【仲村瞳の歌謡界偉人名言集】#124
歌手・橋幸夫の言葉

作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、バンドマン、振付師、……そして、歌手。きらびやかな日本の歌謡界を支えてきた偉人たちを紹介するとともに、その方々が発したエネルギー溢れる言葉を伝えます。常軌を逸した言動の裏に、時代を牽引したパワーが隠されているのです! このコラムで、皆様の生活に少しでも艶と潤いが生まれることを願います。

「君の人生には歌しかないだろう」と言
われ胸が熱くなりました

『シオクルカサの不思議な世界』(著・橋幸夫/日刊現代/2007.4.1)より

まず、今回の名言の”歌”という言葉の代わりに、自分の職種を入れてみてほしい。もしも誰かに、「君の人生には○○しかないだろう」と言われて、橋幸夫のように胸が熱くなるだろうか? 実際は、ネガティブにとらえてしまう人も多いのではないか。橋の胸が熱くなったのは、歌手という仕事に大きな誇りを持っているからにほかならない。橋の歌にかける情熱を感じる言葉である。言葉を投げかけたのは、大作曲家であり最初の師匠でもある遠藤実。文中に、「ある時、『橋君、良い歌ができたよ』と連絡をいただきました。お宅に伺って『どんな歌ですか?』と聞くと、『だから”歌”だよ』とおっしゃる」とある。”歌”がまさにそのまま曲名だったわけだ。禅問答のようなやりとりに大笑いしたあとで、遠藤は橋に、「君の人生には歌しかないだろう」と語りかけたのであった。胸が熱くなる理由がわかるような気がする。

橋幸夫(はしゆきお)
1943年5月3日生まれ、東京都荒川区出身。歌手、作詞家、作曲家、俳優。中学生の頃、作曲家・遠藤実の「歌謡教室」に入門。1959年、レコードビクターのオーディションに合格。1960年、「潮来笠」でレコードデビュー。いきなりの大ヒットを記録し、日本レコード大賞新人賞の第1回受賞者となる。1962年、「いつでも夢を」(吉永小百合とのデュエット)で日本レコード大賞受賞。1966年、「霧氷」で日本レコード大賞受賞(2回目)。1972年、「子連れ狼」で日本レコード大賞大衆賞・全日本有線放送大賞特別賞ほか多数の賞を受賞。1983年、「今夜は離さない」(安倍里葎子とのデュエット)で日本有線大賞特別賞、1999年、美空ひばりメモリアル選奨、2002年、日本レコード大賞特別功労賞などを受賞。他にも、数々の音楽賞を受賞し、現在までに発表した曲はシングル、アルバム含め500曲を超えている。現在、『橋幸夫と歌の仲間たち』というコンサートで日本全国ツアー中。3月17日(火) の三重県、四日市市文化会館が最終日の予定。

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