SUNPLUS第1回演劇公演『SUMMER BAZA
AR』ゲネプロレポート 男子高校生た
ちのほろ苦い青春グラフィティ

サンミュージックに所属する若手俳優集団「SUNPLUS(サンプラス)」の第1回公演『SUMMER BAZAAR〜夏の終わり〜』が2019年10月18日(金)に新宿村 LIVEで開幕した。
俳優ユニットとして4年間活動してきた彼らが、初めてメンバー11人だけで作り上げる舞台として話題になり、脚本を宮本武史、演出を赤澤ムックが手掛けている。それぞれが積み上げてきた経験を1つにして、どのようなステージに作り上げてきたのか、公演のゲネプロレポートが届いた。
舞台は海沿いの全寮制男子校。夏休みで生徒たちが続々と実家に帰省する中、寮に居残ったのは明るく軽いノリの秋吉風太(井澤巧麻)と控えめな性格の小山内正人(谷水力)、クールでモテ男な堀尊(佐奈宏紀)と真面目で勉強熱心な脇坂淳之介(佐伯亮)の2年生4人だけ。同じ2年とはいえ、一緒のクラスでもなければ寮で喋ったこともなかった4人に、実家から通う通学生で同級生の、おしゃべりでお調子者な宮野優平(山形匠)が加わり、教師・橘陸夫(丸山隼)の指示で寮の伝統行事「サマー・バザー」の準備をすることになるところから物語は始まる。
最初は距離感のあった寮生4人だが、寮の冷房が壊れて仕方なく1部屋に集まって過ごすことで徐々に打ち解けていく。そんな中、リアルな男子校の雰囲気を感じることができるのが『男子トーク』。男子特有の“女子”や”モテる男”に対しての過剰なまでの反応も面白いポイントだ。
準備を進める5人のもとへ家族がバザー用の品を持ってくるシーンでは、それぞれの『家族との関係性』が明らかに。秋吉家は弟の秋吉公太(野口準)が届けに来るのだが、明らかに会話がギクシャクしていたり、脇坂は妹に溺愛されていることにうんざりし、小山内は出来の良い兄がいる…。親・兄弟とのわだかまり、他にも様々な不安や悩みを抱える彼らの夏の終わりの平凡な日常は、お互いの知らなかった事実が見えてきたことで少しずつシリアスな雰囲気を纏い始める。
左から井澤、野口
秋吉風太は普段はヘラヘラしているが、実は母親にまつわる記憶に囚われて弟との関係がギクシャクしていたりと内側に溜め込むタイプ。そんな彼を変えることになる『ある出来事』が起きるのだが、息を呑む迫真の演技に注目だ。
距離が近い新宿村LIVEだからこそ注目していただきたいのが『表情』。特に小山内正人はみんなといるときの楽しげな顔から、おどおどとした表情や遠慮がちな笑い方、兄と接するときの彼の内側にある不安や悩みが伝わってくる。
正人の兄、小山内渉(蒼木陣)は一見して面倒見の良い兄に見えるものの、実は弟との関係性には根深い問題があり、なかなかに腹黒い性格。今まで見たことのない一面を引き出す役となった。
左から谷水力、蒼木陣、丸山隼
そして寮の管理人の孫・榊淳史(水田達貴)は管理人の仕事を任されていたり皆が先輩だったりするせいか、気を使って少し控えめな様子。ただ同級生の公太には普段の自分を見せているといった些細な感情の演じ分けにも注目したい。
左から野口準、水田達貴
舞台といえば日替わりシーン。教師・夏井望(平野宏周)が喧嘩を止めるシーンや芸大生・岸直次郎(三井理陽)の作品のネーミングなど…他にも日替わりになる部分があるようなので、複数公演来場される方は必見だ。
左から平野宏周、井澤巧麻
さらに、個性豊かなSUNPLUSメンバーの得意分野を生かしており、劇中に流れる校歌は井澤の作曲、岸の作品はメンバー数名で手作りした作品だという。
左から山形匠、三井理陽、佐奈宏紀
男子高校生の日常の中に、それぞれが抱える不安や悩みを乗り越えるまでの葛藤を描く少しほろ苦い『青春グラフィティ』。それだけではなくクスッと笑えるシーン、会話劇とはいえ動きのあるシーンもありと盛りだくさんな内容となっています。
作品としてそれぞれが演じる男子高校生がどんな葛藤を経て成長していくのか、そしてSUNPLUSとしてまた1つ上のステージまで階段を着実に登っていく彼らの姿を、ぜひ劇場で体感したい。

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