歩一歩近づいているように思えます。着実に大きなステージへと駆け上がるSANABAGUN.。その自由でオリジナリティ溢れる音楽を、味わってみてはいかがでしょうか。

【リリース情報】

『BALLADS』
2019.10.23 OUT
CD / VICL-65255 / 税込:¥3,300 (税抜:¥3,000)

1年半ぶり4枚目となるアルバム『BALLADS』
今回は自身としても初の試みとなるコラボ楽曲や、初めてプロデューサーを起用した今までにない作品に仕上がっている。

feat.ゲストとしてCreepy Nuts / 藤原さくら
プロデューサー陣にDJ UPPERCUT / 西寺郷太NONA REEVES) / Yusuke Nakamura (Blu-Swing,LastElectro)

と豪華なラインナップを迎え、HIPHOPやJAZZ、FUNKといった要素を今までと違った方法で抽出した、新たな一面を見せるアルバムとなっている。

[収録予定曲]

01. Somebody 
02. Sweet Dreams feat. 藤原さくら 
03. 45
04. Taco 
05. Fever 
06. Punch Me Panda 
07. C.$.C
08. Mystery
09. ス・パ・パ・パ・イ・ス 〜想い出のお母さんカレー編〜
10. move on
11. Stay Strong 
12. 浪漫飛行 feat. Creepy Nuts

【公演情報】

「TOUR BALLADS」
11月 01日 (金) 神戸 VARIT. 
11月 04日 (月・祝) 札幌 Sound Lab mole 
11月 15日 (金) 大阪 CLUB QUATTRO 
11月 16日 (土) 名古屋 CLUB QUATTRO 
11月 24日 (日) 仙台 MACANA 
11月 29日 (金) 広島 CLUB QUATTRO 
12月 01日 (日) 福岡 BEAT STATION 
12月 13日 (金) 東京 マイナビBLITZ赤坂

全公演
OPEN18:15 START19:00
前売:¥3,780(D代別)

チケットはこちら!!

SANABAGUN.公式サイト
Twitter

SANABAGUN.の自由でキケンな、ヒップホップを味わえ。はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着