音楽界を揺るがす、テイラー・スウィ
フトを巡るトラブルとは?

Taylor Swift(テイラー・スウィフト)は今、大きなトラブルに直面し、全米の音楽業界のみならず、世界中の音楽ファンを巻き込んで、大きな騒動の渦中にいる。
テイラー・スウィフトは、デビューから所属していたレコード・レーベルのビッグ・マシーン・レコーズを2017年に離れ、最新作『Lover(ラバー)』はユニバーサルから発表しているが、この古巣のレーベルであるビッグ・マシーン・レコーズが今年の6月に買収されてしまったことが事の発端だ。
テイラー・スウィフトが以前所属していたビッグ・マシーン・レコーズを買収したのは、カニエ・ウエストや、ジャスティン・ビーバーアリアナ・グランデのマネージメントを務めていることで有名な敏腕マネージャーのスクーター・ブラウン。スクーター・ブラウンの保有する会社がビッグ・マシーン・レコーズを買収したことで、スクーター・ブラウンはテイラー・スイフトがビッグ・マシーン・レコーズ所属時にリリースしたアルバムすべての原盤の権利を獲得したことになる。これは、2006年にリリースされた1stアルバム『Taylor Swift(テイラー・スウィフト)』から2017年に発表された6thアルバム『Reputation(レピュテーション)』までの6枚のアルバムだ。
この買収が発表されるや否や、テイラーはTumblrでコメントを発表し、このニュースを悲観していると綴っている。実は、これまでにテイラーはビック・マシーン・レコーズと自身のアルバムの原盤の権利を手に入れるための交渉をおこなっており、この交渉がうまくいかなかったことがレーベル移籍の一因と見られている。テイラーは、望んでいた自身のアルバムの権利をすべてビック・マシーン・レコーズが保有しているという状態のまま、新たなレーベルへと移籍した。
自身の過去の作品の権利を手に入れることを望んでいたテイラーだが、それが叶わなかっただけでなく、買収によりそれらの権利が第3者の手に渡ってしまうことになってしまったわけだが、その権利を手に入れたスクーター・ブラウンは、実は、テイラーの天敵として知られている人物。スクーター・ブラウンのみならず、スクーターのクライアントであるカニエ・ウェストとも確執が伝えられるなど、とにかく、この人物はテイラーとは相容れない存在としてよく知られた人物なのだ。
そこでテイラーは、この買収でスクーター・ブラウンの手に渡ってしまった過去の作品をすべて新たに再録音し直す計画を発表。来年にも着手されると言われている。
この買収劇で、ビック・マシーン・レコーズのオーナーであるスコット・ボーチェッタと、レーベルを買取ったスクーター・ブラウンの2人に対し怒りを露わにしたテイラーだったが、事はこれだけでは終わらなかった。
テイラーは11月24日に開催されるアメリカン・ミュージック・アワードで「アーティスト・オブ・ディケード」を授賞することになっている。この賞は、その名の通り、この10年にもっとも活躍したアーティストに贈られる賞で、アワードの当日にテイラーは、デビュー曲から現在までの楽曲をメドレーにして、自身のアーテスト活動を総括するようなパフォーマンスをすることを計画しているという。そしてこの計画に暗雲が立ち込めているというのだ。
今年発表された最新作『Lover』はレーベル移籍後の作品なので、念願叶ってテイラーが権利を取得している。ただ、それ以外のアルバムはすべて天敵であるスクーター・ブラウンの手元にある。そして、ブラウン側は、このアワードでのテイラーのパフォーマンスに対して、過去の楽曲を歌うことを許可しなかったというのだ。この為、アワードでのメドレーは実現できずに、『Lovers』の楽曲のみでのパフォーマンスになってしまうのではないかという危機感が伝えられているのだ。
また、それだけでなく、スクーター・ブラウンは、テイラーがNetflixと共同で製作する予定の自身のドキュメンタリー番組でも過去の楽曲の使用を許諾しなかったという。
テイラーは、スクーター・ブラウンとスコット・ボーチェッタは過去の楽曲の使用を許可する条件として、前述の再録音の計画の中止を求めていると主張している。そして、テイラーは、SNSを通してファンに声をあげるようにメッセージを送っている。
このテイラーの悲痛な叫びを受けて、全米は大騒ぎ。まず、ファンがフェアでないと多くの声をあげ、テイラーに同情を示す多くのセレブやスターが現れた。
ただ、スクーター・ブラウンとスコット・ボーチェッタは、すぐさまテイラーの主張を全面否定。アワードのメドレーでの楽曲使用を禁じたこと、Netflixの番組での過去の楽曲の使用を許諾しなかったことのどちらも否定し、今まで、テイラー・サイドから望まれた過去の楽曲の使用はすべて許諾してきた旨を主張。
またテイラーがSNSを通して、権利の問題を表沙汰にしたことや、一方的に自分のファンたちをけしかけるやり方を非難。それだけにとどまらず、実はテイラーはビッグ・マシン・レコーズに対して700万ドル(約7.6億円)の負債を負っているとまで主張し始める始末。

そして、アメリカ現地時間11月18日、『ビルボード』誌が、ビッグ・マシーン・レコーズは声明を発表したと伝えている。内容は、テイラーの名は挙げていないものの「レーベルが保有するアーティストのライセンスをすべて許諾する」という。
アメリカン・ミュージック・アワードでのパフォーマンスと、Netflixのドキュメンタリーを念頭に置いての声明だと思われ、テイラーが主張してきた楽曲の使用の禁止など行わないという趣旨に読み取れるが、この声明に対してテイラー側はまだ沈黙を続けている。

完全に泥仕合と化したこの両者の対立は、ひとまず、11月24日のアメリカン・ミュージック・アワードでのパフォーマンスがどのような形で行われるかが焦点となるが、完全決着までは、まだまだ時間がかかりそうだ。
それぐらい、テイラー・スイフトとスクーター・ブラウンの両者の確執は深いようだ。

11月24日のひとまずの決着を見た後、ここで問題となっている原盤の権利と、楽曲の権利について、音楽ビジネスの権利の側面から詳細に検証し、現在の音楽業界の問題を考える続編を執筆したいと考えている。

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