PENICILLIN、千聖バースデーライブに
「ひと言でいうと感無量」

PENICILLINが10月5日(土)と6日(日)の2日間にわたり、恵比寿LIQUIDROOMでライブを行なった。
タイトルへ<千聖 BIRTHDAY LIVE 「ROCK×ROCK〜strawberry〜」>と名付けたように、今回は10月4日(金)に誕生日を迎えた千聖(G.)の誕生日を祝した内容。サブタイトルの〜strawberry〜は、今回のBIRTHDAY LIVEが通算15(いちご)回目になることから来ている。そのギャグセンスも千聖らしさだ。本レポートでは2日目となる6日のライブ模様をお届けする。

ライブは「HAPPY BIRTHDAY」のギター演奏曲をSEにスタート。この日は千聖が先頭で舞台へ登場した。次々とメンバーを迎え入れたあとに披露したのが、「天使よ目覚めて」。千聖の誕生日が10月4日、つまり"てんし"の日。そこからこの楽曲を最初に奏でたというわけだ。「天使よ目覚めて」は触れた人たちの心へ瞬時に翼を授けてゆく。高ぶる感情をダイレクトに投影した千聖のギターの音色も、今夜は一段と冴えている。間奏のギターソロ時に、フロア中から千聖へ向け広げられた無数の手の翼たち。誰もが無邪気な天使となり、この空間で3人と戯れていた。

音を靡かせながら演奏は「Rosetta」へ。とても攻撃的な楽曲だ。猛々しくリフを切り刻む千聖、その上でHAKUEIが想いを告げるように歌声を重ねだす。気持ちの内側を突き刺す楽曲と言えば良いだろうか、嘆くように、想いを乞うように歌うHAKUEI。彼の歌声とは対照的に、ヒリヒリとしたリフを次々と突きつけ観客たちの気持ちを煽り続ける千聖。この絶妙なバランスがたまらない。
ROCKな魂を掲げた今宵の彼らは、決して手を緩めることはない。疾走するO-JIROのビートに乗せ「JUMP#1」では、ギラギラとした演奏の上で挑発するように歌うHAKUEIの姿が強烈なインパクトを持ってせまってきた。千聖のギターが重い唸りを上げると同時に、楽曲は観客たちを奈落へ突き落とすように「Perfect Flame」へ。激しく重いギターリフが身体へ突き刺さる。

ザクザクとしたリフを刻む千聖の演奏に乗せ飛び出したのが、「marionnette」。HAKUEIの歌声と千聖のギターリフがシンクロしながらスリリングな空気と衝動をフロア中へ振りまいてゆく。今宵は「ROCK」というテーマを軸に据えたせいかいつも以上に挑発的なギター演奏が多く、HAKUEIと千聖の心地好いバトルがどの楽曲にも生まれていた。その演奏をO-JIROがタイトなビートで支える。
激しい音の雪崩を巻き起こすように、演奏は「ボニー&クライド」へ。何時しか僕らはボニーとクライドの関係になり、スリリングなドラマへ思いきり夢中になっていた。歪んだ音を突きつけ攻める千聖、その上でHAKUEIはなまめかしい歌声を幾重にも重ねてゆく。美しさとたおやかさを抱いた「one star」が身体を浸食しては、気持ちを熱く唸らせる。ハードエッジなロックナンバー「Lucifer~光をもたらす者~」は触れた人たちをどんどん黒い衝動の中へ引き込むような演奏だ。対照的に、HAKUEIは光を求めるように妖しく、嘆くように歌いあげた。

ここで小休止、千聖とO-JIROによるトークコーナーへ。千聖の赤い衣装について「還暦のときに着るべきだったかな」という緩いやり取りから会話はスタート。「今日は15回目の誕生日、でも俺は永遠の18歳だから、4年後からは1からやり直す」とたわけたことも語っていた。「そーだそーだ、カルピスソーダ」など得意の駄洒落も混じえながら、トークが軽妙に進んでいたこともお伝えしておこう。

再びアクトに戻り、哀愁を呼び寄せるように奏でたのが「SOL」。千聖のアルペジオの旋律に乗せ想いを語るように歌うHAKUEI。演奏が進むごとに熱量がジワジワと増してゆく。感情的なサビ歌に触れ、フロア中で揺れる無数の手の花。聞かせる曲調でありながらも、その演奏に触発されたせいか、殻を壊したい衝動が渦巻いていた。

そこから、激しくも喧騒ドラマチックな「魔法ダイヤ」の登場だ。浪漫な物語を描くように進む演奏。フロア中の観客たちが心地好く身体を揺らし、情熱的な物語の中へヒロイン気分で浸ってゆく。終盤には情熱的なアコースティックギターの演奏も登場。そのまま千聖は、アコギを介し哀愁スパニッシュな音色を響かせなから「ネオグラマラス」の扉を開け放った。情熱を音に変えた演奏がフロア中を駆けめぐる。なんて妖しく情感的で、美しくも官能的な歌と演奏だろう。

「CRASH」では、ふたたびフロア中で無数の翼がはためきだす。高揚と熱狂を抱いたままライブは最後のブロックへ。激しく荒々しく、音の爆弾を次々と投げ込むように飛び出したのが「快感∞フィクション」。激しく頭を振り乱す観客たちに重厚なギター音が牙を剥いて襲いかかる。PENICILLINは、「Dead Coaster」を激しい感情と共に突きつけた。どんどん熱狂の速度を上げ爆走する演奏。その上で緩急巧みにメロウな表情も描くHAKUEIの歌声。極まった心を優しく抱きしめ共に空へ舞い上がるように「Blue Impulse」が奏でられる。

本編最後にPENICILLINが届けたのは、魂を荒ぶらせながらも快楽へと導く「NEW FUTURE」。激しく煽る演奏に触発された観客たちが、思いきり両手を揺らし、PENICILLINが示した未来へ繋がる道へ。快楽へと導く熱狂のレールに飛び乗り、火のついたハートを熱く滾らせ喧騒の中へ嬉しく溺れていた。

千聖へ向けた「ハッピーバースデー」の歌声を受け、千聖がステージへ。「すごいエキサイティングなライブですね。ひと言でいうと感無量、冠二郎ということで」と素直な感想を、ギャグ混じりで述べた。

アンコールは、千聖がMSTRと名乗り活動しているCrack6の楽曲を、巧を相棒にアコースティックなスタイルで披露。千聖と巧による2本のアコースティックギターの音色を重ね合わせ最初に披露したのが、「カナリア」。ビートボックスのリズムに乗せ、千聖は哀切な色を塗り重ねるようにして楽曲を歌いあげた。続く「CYBER ROSE」もCrack6ナンバー。メランコリックで情熱的な旋律の掛け合いから、熱情を会場中へはべらせる。クールでスタイリッシュなCrack6らしさが表情の中にも垣間見えた。

ここでお馴染みバースデーセレモニーがスタート。観客たちによる「HAPPY BIRTHDAY」の大合唱。続いて大きなケーキの蝋燭を吹き消した後に,千聖はケーキと一緒に記念撮影。

そしてふたたびPENICILLINとしてのライブへ。アンコールの最後に届けたのが、お馴染みの「ロマンス」。つねに愛を求め続ける求道者の千聖を祝う日に相応しい楽曲だ。今宵は、エッジ鋭いアグレッシブなロックスタイルにバージョンアップ。何時も以上に求愛した関係をメンバーたちが求めれば、観客たちも大きく両手を広げ、3人の熱愛を全力で受け止めては胸の内側へギュっと抱きしめていた。サビで交わしあったサビ歌のやりとりまで含め、至福の想いを抱いてメンバーがステージを降りる。

アンコールを求める熱狂した声を受け、ふたたびステージへ。ダブルアンコールでは「Desire」から、最後に豪圧なロックナンバー「FOR BEAUTIFUL MAD HUMAN LIFE」を突きつけた。激しく猛る演奏に負けまいと暴れ狂う観客たち。まさに今宵のテーマに相応しい、互いに暴れ倒すROCKなライブを描きながら、千聖バースデーライブの幕は閉じていった。

PENICILLINは今後、11月6日(水)にニューアルバム『九龍頭 -KOWLOON HEAD-』を発売。収録内容やCDジャケット、アーティスト写真、インストアイベント詳細などが既に発表されている。さらに、同作品を手にしての全国ツアーも11月よりスタートする。

TEXT:長澤智典
編:BARKS編集部

■セットリスト<千聖 BIRTHDAY LIVE 「ROCK×ROCK〜strawberry〜」>

2019年10月6日(日)恵比寿LIQUIDROOM公演
「天使よ目覚めて」
「Rosetta」
「JUMP#1」
「Perfect Flame」
「marionnette」
「ボニー&クライド」
「one star」
「Lucifer~光をもたらす者~」
「SOL」
「魔法ダイヤ」
「ネオグラマラス」
「CRASH」
「快感∞フィクション」
「Dead Coaster」
「Blue Impulse」
「NEW FUTURE」
-ENCORE-
「カナリア」(Acoustic)with山田巧
「CYBER ROSE」(Acoustic)with山田巧
バースデーセレモニー
「ロマンス」
-W ENCORE-
「Desire」
「FOR BEAUTIFUL MAD HUMAN LIFE」
▲『九龍頭 -KOWLOON HEAD-』初回盤


▲『九龍頭 -KOWLOON HEAD-』通常盤

■ミニアルバム『九龍頭 -KOWLOON HEAD-』

2019年11月6日(水)発売
[初回盤]
CD:全6曲+多頁ブックレット(20P)+ミュージックカード
品番:PHY-19001
価格:¥3,000(税抜)

[通常盤]
CD:全7曲(6曲+ボーナストラック)
品番:PHY-19002
価格:¥2,500(税抜)

[収録曲]
01九龍頭
02 SEX
03 The pain song of the beast
04 砂漠のバシリスク
05 Too young to die!
06 切り落とされた翼
ボーナストラック:人間失格(通常盤のみ)


■ツアー・イベント情報

<インストア イベント>
11月6日(水) HMV渋谷BOOKS(サイン会)
11月8日(金) タワーレコード新宿店(トーク & サイン会)
11月15日(金) HMV 大宮アルシェ店(握手会)
11月24日(日) タワーレコード仙台店(トーク & 握手会:HAKUEI & 千聖)
11月30日(土) 福岡ミュージックプラザインドウ(トーク & サイン会)
12月6日(金) タワーレコード難波店(トーク&サイン会)

<PENICILLIN TOUR 2019 九龍頭 -KOWLOON HEAD->
11月9日(土)新横浜NEW SIDE BEACH!!※ファンクラブ限定公演
11月16日(土) HEAVEN’S ROCKさいたま新都心
[問]サイレンエンタープライズ 03-3447-8822

11月17日(日) 柏PALOOZA
[問]サイレンエンタープライズ 03-3447-8822

11月23日(土) 仙台HOOK
[問]キョードー東北 022-217-7788

12月1日(日) INSA福岡
[問]GreeN Music 092-714-0230

12月7日(土) 江坂MUSE
[問]YUMEBANCHI 06-6341-3525

12月8日(日) 名古屋SPADE BOX
[問]ズームエンタープライズ 052-290-0909

TOUR FINAL<HAKUEI BIRTHDAY LIVE 「SUPER HEART CORE ’19」>
12月15日(日) TSUTAYA O-EAST
[問]サイレンエンタープライズ 03-3447-8822

チケット料金:
前売(税込) ¥7,000 当日(税込) ¥7,500
別途ドリンク代
※6歳以上チケット必要

関連リンク

BARKS

BARKSは2001年から15年以上にわたり旬の音楽情報を届けてきた日本最大級の音楽情報サイトです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着