【インタビュー】極東ロマンスに疑問
をぶつけてみた

BARKS主催イベントツアー<千歌繚乱1st LIVE TOUR〜錦秋の候〜>の名古屋公演、大阪公演に出演する極東ロマンス。
同イベントに参加するJuri(Vo/breakin’ holiday)とShindy(Vo/極東ロマンス)の対談を経て、極東ロマンスのメンバー5人がBARKSのインタビューに初登場。

彼らはAnli Pollicinoで活動していたShindy、琢磨(G)、Yo-1(G)にジャンルの異なるフィールドで音楽活動をしていた柳山ユウト(B)、Tetsufumi(Dr)が加わり結成された。バンド名、ナゾの下北推しなど、初登場だからこそのこのタイミングで彼らに質問をぶつけ、極東ロマンスの魅力やバンド論を浮き彫りにしていく。なお、写真は東名阪ツアーの東京公演のものを本邦初公開。

   ◆   ◆   ◆

──疑問だらけなんですよね。このバンド。まず最初に、このインパクトあるバンド名。今の時代に、なぜこんな悪そうな極道な匂いがするバンド名を背負おうと思ったんですか?

Yo-1:極東とロマンス、その言葉のギャップが古いものと新しいものを混ぜている自分たちのバンドの音楽性にも通じてるんですよ。

Shindy:元々はロマンスという言葉だけがあって。そこにくっつける言葉をみんなで探してたんです。だけど見つからなくて。ファッショナブルなものから英語だけのスタイリッシュな名前、いろいろ候補はあったんです。でも今日決めないと、という日がきたとき、事務所の屋上で空を見上げてたら、ここは世界から見ると極東に位置するんだなと思ったんで、「極東ロマンス」っていったら、それがあまりにもインパクトがありすぎて。事務所の会長も「それがいいんじゃない」ということで決まりました。
▲Shindy(Vo)

──普通は「極東」ってパッと思いつかない気もしますが。

Shindy:前のバンドでも海外に出てたんで、若い頃から“極東”というところには意識があったんですよ。日本の位置、日本ならではの歌謡曲やJ-POPカルチャー。そこを大事にするという意味でも極東がいいと思いました。

Yo-1:グッズとかはローマ字表記にしてるんで、意外とかわいいですけどね。

──短縮して呼ぶときの呼び名はありますか?

Yo-1:“極ロマ”と呼んでもらってます。

──極ロマは新人さん、という認識でいいですか?
Yo-1:ええ。新人“風味”な(笑)。

Shindy:今年の4月に結成して、8月1日にFC限定で初ライブ<CLUB EUCLID限定ONEMAN LIVE「0」>をやって。(取材時は)初の東名阪のワンマンツアー<FIRST ONEMAN TOUR>をやってるところですからね。

──次に疑問なのが、プロフィールが“下北推し”なところ。オフィシャルサイトのバイオグラフィーを見ると、話したり呑んだりする場所として下北沢がやたらフィーチャーされていて。これね、ギターロックの方々がやるんだったらなんとも思わないんですが。

Yo-1:単純によく集まる場所だからですよ(笑)。

Shindy:僕と琢磨君とYo-1君とユウト君は、地元が下北沢なんですよ。てっちゃん(Tetsufumi)の地元は山梨なんですけど、結成するときは下北に住んでたんで、自然と集まる場所が下北になったんです。ヴィジュアル系で下北推しのバンドはいないと思うんで、いつか商店街の人とコラボできたらいいなと思ってるんですけどね(笑)。
▲琢磨(G)

──で、次に疑問に思ったのが元々ヴィジュアル系ではなかったユウトさんとTetsufumiさんが加入したことなんですよ。

Shindy:てっちゃんはメタルコア、ユウトはロック系のジャンルでバンドをやってましたからね。

──では、ファーストアルバム『0 -ZER0-』収録の「Light Your Fire」にかけて、なにに火をつけられて、このバンドをやろうと思ったのかを教えてもらえますか?

柳山ユウト:Shindyとは昔一緒にバンドをやってたこともあったんで、もともと友達だったんですよ。それで、またいつか一緒にやれたらいいねと言ってたのが9〜10年前かな。それで、去年下北で一緒に飲んで世間話をしてたら、「一緒にやったら面白そうじゃない?」って話になって。僕が「バンドをやろうバンドをやろう」と思ったのは、Shindyとそのあと紹介してもらったメンバーの存在がデカくて。そこで火がつきました。このメンバーとなら面白いことやれるんじゃないかって思ったんですよね。

琢磨: 僕は前のバンドが終わる時に“自分の人生の中での音楽とは……”みたいな事を考えた結果だったので、何にと言われると難しいですが……敢えて言うとしたら、待ってるって言ってくれてたファンの皆に、です。

Yo-1:僕はShindyに火をつけられました。個人的には前のバンドが活動終了した後、音楽を続けるかどうか悩んでて……。それで、Shindyに相談してたんですよ。

Shindy:辞めるならあのタイミングだったと思うから、僕は引き留めたりはしてないんですよ。

Yo-1:前のバンドは9年間やってたんですが、「その積み上げがあるのにいま(音楽を)辞めるのか」とShindyにいわれて。根が負けず嫌いなんで「なめんじゃねぇ、ならやってやるよ」と思って(笑)。そこで火がつきました。

Tetsufumi:僕もShindyくんに火をつけられました。共通の知り合いに紹介してもらって会ったんですけど、人に惚れましたね。すっごい呑み方するし破天荒だし、だけどちゃんと愛もあって。メンバーみんなそうなんですが、呑みに行けば行くほど、音楽どうこう以前に「この人たちとやりたい」という気持ちに火をつけられるんですよ。このメンバーでどんな音楽が生まれるのか分かんなかったんで、それも魅力的でした。

Shindy:僕はいまの事務所に入ったときから、今後なりたい予定を年表に書いて、“何歳までにはこうなる”というのがクリアできなくなった時点でバンドは辞めようと考えていたんです。

──意識が高いですね! いまどきの起業家みたい。

Shindy :で、前のバンドが止まったとき、今日まで生きてきた自分の歴史を書き出して読み返してみたんです。そしたら、やってきたことが“音楽”しかなかったんです。自分はそこそこ音楽をやってきたんだ、だからAnli Pollicinoのラストツアーにはあんなに全国各地でお客さんが集まってくれたんだと気づいて。そうやって、まだ応援してくれる人、待ってくれてる人がいるのであれば、ステージにまた戻りたい。でも普通のバンドではダメだなと思って。

──それでこのメンバーが思い浮かんだ?

Shindy :演るなら琢磨君とYo-1君と、というのは考えてて。そこにユウトとてっちゃんが加われば面白いことができるから、待ってくれてた人の期待をいい意味で裏切って、期待以上のものが作れると思ったから僕は火がつきました。
▲Yo-1(G)

──つまり、Shindyさんにとってはユウトさん、Tetsufumiさんが加わるかどうかが鍵だった訳ですね。

Shindy:そうですね。でも、2人がもともとヴィジュアル系シーンの人間だったらバンドを組んでないと思う。それだとどんな風になるのか想像がついてしまうから。新たにバンドをやるなら、「何系なの?」と思われるバンドにしたかったんですよ。

──そう思ったきっかけは?

Shindy:ヴィジュアル系のファンって、バンギャとかパンピだとか、狭い垣根のなかで分類があるんですよ。でも僕はずっと「その違いは何?」って疑問に思ってて。それがずっと前のバンドで解消できなかったことが心残りだったんで、あえてこのメンツで勝負したい、と。

──その熱い想いはこれも『0 -ZER0-』収録の「天才奇才」に書かれてある“いつかカテゴライズされた 流行り廃りにハマらない 君に出逢えたらいいな”というフレーズにつながりますね。

Shindy:そうなんです。

──では、次の疑問は極東ロマンスの音楽性について。楽曲にそこはかとない歌謡の香りを感じるんですよね。

Shindy:バンド結成当初はいろんな音楽……それこそフェス受けする音楽とか、流行りの洋楽をとりいれた音楽を作ったりしてたんですけど、どれもしっくりこなくて。そんな時、僕らをずっと見てたプロデューサーから「メロディに関していえば“歌謡”が強いんじゃない?」といわれて。それをきっかけにみんなで歌謡曲を勉強しましたね。

──いちから勉強したんですか?

Yo-1:はい。聴いてコピーして、コード進行や譜割とかを調べて。

Shindy:もともとYo-1君とJ-POP的な曲を作っていたこともあるんですが、極東ロマンスではさらにもうちょっと昔に戻ったところのメロディを意識しています。

琢磨:歌謡メロディーは何故だか大好きなので、ウケ狙いで無理して作るって事も無くて、学ぶにしても何にしても自然に楽しみながらやれてます。

柳山ユウト:僕は昔から親に南こうせつさんのコンサートに連れていかれたりしてて、歌謡曲で育ってきたんです。だから僕は自分のルーツから歌謡の要素を出してきた感じです。

Tetsufumi:僕はユウトさんほど深くはないですけど、ユーミン(松任谷由実)とかは大好きです。歌謡曲のドラムのアプローチはいままでやってきた音楽とは相当違うので、勉強は必要でしたが。

Shindy:曲はメロディ先行で作り、メロディを邪魔しないようにどう激しくするか、どうドライブ感をつけるか、考えましたね。Yo-1君は6弦に7弦の一番太い弦をはったダウンチューニング、ユウトは5弦ベース、琢磨君はバキバキした音で弾いてもらって。スタジオワークのなかでメロディを邪魔しない自分たちのサウンド感を作っていきました。

Yo-1:デモは100曲ぐらい作ったかな。その中の10曲を選んで入れたのが、『0 -ZERO-』です。
▲柳山ユウト(B)

──その結果生まれた音楽は、実に絶妙で。ここまで歌謡曲メロなバンド、珍しい気がします。

Yo-1:ありがたいです!

──あと、イベントライブに出演されていないことも疑問だったんです。

Shindy :極東ロマンスにとって、今回のBARKS主催イベントツアーが初のイベントなんですよ。新人なのに(笑)、これまでワンマンしかやってなかったから。

Shindy:普通ならまずはイベントライブに出て知名度を上げてからワンマン、という流れが一般的だと思うんですが、僕らは幸運なことに、待ってくれるファンの方がいてくれたので。イベントの短い時間で3〜4曲観てもらうんじゃなく、フルセットで自分たちのことを観て欲しかったんです。イベントはその後かなと。

──どうして?

Shindy:どうせ出るならイベント出演者の中で「一番よかったね」って言われたいじゃないですか。そのためには、まず最初にワンマンでメンバーとファンがガッチリ固まったほうがいいなと。

──地固め、ですね。

Shindy:ええ。そのほうが、イベントに出たときに強いなと僕は思ってるんです。そもそもイベントライブって、自殺行為だと思うんですよ。みんなが観てるなかで、最悪なライブをしてしまったら終わりじゃないですか。実際、過去に最悪なライブをしてヘコんだこともあるし。そうならないためには、常にいい声、いいコンディションで演るべきなんですよ。

──イベントライブには、そこまで整えて挑むべきだ、と。

Shindy:ええ、そうです。ワンマンは“好き”な人だけが来てくれますけど、イベントってそうじゃないですからね。

Yo-1:イベントはいろんなバンドのお客さんがいるので、腕組んでドライな目で観てる人もいますし。

Shindy:メンバーとファンと一緒になって本気で乗り込んでいかないと、爪痕は残せない。いまは特にイベントが多いので、余計にそう思います。

──そんな中、BARKS主催イベントツアーに出ようと思った理由は?

Shindy:一番は、BARKSさんのイベントなら、いい出演者が揃うんじゃないかなと思ったから。その中で衝撃を残せたら最高だなと。イベントはたくさんあるけど、無駄なイベントライブはしたくないんです。
▲Tetsufumi(Dr)

──そこまで本気で挑んでもらえると嬉しいですね。

Shindy:後悔したくないですからね、出たことを。

──他のメンバーのみなさんも、このイベントにかける意気込みを聞かせてもらえますか。

Yo-1:僕らには1回観ただけで忘れられない中毒性があるから。それをちゃんと濁りなく届けたいと思います。

──極ロマは歌謡曲ベースのメロということもあって、曲を知らなくても楽しめる楽曲ばかりですからね。

Yo-1:ええ。そういう曲の作りにしてますから。日本人なら誰でも耳なじみはいいはずです。メロディがそうなので、あとはライブの音、パフォーマンスで魅了したいですね。

──ちなみにイベント当日は髪の色は変えますか?

Yo-1:ちょっと変えようかなと思ってます。頭皮と相談しつつ(笑)。

琢磨: 僕は変えません……。

柳山ユウト:僕らはライブで輝くバンドだと思ってるんですよ。熱さや音の迫力を体感できるのはもちろんだけど、パフォーマンスでも各々が輝きますから。

──ちなみに、ユウトさんはステージ映えする高身長の持ち主ですが、身長は何cmですか?

柳山ユウト:181cmです。……え、なにか(笑)


──お隣のYo-1さんは?

Yo-1:(小声で)165cmです。ユウトの肩に手を回したくても届かない(笑)。

Tetsufumi:僕は椅子があってよかった(笑)。イベントに関しては、僕らは爆発力があるバンドだと思うんですよ。なので、こういうイベントのショートセットでも面白いことになるんじゃないかなと思ってますね。楽しみです。
──お客さんにはどんな風に楽しんでもらいたいですか?

Shindy:イベントって不思議で、棒立ちで観てくれてた人がすごく気に入ってくれて次のワンマンに来てくれたり、逆に盛り上がってくれてたのにその場限りの人もいて。なので、棒立ちで観てもらっても全然いいと思います。僕らもイベントだからとって必要以上に盛り上げようとはしないんで。どうせ一つになるのは無理ですから。イベントは。

──クールですね。

Shindy:よく「ひとつになろうぜ!」とか頭から煽ってくる人がいますけど、アンコールとか、いい感じになってきたところならいいんですけど。そうじゃないところでいわれても「別に」って思いません(笑)? 心のなかでひとつになれるか、そこで勝負したいですね。

──楽しみにしています。このイベントで極ロマが気になった方々には、10月から3ヶ月連続で行われるワンマン公演<3Steps to the ultimate BLACK>にも足を運んでもらいたいですね。

Shindy:そうですね。この公演は、ハロウィン、黒服限定、クリスマスとそれぞれ内容が異なるものになります。
──最後に、極東ロマンスで目指す夢を教えてください。

Yo-1:音楽を通してひとつになれたら、そこは夢の空間ですよね。

Shindy:当然大きいハコでもやりたいですけど、まずはいいライブをやって、いいお酒を呑みたいです。ひとつひとつのライブを毎回クリアしていくことで、求めてくれる人が増えれば自ずと会場のキャパは広がっていくと思うんで。

──確かにね。

Shindy:バンドをやってると、いつも動員数やチケット売上なんかの数字に追われて、大事なものを見失いがちになるんですよ。だけど数字ばっかり気にし始めちゃうとバンドもクソもなくなっちゃう。なので、僕らは僕らやスタッフ、ファンのみんなも満足いくことを繰り返していくだけです。それでひとつになれた瞬間は最高に幸せですから。キャパが200だろうが2万だろうが。それだから、バンドって楽しいんですよ。

取材・文◎東條祥恵

   ◆   ◆   ◆

極東ロマンスが出演するBARKS主催イベントツアー<千歌繚乱 1st LIVE TOUR 〜錦秋の候〜>は、下記にてチケット発売中。(極東ロマンスの出演は、名古屋公演、大阪公演のみです)

■チケット一般発売
8月10日(土)12:00〜各公演前日まで
名古屋公演:
大阪公演:
東京公演:
<千歌繚乱 1st LIVE TOUR 〜錦秋の候〜>

■名古屋公演
日時:2019年10月10日(木)開場 16:30 開演 17:00
出演:AXESSORY / 極東ロマンス / K / JILUKA / Develop One's Faculties / breakin’ holiday
会場:名古屋ell.FITS ALL
料金:【先行チケット】4,000円(整理番号A)【一般チケット】4,200円(整理番号B)【当日券】4,500円※ドリンク代別途

■大阪公演
日時:2019年10月11日(金)開場 16:30 開演 17:00
出演:AXESSORY / 極東ロマンス / K / JILUKA / Develop One's Faculties / breakin’ holiday
会場:大阪RUIDO
料金:【先行チケット】4,000円(整理番号A)【一般チケット】4,200円(整理番号B)【当日券】4,500円※ドリンク代別途

■東京公演
日時:2019年10月22日(火・祝)開場 15:30 開演 16:00
出演:AXESSORY / K / JILUKA / Develop One's Faculties/ defspiral / breakin’ holiday / THE MICRO HEAD 4N'S
会場:高田馬場AREA
料金:【先行チケット】4,200円(整理番号A) 【一般チケット】4,500円(整理番号B)【当日券】4,800円※ドリンク代別途

チケット一般発売
8月10日(土)12:00〜各公演前日まで
名古屋公演:https://eplus.jp/sf/detail/3015650001-P0030001
大阪公演:https://eplus.jp/sf/detail/3011420001-P0030001
東京公演:https://eplus.jp/sf/detail/3011430001-P0030001

主催:BARKS(ジャパンミュージックネットワーク株式会社)
制作:rivabook


<極東ロマンス ONEMAN LIVE「3 Steps to the ultimate BLACK」>

2019年10月22日(火・祝)高田馬場CLUB PHASE
BLACK HALLOWEEN NIGHT
OPEN17:00/START17:30
オールスタンディング ¥4,200(税込/D別)
チケット・公演詳細ページ
https://kyokutoromance.com/contents/258990

2019年11月24日(日)代官山SPACE ODD
ROMANTIC BLACK NIGHT 【“BLACK” Dress Code
OPEN17:00/START17:30
オールスタンディング ¥4,200(税込/D別)
チケット・公演詳細ページ
https://kyokutoromance.com/contents/258991

2019年12月21日(土)渋谷CHELSEA HOTEL
BLACK CHRISTMAS NIGHT
OPEN17:00/START17:30
オールスタンディング ¥4,200(税込/D別)
チケット・公演詳細ページ
https://kyokutoromance.com/contents/258992

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