Theatre劇団子が新作『人騒がせなコ
スモ』を上演 生前遺言に揺れ動く家
族を描くナンセンスファンタジー

2019年12月11日(水)~15(日)にシアター風姿花伝で、Theatre劇団子が『人騒がせなコスモ』を上演する。
今年で結成26年目を迎えるTheatre劇団子の最新作は、生前遺言に揺れ動く家族たちを描いた少し奇妙なナンセンスファンタジー。タイトルにもある「コスモ」は「小宇宙」を意味するが、他に「脳の中」という意味もあり、現実の世界と主人公の頭の中の2つの世界でパラレルワールドを描き出していく。人間ドラマを26年間創り続けてきたTheatre劇団子にとって、もはや家族ものは劇団のお家芸といえ、思わずクスリと笑うものから、腹を抱えるほどのものまで様々な笑いが散りばめられている。
2015年から外部からの客演を呼ばず、劇団員のみの出演で公演してきたTheatre劇団子は、公演の稽古のない時は毎月2回の定例稽古を行って関係性を高め、劇団員しかできない、劇団員だからこそ出来る作品創りにこだわっている。本公演より新人・石津雄貴が加わることで、新たなアクセントとして作品世界に幅を持たせているとのことだ。
作・演出を手掛ける劇団主宰の石山英憲が、公演にかける思いを述べているので紹介する。
石山英憲コメント
劇団子が初めて紀伊國屋で公演を行ったのが2006年、今から13年前。皮肉にも、父親が他界したのもこの年でした。僕の将来に不安を感じ、闘病しながら病床より劇団を応援してくれていました。「紀伊國屋で公演をうつ事になったよ」と報告に行くと「それまでには治さないとな」と微笑みかけてくれました。年明け早々に亡くなってしまったので、観劇は叶わなかったのですが 客席の何処かで見てくれている様な、そんな不思議な感覚の中初の紀伊國屋公演は幕を閉じました。
父親は本当に不器用な人でした。物言いが高圧的で超頑固。協調性は皆無に等しく、信じた道を突き進む猪突猛進タイプ。 芝居とかお笑いとかが大嫌いで、とにもかくにも本の虫。 そんな父親が日に日に弱っていく姿を見て信じられない気持ちで一杯でした。
父親が死ぬ間際の年の暮れ。僕と2人で話しがしたいと相談され病院から外出許可を貰いボンベをつけた父親を助手席に乗せ最後のドライブに出掛けました。いつになく饒舌な父親は、終始笑顔で自分の人生を振り返り始めました。そこには僕の知らない父親の本当の姿がありました。女の趣味から、学生時代の失敗談そして本当はお笑いが、お芝居が好きだという事。
僕もようやく父親の病気が見つかった歳に差し掛かってきました。生前よりも父親の事を思い出す時間が増えて来たように思います。「お前らに迷惑はかけないから」と、墓の手配から生前遺言に至るまで全て完璧に段取ってから、あの世へ旅に出て行きました。
歳を重ねるごとに父親ともう一度話したいという気持ちは増すばかり。今回のお話はそんな父親への感謝と、ある種の決意を示した作品です。劇団員と大切に創作していこうと思っています。
劇団紹介
Theatre劇団子は誰にでも楽しめるエンターテイメント喜劇をモットーに結成26年目を迎える。石山英憲の描く温かい世界観と、個性豊かな俳優陣が演じる魅力的なキャラクターが特長。身近な暮らしの中で起こる悲喜こもごもを、不器用でどこか憎めない登場人物達が、軽妙な笑い を織り交ぜながら展開していく。「お客様にほっこりと温かい気持ちになって劇場を後にしても らう」そんな作品作りを目指している。最近では、本来得意とするおバカでわかりやすいシチュエーションコメディの枠を超え、人間の心の葛藤や感情のやりとりをより深く追求した作品にも取り組み、劇団としての可能性を広げている。「落人たちのブロードウェイ」(2012年9月・紀伊國屋ホール)から2年半の休止期間を経て、 2015年5月「トウキョウの家族」を東京・大阪で上演し活動を再開する。

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