polly・越雲龍馬インタビュー 最新
作『FLOWERS』へと至る間、何が起き
ていたのか

より美しく、より儚く、より深く。より優しく。そして、これまでは塗りつぶすようにしてきた温もりや希望の光までもが、その音からは聞こえてくるようになった。THE NOVEMBERSの小林祐介をプロデューサー/共作に迎えた3rdミニアルバム『FLOWERS』でpollyは、明らかに進化し、変化している。それらは何故、いかにしてもたらされたものなのか。このバンドの表現や歩みの進め方において大きなウェイトを占めているフロントマン・越雲龍馬と、前作のリリース時以来およそ1年半ぶちに語り合うことで、『FLOWERS』誕生に至るまでを追った。
——『FLOWERS』がリリースされて以降、どんな反響が届いてますか。
今までで一番良いリアクションをいただいてます。今回はメロディや歌詞に焦点を当てて反応をくれる人が多い印象があって。
——メロディが綺麗なのはもともとpollyの持ち味ですけど、それをより前面に出したい意図はあったんですか。
そうですね。前作 (『Clean Clean Clean』)ももちろんメロディに関してはこだわっていたんですけど、今回はより言葉が届くようなメロディラインであったりコード進行だったりとかを、プロデューサーに迎えた小林(祐介/THE NOVEMBERS)さんと話し合っていましたね。
——その前作は、いま振り返るとどんな作品だったと思いますか。
自分でどうにか全部の責任を負おうとしてました。やりたいことにすごく忠実に焦点を当てて作った作品だったんですよ。それはそれで自分の中ではすごく手応えがありましたし、今でも愛せる作品だとは思ってます。ただ、それに対して思い描いていたような世の中の反応や、自分の見る景色が変わったりすることはなくて。求めている場所を広く深く高く見過ぎていて、そこに追いつけなかった現状があったなっていう。
——『Clean Clean Clean』へ至るまでには、バンドを続けること自体に迷いが生じたこともありましたよね。前作から今作へ至る間は、そういう精神的なモードとしてはどうだったんでしょうか。
前作以前のバンドの状態の悪さっていうのは、「良い場所に行きたい」とか「認められたい」という欲求——バンドの欲求というよりも、自分個人の欲求によるものだったんですよ。手の届かないような人物になりたいというような欲求があった故の、バンド内に対してのストレスとかを、自分で振りまいたくせに、返ってきたアクションに対してまたストレスを感じてしまう悪循環だったんですけど、今作を作るにあたっての1年ちょっとの間にも、バンドを続けるのってすごく難しいなっていう思いはあったんです、実は。
『Clean Clean Clean』が自分のビジョン通りにいかなかった、自分の世界がすべてだった自分に対して、世の中が無言の結果を出したことに打ちのめされました。バンドを4人でやっているのに、なんで自分だけの世界にいたんだろう?と思って、でも今さら修復するのもすごく難しくなっちゃったなっていう思いもあって。
——あえてバンド内での独走を厭わないスタンスでしたからね。
はい。ただ、そこに対してスタッフの人たちや小林さんが、「言葉の伝え方一つで全然お互いの関係は変わるし、良い風に向くから」って言ってくれて。そこから自分の独りよがりだった部分を、「この人はこういう言い方だと傷ついちゃうから、どうすれば腑に落ちるような伝え方になるんだろう」ってちょっと言い方を変えたりだったり、伝え方を変えることを考えながらやっていった結果、『FLOWERS』を作るにあたってはバンドの状態や雰囲気、自分の精神的状態はすごく良くなっていきましたね。
だから、前みたいに自分が突っ走って、止まっている奴らですら襟元を掴んで引っ張っていく感じじゃなくて、自分が一緒にやってくれている人たちの方を向きながら前進していっているような感じはしました。だから、バンドでちゃんと作った作品というか。本当に楽しめて作品を作れた感覚でした。
——もう、この時点ですごく良い話を聞けてますよ。
これが続けばいいんですけどね(笑)。ちゃんと続けながら、いろんな面でブラッシュアップしていきたいとは思ってますね。
polly・越雲龍馬 撮影=風間大洋
——『FLOWERS』の制作に向かうにあたっては、何か引き金となったものはあったんですか。
まず『Clean Clean Clean』を出して年をまたいだくらいに、音楽を作ることに対して今までにないくらいに悩んだんですよ。本当に右往左往の触れ幅が広いような「これをやってもなあ」「でもその方が広がるんだよな」とか、人間的にもコンポーザー的にも良くないブレ方をしていた時期があって。
——音楽性自体も?
それ自体もですね。バンドをやめたいとかではないですけど、続けていって良い未来が見える気がしてなかったんです。そんな僕を見てスタッフから、小林さんとご飯に行って相談してみてはと。話をしながら次の作品をどうするかとかも固めていったらどうか?っていう提案をいただいて。で、3人で食事に行って、その日に自分の悩みとかをすごく聞いてもらったんですよ。
本当に自分がやりたいものだったり行きたい場所だったりとかを整えてもらったような感じがして、そこから小林さんと連絡を取る機会がどんどん増えて、僕の方からプロデュースをお願いしました。「どんな作品にしようか」っていうところは、最初はもっとふわっとしていて、曲は作っていくんですけど(リリースの)フォーマットとかも決まっていなくて、小林さんと楽曲を制作していく中でどんどん見えてきた感じなんですよね。
——そこで手応えがあった。
そうですね。今までだったら恥ずかしくて絶対に出さなかった部分を出すことが、きっと多くの人の心を動かせる術なんだと思うっていうことを、小林さんと話す中で気付けて。そこから今回みたいな、ちょっと——いや、ちょっとではないですけど、開けた、光があるような、“誰かに花を渡すような”作品にしたいというのが決まって。
——“光”という言葉は歌詞にも何度も出てくるし、ポイントだと思ったんですよ。他にも「歩いていこう」「大丈夫」「手を取り合えたら」とか、あまり今までは——
なかったですね。避けてきた部分というか、自分がそれを書いても説得力がないと思っていたんですよ。誰かと手を取り合いながら生きたいとは……思っていても、それを上手にできなかったですし、今でもできてはいないんですけど、なんなんだろうな。……前作の1曲目の「生活」っていう曲で、<喜びは絶望です>だったりとか<生きるとは喪失です>ということを書いていて、その作品を、去年亡くなってしまった高校時代の親友の闘病中に渡せなかったんですよね。自信作ではあったのに渡せない自分は何だろう?みたいな想いがすごくあって。自分の本心、もっと深い部分の本心って、こういうことじゃないんだろうなって、そこからはいろんなことに違う焦点をあてはじめて。……道路に「止まれ」ってあるじゃないですか。
——はい。
あれが世の中になくちゃ、事故が起きたりすると思うんですけど、あれって愛ではないなと思っていて。「る」と「れ」って違うじゃないですか。「止まる/止まれ」。あとは「〜する/〜しろ」とか。「る」と「ろ」って○一つの違いなのに、だいぶ感じ方が変わる。そこに焦点を置きたいなって思ったんです。その○一つの作業というか、今までの自分だったら、「ろ」だったんですよ。
——「〜しろ」という。
だったんですけど、まだ未熟とはいえ「〜する」っていうことに焦点をあてたいなというふうに思ったんです。その結果が今作みたいな「光」だったり、誰かと何かを共有したい気持ち……バンドをやったり、誰かと物を作ったりとか、今もこうしてインタビューしてもらっているのって、多分、本当に誰かと一緒に居たくない人間だったらしないんですよ。でも、そうやって今までやってきているってことは、きっと誰かと何かを共有しながら生きていきたいんだろうなっていうことに気づいたというか、逃げずに見るようになりはじめたことで、そういうワードを使いたいと思うようになったんですよね。
——そういう言葉が表す想いが、今までの作品に全然なかったわけではないと思うんですよ。ただ、ネガティヴに映る表現が覆い被さっていたから、聴く人によってはそこから光を見出したりもするけど、ただ暗いなと感じるだけの人もいた。かといって、今作から急にポジティヴが前面に出て押し付けがましくなったわけでもなく、別のバンドになったような感じは全然しない。それがそっと「花を渡す」というイメージに近いのかなと思いました。
よかった。いきなり変わったなと思われたくはなかったのも本心だし、押し付けがましいのも僕は嫌いですし。ちゃんと、こうやって会話をしているようなリリックにしたかったから、そう受け取ってもらえたのは嬉しいですね。『Clean Clean Clean』は暗い作品ですけど、さっき言ってもらったように光がないわけでもないですし、書き方の違い、裏表の違いというか。同じ人間が書いてるわけですし、スポットの当てる方向が逆になっただけで、僕を通している時点でそんなに変わらない。
polly・越雲龍馬 撮影=風間大洋
——小林さんとは以前から交流はあったんですか。
ありました。今みたいに濃い関係ではなかったですけど、ちょくちょく連絡は取り合ってましたし、ライブを見に行って話したりはしてました。2016年にやったART-SCHOOLとTHE NOVEMBERSの共同企画に出させてもらってからは、お会いしたら話したりするような関係で。
——音楽的にも、決して似ているわけではないけど通じる部分は多々あって。
THE NOVEMBERSからは、もちろん大きな影響を受けてますし、育った土地も一緒で、共通する部分がたくさんあるんだなっていうのは、今回一緒にやらせてもらって気づきました。僕よりも全然大人ですし、経験値も全然違いますし、だから僕が抱えているたようなことや、今後経験するであろうことも、小林さんはもう乗り越えているんだろうと思います。どうすればバンドが良くなるかとか、小林さんはきっといろんなことを見ているから、どうすれば人が嫌な想いをするか、どうすれば喜ぶか、前を向くかとかもわかっている人だと思いますし、僕はそれをいまだにできていなくて、やろうとして空回ったりもしてる最中なんですけど。
でもきっと小林さんみたいになろうと思っても僕はなれないと思うんです。それはネガティヴなことではなくて、僕には僕にしか持っていないものがあるから、小林さんの強い部分を見て自分に生かしながら、自分の強い部分をさらに伸ばしていけたらなっていう。これからもずっと尊敬しながら生きていくような存在だと思います。
——このタイミングで作品を作ることで深く通じ合えたのは、今後の人生においても大きいですよね。
そうですね。今まで自分がやってきたことが、無意識のうちにいかにいろんな人を傷つけたのかとか、何気ない会話の中で、伝えたいことは一緒なのに言い方ひとつで人の熱量が下がっちゃうんだなっていうことにも気づけて。
——そこに目が向くようになっただけで、いろんなことが劇的に変わると思うんですよ。今作はそういう変化をしながら作っていった作品ということですよね。
変化しながらですね。だから、それこそ歌詞もレコーディング中に変わったりもしたし、今までにない書き方もたくさんした、リアルタイムの歌詞だと思います。その時の自分がすごく出ていて、自分でも「なるほど、そういうことか」って思ったりしますね。
——詞も曲も共作してますけど、それも今までなかったことですよね。
ないですね。僕はそういうの絶対に嫌だったんですけど、でも小林さんとだったら逆にやりたいという方が強かった。共作をやろうと決まってから、小林さんに「僕がどういう曲を歌ったらグッときますか」って聞いたら「BPM遅めのバラードとか歌が強い曲をやってみたらどうかな」っていうことで、そこから僕が歌詞とメロディをつけるのでコード進行をくださいって、2つもらったんですよ。
そこから2つの曲にメロディをつけていって、1曲だけ収録の予定だったんですけど、進行していくうちにどんどん曲の持っているテーマが枝分かれしていったんですね。じゃあ両方入れようということになって、「同じ花を見つめながら」っていう曲は小林さんに歌詞も一緒に考えてもらって、普段思ったことを書いている日記より雑なものを見てもらって、そこから「これってこういうことだよね」って組み合わせてもらって。たとえば<横目で見てふと立ち止まっている>っていう一節は、僕の中にある、同い年のバンドがどんどん上に行くのを見てすごく羨ましく思う気持ちが、そういう言葉に変わったりとか。
——なるほど。
もう一曲の「遠く」は、僕の中でパーソナルなものにしたくて。さっき話した、高校時代の親友が亡くなってしまったときの曲というか。入院中に話しているときに、彼の中ではもう亡くなることがわかっていて、「俺が死んだら俺の曲を作ってくれ」みたいな約束をしたんです。それがずっと書けなくて、でも今なら書けるんじゃないかと思って書いた曲です。……2曲とも、THE NOVEMBERSの影響が出ないように気をつけました。THE NOVEMBERSを好きだからこそ。
——pollyはpollyだからね。
そうなんです。ちゃんとpollyというアーティストが作った作品にしたくて、メロディラインや耳馴染みの良さだったりを意識できた仕上がりになったと思ってます。
polly・越雲龍馬 撮影=風間大洋
——そこはサウンドの手触りによるところも大きいと思いますけど、サウンド面のテーマは4AD(UKのインディレーベル)だったということで。
80年代後期から90年代くらいの、それこそペイル・セインツだったりとかコクトー・ツインズあたりの質感をピックアップした感じです。
——となると、シューゲイザーよりもっと前の、ニューウェイヴとか。
ニューウェイヴですね。前作では、僕自身もシューゲイザーとかドリームポップを掲げてバンドをやっていたんですけど、そういうのは今回特になくて。結果、そういう類にはなったんだろうと思いますけど、そこに括られたくはない感情ではあります。影響は受けているんですけど。
——あくまで狙いをわかりやすくする合言葉が4ADだったと。
そうですね。4ADの質感やサウンド面をバックに持ちつつ、メロディはちゃんと日本人でありたい、みたいな感じです。
——まさにその質感——透明感や空間を感じる音作りが、今作の歌っている内容ともすごくあっていると思うんですよ。
うまくリンクしましたね。よかったです。最初はもっとかけ離れちゃうのかなとも思ったんですけど、そこがちゃんと相性よくマッチしたのは自分でも感じてます。
——そうやって『FLOWERS』を作り終えて、何を得られた作品だと思いますか。
なんだろうな。バンドの未来というか……目指すべきものは明確にはないんですけど、僕らは。でも、バンドにとってすごく良い未来が見えたなと思いますし、いちソングライターとしても、小林さんとやらせていただいたことで、今までなかった知識とか技術も得られたと思います。あとは、作り終えた結果、変なプライドがなくなったんですよね。
——というと?
今までは「こいつらをぶっ潰してやろう」みたいな気持ちで音楽をやっていて。今でもそういうハングリー精神は無いわけじゃないですけど、今は自分がやるべきこと、やりたいこと、やらなきゃいけないことを、音楽的に誠心誠意やることで、結果が出ればいいかなっていう精神状態になりました。
——それだけ手応えを感じられたということでしょうね。
そうですね。多分、どこまでもpollyらしい作品になったんですよ。客観的に見てくれる人がいたからこそ、どこまでも自分達らしいパーソナルな、アイデンティティを持った作品になったんじゃないかな。だから誰に文句を言われようが、けなされようが、無視されようが……あ、無視されるのは嫌だな(笑)。でもすごく良い作品、僕の中で一生大事にする作品を作れたので、それが全てなんじゃないかなって。誰よりもこの作品に対して愛着と自信を持てる感覚になれたのはすごく大きいかな。もっと人に引っかかりを残せるような人間にならなきゃいけないなと思えた作品でもありますね。
——今後が楽しみですねぇ。
いや、わからないですけどね(笑)。どうします、次の作品がすごく病んでる感じになったら。
——まあ、それはそれで良いんじゃないですか。それよりもまた精神的に捻れまくってインタビューに現れるとかの方が困る(笑)。
それも全然可能性はあると思います(笑)。僕、いますごく浮き沈みがある中で陶酔状態みたいになっていて。アルコールで酔っているみたいな感覚に近いんですけど。
——躁の状態?
そうです(笑)。それが切れたときにどうなるか、自分でも怖さはすごくあります。
——『FLOWERS』を持ってツアーを回ったり、イベントやフェスに出たりする上では、見せ方の部分も変わっていきそうですか。
既に『FLOWERS』の曲を結構やっているんですけど、今までは自分たちのやりたいことをバーっとやって、コミュニケーションを取るんじゃなくて「観ろよ」みたいな、それこそさっきの「る」と「ろ」の話なんですけど、「観ろよ」っていうライブだったんですよ。今はそれをすごくもったいないな、せっかくすごく良い音楽をやっているんだから、自分から出向いていく瞬間は絶対に必要なんだと思っていて。
この間、ドラマの『グランメゾン東京』で、食のフェスみたいなのに出向いて、料理を食べてもらうきっかけを増やそうみたいな回があったんですけど、それだなと思って。いくら良いものや自信のあるものをやっていたとしても、そのきっかけを作ることができないと、ちょっとでも自分から手招きをする瞬間だったり手を差し伸べる瞬間がないといけないし、あった方が、僕らの音楽に関わってくれる人全員が良くなるなって。だから『FLOWERS』の曲が出来てからは、ライブもだいぶ変わりましたね。作品のテーマと一緒で、花を手渡すようなものがライブにも出ている気がします、ちゃんと。
——それを楽しめてますか。
楽しいですよ。無理もしてないですし、ちゃんと僕らの音楽を楽しんでくれることが見えるから——表情とかってやっぱり見えるじゃないですか。そういうことか、と思って。強引にやるんじゃなくて一緒に楽しめれば最高じゃない?みたいな、同じ熱量で、ひとつひとつの場所の思い出として残るようなライブをしたいなと思ってます。あとは単純に、自分が楽しくなかったら、聴いてくれるお客さんも楽しくないですからね。
polly・越雲龍馬 撮影=風間大洋
——『FLOWERS』が生まれたことがあらゆる面に作用していて、開いた扉もたくさんありますね。そもそも越雲くんの中で、こうやって「作品を出す」という行為はどんな意味を持つんだと思います?
僕は承認欲求が強い人間なので、今の自分やバンドの雰囲気、思っている内容を出していきたいし、世の中と自分の差異だったりとか、自分がどこの位置にいるのかを確かめるための、大事なものでもありますね。ライブもその一つだったりするんですけど、音源が世に出るってことは目の前にいない人も聴いてくれる瞬間があるじゃないですか。自分の立ち位置や、求められているもの、逆に自分たちが聴いてくれる人たちに対して求めているものとかを、擦り合わせていくことでもあるような気がするから、大きい意味で、バンドと聴いてくれる人とのコミュニケーションなんじゃないですかね? ライブに来てくれる人が増えるきっかけにもなるし、見えないところで発信したり受信し続けているコミュニケーションなんだと思います。
——その交感によって何かをもたらしたい、みたいなことはそんなにないですか。
うーん。そんなに大それたことはないですけど、『FLOWERS』を聴いたことが何かのきっかけになればいいなとは強く思っています。本当は外に出なくちゃいけない人が出なくてもいいきっかけを作る作品でもいいですし、逆に出たくなかった人が外に出たくなるきっかけを作るでもいいですし、生活をする、生きていく中の行動のきっかけになれたらすごくいいなとは思います。別に「生きてくれ」とかそんなデカイことはまだ言えないけど、生活の中の何秒間、何分間とかのきっかけになればすごくいいなとは思ってます。
——ゆくゆくは大きいテーマを歌いたい、歌ってもいいんじゃないか、みたいな気持ちもあるんですか。
んー、そういうことを言える人間だとは思っていないですし、それはもう他の人がやっちゃっているので、自分がやる必要はない。でも、僕にしかできない何かはあるので、それを探しながら、なんとなく明日やりたいことや来年やりたいことが見つかるきっかけになればいいかなと、それが続けば、そういうことじゃないですか。
——一発で人生を変えてやろう、じゃなく。
そうですね。徐々にそうなっていけば。聴いてくれる人たちと一緒に、僕も成長できたらいいのかなって、ふわっと思ってます。
——良いと思います。
いやぁ、ガッカリする人もいると思うんですよね。尖ってて捻くれてて、毒を吐くような人物像を僕に求めてる人って、少数ですけどいると思うんです。でも……もうしないのかな、そういうことは。思ってはいるんですけどね、「あいつむかつくな」とか「いつか見返してやるぞ」とかみたいなのはあるけど……表ではやりません(笑)。それで、どんなJ-POPよりも深いものが作れたら最高ですね。

取材・文・撮影=風間大洋

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