【カーリングシトーンズ
インタビュー】
俺たちの根っこはただの音楽小僧
令和のドリフターズや
クレージーキャッツみたいな
カーリングシトーンズは他では味わえない楽しさがありますよね。
とにかく楽なんですよ(笑)。トータスシトーンといつも話してるのが、普通は最初から最後までヴォーカリストとして歌わなきゃいけないじゃないですか。テレビに出る時も自分が頑張ってしゃべらないといけないし、スベったら全責任を被らないといけないけど、これだけフロントマンが集まってると、負担たるやものすごく減るわけですよ。でも、これってとても重要なことだと感じてて。気が楽っていうのは決して怠けるわけじゃなくて、だからこそ生まれる余裕だったり、楽しさだったりがお客さんに伝わると思うんですよね。それぞれのバンドやソロのファンにとっても、意外な一面みたいなものが見えるはずだし。“カーリングシトーンズ以外のライヴも観に行ってみよう”とか、いろんな相乗作用が生まれるプロジェクトでもあるんじゃないかなって。
そんな6人の根っこにある共通するものって何だと思います?
みんな音楽小僧なんですよ。やり方は違えど、各自それで30年走ってきた。で、50歳をすぎた時にパッと横を向いて手を取ってみたら、“俺たちって根っこのところはただの音楽小僧だよね”って言い合える関係だった感じです。クスクス笑いながら音楽を作れて、ツアーを回れるような。
「スベり知らずシラズ」「何しとん?」などアルバムには楽しい曲がたくさん収録されてますけど、最初はカーリングシトーンズというバンド名からネタを膨らませていくことが多かったですか?
いや、そうでもなくて。アルバムの曲で最初にできたのは「俺たちのトラベリン」ですね。去年の6月に浜崎シトーンと一緒に僕のスタジオで作って、メンバーに“できたよー! みんなも書いてねー!”みたいな感じで送ったことで、たぶんそれぞれで“俺もやらなきゃな”ってモードになったんじゃないかな。その次に僕が「涙はふかない」を書いて、続けて奥田シトーンが「スベり知らずシラズ」を作って来てくれましたね。「キャラバン」も一緒に作って来てくれたかな。むしろ、「何しとん?」は最後で、ライヴ直前に斉藤シトーンが仕上げてくれたっていう。
カーリングシトーンズとして“こういう曲を作っていこう”みたいな話し合いは?
まったくもってなかったです。できた曲に対してとにかく誰も口を出さず、全部採用みたいなノリがあったので(笑)。さっき言った通り、フロントを張ってきてる人たちだから“カーリングシトーンズにはこんな曲がいいんじゃないか”というのは自ずと考えてくれてたと思いますね。
たくさん面白いアイデアは出てくるでしょうね。
例えば、トータスシトーンはカーリングシトーンズにブルースを持って来る感覚があったんですよ。「わかってさえいれば」とか「夢見心地あとの祭り」とか。ブルースって同じ歌詞をどんどん反復させていく音楽ですけど、“この6人でやるとこうなるんだ!”という新鮮味がありましたし、ちょっとマイノリティーなジャンルなのにポップスみたいな聴き方ができて。それはトータスシトーンなりのプロデュースなのかなとも思いました。斉藤シトーンが合宿レコーディングの最終日にほぼその場で作った「出会いたい」も、すごく必要なピースをはめてくれた気がしますね。
「出会いたい」や「Oh! Shirry」のようなノリが未だにあるのも最高ですよね。「出会いたい」のトータスシトーンさんのドラムはLed Zeppelinの「Rock and Roll」みたいな、独特のドタシャカ感が良かったです。
ああいうのもね、スタジオドラマーじゃ叩けない気がするんですよ。なかなか出せないグルーブだと思います。「B地区」「タイムテーブル」の斉藤シトーンのベースもめちゃくちゃ上手くて、メロディアスに歌ってるようなところがPaul McCartneyっぽい感じで。
「B地区」のラップっぽい歌唱も驚きました。
「B地区」はコラージュやサンプリング的な要素が強いですね。去年の段階で僕のスタジオで素材を録ってあって、それを切り貼りして仕上げていった感じで。あとは、FLYING KIDSのファンク要素も意識しつつ。アルバムの中でも異色のナンバーで、ライヴでまだ1回もやってないから、どういうふうにお客さんに伝えられるかが楽しみです。
アルバムのラストを飾る「涙はふかない」はどこかグッとくるものがありますね。
「涙はふかない」のオケは全部僕が作って、歌手としてみんなを呼んで歌ってもらった感じなんですけど、各自のいろいろなものが自然と滲み出るような曲になったと思います。例えばザ・ドリフターズが30代に“ババンババンバンバン”ってやってるのと、70代でやるのとでは伝わり方が違うじゃないですか。それはやっぱり、ただ歳を取ってるだけじゃないからなんじゃないかなと。生き様がじんわりと出てて、シンプルな歌詞を歌うと、よりそこに良い意味での喜怒哀楽が出ちゃうっていうか。
MVのダンスも「いい湯だな」をオマージュした振付になってて。
簡単じゃないと覚えられないですから(笑)。みんな決してダンスは得意じゃなくて、デビューライヴの映像を観ても思ったより踊れてなくてびっくりしたんですけど、6人の中で奥田シトーンはやっぱりセンスが良かったりするんですよね。ひとりだけ間違えないで踊れてたり。楽曲のイメージとしては、ドリフの他、クレージーキャッツ、「上を向いて歩こう」のような国民的な曲が頭にありました。令和のドリフ、ハナ肇とクレージーキャッツみたいなことができたらいいなと。
寺岡シトーンさんの甘い歌声も映えてますよね。
ありがとうございます。奥田シトーンも斉藤シトーンも浜崎シトーンもキングシトーンもトータスシトーンも、みんな“ならず者”感が強すぎなんですよ(笑)。
ツアーに向けてはどんなことを考えてますか?
アルバム『氷上のならず者』を聴いた上で来てくれる状況が去年のデビューライヴとは全然違うので、バンドとしてのカーリングシトーンズを改めてしっかり観せたいです。こんな絵面ってなかなか実現しない奇跡でしょうから。あとは、ダンスの振付をお客さんも覚えてきてくれるだろうし、コール&レスポンスがある部分は歌ってくれると思うと、すごくワクワクします。初めてこの6人でツアーに出るのも楽しみだし。たった5公演ですけど、最終日の打ち上げで“またツアーやりたいな”とかメンバーに言ってもらえたら嬉しいですね。
取材:田山雄士
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アルバム『氷上のならず者』2019年11月27日発売
ドリーミュージック
- 【初回限定盤(DVD付)】
- MUCD-8136〜7
- ¥4,500(税抜)
- ※紙ジャケット仕様
- 【通常盤】
- MUCD-1439
- ¥3,000(税抜)
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『カーリングシトーンズTOUR 2019-2020 「やったぁ!明日はシトーンズだ!」』
12/23(月) 東京・東京国際フォーラム ホールA
[2020年]
1/11(土) 熊本・熊本城ホール メインホール
1/13(月) 大阪・オリックス劇場
1/14(火) 広島・文化学園HBGホール
1/28(火) 愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
カーリングシトーンズ:寺岡呼人ソロデビュー25 周年を記念して、寺岡をはじめ、奥田民生、斉藤和義、浜崎貴司、YO-KING、トータス松本らにより結成されたスーパーバンド。それぞれ異なるレコード会社、プロダクションに所属していながらの奇跡の結成となり話題を呼び、2018 年9 月にZepp Tokyo にて開催されたデビューライヴのチケットは発売日に即日完売となった。そして、19 年11月にアルバム『氷上のならず者』をリリースし、いよいよ本格始動する。カーリングシトーンズ オフィシャルHP
「スベり知らずシラズ(リプライズ)」
@2018.9.23 ZEPP TOKYO
「涙はふかない」MV